米原万里のレビュー一覧
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ヨーロッパの共産主義圏の激動や、
中・東欧の複雑な事情(ヤスミンカの章)の箇所で、
内容に混乱し若干モヤモヤしたが(歴史は苦手…)
著者の貴重なプラハ時代の友人との再会では
感情移入せざるを得ないほどの素晴らしい描写力。
しかし彼女が感じたギャップや矛盾・民族意識等も、忘れてはいけない。
(アーニャの章では複雑な心理を垣間見せている。)
米原さんの人生が、いかに濃いものであろうことがよく判る証明の記録である。
それにしても頭脳明晰な人の文章って凄い。
ノンフィクションというところが、更に凄さを倍増。
プラハに興味が湧いたのは言うまでもない。
youtubeにupされているNHKスペシャル -
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モスクワで「魔法使いの集会」に参加した。
全く魔力もないし占いも当たらない微笑ましきニセモノばかりだったが、筆者だけがロシア語ができたせいか『悪魔と魔女の辞典』という小さな本をくれた。
人間界の常識とは色々逆さの意味になっている。
一例としては(割と知られたフレーズではあるが)「1ダース」を表す数字は、人間界では「12」だが、魔界では「13」だという。
米原万里は、ロシア語の通訳として、異文化の仲介役を仕事としていたから、文化と文化を見比べなくてはならない場面に多く立ち会ってきた。
本書の中では、異端人が別の目で世界を見た時、常識がくつがえる、そんな瞬間が紹介されている。
下ネタ多く公共交通 -
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☆3.5 ときどきおもしろい
単行本で。
米原万里は共産党幹部の娘で、ソ聯で通訳をし、妹が井上ひさしと結婚した。井上も米原も左翼である。
これを読むと、政治的毒が横溢してゐる。当時のイラク戦争を非難して、ブッシュだの小泉純一郎だの、ビンラディンだのが頻出。左翼だなあと。ムーアを思ひ出した。凡庸だらう。
しかし、なかにはアイデアが光ったエッセーがあり、そちらはすなほにおもしろい。たとへば、「寿命倍増プログラム」「ビルの高さの測り方」や「卓抜なる節税法」等。
さういふエッセーを読むと、こちらも自然にインスピレーションがわいてきた。
サンデー毎日の週刊連載だったから、書くネタに困った -
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ネタバレ手厳しい…!と思いながらも、米原さんの目線も文章も好きです。面白かった。
20年前くらいに書かれた文章がほとんどですが、国内も世界情勢もむしろ悪くなっていってて、今もし米原さんがいらっしゃったらどんな文章書かれたんだろう…と早逝が悔やまれます。辛口が加速していたかも。
「愛の証」の、愛国を法整備していきたい人はそんなに自分の愛国心に自信がないのか、みたいなところを読んで(今じゃ学校教育に愛国教育あります)と思いました。米原さんからスパッと斬られそう。
愛国=妄信して、盲目になんでも「いいね!従う」ということではないです。国を憂えて、良くしていくために批評するというのも愛国だと思います。
…井上 -
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主にゴルバチョフ・エリツィン時代のソビエト・ロシアについて書いた文章を集めたもの。
前半はウォトカとロシア人についての文章を集めた、米原さんらしい仕上がり。
後半はペレストロイカが国民に及ぼした影響とか、少し固めな題材。
通訳として接したゴルバチョフ・エリツィンのキャラクターとロシア国民との関係性を描くことで、ゴルバチョフが国民の支持を失った理由の一端を説明している。
エリツィンの泥酔キャラは、あれはあれで国民受けはよいのだという話は腑に落ちる部分はある。
本筋とは全然関係ないが、米原姉妹は映画や活字で目にしたら同じ食べ物に反応して食べたくなり、『哀愁の町に霧が降るのだ』(椎名誠)のカツ丼 -
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ネタバレ人との繋がり。
旦那氏が買ってきた本。
米原万里さんのエッセイを読んだことがあったので気になって読んだ。
旦那氏は読みにくかったらしいけど、わたしはとても読みやすかった。(笑)
人物がたくさん出てくるけど、なんとなく覚えていれば大丈夫。
赤毛のアン好きな人は好きだと思う。
主人公がソビエト学校に通っていた時の強烈なダンスの先生(オリガ・モリソヴナ)の過去の謎を解いていく物語。
どんどん新しい事実が判明していって、先が気になる。
ダンサーをしていたけど、外国人と結婚をしたことから政府に捕まり、多くの人たちと収容所で過ごし、また日常生活を取り戻す、大変な人生を送ってきた人(たぶんこ -
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米原万里(1950~2006年)氏は、日本共産党幹部だった父親の仕事の関係で幼少期をプラハで過ごし、東京外語大ロシア語学科卒、東大大学院露語露文学修士課程修了、日ソ学院(現・東京ロシア語学院)や文化学院大学部でロシア語を教える傍ら、1978年頃より通訳・翻訳を手がけ、1983年頃からは第一級の通訳としてロシア語圏の要人の同時通訳などで活躍した。日本女性放送者懇談会賞受賞。ロシア語通訳協会会長。また、エッセイスト、ノンフィクション作家としても活躍し、『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』で読売文学賞(1994年)、『魔女の1ダース』で講談社エッセイ賞(1996年)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』
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【305冊目】著名な日露通訳者による通訳、ひいては言語に関するエッセイ。知人に薦められて読んだが、興味深いだけでなく、笑える!裏表紙に「通訳を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究」との紹介は、この手の紹介文にしては正確!
タイトルは、通訳をめぐるジレンマをたとえたもの。原文に忠実か裏切っているかということを「貞淑or不実」と、文章として整っているか否かを「美女or醜女」としている。もちろん最高なのは貞淑な美女だか、現実の通訳では、不実な美女か、貞淑な醜女かの間で悩むことが多々あるとのこと。ちなみに、醜女はたいてい「しこめ」と読むが、本書ではわざわざ「ブス」とルビを振ってい