有川浩のレビュー一覧
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ネタバレ✶印象に残った言葉✶
「誰もいなくなっても__毎日。世界中のすべての人がいなくなっても。海も空も太陽も、誰かに見せるために朱に染まるのではない。綺麗な景色に意味などなく、それはただ綺麗というだけのことだ。美しいと誉めそやすのは見ている側の勝手な評価で景色は美しくあろうとして美しいわけではない。」
「元々世界なんかお前が思ってるより適当でいい加減なもんだぞ。」
「何とかなるのかどうかは分からない。だが、少なくとも自分が手を伸ばす自由はある。手は動くのだ、自分が伸ばそうとさえ思えば。たとえ、それが届かなくても。__恋は恋だ。」
「誰かを片側から思う時間は苦しくて楽しい。あの人はこちらを振り向いてくれるだろうか、笑ってくれるだろうか、自分をどう思っているだろうか、自分があの人を好きなように、あの人も自分を好きになってくれるだろうか。その人の仕草、言葉、表情__すべての端々に一喜一憂して、一喜一憂することが苦しくて、楽しい。いつか想いが叶うといいなんて夢をあてどなく見ながら。」
「きっと、最後の瞬間まで恋をしていた人たちはいっぱいいる。そのうちの一つの恋が、世界を救ったのだ。世界を救うなんて大上段な使命感ではなく。
ただ好きな人を守りたい、という願いがきっと一番強いのだ。きっと世界を守りたいなんて思って世界を守る人はいない。好きな人がこの世界にいるからだ。好きな人を守りたくて、守り切ったらついでに世界も救っていた。きっとそんなものだったのだ、この世界が救われたのは。」
「寒いと思っただけで温めにくる恋人とはたぶんいろんな呼吸が合っているし、愛されているとも思う。」 -
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった…んだけど、こんなボロクソ言って大丈夫?怒られん??と心配になるぐらいダメ出しの嵐。
なので、巻末特別企画を読んだ時はホッとしましたー。
《県庁ルール》と《民間感覚》がどれほど乖離しているか。
吉門の手厳しい指摘は、公務員ではない自分にとっても結構刺さる部分が多かった。
自分の名前を相手の意識に確実に刺しに行く。
それが《名刺》だなんて考えた事も無かった。
そんな耳に痛い言葉をしっかり受け止めて“お役所仕事”を抜け出そうと奮闘する掛水達を応援せずにはいられない。
身近すぎて気づけなかった地元の魅力。
普段見ている景色が、意識を変えるだけで全く違うものに見える。
こんなん読んだら高知県行きたくなるわ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一度、10年くらい前に読みました。
そのあと高校と大学に入学して卒業して、10年分大人になりました。
高校時代の部活、化学系で研究してたんですけど、結構過酷だと思いつつも楽しかったんですよね。
それがすごくキラキラしていて、大切に取っておきたい記憶だと思ったのは、卒業してしばらくしてからでした。そのしんどくも楽しい時間を、宝物だと思えるようになったのは、それを手放してからでした。
キケンを再読して、彼らの気持ちがすごく分かりました。がやがやしていて、自由な先輩に振り回されたりもして、でもそれを手放すと寂しくなるんですよね。
後輩たちのものになると、自分たちのものだったのに、って思うんですよね。
同じことを、高校の部活に対して思いました。
10年前、確か高校に入る前の私は、その気持ちを知りませんでした。
大学生って楽しそうだなあ、なんて、漠然とした感想を抱いていたと思います。
再読してよかった。こんなに心に響くお話だったと知ることができてよかった。
大人になるのも悪くないですね。 -
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動物に人間の気持ちがわかるというのは本当だ。僕も猫ではないがペットを飼っている。フェレットというイタチの仲間だ。うちの子はトイレもちゃんとできるが、僕が起きてこなくて遊んでもらえないと、寝室の前でウンチをする。おやつがもらえないときは台所でする。僕がもっとも嫌がる場所を心得ているのだ。
「言葉が話せないんだから、やつらにわかるわけない」。そういうのは一種の言語的去勢である。たとえば「交尾」という言葉がある。要するに生殖行為のことだが、これは動物にしか普通は使わない。まるで「動物がセックスなんて上等なことをするわけがない」とでもいうように。だが、言葉によって僕らはいったい何をわかっているのだろうか。
人間は言葉が話せるだけで図に乗っているが、なまじ言葉が通じることでわからなくなっていることの方が多くないか。実際、ナナと悟の旅の理由を知っていたのは動物たちの方で、人間たちは最後になってようやく気付いたのだ。もしも言葉が君たちの言うように万能なら、人間どうしで憎しみ合うことなんてないはずなんだ。
子供のころ、母によく叱られたものである。「黙っていたらわからないでしょう」「ちゃんと言葉にしないと伝わらないのよ」。いやいやお母さん、わかってないのはあなたの方でしたよ。僕たちに足りないのは言葉じゃなかった。声、表情、手触り、温もり。僕たちはもっと動物に学ぶべきだ。 -
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お仕事小説としてかなり面白かった。行政の仕事や地域振興の進め方が具体的で、社会人として学びが多い一冊だった。
一方で、結末については少し物足りなさもあった。企画の立ち上がり方は華々しいのに、最終的な成果はトイレ整備、道路標識改善、パンフレット設置など非常に地道で、「それだけ?」という感覚が残った。もちろん作中でも「重要なことほど地味」と描かれており、現実的な地域政策としてはむしろ誠実なのだと思う。
ただ、読者としては、その積み重ねが何か対外的な成果につながる場面――例えば観光施策が評価された、話題化した、次の展開につながった、という達成感も少し見たかった。
終盤の地元紙対談も、主人公にとっては大きな前進として描かれているが、読者目線では「県庁公式企画を地元紙が取り上げるのはそこまで特別か」という印象も残った。むしろ、その段階まで広報や連携が進んでいなかったことのほうに驚いた。
とはいえ、その派手さより地道な積み上げを価値として描いた姿勢こそ、この作品らしさなのだと思う。爽快な成功譚というより、行政の仕事の現実と手触りを味わうタイプのお仕事小説だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ愛猫のナナを手放さなくてはならなくなったサトルが、新しい飼い主を探しに出掛ける旅物語。
ナナ目線であったり、ナナを受け入れようとしてくれ る旧知の友だち目線であったりしながら話は進んでいきますが、猫や犬たちがこんな風に会話してたら嬉しいと思いました。
ナナのサトルを想う気持ち、サトルのナナを想う気持ちがとても愛しくて、お別れしなければならないことが悲しく、涙なしでは読めませんでした。
でも読後は涙ながらにも温かく、良い本を読めたと思います。
私は動物を飼ったことはありませんが、いつか飼うことができたら、サトルのように愛情たっぷりに飼いたいと思います!