米原万里のレビュー一覧

  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    ヨーロッパの共産主義圏の激動や、
    中・東欧の複雑な事情(ヤスミンカの章)の箇所で、
    内容に混乱し若干モヤモヤしたが(歴史は苦手…)
    著者の貴重なプラハ時代の友人との再会では
    感情移入せざるを得ないほどの素晴らしい描写力。
    しかし彼女が感じたギャップや矛盾・民族意識等も、忘れてはいけない。
    (アーニャの章では複雑な心理を垣間見せている。)

    米原さんの人生が、いかに濃いものであろうことがよく判る証明の記録である。
    それにしても頭脳明晰な人の文章って凄い。
    ノンフィクションというところが、更に凄さを倍増。

    プラハに興味が湧いたのは言うまでもない。

    youtubeにupされているNHKスペシャル

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    2024年07月26日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

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    モスクワで「魔法使いの集会」に参加した。
    全く魔力もないし占いも当たらない微笑ましきニセモノばかりだったが、筆者だけがロシア語ができたせいか『悪魔と魔女の辞典』という小さな本をくれた。
    人間界の常識とは色々逆さの意味になっている。
    一例としては(割と知られたフレーズではあるが)「1ダース」を表す数字は、人間界では「12」だが、魔界では「13」だという。
    米原万里は、ロシア語の通訳として、異文化の仲介役を仕事としていたから、文化と文化を見比べなくてはならない場面に多く立ち会ってきた。

    本書の中では、異端人が別の目で世界を見た時、常識がくつがえる、そんな瞬間が紹介されている。
    下ネタ多く公共交通

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    2024年02月03日
  • ロシアは今日も荒れ模様

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    2001年発行の本なのでたいぶ昔の話ではあるが、面白おかしくロシアのことを知れる本は今ではレアだと思って楽しく読ませてもらった。

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    2024年01月14日
  • 発明マニア

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    ☆3.5 ときどきおもしろい
     単行本で。
     米原万里は共産党幹部の娘で、ソ聯で通訳をし、妹が井上ひさしと結婚した。井上も米原も左翼である。
     これを読むと、政治的毒が横溢してゐる。当時のイラク戦争を非難して、ブッシュだの小泉純一郎だの、ビンラディンだのが頻出。左翼だなあと。ムーアを思ひ出した。凡庸だらう。

     しかし、なかにはアイデアが光ったエッセーがあり、そちらはすなほにおもしろい。たとへば、「寿命倍増プログラム」「ビルの高さの測り方」や「卓抜なる節税法」等。
     さういふエッセーを読むと、こちらも自然にインスピレーションがわいてきた。

     サンデー毎日の週刊連載だったから、書くネタに困った

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    2024年01月14日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

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    タイトル買いしたので中身分かってなかったけど、メルヘンじゃなくて辛口だった!でも全然良き裏切りで、ものの考え方がこうも違うし、でも同じところもあることもある、と言うことが面白おかしく時にシビアに読めました。

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    2023年12月09日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    色んな意味で日本離れしてる作品。
    どちらの立場でも考えられんということでしょうが、それでもソ連時代の国内統治はまぁ独裁ということですな。日本もそうだったように。
    その中でも、庶民であっても懸命に生きないといけないんですなぁ、でないと何年も経ってこの作品の中の生き残った人たちのように「共有」できないのかと。
    熱い作品です。

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    2023年11月20日
  • パンツの面目ふんどしの沽券

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    本当になぜ,どこからその発想が湧いてくるのか。不思議でならない。イエスキリストのはいてるものは,パンツかふんどしか,はたまたただの布切れか…。こんなことを疑問に思う著者に感心してしまう。子どもたちが,それぞれの意見をそのまま実行してしまうところなんか笑いを堪えるのが必死。パンツかどうか,それだけで1冊の本になるところは流石です。世の中がちょっとざわついてる暗い時代で、気持ちが塞ぎ込みそうになった時に、何度でも読みたくなる1冊。

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    2023年11月15日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    ネタバレ

    ラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」で聴いて。
    著者が生きていたら・・・とラジオでも話していたけれど、どんな発信をされるだろう。

    30年以上前のノンフィクションだが、今現在、世界は全く変わっていない。まさに今読むべきかもしれない。
    古代から、宗教、民族、思想と難しすぎて、ヨーロッパをはじめ、なかなかすべてを把握できないけれど、とにかく変わらず争いが続いている。

    ただ、この当時、3人ともに再会できたことが救いでもある。

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    2023年11月10日
  • 米原万里の「愛の法則」

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    この人の本は始めて読んだ。2006年に亡くなって、その前年の講演やそれ以前の4回の講演をまとめて本にしたもの。
     第1章は「愛の法則」高校での講演を男女のことを面白おかしく、きわどい話もさらっと述べている。この講演は高校生相手にしてるけど聞いていた男子学生は赤面でなかったか。
     後の章では語学の習得とか国際理解のありかたなど現役の学生には非常に為になるのではないかな。

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    2023年10月23日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    ネタバレ

    「アーニャの言動や生き方にいちいち抵抗を感じながらも、自分はアーニャが好きなんだと思った」
    人と人とのつながりには全てが影響し、そして何も関係しないのか。

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    2023年09月06日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    現在のロシア・ウクライナ情勢を知ったら、米原さんだったらどんなコメントをするだろう。米原さんのコメントが読んでみたかった。

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    2023年08月24日
  • 真夜中の太陽

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    ネタバレ

    手厳しい…!と思いながらも、米原さんの目線も文章も好きです。面白かった。
    20年前くらいに書かれた文章がほとんどですが、国内も世界情勢もむしろ悪くなっていってて、今もし米原さんがいらっしゃったらどんな文章書かれたんだろう…と早逝が悔やまれます。辛口が加速していたかも。
    「愛の証」の、愛国を法整備していきたい人はそんなに自分の愛国心に自信がないのか、みたいなところを読んで(今じゃ学校教育に愛国教育あります)と思いました。米原さんからスパッと斬られそう。
    愛国=妄信して、盲目になんでも「いいね!従う」ということではないです。国を憂えて、良くしていくために批評するというのも愛国だと思います。
    …井上

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    2023年07月28日
  • ロシアは今日も荒れ模様

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    主にゴルバチョフ・エリツィン時代のソビエト・ロシアについて書いた文章を集めたもの。
    前半はウォトカとロシア人についての文章を集めた、米原さんらしい仕上がり。
    後半はペレストロイカが国民に及ぼした影響とか、少し固めな題材。

    通訳として接したゴルバチョフ・エリツィンのキャラクターとロシア国民との関係性を描くことで、ゴルバチョフが国民の支持を失った理由の一端を説明している。
    エリツィンの泥酔キャラは、あれはあれで国民受けはよいのだという話は腑に落ちる部分はある。

    本筋とは全然関係ないが、米原姉妹は映画や活字で目にしたら同じ食べ物に反応して食べたくなり、『哀愁の町に霧が降るのだ』(椎名誠)のカツ丼

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    2023年07月23日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    1日7冊(!!!)読んでいたというスーパー読書超人の米原万里。読書を愛して愛して愛し尽くした彼女の文章を読んでいるとこちらまでもっともっと本を読みたくなってくる。彼女が生きていたらコロナ禍の日本や露のウクライナ侵攻をどう論じていたのだろう。長生きして欲しかった。

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    2023年07月18日
  • ヒトのオスは飼わないの?

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    現在の感覚からするとズレているところもあるけれど、90年代の大らかさが感じられて良かった。
    著者の描写力は相変わらずすごい。

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    2023年07月10日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    筆者の読書量の多さ、博識にはうちのめされた。長いので一気にというわけにはいかなかったが、取りつかれたように夢中になって読んだ。ここに述べられている90%の本は未読なのになぜか楽しめた。とりあえずこれらの本を片っ端から読みたくなった。米原さんが生きておられたら、今のロシア情勢について何を語るのだろうか。早逝されたことが残念でならない。

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    2023年06月26日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    ネタバレ

    人との繋がり。

    旦那氏が買ってきた本。
    米原万里さんのエッセイを読んだことがあったので気になって読んだ。

    旦那氏は読みにくかったらしいけど、わたしはとても読みやすかった。(笑)
    人物がたくさん出てくるけど、なんとなく覚えていれば大丈夫。
    赤毛のアン好きな人は好きだと思う。

    主人公がソビエト学校に通っていた時の強烈なダンスの先生(オリガ・モリソヴナ)の過去の謎を解いていく物語。
    どんどん新しい事実が判明していって、先が気になる。

    ダンサーをしていたけど、外国人と結婚をしたことから政府に捕まり、多くの人たちと収容所で過ごし、また日常生活を取り戻す、大変な人生を送ってきた人(たぶんこ

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    2023年06月09日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

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    翻訳をしていることから、通訳の仕事に興味を持って読みました。
    お話することに大変慣れているような書き振りで、さすが、と思わされる生き生きした文章がぎっしり詰まっています。
    あとがき以降に添えられた、絶筆となる手紙の受け答えにも感銘を受けました。

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    2023年04月12日
  • ロシアは今日も荒れ模様

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    米原万里(1950~2006年)氏は、日本共産党幹部だった父親の仕事の関係で幼少期をプラハで過ごし、東京外語大ロシア語学科卒、東大大学院露語露文学修士課程修了、日ソ学院(現・東京ロシア語学院)や文化学院大学部でロシア語を教える傍ら、1978年頃より通訳・翻訳を手がけ、1983年頃からは第一級の通訳としてロシア語圏の要人の同時通訳などで活躍した。日本女性放送者懇談会賞受賞。ロシア語通訳協会会長。また、エッセイスト、ノンフィクション作家としても活躍し、『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』で読売文学賞(1994年)、『魔女の1ダース』で講談社エッセイ賞(1996年)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』

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    2023年03月22日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

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    【305冊目】著名な日露通訳者による通訳、ひいては言語に関するエッセイ。知人に薦められて読んだが、興味深いだけでなく、笑える!裏表紙に「通訳を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究」との紹介は、この手の紹介文にしては正確!

    タイトルは、通訳をめぐるジレンマをたとえたもの。原文に忠実か裏切っているかということを「貞淑or不実」と、文章として整っているか否かを「美女or醜女」としている。もちろん最高なのは貞淑な美女だか、現実の通訳では、不実な美女か、貞淑な醜女かの間で悩むことが多々あるとのこと。ちなみに、醜女はたいてい「しこめ」と読むが、本書ではわざわざ「ブス」とルビを振ってい

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    2022年12月27日