石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
IWGPシリーズ!しかもタカシとマコトが高校生!青春編!?うわ、久しぶり!と手に取った。
ふーむ、タカシくんは、こんな高校生だったのか…
美形に抜群の身体能力を持ち、池袋のストリートギャングたちのキングとして君臨する、氷のキング・タカシ。
兄の仇を取ったのは必然として、彼は、何を求めてGボーイズを続けてるのだろう?
いつものシリーズで、マコトに持ち込まれるトラブルの数々への対処は、クールだけど、汚さはない。なのに、な〜んでそんなにリッチなのか、どうもわからないんだけど….⁇
隙を見せられない立場になったタカシが、マコトをどれだけ別格の存在として認めているのか、伝わってくる。
高校時代は、中学生ほど子供ではなく、かなり人格が出来上がってきて、けれど心のガードの中にはまだ十分に柔らかいものがあって、特別な時期だと思う。
だから、青春時代…とまとめてしまうと小綺麗すぎて胡散臭く、こっぱずかしいけれど、そこにしかない魅力的な物語があるんだね。 -
Posted by ブクログ
人気作家なのに今まで手を出せなかったのはみうらじゅんのせいです。ひょんなことからみうらじゅんの「いやげ物」をもらうはめになり、それが石田衣良の似顔絵皿だったから。以来、読んでみようとするたびに、似顔絵皿のその顔がちらついてしまい(笑)。で、このたびやっと。
山形県鶴岡市の会社に勤務していた派遣社員が突然契約を解除される。通知の張り紙の前にたまたま居合わせた20代からせいぜい30代前半の4人。これからどうしようと思い悩むなか、そのうちの1人が東京まで歩くという。どうせ急いで東京へ帰ったところで待つ人がいるわけでもなし、新しい仕事があるわけでもなし。とりあえず1日歩いてみるかと、ほかの3人も一緒に歩き始める。
就活に失敗して派遣社員となったのにその契約も切られた平凡な青年、陽介の目線で。なぜか中国に異常な敵意を見せるネットオタクの伸也。中国残留孤児三世で美容師志望の豊泉。彼らに野宿と徒歩の旅を指南する寡黙な修吾。ただ面白そうだからと始めた真夏の徒歩の旅がやがて注目され、政治的意味合いまで持たされるように。
素直ではない私は、優等生的展開をちょっと冷ややかな目で見てしまいましたが、そう言いつつも終盤の数カ所で泣きそうに。読み終われば、彼らと一緒に歩いてみたい自分がいるのでした。困ったとき、苦しいときは誠実に。 -
Posted by ブクログ
私自身、流産を3回経験しており、子供が欲しかったけれど、子供もキャリアも諦めた・・・という40歳主婦。
読み始めは、どうしてこの本を手に取ってしまったのだろうとちょっと後悔をした。
バリバリのキャリアウーマンで、子供を望んでなかったのに妊娠発覚。仕事を続けながら、マタニティライフを過ごすという内容で、読んでいて正直辛かった。
途中で、切迫流産をして入院を余儀なくされ、同室の女性は流産してしまう。その無念さの描き方がとても良かった。
また、父親とも母親とも親子の関係があまりよくないこと、そういう内容が盛り込まれていたからか、途中からは、とにかく、こんな繊細な内容を描けてしまう石田衣良さんはただただ、すごいなぁと感嘆してしまいました。
女性ではなく男性であること、子供を妊娠したり出産したり実際に体験していない男性が、まるで自身の体験談のように、こんな女性の立場に立った作品を描けるなんて、本当に素晴らしい。女性の私が読んでも違和感が全くなかった。取材力だけではなく才能だと思う。 -
Posted by ブクログ
ある青年の虐待の物語。
この世に生まれ落ち、幼稚園に上がる前から、虐待を受ける。平手ではなく拳で。
愛を知らず、優しさを知らず、恐怖と暴力の中でのみ育ちゆく。
父親からの殴る、蹴るは当然で、また母親も子をかばえば自分が殴られる為に、父親以上に子を虐待する。固く捻られた針金のハンガーで執拗に叩き殴り、腫れ上がった傷口の間に更に叩き込む。ミミズ腫れに身体が変形してゆく。そこから冬の寒空に裸で外に出される。
そんな幼少期から、小中高生と事細かに、虐待の連鎖が描写されてゆく。
主人公が高校生になった時、父親が精神を患い入院、さらにそこから病死。
父の死により一時的に虐待の嵐が止むも、暴力に依存していた母親が、今度は虐待されていた子供に虐待していた夫の役を望むようになる。
このままでは、いつか母親を殺してしまうと児童福祉司に相談する。
結果、主人公は養護施設に預けられ、ある里親に出会う。当初は、大人を信頼できず、里親を試す行為に走るが、心通じ、愛や温もりを知る。
不幸は突如やってくる。穏やかな時間は続かない。そんな信頼できる初めての大人が悪性の癌を患う。懸命に介護をする最中、里親の友人が、縁戚の胃癌が治ったという胡散臭い水を持ってくる。
薬の投薬でもの食べれなくなり、口に出来るのは水だけになり、中でもこの水だけは美味しい気がすると里親は欲する。
一本数万円の水を。里親はその値段を知らず、主人公は里親が自らの大学資金や生活費に充てる為の資金を切り崩し、水を購入してゆく。金も底をつき始める。
ある時、その水が医療詐欺だと気付いてしまう。
不幸の連鎖はまだ続く...
と、ここまでが半分手前くらいなんだが、この後の堕ち方が壮絶。
一冊の半分後半は、裁判について。
一冊を通して虐待について、どう思うとかではなく、善と悪そのもの、法律、裁判制度、被害者、加害者、一体何が正解なのか、答えなんか無くて、人間社会が勝手に作り出した概念で、、、なんて、頭が混沌としてゆく。
あくまでもフィクションではあるが、限りなくノンフィクションに近い重厚な一冊でした。
長編だけども、久しぶりに読むのを途中で止められなかった。
我が子がいる人はどういう感想を持つのだろうか。