石田衣良のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズの4作目。
シリーズ物はある程度読み進めていくうちに飽きてくるものだが、このシリーズは相変わらず面白い。
全体に漂う、悲しみ、虚脱感、虚無感、絶望などの負の感情が、でも、頑張って生きていけばなんとかなりそうだ、と、前向きに捉えそうな終わり方をしている所が良い。
今回も、「黒いフードの夜」「ワルツ・フォー・ベビー」が、悲しくて涙が出るんだけど、それだけじゃない終わり方をしていてやっぱり泣ける。
「東口ラーメンライン」はイマイチ。
「電子の星」は一番長い話だけど、グロいのと、悲しみがあまりない(そこからの希望もない)ので、今回の4つの中では一番良くなか -
Posted by ブクログ
年齢相応に悩みながらも
からっと明るい未来を夢見られる14歳から
すこしずつ苦みの気配も感じられる16歳。
やはり悩みはあれど初めての経験や
投げやりになれない未来につながっていける
漠然とした無意識の期待が溢れている中
あえておしまいの物語が描かれている気がする。
早かれ遅かれ誰もが迎えるのだけど
それを16歳たちがどう接したらいいのか
どう受け止めるか、祖父母などではなく、身近に
初めて受け止める(小説上の)リアルな最期。
18や20に期待する気持ちもあるけど
「俺たちの旅」で現実に近づきすぎ、飛び越えていく
失望も感じたので、いつまでも読み返せば
「あの頃の僕たち」を思い出させてくれる -
Posted by ブクログ
癌で1年後の生存率50%を宣言された俳優のお話し
石田衣良はフェアはエンターテイナーなので、上巻を読み終わった時点で誰とどうなるかといった最終形がある程度予想できた
タイトルがタイトルだし、周りの女性で適任者は限定されるし、後半で新しいキャラが出てくる事も想定しなくていいだろうし
さらに、まったくのバッドエンドにはしないし、終わり方もクライマックスを描き切ってすぱっと終わるのが一番多いパターン
なので、安心して読めた
「40」でも主人公ではないけど癌の話があったり、「マタニティ・グレイ」ではモロに妊娠出産の話だったし、石田衣良にとって全くの新しいテーマというものではない
それでも自分が癌に -
Posted by ブクログ
40代のエステ経営者と付き合ってる30代の作詞家が、20代の歌うことが好きな女の子をプロデユースしていく三角関係のお話し
それぞれのパートを唯川恵と石田衣良と佐藤江梨子が書いてるリレー小説
誰がどこを担当した明記はされてないけど、文体と他作品の雰囲気でほぼ確定でよいかと
石田衣良の書く男は典型的なスカしたやつで、若い子の素質に感化されてプリティ・ウーマンするところなんかは「東京DOLL」でやってたし、年上の女性との恋愛も「夜の桃」でやってたよね
なので石田衣良パートはいつもの調子で読めた
官能的な描写もいつもの石田衣良の性癖
ワンパターンなんだよなぁ
唯川恵も仕事に真摯な自立した女性を書き -
Posted by ブクログ
ギャンブルに手を出して人生が狂い、再起をかけて売上金強奪をするものの、金を横取りされてしまう。
こういう小説って、どうやって金を取り返し、どうやって人生を立て直すかが見どころだと思うんだけど、この作品に関して言えば前半の方が面白かった。
どん底の生活を立て直すつもりで強奪したお金を目のまえで横取りされ、さらには強奪先のカジノに身元が割れる。そして一生を裏社会の底辺で過ごさねばならないという契約を迫られ…。
もがこうが流されようが、落ちていくときは落ちていく。
その後の巻き返しも面白くないわけじゃないんだけど、主人公は結局ただのギャンブル好きだったのね。
ギャンブル依存症のような、一生を