星野智幸のレビュー一覧

  • 変愛小説集 日本作家編
    川上弘美さんの、愛した人の骨の話が、秀逸だった。自分には、強烈な作品もあったが、面白い企画だと思う。
  • 悲しみとともにどう生きるか
    殺人事件の遺族が主催するミシュカの森で死刑反対を語る平野啓一郎氏~家族を失う。喪失感に浸る。対応すべき現実がある。喪失と立ち直りの間で揺れる時。グリーフケア、さりげなく寄り添い援助する。事件や事故の報道。死者が出る。遺族の気持ちは図りしれない。第三者でいてはいけない。我々の社会で起きたこと。準当事者...続きを読む
  • 植物忌
    短編集短編集11編と後書き。
    植物に魅せられ、同化し、乗っ取られたり殺したり、植物への偏愛といろんなアプローチを描いている。「スキンプランツ」が良かった。
  • 悲しみとともにどう生きるか
    あることを軸に、いろんな人が自分の視点や体験から死生について語った会の記録? この会に行きたかったなぁー!豪華! それぞれの登壇者の著書を読もう。
  • 俺俺
    表紙の不気味さにすごく期待して購入。正直期待は上回らなかったけれど、最後までほぼノンストップで読んだ。
  • 植物忌
    多重世界では、すぐ横に少しだけ違う世界がミルフィーユのようにあるとか?
    植物と人間が溶けるように一つなる世界。
    人間を養分として育つ植物の世界。
    どの話も、人間より植物が地球に適応していくのに、全体に明るくて幸せで、植物に負けた感が無いのが、不思議なほどです。
  • 悲しみとともにどう生きるか
    オムニバス形式。
    大切な人を亡くして悲しいときに、自分自身と死者にどう向き合うかという視点と、
    悲しみの真っ只中にいる他人とどう関わるのかという視点があると感じた。

    宇多田ヒカルの「夕凪」という曲の原題は「Ghost」なのだが、あの曲の理解が少し深まった気がする。私は悲しいことがあったとき、「夕凪...続きを読む
  • 植物忌
    私は好き。今まで意識していなかった、ただそこにあるのが当たり前と思っていた植物にも意思や目的があるのかもしれない。環境破壊で全ての動植物が滅びるより、植物と融合するのも幸せかもしれない。なんて考えさせられる。
  • 植物忌
    植物と人との関わりを描いた短篇連作。「Made In Plants」というシリーズものではより明確になっているが、幸福な共存というわけではないのは本書のタイトルに“忌”の字が入っていることからもわかる。どの作品も奇想に満ちていておもしろかった。自宅の庭を自然に返して久しいが、ガーデニングが趣味の人な...続きを読む
  • 俺俺
    俺が携帯を盗んだことにより、俺は別人として扱われる。
    自分の実家へ帰ると、そこには俺がいた。
    そして、知らぬ間に俺は、別人として生き始める。
    そして、俺が次々増殖し始める。
    俺は、俺らとつるむことにより、初めて俺を必要とされていると感じ、生きている意義を見いだす。
    いつの間にか、周りは俺だらけになり...続きを読む
  • 呪文
    寂れゆく商店街に生じた小さな波紋、その余波は町に思い掛けぬ好機を齎すが、町の自警団【未来系】は次第に暴走し始める―。序盤は町おこし小説さながらだが、中盤以降は町の権力者による選民思想が展開されていく。主人公・霧生やうらぶれた若者達は洗脳され、意義ある死に魅入られるが、隣人・湯北氏はそこに一石を投じる...続きを読む
  • 変愛小説集 日本作家編
    恋愛でも偏愛でもなく、変愛。変な愛の短編集。変だけど当人たちにとっては大真面目。
    幻想小説を読んでいるときみたいな、いつの間にか背後にこことは違う世界の気配がぶわっと広がって迷い込んでいくような没頭感を覚える作品が多め。
    一部文章が合わなくて読みづらい作品もあったけれど、そこを乗り越えたらすいすい読...続きを読む
  • 呪文
    寂れゆく商店街に現れた若きリーダー図領。商店街を再建すべく、廃業店舗には若い働き手を斡旋、独自の融資制度など店舗側に立った様々な施策を実行。頭脳明晰、巧みな弁舌、スマートな容姿、カリスマ性をもって、たちまちにして人心を掌握、一躍商店街の実力者となる。

    ある日図領が経営する飲食店に、一人の客が来店。...続きを読む
  • 夜は終わらない(上)
    婚約者を拘束し、自分を満足させる物語ができなければ財産を奪って殺すという掟を持つ女。男は話の面白さで生き残る時間が決まる。いつものように男に話をさせるのだが、話に出てくる人物がまた別の物語を語り出し、その物語の登場人物がまた別の物語を語り出す。どこまでも続くと思われる劇中劇中劇中・・・劇が、いつの間...続きを読む
  • 俺俺
    出来心から他人になりすました若い男性が、本来の自分を見失い、やがて周囲の人たちがみな自分になっていく狂気の世界を描く。

    自分が増殖し、他人との区別がつかなくなるという恐怖。最初はおふざけのSFかと思いきや、徐々にシュールで哲学的になっていく。
    映画化もされているそうだが、映像にしてしまったらコメデ...続きを読む
  • 変愛小説集 日本作家編
    恋愛ではなく「変」愛を集めたアンソロジー。 
    どこへゆくやら全くわからない。
    予想も付かない展開、意味さえわからなくなるけれど、なぜか読むのを止められない引力。
    奇妙な、強烈な印象を残す読後感です。
    面白かった。
  • 俺俺

    なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまう俺。
    気付くと別の俺に。上司も俺、母親も俺、俺ではない俺、俺俺。見渡す限り、俺だらけに。
    ある日、家に帰ると知らない人間、いや俺がいた。どう見ても俺にしか見えない。他人なのに俺だ。いや、俺なんだが他人だ。そして、母もそれに気づいていない。
    右も左も俺だらけ。やがて...続きを読む
  • 夜は終わらない(下)
    まさに現代の千夜一夜物語。しかしながら終わらない物語は複雑すぎ。戻ってこれるか不安になった。
    あらすじ(背表紙より)
    死の直前に、男たちに物語を語らせる玲緒奈。その内容によって男の命の長さは決まる。ある夜、標的にした男が語った“物語”は、玲緒奈を虜にしていく。登場人物がまた別の話を語り始め、時空を超...続きを読む
  • 夜は終わらない(上)
    あらすじ(背表紙より)
    「婚約者が自殺した」との報せを受けた玲緒奈。しかし彼女には、次に殺す予定の別の婚約者がいた。男を惑わし、財産を奪い、殺す。玲緒奈には不思議な掟があった。夜が始まると彼女は言う。「私が夢中になれるようなお話をしてよ」死の直前、男の語る話の内容で命の長さは決まる。命を懸けた究極の...続きを読む
  • 俺俺
    タイトルに釣られて購入。ドタバタナンセンス(往年の筒井康隆作品)を想像していたが、後半からは哲学的SFのような印象。社会で人間関係を構築する時、周囲の人間に対する同調・敵対などの感情は、所詮「俺」の中に全て包括されているのではないかということを教えてくれた。『崩壊』以降は増殖した「俺たち」の削除から...続きを読む