米原万里のレビュー一覧
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ネタバレこの本は本屋で紹介されてて面白そうって購入した。が、なかなか手を付けず、少し読んでみたけどなかなか進まず。今思うとそのタイミングじゃなかったんだなと。最近読んだらまぁすらすら読めて面白くて止まらなかった。
まず作者がすごい体験をしているということに驚き。小学校を海外で過ごしていろんな国から来た子に囲まれて育つなんて知り合いにいたことないし、そんな方の経験談を本で読めるっていうのは貴重なことだなと思った。
そしてとっても面白かったのはアーニャの章で、自分の生まれた国から時間的にも距離的にも離れていればいるほど自分の国を愛しているという話。これは自分が実際住んでいる時間が少ないことで嫌な部分も見え -
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昨年末に手にした集英社文庫の“ふゆイチ”で紹介されていて、ずっと気になっていた本書。
ロシア語の翻訳をしている志摩(シーマチカ)は、少女時代に通っていたプラハのソビエト学校で出会った、踊りの才能が抜群で強烈毒舌キャラの舞踊教師、オリガ・モリソヴナの謎めいた来歴を探る為、ソ連崩壊後のモスクワを訪れます。
ソビエト学校時代の親友・カーチャ達と共に真相を追う中で浮かび上がってきた壮絶な背景とは・・。
オリガと伝説の踊り子・“ディアナ”は同一人物なのか?
オリガと共に「オールドファッション・コンビ」と呼ばれていたフランス語教師・エレオノーラが東洋人に異常な“食いつき”を見せていたのは何故だったのか -
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ネタバレ面白かった!米原万里、他の著作も読もうと思う。
プラハ時代の友人に実際に会いにいく彼女の行動力も、大人になってからの顛末も面白くて、人生という感じで。。
リッツァの夢見た青空、嘘つきアーニャの真っ赤な真実、白い都のヤスミンカの三本。それぞれ苦労して、大人になって、親たちの世代の話もあって、現代に繋がっていて…
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
…異国、異文化、異邦人に接したとき、人は自己を自己たらしめ、他者と隔てるすべてのものを確認しようと躍起になる。自分に連なる祖先、文化を育んだ自然条件、その他諸々のものに突然親近感を抱く。これは、食欲や制欲に並ぶような、一種の自己保全本能、自己肯定本能 -
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著者の食いしん坊ぶりと、食べ物に関して徹底的に調べあげて追求する姿勢が素晴らしい。食べ物に関する含蓄やジョークや皮肉が詰まった一冊。
・極寒のヤクーツクで食べた、冷気で瞬間冷凍された魚の鉋で削って玉ねぎと和えた食べ物、たべてみたい
・人間は「生きるために食べるタイプ(空想癖のあるペシミスティックな傾向の哲学者に多い)」と「食べるために生きるタイプ(楽天的人生謳歌型の現実家に多い)に分けられる という話面白い
・フランス式フルコースの形式はまさかのロシアが起源!フランスではもともと一皿ずつではなく一気にどーんと並べて提供するスタイルが主だったのだとか
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世界一寒い国といわれるロシア連邦の中の「ヤクート自治共和国(現サハ共和国)」は、12月の平均気温がマイナス50℃にもなるそうですが、それでも町や村があって日常生活を送っている人達がいるとのことで、一体どんな国なのか、当時1984~85年にかけて、ロシア語通訳者としてシベリア横断の取材班と同行した、米原万里さんと一緒に覗いてみましょう。
まずは米原さん自身が身を以て感じられた率直な印象として、初めてヤクートの地に降りたときの反応が、その凄まじさを何よりも物語っており、ここに来る前に彼女たちは、東京の魚用の冷凍庫で防寒着のテストをマイナス45℃までしていたことから、飛行機の中で外はマイナス -
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ネタバレあの人は誰だったのか——。
志摩は、プラハのソビエト学校にいた舞踊教師オリガ・モリソヴナのことを考える。エネルギーに満ちた恩師は、謎も多かった。あの頃から30年経ち、ソビエトが崩壊したモスクワで、志摩がたどる歴史。
一気に読んでしまった。志摩のソビエト学校時代の友人たちの魅力に、細い糸を辿っていく謎解きに、明かされるラーゲリの生活に、ページをめくる手を止めることができなかった。限られた滞在期間をめいいっぱい使う志摩も、再会したカーチャも、謎解きに参加するナターシャやマリヤ・イワノヴナも、大きな情報をくれるガリーナも、ついに現れたジーナも、そしてもちろんオリガ・モリソヴナも皆エネルギーに満ち -
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ネタバレ【プラハのソビエト学校での友人との記憶と再会の記録】
また目を見開かれるような新しい人生について学びました。
ロシア語翻訳者で著者の米原万里さんは、1959年から1964年、中学校1年生までの5年 プラハのソビエト学校に通われていたそうです。
その当時に親しくなった3人の友人それぞれと、30年の月日を経て40台になった著者がその地を訪れて再会されています。
著者がそもそもなぜプラハのソビエト学校にいたのか、それは父親が共産主義関連の仕事をしていたからで、同じ学校に通っていた子どもたちも、同じような境遇にいて。
ブルジョワ階級と戦い、平等な社会を築くという思想であるはずの自分た -
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「いいかね、通訳者というものは、売春婦みたいなものなんだ。要る時は、どうしても要る。下手でも、顔がまずくても、とにかく欲しい、必要なんだ。どんなに金を積んでも惜しくないと思えるほど、必要とされる。ところが、用がすんだら、顔も見たくない、消えてほしい、金なんか払えるか、てな気持ちになるものなんだよ」(14p)
これが米原万里の師匠から授けられた「通訳者=売春婦」理論である。以降、米原万里は通訳料金の前払いを胸に刻み込んだという。
ずっとレビュアーの間から高い評価を勝ち得てきた米原万里さんのエッセイを初めて読んだ。通訳のあれこれだけで、1冊を書き通した。訳するということを全方位から解体しながら、 -
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食にまつわるエッセイ本。著者はロシアや東欧諸国に精通している為か、日本人には馴染みのない食物が次々と紹介されており、知的好奇心をかきたてる内容ばかりである。なかでも、「コロンブスのお土産」(p64〜66)は、今後の食糧問題を考えるのに良い。大航海時代、スペイン、ポルトガルはアメリカ大陸へ渡った。その中には、欧州にはない食物も運ばれた。具体的に言うと、トマト、ジャガイモ、トウモロコシが、当時のヨーロッパにとって珍しかった。ところが、食材として普及するのに時間はかかった。トマトは観賞用植物扱いで、ジャガイモに至っては、悪魔の食べ物と見なされた。(ちなみに、フランスでは18世紀末に、ロシアでは19