米原万里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロシア語通訳、作家で、昨年(2006年)5月に亡くなられた、米原万里さんのエッセイ集。世紀の代わろうとする時期に、これまでを振り返り、今われわれのいる日本社会を再点検します。
いつもの切れ味鋭い視点にスパイスの利いた小咄を絡ませながら、現代の社会や政治などを、片っ端から俎上に乗せていきます。米原さんの見解には、半ば賛成、半ばは納得のいかない私ですが、エッセイとしては書き出しと最後がぴしっと決まっているので、読み始めるとついページを繰る手が止まりません。賛成できるときは、よくぞ言ってくれました! 出来かねる時はう~ん、うまい展開だねえ、とうなりながら読みました。これはやっぱり、ロシアの小咄がベ -
Posted by ブクログ
十字架上のイエス・キリストの下着はパンツかふんどしか腰巻か。という素疑問を長年持ち続けた筆者が長じてから綴る『下半身に身につける下着』についての考察を記したエッセイです。
何度か噴き出してしまいました。 たぶん、大体の人は日常に身につけているであろう下半身を覆う下着についての考察を綴ったエッセイです。パンツ・ふんどしをめぐる世界史的な考察をするという途方もないことをやろうとした筆者のチャレンジャーぶりにも脱帽しましたが、人類が『下半身を覆う下着』というものについての複雑さというのか。種類の多さというのか…。民族性や国民性によってもこれだけの違いがあるということにびっくりしました。
特に驚い -
Posted by ブクログ
政界における多数派シンドローム、企業の膨張至上主義、崩壊する安全神話、続発する警察の不祥事…。今も変わらないテーマを縦横無尽に語りつくす時事エッセイです。「21世紀は20世紀の続き」かの知れません。
この本が出版されたのが2001年なので、書かれている時期は20世紀の終わりから21世紀のはじめの出来事が中心となっています。ここに書かれているのはいわゆる「時事ネタ」要するにそのときの時事を基にしたエッセイですが、今読んでもその内容がまったく古びていないということに、僕自身驚きを隠せません。
この本のコピーにいわく「21世紀は20世紀の続き?」という言葉が、重い意味を持っていると思うのはきっ -
Posted by ブクログ
ロシア語通訳者でありエッセイストの筆者が綴る犬や猫との「いとおしき日々」についてのエッセイ集です。ヒトのオスには歯に衣着せぬ物言いをする筆者が彼ら彼女らに惜しみなき愛情を注ぐ姿がたまりません。
最近のマイブームが米原万里さんのエッセイで、その歯に衣着せぬ物言いがなんとも心地よいです。この本は通訳として第一線の舞台に立ちながら猫の無理と道理。ターニャとソーニャ。犬のゲンとノラ。そして美智子さんと筆者の日常を描いたエッセイです。
国際的な会議の席で拾った無理と道理。ロシア人から譲られたターニャとソーニャ。途中でいなくなってしまう犬のゲンと入れ替わりに筆者の家族になるノラ。彼らと筆者の交流がい