石田衣良のレビュー一覧
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秋葉原、オタク、AI(人工知能)、略奪と奪還がキーワードの石田衣良さんの冒険活劇です。
今でこそAKB等のアキバ発のPOPカルチャーが広く活躍していますが、2002年当時に秋葉原という電脳街を舞台にこんな面白い話を書いていたのですね。
一見どこにでもいそうなオタク達がネットのコミュニティーを通じてチームを結成、HPの目玉として作ったコンテンツ・ツールが世界のネット社会の常識を根底から変えてしまう様な大成功をおさめ…
とここまで書くと順風満帆の様に思えますが、その過程でIT社会を牛耳ろうとする強大な敵が登場し、手痛いダメージを受け反撃ののろしを上げる…といった物語です。
登場する悪役が、まんまホリエモンやソフトバンクの孫正義を連想させ、ビジュアル的にもそっくりに描かれているところなど笑えます。
石田作品はストーリーやキャラ設定が面白く、読んでいて頭の中に情景が浮かぶのですが、この作品もTVドラマや映画になっていて口コミ評価も良いので、またの機会にチェックしたいです。
実に400ページを超える長編小説ですが、さすがの石田作品、あっという間に読み終えてしまいました。
ライトな作風の石田さんがディープに掘り下げたオタクの世界観、面白いですよ。 -
Posted by ブクログ
IMGP(池袋ウエストゲートパーク)シリーズ最新作です。
2008年代からの短編とあって、かなり現代社会の問題点を追求した作品になっていました。
美しくなりたいという女性心理につけ込む真の手『キャッチャー・オン・ザ・目白通り』
池袋界隈のホームレスたちを脅かすモノ『家なき者のパレード』
新手の「出会い系」で惚れた彼女を救うには。『出会い系サンタクロース』
中国から日本来る研修生たちの哀しい物語『ドラゴン・ティアーズ-龍涙-』
詳しいストーリーはもうすでに、hi2515さんが書かれていますので、ここではふれませんが、全体的にかなり深刻な社会問題が現実的に描かれており、「真島誠」の活躍に胸がすく思いでした。
いつものことながら、マコトを助ける友人の池袋の裏のドン「サル」や
いつもは口うるさいババアという印象のマコトのお母さんが
ここぞという時に重大な働きをして、事件の解決へ導いてくれたのが印象的な作品でした。
ホームレスの寂しさをなにげなく悟ってそれにつきあう優しさを持つマコト。
友に恵まれ、トラブルシューターの運にも恵まれている憎めないヤツ。
「池袋」の街には無くてはならない人物となりましたね。
架空の人物にしておくのはなんだかもったいない。
これだけの器量がある本物があらわれて、
時期都知事にぜひなってもらいたい、と思う私です。 -
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最近、ベンチャービジネスという言葉に引かれて、本を買うことが多くなってきている。
最近はまっている、石田衣良。
この人は基本的にデジタルトレンド系の作家なのだろう。
今回は、秋葉原に集うオタクたちが、Web上の人生相談サイトの管理人に導かれ、会社を結成。それぞれの特技を生かして、画期的な検索エンジンの開発を始める。
ところが、中込(孫正義をモチーフにした)率いる、デジタルキャピタル(通称デジキャピ)の陰謀により画期的な発明を奪われる。
オタクたちは、意を決して悪の秘密結社であるデジキャピと戦うという、まさにマンガの世界を描いた作品である。
全体の雰囲気はデジタルトレンド名な世界は以前に読んでいた作品と、近いものがあるが、終盤の部分はまさにマンガチックで、同世代の作家が描く作品としては、信じられない若さとパワーを持っていることに、素直に関心した。 -
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2001年9月11日に起きた同時多発テロに触発されて、書かれたというこの小説もまた、テロの材料はインフルエンザだった。
今年の豚インフルエンザ騒動、昨今の鳥インフルエンザ騒動がこれだけ顕在化する前に、200年後の恐怖の根源をインフルエンザとした、著者の先見の明、想像力の豊かさに脱帽するばかりである。
久しぶりに読んだSF小説は、空想の世界だとわかっていながら、次第に引き込まれていき、混雑する電車の中が、未来空間に変わり、会社についても200年後の世界から戻ってこれない、そんな話となっている。
石田 衣良といえば、トレンディーでおしゃれな都会派の作家というイメージがあったが、ここでは新宿という都会を舞台にしながらも、おしゃれという感じではなかった。
泥臭いゲリラ戦の様子などは、やはりあまり得意な分野ではないのだろうが、200年後の世界と、現代を行き来するうちに時間感覚が次第にズレ、加速度的に逼迫してくる未来を救うために立ち上がる、中年男の姿に、なぜか励まされている自分がいる。
人は何のために生きるのか、生かされているのか。
ただ漠然と時間の過ぎるのを待つのではなく、自分で何かしなければという私自身の焦りに、シンクロするようなそんな本でした。 -
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石田衣良さんの代表作池袋ウエストゲートパークシリーズ第VI弾。
ウエストゲートパークとは聞こえがいいのですが訳せば「西口公園」。
英語名にしただけで、なんだか冴えない印象の池袋西口が、グーンとスタイリッシュで近代的なイベント広場に思えるから不思議です。このあたりやはり作者のセンスの良さだなと思います。
主人公は「池袋西口公園」でたむろする果物屋の息子、真島 誠(マコト)。
影では“池袋のトラブルシューター”とも呼ばれ、池袋のでおこるトラブルを解決しています。ウエストゲートパーク近辺でおこる、ドラッグ話や売春・幼児誘拐事件・少女監禁事件など、日常生活の裏に潜む悪が現実味を帯びて書かれているのです。
この本では、「灰色のピーターパン」「野獣とリユニオン」「駅前無認可ガーデン」「池袋フェニックス計画」の4作が収められていました。登場する地名は、「池袋芸術劇場」「パルコ」「東武デパート」など、耳になじんだものばかりですので、ますます親近感がわいてきます。
ここが地元の真島誠は、地元を締める暴力団にも顔がきき、一市民でありながら、刑事のように大都会のトラブルを解決していきます。一話完結ごとに感じるなんともいえない爽快感。アッパレ! 誠が、警察ではなく、一市民というところがいいのです。
このシリーズは1作目からだともう15年近くたちます。当時高校卒業したばかりの誠でしたので、今はもうそろそろミドルエイジでしょうか。
年齢も感じさせない、「あんた」「おれ」のさばけた語り口調の物語には、昨今のトラブル問題もいろいろ交えて、読者を飽きさせない心憎い工夫があるのでしょう。
作者のセンスと文章力に感心、そして、いつまでもティーンエンジャーの心を失わない作者に感服です。 -
Posted by ブクログ
R25に掲載されていたコラムだそうです。
電車の待ち時間に購入して
読み始めました。
石田衣良さんの
文章や言葉はすごく優しい。
時に怒り、悲しみ、同調し、
それでも自分らしさをと
石田さんだけの言葉で伝えてくれます。
あたらしい言葉や流行が次々と生まれ、
人間の粗を探して攻撃して、
息詰まったり
不安を抱える人がどんどん増えてきて
私ももれなく
不安や不満にばかり
心をとらわれがちになってしまっていたけど。
「どれほど気のきいた残酷な言葉でも、
あなたという人間全体をあらわすことなどできないのだ。」
危うく私も、
なんやかんやのカテゴリーに自分をあてはめて
知ったかぶったりをしそうになってました。
「政治家はもっと言葉の力と感受性を磨いてほしい。」
「しかも、おたがいに宣伝文句を投げあうばかりで、
肝心の議論はちっとも深まっていかないのだ。」
数年前の言葉なのに。
「どんなに偉大なアートも、
日々のよろこびや悲しみなど、
人のちいさな心の動きから生まれていると
きっと気づくだろう。」
ハッとさせられたり、
反省させたれたり、
なんだか
なんとも言えない気持ちになったり。
石田さんという作家さんが
身近で
リアルタイムで語りかけてくれているような一冊。