星野智幸のレビュー一覧
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きっかけは他人の携帯電話を持ち帰ってしまい、オレオレ詐欺をしたことだった。俺もあいつもこいつも俺。俺俺俺...。増殖していく俺。俺俺時代小説。俺増殖でわけが分からなくなる不思議な世界だが、現実でもあり、俺の気持ち分かるなぁと。心が下向きの時には、特に俺に同化してしまう。認められたくて、必要とされたくて、つながりたくて、寂しくて。解説の秋葉原無差別殺傷事件の言葉、そして「フィクションは、リアルを超えたリアルに肉薄する。」。めちゃくちゃな世界だが意外に好きかも。そして少し考えさせられる。
「携帯電話を盗んだのは、あくまでもその場のなりゆきだった。」 -
Posted by ブクログ
表題作「われら猫の子」を含む11作品からなる短編集。読んでいると現実と空想の間を浮遊しているような感じになるような作品が多い。
義父母に子どもを強く求められつつも、それを静かに拒み続ける成人、そして妻であり彼らの子でもあるマサコは強く反発をする。この『われら猫の子』は、前に読んだ『植物診断室』でもそうだったが、既存の固定観念や常識というものに、自分でもはっきり認識できないほど静かに、でもはっきりと、抵抗の意を示しているような人を描いているよう。マサコの同僚であるリュウちゃんは恐らく同性愛者なのだろうが、彼の女友達に自分の子どもを作るために「腹だけ貸してほしい」と言ったのは(尤も、これはもしかす -
Posted by ブクログ
短編3作。「無間道」「煉獄ロック」「切腹」。日本人が「神州人」と呼ばれる世界。自殺する者が絶えず、死体処理も追いつかない惨状。一人で死ぬことを「ソロ」二人は「デュオ」など、とにかく死んじゃう死んじゃう。「生きていても死んでも同じ」と恋人との「デュオ」の誘いを断る竹志。竹志自身も本当は…。あとの2作も、竹海、竹光と主人公の名前は共通点があり、死んでも同じような世界があるということか。とにかく描写がエグイので、普通の人にはお勧めしかねます。「死にたい、死にたい」と思ってるアナタは、一度読んでみてください。評価は…つけにくいですね(汗)「設定は幻想的かもしれないが、私は極めてリアリスティックな小説だ