石田衣良のレビュー一覧
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ネタバレ短編集です。
実はこの作者さんは、テレビ番組に出てるのをみることの方が多くて、作品をそんなに読んだことないんですが、この短編集は好き。素直にそう思える作品でした。
「小説」は「小説」なんですけど、作者さんの実体験を下にしたものであるとか、どちらかというと「私小説」に近い形。
作者さんの人柄が滲み出してくるような小説でした。
おまけに、一つ一つの小説の前に、作者さんが何を思ってその小説を書いたのか、解説がついている。
普段、後書き等で作者さんの想いを見ることが多いのですが、多くの小説は、作者さんが小説を書き終わってから随分経ってから書かれていることが多いようで、皆さん「あとがき」を苦手としている人が多いような気がするんですよね。おまけに、時間が経っているので、何を思って作者さんがこの小説を書いたのか、とかいうそういうフレッシュさは失われていて、それはそれで楽しいんですが、この短編集の解説は、その小説の短編を書き始める前か、書き終わった直後に書かれているように感じられるもので、その作者さんの言葉まで含めて一つの作品なんだなあ……という感じ。
かきむしられるような切なさも、ミステリーにつきものな、ハラハラドキドキ感もないですが、ほっと一息つきたくなるような、肩の力を抜きたくなるような時に読むのにはオススメの小説です。 -
Posted by ブクログ
面白かった♪
いわゆる『ショートショート』と呼ばれる、
ページにしたら10ページくらいの超短編が24話。
どれもこれもコンパクトに仕上げてるだけあって、
ピンポイントで分かりやすく、とても読み易い。
僕が一番好きだったのは『旅する本』。
悩める人や困った人が『今、出逢うべき本』へと姿形を変え、
時代から時代、人から人へと旅をする本。
もしかしたら、世界中の何億冊という本の中の1冊くらいはそうかも知れないな?
僕にとっては、あの頃に読んだあの本がそうなんじゃないかな?
すごく感動して人生に迷ってたのを救って貰ったのに、なぜか手元にはもう無い。
また誰かを救いに行ったのかな?
米粒ほどの大きさだけど、
とてつもない光を放つ宝石の様な素敵なファンタジーだと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『東口ラーメンライン』Gボーイズを引退したツインタワー兄弟が経営するラーメン屋・七生を妨害する悪意。バイトの小動物少女あずみの秘密。比較的凡庸平和。
『ワルツ・フォー・ベビー』5年前の池袋で死んだ中野のギャング長を悼む父。元嫁と幼い息子、なぞの妊婦。中野ギャングが口を閉ざす、彼の死をめぐる本当のわけ。
『黒いフードの夜』十五歳で売春するサワーのしがらみ。マコトの下した精神的罰に、暴力よりも過酷であると評したキングの言葉は意味深。
『電子の星』SMクラブの解体ビデオに出演した友人の弔い戦で負け犬に昇格する田舎少年。あいかわらずGボーイズの手口があざやか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『スカウトマン・ブルース』スカウトのプロ・タイチに焦がれて風俗スカウトの罠にはまるしのぶ。本部長代行のサル、偉い人だったんだ。。吉岡刑事との信頼関係もますますあったかい。キングとボーイズたちは相変わらずスマートに暴力的ですてき。結構えぐい裏社会の事件だけど、春先の景色とマコトの友情が印象的。軽めで結構すき。
『伝説の星』過去のスター歌手・タカを不動産詐欺の罪から救ったつもりがちゃっかりだまされていたはなし。数十年後の自分に思いを馳せてタカの新曲に心動かされるマコト、ちょっとセンチメンタルである。いろんな人種が入れ替り立ち替り事件を持ち込むこのシリーズだけど、破天荒の先輩、という立ち位置は初めてだったんだな。今を生きるマコトが、未来を不安に思うところに生きている物語を感じる。
『死に至る玩具』人形大流行の影で過剰労働を強いられ命を落とした姉、正義を求め来日した妹とともに大手玩具会社を相手取る。Gガールズ大活躍回。裏社会の風俗とかが多い中、国際社会的問題で難しいテーマだけど程よくまとめられてエンタメとしておもしろかった。
『反自殺クラブ』自殺遺児たちの組織と、集団自殺幇助常習者を追う話。クモの存在と行動理念にSYCHOPASSがよぎった。 -
Posted by ブクログ
33歳独身男3人組が彼女に振られ、大学の先輩がエステのモテ男養成コース特待生として講義するお話し
文章と展開は安心の石田衣良クオリティ
その分、他の小説同様に偏った描写や意見もあり
セクシャリティに関しては特にそう
独身男性で女心がわからんという人には、確かに参考になるお話しかもね
独身・既婚かかわらず、異性に対して好印象を与えるのは自分にとってプラスになるし
その方法が特別な事ではなく、当たり前ののことを再認識して実行するだけなところもよい
小説だからフィクションだと侮らない気持ちが肝要
自分のサイズに合ったオーソドックスな服、ちょっと背伸びした教養、相手の話を聞く姿勢、途切れない会話
何かのハウツー本にも載ってそうな内容だけど、それを物語として脚色しつつ説得力のある文章で面白いというのは、やはり才能なんでしょうなぁ -
Posted by ブクログ
未成年者による殺人事件が題材。
主人公は犯人の兄。
犯罪を犯してしまった者の家族の感情を取り上げているのが僕には新鮮でした。
ただ途中から、
かなり物語チック(完全なフィクション、エンターテイメントと言い換えれる)になるのでリアリティは薄れます。
僕にはそっちの方が良かったので、
読み易かったし単純にミステリーとして楽しめました。
心に残った台詞は
『愛とは相手を支配することだから』
言葉だけ見ると有り得ないし気持ちが悪いけど、
でも実際、僕から見るとそんな関係のカップルや夫婦、
親子がたくさん居るから引っかかったんだと思う。
(本人達がどう思ってるかは別の話。)
とにかく、なかなか読み易く面白いミステリーだと思います。 -
Posted by ブクログ
人生で追い込まれた人達が撃つ、最後の反撃を描いた物語。
『反撃』と言ってもそれが必ずしも正義では無いし、
現状をひっくり返すものばかりじゃない。
例えるなら『線香花火』。
火玉がポトリと落ちる寸前に一度だけバチッと爆ぜる事がある。
それは。とても美しかったり力強かったりする。
しかし、ポトリと落ちる事は避けれない。
この作品はそんな最後のバチッを描いている物語の短編集です。
よく知らないですが、
こういう小説もフィクションと言えどリアリティを持たすために取材をして、
事実を参考に書いてる事が多々あると思います。
そう考えると世の中には僕の知らない世界がまだまだあるンだと知らされました。
あと、石田衣良の書く小説に出て来る『追い込まれた人』って、
ほぼ借金で首が回らなくなった人なんですよね。
この作品も例外なくそんな感じ。
下手な精神的苦痛を題材にした作品より、
よほどリアリティがある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ装丁がとても綺麗ですよね。
そこにまず惹かれました。
現代版『人間失格』と解説にありましたが……
そうでもないかな??というのが率直な感想です。
魅力的な3人の女性の間をフラフラする成功者の男の物語。
女性陣はとっても魅力的に描かれているのですが
肝心の中心となる主人公の男の魅力がイマイチ伝わらない。
仕事で成功していて、ハンサムで、セックスが上手くて……ってのはわかるんだけど、どうしてここまで女にモテるのか?
単に金と見た目で女をいいようにしてるだけに見えました。個人的な意見ですが……。
千映がいくら運命の女だとか肌の合う相手と言われても
中年になって二十歳以上も年下の女の子と
そういう関係になったら、そりゃあ舞い上がるよなあ
くらいにしか思いませんでした。
恐ろしいくらい肌と肌が合う運命の相手と出会ってしまった、という設定に期待していたのに、中年の男性と、その相手が若い女の子だったから、こういう受け取り方をしてしまったのかもしれない。それは私の感じ方が悪いですね。
しかもまたその千映っていう若い女が、
魅力的というより、ものすごく胡散臭い。
まず父親の話から怪しいし、
幼いころのトラウマで男性恐怖症、みたいなこと言ってるのに
主人公にアタックしまくりじゃねーか。
そのアタックのやり方が完全にプロだし。
これで天然とか言っちゃう?
この女は絶対に何かある!!
悪い父親と実はグルで、偽りの経歴と偽名で
色んな会社を回ってはそこの社長をたぶらかして
脅して金を奪って生活してるんじゃないか、とか
色々考えていたんですが、最初の胡散臭い設定は
本当だったのかな?この終わり方だと。
なーんだ。ガッカリ。
千映の秘密ってなんだろうってずっと思ってたのに。
結局それかい。胡散臭い話は本当やったんかい。
うーん、そうかあ。そうなのか。
千映は本当に純粋でウブな処女だったのかしら?
ウブさを出したいがためのああいうキャラクターだったのかな?
高級料理店に行ったら「こんなのはじめて」
高級ホテルに行っても「こんなのはじめて」
いいセックスをしても「こんなのはじめて」
「こんなのはじめて」
を連発する女ほど、なんか信用ならない感じがしますけどねえ。フーン。
本当にこれは男性の理想がすべて詰まっている物語なのではないでしょうか。
奥さんは美人で理解ある賢い妻。夜の営みもちゃんとある。主人公との間に子供はなし。
4年の付き合いになる愛人も美人で、セクシーボディで
男をメロメロにする色気があって、エッチにも
積極的で奥さんにも理解あって本当に申し分のないできた愛人ですよ。
なんせ周りにいる男たちみんなが彼女の裸を妄想するくらいですからね。
この愛人がすっっっごくムカついた!!!
「私は奥さんとうまくいっているアナタが好きなの。
だから奥さんを大事にしてあげてね。もちろん、私のことも可愛がってくれなくちゃだめよ。ウフ」
みたいなことをぬかしやがるトンデモ女。
こういうこと言うやつ、だーいっっっ嫌い!!!
男にとって理解ある素晴らしい愛人ってこんななのか。ケッ。
不倫を美談にするなっつーーーーの!!!
愛人っていう立場がそんなにエラいのかよ。
奥さんを傷つけることしているくせに
その奥さんを幸せにしてあげてってどのツラ下げて言ってんだアホ。
なんでお前が妻よりも上の立場にいるんだっつーの。
「奥さんと上手くいってるアナタが好き」??はあ???
こんな事言う奴よりは
「奥さんと今すぐ別れて!それで私と結婚して!!」
って怒ってわめき散らす女の方が、まだわかりやすいし可愛げがある。
こういう「私理解あるのよ、その辺の低レベルの女共とは違うのよ」的なセリフを吐く女本当に嫌いです。胸糞悪い。
奥さんは奥さんで、自分も浮気してたというオチ。
とくに激しい言い争いなどもなく、離婚で終わり。
別れ話のシーンとくに見どころなし。
終始冷静で良い女で良い妻で居続けた奥さんでした。
そんな奥さんが怒りに髪を振り乱すシーンとかあれば良かったのに。
乱れてたのはセックスの時だけでした。
セクシー愛人が去っていくシーンも
ありきたりというかなんというか、静かな修羅場という感じ。
面白くもなんともない。
女性が髪振り乱して怒るより、冷静に冷めた声で
責められた方が男性は怖いのかな?
最後は3人の女性すべてが主人公のもとから去って行って
しまうのですが、かろうじて仕事は失わなかった模様。
主人公の友人の男は、同じように浮気して
妻も愛人も仕事も失ったのに、主人公には仕事が残った。
その友人の男の方をメインにしたほうが面白かったんじゃないかと思ってしまいました。
3人の女性の間で浮かれまくる主人公の話を
延々読まされて、さあこれはどうやって主人公が
地獄に堕ちてくれるのかと期待していただけに
ちょっとこの終わり方では、納得できません。
終わり方もさらに主人公が残念な感じ。
主人公のアホさが顕著に出たラストシーンでした。
これを男の愚かさとか、可愛さとか言えるほどの
余裕はまだ私にはなかったです。
千映の最後もあれでよかったのかな?
子供授かっていなくなっちゃうなんて。
主人公に迷惑かけたくないから、って
このストーリーはどんだけ主人公の男に都合よく出来てるんですかッ!!
でも、責められるよりいなくなられたほうが
精神的に辛いのかな?
そういう意味では、主人公はどん底に堕ちたといえるのでしょうか。
わかりやすい修羅場ってもう古いのかなあ。
3人の女性が一堂に集まり大ピンチ!!
パニックに陥る主人公、みたいな図を期待していたんですが。
圧倒的に主人公に都合の良いシーンが多く、
最後の下り坂はアッサリしすぎていると思う。
もっとドロドロしてほしかった。
主人公もそれなりに悩んでたんだろうけど
3人の女性に迫られて悩めるんなら大したもんでしょうよ。
そんな贅沢、悩みのうちには入らない。入れされません!
なんだかよくわからないレビューになってしまいましたが
なんだかんだ楽しんで読んだので★4つ
この小説はほとんど情事のシーンで成り立っているといっても過言ではない。
究極の性愛を描き切った、とありますが
ちょっとそれは言い過ぎかなと思いました。
セックスのシーンをひたすら書いたから究極の性愛、
愛だの恋だのについてひたすら語ったから究極の純愛、
そういう決まり文句の作品が多すぎる。
この世の中にはどんだけ究極の愛が溢れているのか。
滅多にないから究極なんじゃないのか。
当事者たちにとっては究極ってこと?
そういうことならまあ部外者に口出しする権利はないです。 -
Posted by ブクログ
これはかなり面白くて読み応えもあった!!
池袋ウェストゲートパークの『外伝』て書いてるし、
マコトも出て来ないらしいし、
パッと見た感じだとIWGPの魅力のひとつである
『ストーリーテラー的な文章』では無かったので読む気が起きなかったのですが、
読みたい本がなくなったのでなんとなく手に取りました。
すると見事に期待は裏切られ、
途中から夢中になって読みました。
とりあえず、本当に『外伝』でした。
マコトは全く出て来ないし、
キングとGボーイズには、ちょっとした仕事を依頼するだけ。
唯一、サルがこの作品の主人公とガッツリ関わる感じです。
IWGPシリーズ以外の石田衣良の小説に興味がなかったのですが、
ストーリテラーじゃない普通の文章でも普通に面白かったから、
他のも読んでみようと思いました♪