星野智幸のレビュー一覧

  • 植物忌

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    私は好き。今まで意識していなかった、ただそこにあるのが当たり前と思っていた植物にも意思や目的があるのかもしれない。環境破壊で全ての動植物が滅びるより、植物と融合するのも幸せかもしれない。なんて考えさせられる。

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    2021年07月04日
  • 植物忌

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    植物と人との関わりを描いた短篇連作。「Made In Plants」というシリーズものではより明確になっているが、幸福な共存というわけではないのは本書のタイトルに“忌”の字が入っていることからもわかる。どの作品も奇想に満ちていておもしろかった。自宅の庭を自然に返して久しいが、ガーデニングが趣味の人ならより楽しめる(もしくはおののく)かもしれない。

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    2021年06月05日
  • 俺俺

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    ネタバレ

    俺が携帯を盗んだことにより、俺は別人として扱われる。
    自分の実家へ帰ると、そこには俺がいた。
    そして、知らぬ間に俺は、別人として生き始める。
    そして、俺が次々増殖し始める。
    俺は、俺らとつるむことにより、初めて俺を必要とされていると感じ、生きている意義を見いだす。
    いつの間にか、周りは俺だらけになり、・・・

    この本の広告で当初俺俺詐欺に絡めて宣伝されていたと思う。
    読み始めて、俺がどんどん増殖して行く場面は面白く、どんどん読み進められた。
    が、物語は、増殖した俺が俺俺詐欺に関係するのかと思っていたが違った。
    また、俺が増えていくというのは、シュールな世界ではあるけれども、シュールレアリズムと

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    2021年04月04日
  • 呪文

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    寂れゆく商店街に生じた小さな波紋、その余波は町に思い掛けぬ好機を齎すが、町の自警団【未来系】は次第に暴走し始める―。序盤は町おこし小説さながらだが、中盤以降は町の権力者による選民思想が展開されていく。主人公・霧生やうらぶれた若者達は洗脳され、意義ある死に魅入られるが、隣人・湯北氏はそこに一石を投じる。目の前の苦しみから逃れる為の死よりも、長く険しい生を選ぶ勇気が蔓延する【呪い】に抗う力を産み出す。多数派に煽動されることなく、少数派の自分らしさを貫く心は未来を創る礎となる。著者の強いメッセージを感じる作品。

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    2020年11月27日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛でも偏愛でもなく、変愛。変な愛の短編集。変だけど当人たちにとっては大真面目。
    幻想小説を読んでいるときみたいな、いつの間にか背後にこことは違う世界の気配がぶわっと広がって迷い込んでいくような没頭感を覚える作品が多め。
    一部文章が合わなくて読みづらい作品もあったけれど、そこを乗り越えたらすいすい読めた。
    形見…川上弘美さん
    梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる…吉田篤弘さん
    クエルボ…星野智幸さん
    あたりが好み。

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    2020年04月06日
  • 呪文

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    寂れゆく商店街に現れた若きリーダー図領。商店街を再建すべく、廃業店舗には若い働き手を斡旋、独自の融資制度など店舗側に立った様々な施策を実行。頭脳明晰、巧みな弁舌、スマートな容姿、カリスマ性をもって、たちまちにして人心を掌握、一躍商店街の実力者となる。

    ある日図領が経営する飲食店に、一人の客が来店。不当な扱いを受けたとトラブルに。怒りは収まらずネットに投稿するや炎上。それは図領の店にとどまらず商店街にも波及。来街者は激減。図領の辣腕ぶりをよく思わないアンチ図領の幹部らは好機と見て反転攻勢に。窮地に陥った図領はトラブった客に対し、ネット上で極めて冷静かつ理性さを保った反論を展開。それが功を奏し「

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    2019年12月20日
  • 夜は終わらない(上)

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    婚約者を拘束し、自分を満足させる物語ができなければ財産を奪って殺すという掟を持つ女。男は話の面白さで生き残る時間が決まる。いつものように男に話をさせるのだが、話に出てくる人物がまた別の物語を語り出し、その物語の登場人物がまた別の物語を語り出す。どこまでも続くと思われる劇中劇中劇中・・・劇が、いつの間にか一点に集約され予想外の結末を迎える。小説の構成も高度に仕組まれていてとても面白いし、そこで語られるセリフにも惹かれる。「本物よりも本物らしく。高揚もカタルシスも不要」「一体感というのは中毒だ」

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    2019年06月08日
  • 俺俺

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    出来心から他人になりすました若い男性が、本来の自分を見失い、やがて周囲の人たちがみな自分になっていく狂気の世界を描く。

    自分が増殖し、他人との区別がつかなくなるという恐怖。最初はおふざけのSFかと思いきや、徐々にシュールで哲学的になっていく。
    映画化もされているそうだが、映像にしてしまったらコメディかホラーにしかならないと思うのだが。

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    2019年06月04日
  • 呪文

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    星野智幸『呪文』河出文庫。

    この作家の作品を読むのは『夜は終わらない』に次いで2作目。やはりイマイチというか、モヤモヤした感じが残る読後感だった。

    寂れいく松保商店街を舞台にした奇妙な後味の悪い物語。

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    2018年09月22日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛ではなく「変」愛を集めたアンソロジー。 
    どこへゆくやら全くわからない。
    予想も付かない展開、意味さえわからなくなるけれど、なぜか読むのを止められない引力。
    奇妙な、強烈な印象を残す読後感です。
    面白かった。

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    2018年08月16日
  • 俺俺

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    なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまう俺。
    気付くと別の俺に。上司も俺、母親も俺、俺ではない俺、俺俺。見渡す限り、俺だらけに。
    ある日、家に帰ると知らない人間、いや俺がいた。どう見ても俺にしか見えない。他人なのに俺だ。いや、俺なんだが他人だ。そして、母もそれに気づいていない。
    右も左も俺だらけ。やがて、俺が俺同士を削除し合う。肉体を切り刻み、俺同士がその人肉を食べ始める。しかし、俺が淘汰し合うとその先には...
    初めて読む著者だが、衝撃的な一作でした。
    アイデンティティの崩壊かー。荒唐無稽ではあるが、随分と哲学的というか厨二病的というか。
    精神異常犯罪者とかこんな感じだろうなと思っていたら、やは

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    2018年08月15日
  • 夜は終わらない(下)

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    まさに現代の千夜一夜物語。しかしながら終わらない物語は複雑すぎ。戻ってこれるか不安になった。
    あらすじ(背表紙より)
    死の直前に、男たちに物語を語らせる玲緒奈。その内容によって男の命の長さは決まる。ある夜、標的にした男が語った“物語”は、玲緒奈を虜にしていく。登場人物がまた別の話を語り始め、時空を超えた世界にリアルが紛れ込む。複雑に交錯する物語は、やがて一点へと収束し…。現代文学の金字塔、遂に完結!読売文学賞受賞作。

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    2018年05月06日
  • 夜は終わらない(上)

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    あらすじ(背表紙より)
    「婚約者が自殺した」との報せを受けた玲緒奈。しかし彼女には、次に殺す予定の別の婚約者がいた。男を惑わし、財産を奪い、殺す。玲緒奈には不思議な掟があった。夜が始まると彼女は言う。「私が夢中になれるようなお話をしてよ」死の直前、男の語る話の内容で命の長さは決まる。命を懸けた究極の物語が始まる。読売文学賞受賞作。

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    2018年05月06日
  • 夜は終わらない(下)

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    星野智幸『夜は終わらない(下)』講談社文庫。

    あの木嶋佳苗事件を彷彿とさせる玲緒奈を主人公にした何とも奇妙な物語の下巻。

    自らの命の残り火を絶さぬように語り続けるクオンだが…そして、然程の驚きもなく、満足感も無いままに物語は終わる。

    タイトルだけが光っており、読者としては玲緒奈の破滅が見たかった…

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    2018年02月24日
  • 俺俺

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    タイトルに釣られて購入。ドタバタナンセンス(往年の筒井康隆作品)を想像していたが、後半からは哲学的SFのような印象。社会で人間関係を構築する時、周囲の人間に対する同調・敵対などの感情は、所詮「俺」の中に全て包括されているのではないかということを教えてくれた。『崩壊』以降は増殖した「俺たち」の削除から逃れる「俺」の行動が、畳み掛けるように進行しスピード感が増す。物語の舞台は東京・埼玉が中心だが、カバーイラストは何となく大坂をイメージさせた。

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    2017年09月30日
  • 俺俺

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    本当の自分を認めてほしい。
    一人にしないでほしい。
    つながっていたい。
    けど、演じたくない。
    俺ではない俺。
    俺たち俺俺。
    そして一転破たんへ。
    不思議な世界観。

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    2016年12月04日
  • 俺俺

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    これほど不可思議な話を最後まで読ませる力は逆に凄いと関心した。俺がどの俺なのか混乱しつつも話は意外な展開を見せる。削除と称してジェノサイトがはじまる件は笑える。2013年、亀梨和也主演で映画になった。多分つまらないだろう(笑 そこはかとなく、人生訓がちりばめられているのはご愛敬か

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    2016年06月11日
  • 俺俺

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     結局何がどうしてどうなったのかまるきり分からない。
     分からないのだがその分からないまま読み進め読み終わってしまった。
     それでもいまだによくわからないこの世界観。
     現実投射的に感じもするが、その俺目線が世の中の一人一人だという事なのだろう。

     最後に俺は言うおまえたちが現在や昔を見ないように忘れちまうことを、こっそり待っている。
     だから、頼む、思えておいてくれ。そして自分たちが誰だが、忘れないでくれと・・・・。

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    2015年10月20日
  • 俺俺

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    他人に成り代わり俺俺詐欺をはたらいたことをきっかけに、不思議なことが起こる。
    俺がたくさんの世界が生まれたのだ。
    最初は分かり合える心地よさや安堵に包まれたが、それは徐々に恐怖へと変わっていく。
    現代社会に渦巻く心の病を映すような、リアルじゃないのになぜかリアルな…不思議な感覚に陥る。

    2015.7.18

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    2015年07月18日
  • 俺俺

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    俺が増殖する話。俺が3人位までは面白いなあと思っていましたが、それ以上になるとホラーテイストが強くなり、最後はカオス。
    この俺はどの俺だっけとこんがらがってくる。

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    2015年04月01日