あらすじ
「これから送るのは、親しい友達にも話していないことだ。暗くなるけど、いいかな?」「わたしは……今、この瞬間全身でスミオの話をきいてるよ。全部、話して――」六本木ヒルズに暮らす大学生の澄雄と、薄給のパン工場で働くジュリア。携帯の出会い系サイトで知り合ったふたりのメールが空を駆けていく。20歳のふたりは、純粋な愛を育んだが、そこへ現実という障壁が冷酷に立ち塞がる。無防備すぎる恋は追いつめられ、やがてふたりは最後の瞬間に向かって走り出すことに。格差社会に否応なく歪められる恋人たちを描いた、現代版「ロミオとジュリエット」。
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Posted by ブクログ
最初に結末が提示され、なめらかな速度で円をぐるりと描いて、その結末にたどり着いたように感じる。
中心人物のスミオには、友達や家族等の多くの人がいる。
言葉でその人達と意思伝達をする術もある。今回の話では、携帯電話のメールが多く登場する。
スミオはその人達と言葉は多く交わすけれど、スミオを含め誰も彼も向き合っていない。
スミオが向き合って、スミオと向き合ってくれたのはジュリアだけだったのではないだろうか。
だからこそ、あの結末を迎えることになったのではないか。
もういちど時間をおいて、読み返したい作品。
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あっという間に読めます。石田衣良さんの本の中で1番にオススメです。あくまで個人的な見解ですが。あとは美丘も私は好きです。私も家庭環境で苦労してきた方なので、主人公に共感する部分が多くありました。本当に素敵な恋愛小説でした。石田衣良さんの小説は情景描写が綺麗だと思います。
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全く真逆の世界に生きている二人が出会って、恋に落ちる。
そして生きていく意味を考え始める。
結末は初めから出てくるけど、
なぜそうなったのかを振り返って物語は始まる。
生きていく中で、そうやって思うことってあるなあって。
すごく共感できた。
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現代版「ロミオとジュリエット」
六本木ヒルズに住む社長令息で大学生の澄雄と、パン工場で働きながら借金まみれの父親と暮らすジュリア。
出会い系サイトで知り合った二人が、愛し合い、二人の幸せな未来を願いながらも…最後は心中するまでの物語。
1ページ目、最初から結末がわかっています。
出会った二人がどんなに未来を望んでも、そのためにどれほど頑張っても…最後はそうなるんだってわかってるんです。
わかっているのに、二人の未来を、幸せを望まずにはいられない。
光が見えたと思ったら閉ざされる。
そんな悲し過ぎる運命に翻弄される二十歳の恋愛に、涙なしでは読めません。
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ハッピーエンドですよね?
石田衣良さんの作品の中で
一番最初に読んだ作品。
ミステリー小説しか読まなかった
高校生の頃の私が、それ以外の
小説を自分で手に取るようになった
きっかけの作品です。
現代版ロミジュリと言われつつも
ハムレットの作品よりは
救いがあると思いました。
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⭐️親指の恋人
同じ時代に生まれたが、違う世界に生きる澄雄とジュリア。短くも美しく燃えた二人の恋。現代版ロミオとジュリエット。転落したらどこまでも堕ちていく。中村祐介さんのイラストがお洒落で切ない。
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石田衣良さんの恋愛小説が読みたくなって
ずっと積んでた作品を。
とてつもなく、"平成"らしい物語でした。
やっぱり石田衣良さんの文章は読みやすくて
あっという間に読み終えたー!
出会い系サイトで知り合った、
澄雄とジュリアの怒涛のような1ヶ月…。
天国でのジュリアの人生が、
生きてた頃より少し幸せだといい。
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六本木ヒルズに住む社長の息子の澄雄と、薄給のパン工場で働く樹里亜は、出会い系サイトで意気投合して付き合いを始める。しかし、ぼんぼんの澄雄の頭はお花畑で、樹里亜にはこの世の不幸をコトコト煮詰めたような災難がこれでもかと襲いかかる。やがて樹里亜はこの世を去ることを望み…。
と言うか、1ページ目にいきなりふたりの心中のネタバレ新聞記事が載ってて、バッドエンド確定の話を読み進めるのはかなり辛かった。
Posted by ブクログ
最初のページの新聞記事で知らされる結末。
破滅に向かう若い恋人達、
スミオとジュリア。
現代版ロミオとジュリエットだった。
読み終わるまで、名前がかぶっていることも、ロミオとジュリエットに似ていることも、気づかないくらいこの暗い話しに入り込んだ。
こんな結末はつらく悲しいけど、
最期の2人は幸せそうだった。
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うーん、美丘といいこれといい何を狙ってるのかしら?
死ぬ形での恋愛話は何ともなぁ・・・
石田衣良には他のジャンルをもっと書いてほしい
Posted by ブクログ
結末が分かってるお話を読むのは不思議な感覚。
あえて、ネタばらししてるのはなぜだろう?
ストーリーはありがちな感じなのかもしれないけど、石田衣良の文章、表現が彩ってくれる
素敵な表現を抜粋↓
“ぼくたちは毎日ちいさな携帯電話に振りまわされているけれど、ときにはこうしたなんでもない文章が心と心を結ぶことがある。”
“最愛の人から届いたメールを告げるちいさな光り。それは夏の朝の太陽よりもまぶしい光りだ。”
久しぶりのラブストーリーでした。
ミステリーを読むことが多いので。
たまには良いものです。
Posted by ブクログ
出会い系サイトで出会った二人には、計り知れないほどの格差があった。
全く違う世界で生きていた二人だったが、短い期間で深い恋に落ちた。
そして、彼らは終わりに向かう道を選んだ。
現代にも潜む様々な格差は、彼らを止めることができなかった。
幸せってなんだろう?生きてくってなんだろと、考えてしまった。
2013.5.14
Posted by ブクログ
チャットで知り合った2人は男の方はお金持ち、女の方は貧乏という身分違いのものであったが、お互いに惹かれあって行く。
そして二人の身分の違いと、世間に嫌気がさし、この世を去ることを決意する...現在の恋のあり方とも言える作品でした。
Posted by ブクログ
★×3。本当はこれ以上かもしれないし、以下かもしれないけど×3しか付けれない。
やっぱり読後に幸せになれる作品が好きだから。
結末は最初に提示されるので分かっている。どうしてそうなってしまったのかが書き綴られている作品。
改めて考えると、結論はあんなに短いんですよね。短いと言うかあの短文に集約される現実。実際は、あの短文に辿り着くまでに沢山の事があった訳で、それこそ本1冊分(笑)人の人生なんて日常に埋没してしまう小さな事なんでしょうね。
そういう意味で石田衣良らしい力技な作品な気がします。
不条理な事に理由なんてなくて、不条理は不条理なままで、何も変わらない。変えられるのは気持ちだけ…なはず。
結論ありきな作品だから仕方ないのだけど、仕方ないと思いたくもないかな。仕方ないけど。
Posted by ブクログ
久しぶりに、恋愛小説を読んだ。
少し、ライトノベルっぽいなと読んでて感じた。
言い回しが安直で、石田さんらしくないなって。
内容としては、
良い意味で恋愛小説なのに、少しもドラマチックじゃないお話。
Posted by ブクログ
ロミオとジュリエット。
人の心の動き、恋愛に溺れる、格差社会。
同じ年、同じ時間を生きているはずの2人が、ここまで違う世界で生きている。
不思議でもあり、当たり前でもある。
ただ生まれてしまったその愛で2人が幸せであったのか。
その結末は正しかったのか。
読後感は、すごく悪い。
だけど、そんな人に出会ってしまいたいとも思ってしまう。
馬鹿馬鹿しいと思いながら、憧れるそんな2人でした。
Posted by ブクログ
六本木ヒルズに住む、外資系大会社の日本支社長の息子とギャンブル好きのトラック運転手の娘。
そんな2人が、出会い系サイトで知り合い、恋に落ちていく。
二十歳の二人が見る現実の厳しさと将来への絶望。
そして心中へと2人は誘われていく。
現代の不条理を、石田衣良風な都会の夜に描いていく。
Posted by ブクログ
2012-86
とにかく暗い。
なんか気持ちが持ってかれて、自分まで暗くなった。
結構突発的に自殺にいった感じが。
諦めるの早すぎる。
苦しくても必死で生きてる人を知ってるから余計にそう感じるのかな。
Posted by ブクログ
恋愛ものってあまり読まないというか、滅多に手にとることすらないんですが。
最初にネタバレから始まるこの本に興味を持って購入してみました。
内容はドロドロしてますが、やっぱりラストがわかっているだけに泣けなかったというか…そうかあ、そうなっちゃったかあ。ぐらいな(笑)
ジュリアに共感はすっごくしたんですけど、ここで可哀想と思うか否かで、この本の面白味が大分変わると思いました。
多分、ですが、著者は同情を引こうとしてたんかなあ、とか。無理やりっていうか、とにかく「この女は不幸のどん底なんだぜ!」ってあざとさも見え隠れしたような?
でも、似たような境遇の人間にはただただ「へー」と思っただけでしたw
Posted by ブクログ
「シャンパン」
絶望的なスピードで進んで行く二人の物語は下へ下へ。
冒頭でわかっている結末に向けて、落ちていく。
幸せかどうかは、他人との相対評価ではなく、自分の中での相対評価なのかなと。
うーん、複雑な気持ちにされます。
人間の汚い部分、美しい部分、いろんな感情が渦巻く苦しくて狂おしい恋の物語。
そして、なかむらゆうすけさんの絵が素敵。
Posted by ブクログ
個人が抱える問題は今も昔も変わらないけど、
インターネット環境の普及によって出会いやそこからのつながり、コミュニケーションの障壁が低くなっているのだろうなと感じた。