石田衣良のレビュー一覧
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最近はだれも死ぬことがなく、電話一、二本で解決することが多くなってしまったから、ストーリーとしてはマンネリと言われても仕方ない。
でもそのかわりに、虐げられながらも強く生きようとする人たちを描く筆致が鋭さを増している。
シングルマザーの話と、最後の表題作が胸を打った。
強く生きようとしたって、それは誰にでもできることじゃないし、ときにはあきらめてしまうこともある。そりゃそうだよ。人間はロボットじゃない。感情があるんだから。
逃げたくもなるし、何もかもを捨てて一時的にでも楽になりたいと思ってしまうよ。
それでもみんな、最後はちゃんと前に向かって歩いていく。
それはやっぱり、一緒に歩き、一緒に -
Posted by ブクログ
少女を殺害した弟の、動機を解明しようと奮闘する少年(中学2年生)の物語。
加害者の家族としての苦難にも決して屈せず、自分が正しいと感じる価値観を信じて、真っ直ぐに行動していく少年の活躍を描く。
石田 衣良氏の作品、初めて読みました。
読みやすく、蠱惑的かつ美しい描写。リアリティのある設定。
過剰なまでの加害者家族への攻撃や、少年の心を占める空虚感を表すシーンは、心が締めつけられるような苦しさを感じました。
また、自分の住んでいる場所が本作品の舞台に近いこともあり、妙に感情移入してしまいました。
単なるミステリー作品とは言わせない、力強さを感じさせる良作です。 -
Posted by ブクログ
株がテーマのお話。
タイトルかっこいいー!
例えが流石です!
久々に苦戦しました。
株やったことないし、本当は経済興味ないし…。
さらに内容が難しいからすごい時間かかりました。
あと計算遅いので。
でも経済学部の意地として読破しました。
いやー1回読んだだけでは全然理解できません。
ただなんとなくですが危機感を持ちました。
内容は少し古いけれど身内にこういう事件が起こる可能性もあるので。
あと銀行員も給料高いけど大変だなーっと。
いろいろ人生の勉強になりました。
経済の勉強も頑張ってみようかな。
それからもう1度読んでみたいと思います。
最後の展開が速すぎて一 -
Posted by ブクログ
石田衣良の手のひらの迷路を読みました。掌編とそれに対する解説という形のエッセイ集でした。掌編だけで読むと普通のショートショートなのですが、解説があるので、それが書かれたときの状況やその物語にこめられた意味などが想像できて面白く読めました。物語の中では、会社を辞めたときの開放感を描いた掌編が気に入りました。私は辞表をたたきつけて会社を辞めるということは今までもなかったし、たぶん今後もないと思うので、そういう開放感にあこがれてしまいます。とは言え、石田衣良のように才能のある人でなければ、すぐに路頭に迷ってしまうんだろうなあ、と思いました。小説を書くのが楽しくてしょうがない、ということがわかる掌編も