米原万里のレビュー一覧

  • パンツの面目ふんどしの沽券

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    我々の股を覆うものについて、さまざまな角度から考察したエッセイ。こういう日常生活の脇役を通して比較文化論を語れば、著者の芸風が全開です。現在の我々の常識からは驚嘆すべきロシアの下着事情から、日本の昔の習慣、羞恥心の何たるかの考察に至ります。

    この本で語られていることは著者の構想からは道半ば、まだまだ調べたいことは山ほどあったらしいのですが。惜しくも著者は2006年世を去り、この研究は次代に託されることとなりました。後を継ぐ人がいることを願ってやみません。

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    2010年07月24日
  • 終生ヒトのオスは飼わず

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    『ヒトのオスは飼わないの?』の続編。第2部には祖父や父の生き方とごく小さい頃の子供の頃を振り返った記載もあり、これまでのエッセイと少し趣が違い新鮮でした。こんな風に育ったのかー。秘書さんによる毛深い家族たちのその後の報告もあります。ゲンにはついに再会できなかったのか、、、ととても残念。巻末の年譜を見ていたら未読の著書がまだあることが判明。順番に読まなくては。

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    2010年07月19日
  • パンツの面目ふんどしの沽券

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    「米原さんといえばふんどし」って、私、どこですり込まれたんだろう?翻訳者よりも通訳者、のほうが、機転と機知とユーモアと冷静さと(とにかくあらゆるいろんなもの)を同時に働かさなければいけないんだろうな。むしろだからこそ、このような形で「残る」文章を残したかったのかな…。他の随筆でもよくわかることだけれど、言葉の遣い方の素敵な人が、つまり素敵な翻訳なり通訳なりができるのだ。「素敵」にもいろいろあって、ユーモアに富む、詩的である、論理的でかつ美しい……、もちろん持ち味はそれぞれの魅力で。敢えて言うなら、私にとって米原さんはやっぱり「ふんどしのひと」です。とくにそれで失礼にはあたらないはずです。だって

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    2011年07月19日
  • 必笑小咄のテクニック

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    私の話にオチがないのは、
    自他共に認めるところ。
    それを克服し、且つ楽しめるという本書は
    私にとって好都合。
    練習問題までついているのだから。


    あとがきに著者が述べていることから考えると、
    人を笑わせるというのは、
    感動させるよりも難しいのだ。
    そこに重きを置いて、
    小咄を系統別に分析分類してしまうのだから
    すごい。


    がんと戦いながらも仕上げた本書、
    もうこの世にいない著者のことをおもうと
    妙にしんみりしてしまうが
    彼女はきっとこんなこともどこかで笑い飛ばしているんじゃないだろうかと
    あったこともない人のことをふと考えた。

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    2010年01月08日
  • パンツの面目ふんどしの沽券

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    大好きな米原さんのエッセイ。エッセイと言いつつ、いろいろな文献や彫刻とか土偶とか絵画を縦横無尽に確認し、ご自身や読者の経験を元に、さらに想像力を駆使して、まじめに考察を試みている(もちろんユーモアはいつもどおりたっぷり)本です。大雑把に言うと、日本男子の心の象徴のように言われる<ふんどし>がなぜそんな象徴になったのかという文化的歴史的機能的背景に思いを馳せたり、はたまたパンツはいったいどこから発生してどのように伝わってそれにはどういう障害やドラマがあったのか、ということが、シベリア抑留者の手紙や明治文豪の日記や万里さんの幼稚園の思い出などなどを引き合いに出しつつ、とことん真面目に考えられていま

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    2009年10月07日
  • 必笑小咄のテクニック

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    おーもーしーろーいっ!!!かねてから、米原さんのエッセイとかでは小咄話がでてきてたけどこういう風にジャンル分けすると、おもしろさ爆発。最後の練習問題は、頭をひねってひねって楽しかった。1番おもしろかったのをココに。−クリスマス・イブの夜、息子に向かって父親がややかしこまって告げる。「ツトムももう大きくなったから、父さんも本当のことを言おう。サンタクロースなんてこの世にはいないんだ。あれは父さんだったんだよ」「うん、そんなこと、とっくの昔に知ってたよ。コウノトリだって、実は父さんなんだよね」−

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    2009年10月07日
  • ヒトのオスは飼わないの?

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    万里さんにハズレ無し!っと心の中で叫びながら大事に読みました。
    読み終わってしまうのがもったいなかったです。

    このエッセイにはロシア語通訳の仕事のことももちろん出てきますが、メインは美智子、無理、道理、ゲン、ノラ、ソーニャ、ターニャ、という万里さんの家族。順番に、ヒト(ていうか母)、猫、猫、犬、犬、猫、猫。それぞれの性質が生き生きと描かれているし、巻頭に写真も付いているので、読み進めるうちには猫たち犬たちを直接知っているような気になってきました。それと獣医さんや猫好き犬好きの友達知り合いなども、個性豊かにハツラツと描かれていて、面白いです。猫好きのヒトはもちろん、犬好きなヒトもべらぼうに楽し

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    2009年10月07日
  • ロシアは今日も荒れ模様

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    ブロードキャスターに出ているのを拝見して、「なんて印象的なお顔!」っと興味を持ち、『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』 『魔女の1ダース』 『嘘つきアーニャの真赤な真実』 と読んで、大好きになった憧れの米原さん。先日の突然の訃報はビックリしたし、残念だった
    心からご冥福をお祈りします。

    ロシア語通訳の米原さんが描くロシアとロシア人像の傑作です。特にゴルバチョフとエリツィンは、すごく生き生き描いてあり、すごく遠い人たちなのに身近で人間くさ〜いオジサンに感じられて、大変おもしろかったです。

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    2019年12月24日
  • ヒトのオスは飼わないの?

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    米原さん最高!基本的に猫はそんなに好きじゃなかったけれど、彼女の視点から見た猫たちの愛らしさにノックアウト。
    我が家にいる猫がなんだか可愛く見えた。これぞ人を引き込む天才米原マジック。

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    2009年10月04日
  • 必笑小咄のテクニック

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    昔から存在してた小咄‐各国のブラックユーモアも紹介。
    小咄のテクニックのノウハウを分類し展開。
    そしてちょっぴりの政治的ブラックユーモア。
    そして言語は使い方によって状況を覆すほどの力を持っていることがわかる。

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    2009年10月04日
  • 旅行者の朝食

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    ふわっと読める。
    でも、蘊蓄もあり、考察もあり、深さがある。

    食べることを、こんな風にエッセイに纏められのは
    すごいなと思う。

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    2025年12月09日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    ネタバレ

    実体験をもとにしたノンフィクションで、すごく濃密な本だ。
    チェコのプラハでソビエト学校に通う小学生のマリ。ここには50もの国からやってきた子供たちが通っている。マリの父親は、日本共産党から派遣されて、国際共産主義運動の理論誌の編集局に勤めており、そのため家族でプラハにやってきた。(この学校に通う子供たちは外交官や共産主義運動の幹部たちを親に持ち、それなりにブルジョアな暮らしぶりが散見される。しかし同時に社会主義国としての計画経済による、融通の効かなさみたいなところも描写され非常に興味深い)

    米原万里がプラハで過ごした9〜14歳までの期間に出会った、3人のかけがえのない友人たち。リッツァ、アー

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    2025年11月07日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    ネタバレ

    軍事政権の弾圧を逃れ東欧各地を転々とし、チェコスロバキアに亡命した共産主義者の父を持つギリシャ人のリッツァ。
    同じく共産主義者の父を持つ、インド生まれ中国育ちのルーマニア人アーニャ。
    15歳でパルチザンの一員となった共産主義の父を持つユーゴスラビア人のヤスミンカ。
    日本人の著者と少女時代を過ごし、その後30年という月日を経て再会する。
    当時の時代や歴史、共産主義、社会主義、民族意識…さまざまな視点で考えるきっかけを与えてくれた一冊。

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    2025年10月27日
  • 旅行者の朝食

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    三宅香帆さんが、自身のYouTubeでおすすめされてたので読んでみました。
    最初の方は世界史のような雑学チックな食をめぐる話もあったのですが、章を進めていくごとにライトな食エッセイになっていったので、どんどん読み進めていけました。

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    2025年10月16日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

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    面白い!
    "常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない"
    アインシュタインの言を腹落ちさせてくれる一冊。男、女、キリスト教徒、イスラム教徒、先進国、発展途上国、戦勝国、敗戦国、私たちはあまりに違うのに、気を抜くと、正義も真実もたった一つしかないように思ってしまう。
    20年以上前の本だけど、 snsの台頭でますますその傾向が強まり分断がうまれている現代にこそもっと読まれて欲しい本だと思います。

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    2025年09月24日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    自分の無知を感じました 才能は個人の持ちものではなく、皆のものという国民性の違いのくだりもカルチャーショック 良い本に出合えました

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    2025年09月21日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

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    読んだのはずいぶん昔。タイトルに惹かれて読み始めたら、テンポよく、適度に笑いもあり、夢中になって読んだ。 

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    2025年09月13日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

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    知的で話し上手で、胆力があり、お茶目。通訳やロシア(ソ連)で生まれ育った経験を通じて、私たちのもつ社会通念に「冷や水を浴びせる」ような、米原万里の魅力が詰まった本だった。これも自分で買った本ではなく、身内の本棚にあった本で旅中の出会い。

    アネクドートとは、特にロシア語圏で広まった風刺やジョークを指す小話。これと、シモネタを自由自在に駆使するのが米原万里。シモネタも教養がベースにあるから下品な感じがしない。

    本書で取り上げられる、私の好きな話。米原万里の創作ではなく、ロシアのアネクドートだと思うが、彼女の雰囲気によく合う気がした。

    ー まずイギリス人が、「エデンの園は、絶対にイギリス以外に

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    2025年08月15日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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    おもしろかった。プラハでの学童期の友人三人との関わりを各章で書いているが、エッセイという軽いものではなく、それぞれが深淵で美しい物語として成立している。

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    2025年08月13日
  • ヒトのオスは飼わないの?

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    ネタバレ

    ペット(猫、犬)エッセイの傑作です。
    タイトルから、独身を貫いた米原万里の私生活エッセイかと思いきや、急にペットを飼い始めた筆者に悪友から「人のオスは飼わないの」と冷やかされたのがタイトルの由来。
    本来、可哀想な捨て犬や捨て猫を放っておけない性分から、拾ってきた彼らを育てる暮らしが始まる。通訳という仕事がら家を留守にしがちな筆者は、認知症気味の母親がいるので、ペット好きのお手伝いさんを雇い対処する。ご近所さんにもペット飼育の先輩たちがいて、行方不明など困ったときには力になってくれる。ペット病院の院長先生も専門知識が豊富で親身になってくれる心強い存在。
    つまり、環境的にはとても恵まれた状況で、筆

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    2025年07月27日