米原万里のレビュー一覧

  • パンツの面目ふんどしの沽券
    我々の股を覆うものについて、さまざまな角度から考察したエッセイ。こういう日常生活の脇役を通して比較文化論を語れば、著者の芸風が全開です。現在の我々の常識からは驚嘆すべきロシアの下着事情から、日本の昔の習慣、羞恥心の何たるかの考察に至ります。

    この本で語られていることは著者の構想からは道半ば、まだま...続きを読む
  • 終生ヒトのオスは飼わず
    『ヒトのオスは飼わないの?』の続編。第2部には祖父や父の生き方とごく小さい頃の子供の頃を振り返った記載もあり、これまでのエッセイと少し趣が違い新鮮でした。こんな風に育ったのかー。秘書さんによる毛深い家族たちのその後の報告もあります。ゲンにはついに再会できなかったのか、、、ととても残念。巻末の年譜を見...続きを読む
  • パンツの面目ふんどしの沽券
    「米原さんといえばふんどし」って、私、どこですり込まれたんだろう?翻訳者よりも通訳者、のほうが、機転と機知とユーモアと冷静さと(とにかくあらゆるいろんなもの)を同時に働かさなければいけないんだろうな。むしろだからこそ、このような形で「残る」文章を残したかったのかな…。他の随筆でもよくわかることだけれ...続きを読む
  • 必笑小咄のテクニック
    私の話にオチがないのは、
    自他共に認めるところ。
    それを克服し、且つ楽しめるという本書は
    私にとって好都合。
    練習問題までついているのだから。


    あとがきに著者が述べていることから考えると、
    人を笑わせるというのは、
    感動させるよりも難しいのだ。
    そこに重きを置いて、
    小咄を系統...続きを読む
  • パンツの面目ふんどしの沽券
    大好きな米原さんのエッセイ。エッセイと言いつつ、いろいろな文献や彫刻とか土偶とか絵画を縦横無尽に確認し、ご自身や読者の経験を元に、さらに想像力を駆使して、まじめに考察を試みている(もちろんユーモアはいつもどおりたっぷり)本です。大雑把に言うと、日本男子の心の象徴のように言われる<ふんどし>がなぜそん...続きを読む
  • 必笑小咄のテクニック
    おーもーしーろーいっ!!!かねてから、米原さんのエッセイとかでは小咄話がでてきてたけどこういう風にジャンル分けすると、おもしろさ爆発。最後の練習問題は、頭をひねってひねって楽しかった。1番おもしろかったのをココに。−クリスマス・イブの夜、息子に向かって父親がややかしこまって告げる。「ツトムももう大き...続きを読む
  • ヒトのオスは飼わないの?
    万里さんにハズレ無し!っと心の中で叫びながら大事に読みました。
    読み終わってしまうのがもったいなかったです。

    このエッセイにはロシア語通訳の仕事のことももちろん出てきますが、メインは美智子、無理、道理、ゲン、ノラ、ソーニャ、ターニャ、という万里さんの家族。順番に、ヒト(ていうか母)、猫、猫、犬、犬...続きを読む
  • ロシアは今日も荒れ模様
    ブロードキャスターに出ているのを拝見して、「なんて印象的なお顔!」っと興味を持ち、『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』 『魔女の1ダース』 『嘘つきアーニャの真赤な真実』 と読んで、大好きになった憧れの米原さん。先日の突然の訃報はビックリしたし、残念だった
    心からご冥福をお祈りします。

    ロシア語...続きを読む
  • ヒトのオスは飼わないの?
    米原さん最高!基本的に猫はそんなに好きじゃなかったけれど、彼女の視点から見た猫たちの愛らしさにノックアウト。
    我が家にいる猫がなんだか可愛く見えた。これぞ人を引き込む天才米原マジック。
  • 必笑小咄のテクニック
    昔から存在してた小咄‐各国のブラックユーモアも紹介。
    小咄のテクニックのノウハウを分類し展開。
    そしてちょっぴりの政治的ブラックユーモア。
    そして言語は使い方によって状況を覆すほどの力を持っていることがわかる。
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実
    1960年~1964年、プラハのソビエト学校(9才~14歳)で学んでいた日本人作者が大人になってソビエト学校時代の友達に会いに行く、というノンフィクション。20世紀後半の東欧の出来事に絡んでいて、(共産主義、ソビエトの崩壊、独立戦争、内戦、等)歴史は詳しくないので読むのに時間がかかりましたが、199...続きを読む
  • マイナス50℃の世界
    子供向けに書かれた本なのかな?
    とにかく肩肘張らずに読めて、しかも面白い。色んな意味でスリリングでもあるし、信じ難くもあるし。
    確かに私たちは才媛を早くに失ったのかも。でも才ある人ってそういう宿命かもしれず。
    ところで今はどうなってるんだろう?この街は。興味ありです。
  • ロシアは今日も荒れ模様
    米原万里さんの本としては少々異色の本である。1990年代のロシア社会を鋭く分析している。何よりも著者の強みは、この時代のロシア最高権力者、ゴルバチョフとエリツインの通訳を何度も勤め、間近で二人の発言と人間性を観察していたことである。ソ連からロシアへの大混乱移行期を理解するのに有益な本である。
  • 不実な美女か貞淑な醜女か
    「いいかね、通訳者というものは、売春婦みたいなものなんだ。要る時は、どうしても要る。下手でも、顔がまずくても、とにかく欲しい、必要なんだ。どんなに金を積んでも惜しくないと思えるほど、必要とされる。ところが、用がすんだら、顔も見たくない、消えてほしい、金なんか払えるか、てな気持ちになるものなんだよ」(...続きを読む
  • 旅行者の朝食
     食にまつわるエッセイ本。著者はロシアや東欧諸国に精通している為か、日本人には馴染みのない食物が次々と紹介されており、知的好奇心をかきたてる内容ばかりである。なかでも、「コロンブスのお土産」(p64〜66)は、今後の食糧問題を考えるのに良い。大航海時代、スペイン、ポルトガルはアメリカ大陸へ渡った。そ...続きを読む
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実
    ヨーロッパの共産主義圏の激動や、
    中・東欧の複雑な事情(ヤスミンカの章)の箇所で、
    内容に混乱し若干モヤモヤしたが(歴史は苦手…)
    著者の貴重なプラハ時代の友人との再会では
    感情移入せざるを得ないほどの素晴らしい描写力。
    しかし彼女が感じたギャップや矛盾・民族意識等も、忘れてはいけない。
    (アーニャ...続きを読む
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―
    モスクワで「魔法使いの集会」に参加した。
    全く魔力もないし占いも当たらない微笑ましきニセモノばかりだったが、筆者だけがロシア語ができたせいか『悪魔と魔女の辞典』という小さな本をくれた。
    人間界の常識とは色々逆さの意味になっている。
    一例としては(割と知られたフレーズではあるが)「1ダース」を表す数字...続きを読む
  • ロシアは今日も荒れ模様
    2001年発行の本なのでたいぶ昔の話ではあるが、面白おかしくロシアのことを知れる本は今ではレアだと思って楽しく読ませてもらった。
  • 発明マニア
    ☆3.5 ときどきおもしろい
     単行本で。
     米原万里は共産党幹部の娘で、ソ聯で通訳をし、妹が井上ひさしと結婚した。井上も米原も左翼である。
     これを読むと、政治的毒が横溢してゐる。当時のイラク戦争を非難して、ブッシュだの小泉純一郎だの、ビンラディンだのが頻出。左翼だなあと。ムーアを思ひ出した。凡庸...続きを読む
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―
    タイトル買いしたので中身分かってなかったけど、メルヘンじゃなくて辛口だった!でも全然良き裏切りで、ものの考え方がこうも違うし、でも同じところもあることもある、と言うことが面白おかしく時にシビアに読めました。