石田衣良のレビュー一覧
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最近、ベンチャービジネスという言葉に引かれて、本を買うことが多くなってきている。
最近はまっている、石田衣良。
この人は基本的にデジタルトレンド系の作家なのだろう。
今回は、秋葉原に集うオタクたちが、Web上の人生相談サイトの管理人に導かれ、会社を結成。それぞれの特技を生かして、画期的な検索エンジンの開発を始める。
ところが、中込(孫正義をモチーフにした)率いる、デジタルキャピタル(通称デジキャピ)の陰謀により画期的な発明を奪われる。
オタクたちは、意を決して悪の秘密結社であるデジキャピと戦うという、まさにマンガの世界を描いた作品である。
全体の雰囲気はデジタルトレンド名な世界は以前に読んでいた作品と、近いものがあるが、終盤の部分はまさにマンガチックで、同世代の作家が描く作品としては、信じられない若さとパワーを持っていることに、素直に関心した。 -
Posted by ブクログ
2001年9月11日に起きた同時多発テロに触発されて、書かれたというこの小説もまた、テロの材料はインフルエンザだった。
今年の豚インフルエンザ騒動、昨今の鳥インフルエンザ騒動がこれだけ顕在化する前に、200年後の恐怖の根源をインフルエンザとした、著者の先見の明、想像力の豊かさに脱帽するばかりである。
久しぶりに読んだSF小説は、空想の世界だとわかっていながら、次第に引き込まれていき、混雑する電車の中が、未来空間に変わり、会社についても200年後の世界から戻ってこれない、そんな話となっている。
石田 衣良といえば、トレンディーでおしゃれな都会派の作家というイメージがあったが、ここでは新宿という都会を舞台にしながらも、おしゃれという感じではなかった。
泥臭いゲリラ戦の様子などは、やはりあまり得意な分野ではないのだろうが、200年後の世界と、現代を行き来するうちに時間感覚が次第にズレ、加速度的に逼迫してくる未来を救うために立ち上がる、中年男の姿に、なぜか励まされている自分がいる。
人は何のために生きるのか、生かされているのか。
ただ漠然と時間の過ぎるのを待つのではなく、自分で何かしなければという私自身の焦りに、シンクロするようなそんな本でした。 -
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石田衣良さんの代表作池袋ウエストゲートパークシリーズ第VI弾。
ウエストゲートパークとは聞こえがいいのですが訳せば「西口公園」。
英語名にしただけで、なんだか冴えない印象の池袋西口が、グーンとスタイリッシュで近代的なイベント広場に思えるから不思議です。このあたりやはり作者のセンスの良さだなと思います。
主人公は「池袋西口公園」でたむろする果物屋の息子、真島 誠(マコト)。
影では“池袋のトラブルシューター”とも呼ばれ、池袋のでおこるトラブルを解決しています。ウエストゲートパーク近辺でおこる、ドラッグ話や売春・幼児誘拐事件・少女監禁事件など、日常生活の裏に潜む悪が現実味を帯びて書かれているのです。
この本では、「灰色のピーターパン」「野獣とリユニオン」「駅前無認可ガーデン」「池袋フェニックス計画」の4作が収められていました。登場する地名は、「池袋芸術劇場」「パルコ」「東武デパート」など、耳になじんだものばかりですので、ますます親近感がわいてきます。
ここが地元の真島誠は、地元を締める暴力団にも顔がきき、一市民でありながら、刑事のように大都会のトラブルを解決していきます。一話完結ごとに感じるなんともいえない爽快感。アッパレ! 誠が、警察ではなく、一市民というところがいいのです。
このシリーズは1作目からだともう15年近くたちます。当時高校卒業したばかりの誠でしたので、今はもうそろそろミドルエイジでしょうか。
年齢も感じさせない、「あんた」「おれ」のさばけた語り口調の物語には、昨今のトラブル問題もいろいろ交えて、読者を飽きさせない心憎い工夫があるのでしょう。
作者のセンスと文章力に感心、そして、いつまでもティーンエンジャーの心を失わない作者に感服です。 -
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R25に掲載されていたコラムだそうです。
電車の待ち時間に購入して
読み始めました。
石田衣良さんの
文章や言葉はすごく優しい。
時に怒り、悲しみ、同調し、
それでも自分らしさをと
石田さんだけの言葉で伝えてくれます。
あたらしい言葉や流行が次々と生まれ、
人間の粗を探して攻撃して、
息詰まったり
不安を抱える人がどんどん増えてきて
私ももれなく
不安や不満にばかり
心をとらわれがちになってしまっていたけど。
「どれほど気のきいた残酷な言葉でも、
あなたという人間全体をあらわすことなどできないのだ。」
危うく私も、
なんやかんやのカテゴリーに自分をあてはめて
知ったかぶったりをしそうになってました。
「政治家はもっと言葉の力と感受性を磨いてほしい。」
「しかも、おたがいに宣伝文句を投げあうばかりで、
肝心の議論はちっとも深まっていかないのだ。」
数年前の言葉なのに。
「どんなに偉大なアートも、
日々のよろこびや悲しみなど、
人のちいさな心の動きから生まれていると
きっと気づくだろう。」
ハッとさせられたり、
反省させたれたり、
なんだか
なんとも言えない気持ちになったり。
石田さんという作家さんが
身近で
リアルタイムで語りかけてくれているような一冊。 -
Posted by ブクログ
短編集なんですが、タイトル作の約束、ちょっとうつくしい子どもを思い出しました。子どもの心の意外な脆さ、自傷する小学生なんて本当はいてはいけないのに、様々な理由で実在するんだよなあと現代を憂いた。
全体的に好感がもてるけど、ひとり桜だけあんまりしっくりこなかったです。
一番好きなのは 夕日へ続く道 かなー。
現代っ子のサバサバした、物事分かり切ったようなとこがうまく描かれてて、あながちそれが間違いじゃない、とか。
でも、その時間違ってる、違和感があると感じても、みんなと同じなのが滑稽でも、屁理屈こねず学校はいっとけっていうシンプルな話なんだけど、石田さんの描く子どもって現代の子どもサンプルAみたいな感じなのが多いのに、血の通ったおっさん描くのもうまいんだなーって感心した。
そのおっさんとサンプルAが同軸に立って違和感ない。なんかそれすごいって思った。
エヴァンゲリオンの子達が波平に叱られるみたいな。
短編の中の一作なのですごい短いのに、おっさんの言葉に泣きそうになった。
こんな大人になっちゃダメだ。
自分のことそんなふうに言える大人がいまどのくらいいるのだろう。
そう言える人に限って誰かの役に立ってるんだよねー。誰かの人生を覆すような。 -
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石田衣良氏の作品は「ウェストゲートパーク」シリーズを何冊か読んだことがある。しかしこの作品はエッセイである。小説の作風とは違いとてもフラットな人間的な感覚にあふれた暖かい考え方をつたえてくれる。すこし迷ったとき、自分を見失いそうになったとき、この本を読むと、きっと自分に優しくなれると思う。
せわしなく移り変わる世の中で様々な価値観、分類がなされる今、そんなに簡単に分けられないよ、と教えてくれる。自分らしさを取り戻し、自分らしく生きていくことに自信を持とうよ、と応援してくれる。すべての人へ語りかけてくれる。
タイトルにもなった「傷つきやすくなった世界で」というエッセイで、こう言っている「今求められているのは、傷つきやすくなった世界で、やわらかな心を回復させていく方法なのだろう。人間らしく成功や失敗を繰り返しながら、変化する自分を受けいれ、諦めることなく未知の可能性を追っていく。それが新しい一年の目標になるかもしれない。」
そういった気持ちを受けいれてくれる世の中であって欲しいと願う。 -
Posted by ブクログ
悩んでいるときに本に答えを求めようと書店に行って、ふと積まれていたこの本を手にとってぱらっと読んだら、石田衣良さんからの若者へのメッセージに思わず泣いてしまいそうになりました。そして即買いです。
全部読み終わってみると、本当に温かい目線で若者を激励してくださっている素晴らしいエッセイでした。
若いというだけで可能性はたくさんあるし、悩む権利も時間もある。
そのことに感謝しながら、若いこの時間を無駄にしないようじっくり考え楽しみ生きていかなければならないと、奮い立たされました。
と同時に、この年齢にもなって、自分の知識のなさ、世の中に対していかにアンテナを張らずに生きているかということを恥ずかしく思いました。
堂々巡りになって悩み疲れている若者は読んでみるといいと思います!