米原万里のレビュー一覧
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万里さんにハズレ無し!っと心の中で叫びながら大事に読みました。
読み終わってしまうのがもったいなかったです。
このエッセイにはロシア語通訳の仕事のことももちろん出てきますが、メインは美智子、無理、道理、ゲン、ノラ、ソーニャ、ターニャ、という万里さんの家族。順番に、ヒト(ていうか母)、猫、猫、犬、犬、猫、猫。それぞれの性質が生き生きと描かれているし、巻頭に写真も付いているので、読み進めるうちには猫たち犬たちを直接知っているような気になってきました。それと獣医さんや猫好き犬好きの友達知り合いなども、個性豊かにハツラツと描かれていて、面白いです。猫好きのヒトはもちろん、犬好きなヒトもべらぼうに楽し -
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少しずつ気温が上がり、夏が近づ生きたように感じますが、そんなときに「寒い場所」への紀行を読むと少し涼しくなる気がします。
本作の舞台はヤクート自治共和国(現・サハ共和国)で、世界で最も気温が下がる国。
日本史の授業で出てくる漂流民・大黒屋光太夫も訪れたことがあるとか。
釣り上げた魚が10秒で凍り、人間や動物の吐く息、車の排気ガスや家庭で煮炊きする湯気等の水分がことごとく凍ることで「居住霧」が発生し、ひどいときには4メートル先も見えなくなるという世界は、まさに異世界です。
一面凍りばかりなのでツルツルと滑りそうな印象でしたが、まったくスリップしないとのこと。そもそも、氷が滑るのは、摩擦熱で氷 -
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ロシア語同時通訳者によるエッセー。通訳業界の産業廃棄物をリサイクルして本にしている、らしい。
多文化の橋渡しをする立場ならではの視点が面白い。第二言語、第三言語学習の面白さを再確認できる。
子供時代をソ連で過ごした米原氏が、帰国後漢字学習に苦労した話に共感した。苦労して習得したスキルなので、たくさん読書する事で元を取ろうとしている、といった趣旨のことが書かれており、なるほど、と思った。
言語をやる人は文学を読まず、文学をやる人は言語を学ばない。それじゃダメだろ。という話には、ハッとさせられた。とは言え、辞書片手に文学を読んでも深い理解は得られない。文学を原書で堪能できるレベルに到達するの -
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【2026年58冊目】
幼少期をチェコのソビエト学校で過ごした志摩には、忘れられない人がいた。オルガ・モリソヴナ、生徒を叱る時に必ず反語法を使っていた彼女は舞踏の先生だった。それから30数年後、謎多き彼女の秘密に迫るべく、志摩はモスクワに飛んだ。厳しいソ連時代を生き抜いた女たちの過去を紐解いていく志摩がたどり着いた彼女の真の姿とは――。
実は読みたいと思っていた別の本のタイトルを思い違いしてしまい手に取った本作でしたが、面白かったです。ソ連時代の極悪な状況に触れつつ、オリガ・モリソヴナを中心として語られる女たちの過去を、主人公の志摩と共に追いかけました。次から次へと明かされる事実に、それで一 -
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めちゃくちゃ読み応えがありながら、読みやすさと先が気になる展開の連続で最後まで夢中になって読んだ。
重厚な社会派ミステリー的な要素もあり、政治や歴史の話がベースにある。時代に翻弄された人々をたどりながら、ある人物の謎が解き明かされていく。
1930年代のスターリンによる粛清によって、悲惨な目にあった人々とその家族たちの話は、目の前で彼らが語っているかのような静かな痛みを感じた。
この時代のことは学校で習ったのかもしれないが記憶になく、その実態に驚いた。
本作はフィクションなので事実とは異なる部分もあるだろうが、ソ連の権力者たちによって多くの国民が簡単に命を奪われたり、収容所での過酷な生活を -
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ネタバレ最近お気に入りのひかり書店で発見した、
米原万里さん、
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
実は先日、
月に一度の楽しみにしているコミュニティラジオ
「ビブリオラジオ」で紹介されていて気になっていた。
この本は、著者が1960年から1964年までの約5年間、在プラハのソビエト学校で過ごした少女時代の思い出をもとにした自分史的エッセイ。
当時のプラハには世界50カ国以上の共産圏の子どもたちが集まる国際学校があり、共通語はロシア語。
著者は日本共産党関係者の父親の駐在でそこに通い、多国籍の友人たちと過ごす。
本は3編の連作で、
それぞれにギリシャ人のリッツァ、
ルーマニア人のアーニャ、
ユーゴス -
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「ああ神様!これぞ神様が与えて下さった天分でなくてなんだろう。長生きはしてみるもんだ。こんな才能ははじめてお目にかかるよ!あたしゃ嬉しくて嬉しくて嬉しくて狂い死にしそうだね!」
物語は在プラハ、ソビエト学校の教師オリガ・モリソヴナの強烈な反語法によるダンス指導シーンからはじまる。
彼女の教え子で日本人のシーマチカが卒業後?大人になってから、親友のカーチャとともに青春時代の謎を追い求める。ロシアに訪れ各所をたずね資料や証言を集めていく過程は、作者自身がオリガを調べている様子を鮮明にイメージさせた。
さらに凄いところは、読者自身も旧友と一緒になって歴史の謎を炙りだしていくような連帯感というか -
Posted by ブクログ
ネタバレ実体験をもとにしたノンフィクションで、すごく濃密な本だ。
チェコのプラハでソビエト学校に通う小学生のマリ。ここには50もの国からやってきた子供たちが通っている。マリの父親は、日本共産党から派遣されて、国際共産主義運動の理論誌の編集局に勤めており、そのため家族でプラハにやってきた。(この学校に通う子供たちは外交官や共産主義運動の幹部たちを親に持ち、それなりにブルジョアな暮らしぶりが散見される。しかし同時に社会主義国としての計画経済による、融通の効かなさみたいなところも描写され非常に興味深い)
米原万里がプラハで過ごした9〜14歳までの期間に出会った、3人のかけがえのない友人たち。リッツァ、アー