米原万里のレビュー一覧

  • マイナス50℃の世界

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    1984~85年にかけて、TBS取材班はソビエト連邦のヤクート自治共和国(現在はロシア連邦のサハ共和国)を訪れた。本書はこの取材班に同行したロシア語通訳・米原万里さんによる酷寒のシベリア紀行文である。
     「世界一寒い国」と言われるヤクートに降り立った朝、外気温はマイナス39℃。鼻の中の水分がたちまち凍って痛みが走り、自分の吐く息が空気中で凍って眉毛やまつ毛に真っ白になって張りつく。
     首都ヤクーツクではマイナス40℃以下になると人間や動物の吐く息や車の排ガス、家庭から出る湯気などが全て凍って街中が霧に覆われる。日照時間は一日4時間足らず。バスは停車するとエンジンが凍ってしまうため絶えず動いてい

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    2021年01月23日
  • 旅行者の朝食

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    やはりこの本で夢中になる話は間違いなく「トルコ蜜飴の版図」の項だろう。
    ここで出てくるハルヴァというお菓子、思い出の味を頼りに食べるもどれも違う。ニベアの缶に見た目は似ているらしいが、調べても見つけられず、こちらも余計にハルヴァが気になってしまう始末。ついには自分でいい感じの缶の入れ物を見つけ、手作りのハルヴァを入れて再現しようか?などと、考え中。

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    2021年01月16日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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     『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を先に読んでおいて良かった
    こちら同様にソビエト学校体験を時代的背景としながら、スターリン時代の闇にまでせまっていこうとさらに深く掘り下げた内容になる

    物語は1960年頃、ソビエト学校在学中に舞踊教師オリガ・モリソヴナの影響を受け、ダンサーを志した過去を持つ主人公が、30年後に元同級生らと、少女時代に垣間見たオリガの謎を解き明かしていくという展開である
    ある意味、ミステリーとしてもグイグイ引き込まれる
    その過程でロシア革命からスターリンの粛清、死後の批判という激動の時代が描き出されている
    タイトルからは想像もつかない深い内容であった

    ノンフィクションとい

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    2020年08月31日
  • 旅行者の朝食

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    ネタバレ

    ロシア語通訳者にして健啖家の著者。文章も軽妙でとても面白い。
    「旅行者の朝食」というとなぜロシア人は笑うのか。じつは国営企業が販売するおそろしくおいしくない缶詰の名だったという。この表題作が一番面白かった。

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    2020年03月07日
  • 他諺の空似 ことわざ人類学

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    定期的に読み返す本。
    世界の言語の偉大さと文化のつながりを教えてくれる。
    ちょっとした言い回しが、各国お国柄出てて超面白い。

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    2020年03月05日
  • マイナス50℃の世界

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    気楽に読んだ一冊。大黒屋光太夫について「光太夫オロシャばなし」と「おろしゃ国醉夢譚」を読みたいんです。

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    2020年01月07日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    おすすめ本として紹介されていたので、何気なく手に取り読んだら物凄く面白い。
    惹き付けられる。

    最初は、
    (ロシア…遠い国のお話かなぁ)と思ったが、
    話のスケールが大きく、かといって小難しいわけでもなく。
    ロシアについて、色んなことを知ることもできた。
    ストーリーが興味深く、文章も上手いので続きが気になってたまらなくなる。

    いつかまた再読する。

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    2019年12月01日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

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    チェコで学生時代を過ご、ロシア語通訳者として働く著者が、世界の様々な文化や考え方の違いと、そんな中でもみんな共通する特性などを面白く書いている。歴史や政治など固めの話や、ゴシップやしもねたなど軽い?話も織り交ぜてあって、楽しく読める。自分や自国の文化を絶対と思わず、何事も相対的でいろんな考え方がある、という大らかなスタンスが好き。

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    2019年11月07日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    ネタバレ

    すごかった。物語自体も面白かったけど、最後の対談の部分で放心してしまった。なんで自分はロシアや、共産主義の国に興味を(共感ではなく)うっすら覚えるのだろう?と思っていたが、なんか日本がニセ社会主義的だからだ、と指摘を読んで身にしみた。

    それは、今まで読んだ本の感想とか自分が会社を辞めたとかで、すごい実感をもって理解できた気がしたからだ。そうじゃなければ、ああ、そういう見方もできるかもね、なるほど、で終わってたかもしれない。でも、会社をやめて、でもまだ息苦しくて、世の中の人たちを見ていてどうしても自分との感覚が合わない部分があって、その息苦しさを言い表すのが社会主義的、というのを見つけて、なん

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    2019年08月27日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    この本は齋藤孝さんの『超速読術』という本を読んでいたら、速読な方の例として『打ちのめされるようなすごい本』を書かれた米原万里さんは1日に7~8冊読まれるそうです。と書いてあり、たまたま私はこの本を積んで手元に置いていたので、すぐに読みました。

    でも、この本すごいです。この本にこそ打ちのめされます。
    私がレビューなどするのは10年、いえ100年早いといわれそうな気がします。感想文だと思ってください。

    米原さんはロシア語通訳者であり、作家です。惜しくも2006年に亡くなられています。
    この本は二部構成で、第一部が私の読書日記(目次をよんでいるだけで楽しくなります)第二部が書評です。日記は200

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    2019年07月28日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    一体どこが違うのかね? ここで幼稚な感想文を書いてる自分と米原さんは。小学生と大学教授位の差があるから我ながら参ってしまう。
    本文にもあったが、書評と言うのは基本的に良いことしか書かれない。モノや人を評する時、貶す場合は舌鋒鋭くて大して中身がなくてもそれなりに迫力ある批評が書けるが、誉めるのはなかなか難しいものである。それにも関わらずこんなに多彩な表現で正確にその価値を伝えられる書評がこれでもかと言うほど読めるなんて幸せだ。まさに書評の活きた教科書。やっぱり圧倒的な読書量の差から来るのかな。
    惜しむらくは米原さんの亡くなる前年の2005年で終わっていること。もっと読みたかったよ。残念だ。

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    2019年05月14日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

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    ネタバレ

    英語ができないしもちろん他言語もできないわたしは、外国語を話せる、そして通訳ってだけで尊敬に値する。同時通訳さんなんて惚れ惚れする。そして通訳さんて、言語のコミュニケーションのプロ中のプロだけど、いかに相手に伝えることができるかなんだなと思った。そして雇われるっていう苦労もあり。あとやはり日本語のボキャブラリーが豊富で、そして美しい日本語を知っているからこそ、通訳ができるんだなと感動した。もっと勉強しよう。

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    2019年04月27日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    凄すぎだろうがよ、コレ。ラーゲリの壮絶さを読むと、これから先、生きてくのが怖くなってくる。だっていつこんな社会になるか分からないから。この作品は小説だけど、ラーゲリは真実なのだから。言わずもがな『嘘つきアーニャ〜』が下敷きになっており、かつ『心臓に毛が生えている理由』でこの小説の取材時のエッセイが入っているので、この二つを先に読むと、より面白い。

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    2019年03月17日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

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    魔女の1ダースは「13」だそうな。
    幼少を東欧で過ごし、ロシア語の通訳を生業としていた著者が、いろいろな国の常識の違いについて面白く綴っています。
    日本と外国の常識の違いだけでなく、同じ日本の中にも常識の違いが往々にしてあります。育った環境によるものなのでしょう。
    頭を柔らかくして、自分の常識に固執しない。いろんな常識を面白く捉えられる余裕を持つことが大事ですね。

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    2019年01月26日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    良い本は、否、良心的な本は索引がついている。
    浅い経験から、僭越ながら申し上げると、本を手にする度にそう思います。
    索引のある本がどれほど便利で助かるかー
    学校の教科書には必ず索引がついている、筈だ?

    デジタル化された現代、原稿はデジタルでスキャン出来るはずです。
    小難しい学術本や評論集などはぜひそうあるべきだと
    ついつい、ないものねだりをしてしまいます。
    いや、小説といえども、人名の索引は簡単に出来るはずだとも思っています。
    特に、登場人物が多い作品にはぜひそうして欲しい。

    今、読んでいる米原万里「打ちのめされようなすごい本」(文春文庫)
    という文庫本には、何と索引が2種類ある。
    書名と

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    2019年01月11日
  • 心臓に毛が生えている理由

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    「アーニャの真っ赤な嘘」で米原さんを知ったが、この本で大人になった主人公に出会えて面白かった。言葉に関する洞察力、知識量、垣間見える努力…すごいなあ。

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    2019年01月06日
  • 米原万里の「愛の法則」

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    小説家としてしか知らなかったけれど、まさか、こんな人だったとは!
    語られている内容に、一々納得させられる。
    いやー、一気読みでした。

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    2018年11月28日
  • 終生ヒトのオスは飼わず

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    "米原さんの四足家族を語ったエッセイ。
    動物たちへの愛情あふれる日常が垣間見れる。
    あとがきには、米原さんが逝ってしまった後の顛末も秘書の方が書いてくれている。"

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    2018年11月23日
  • ガセネッタ&シモネッタ

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    実際に読み終わったのは,ずっと昔.同じ本を3冊も買ってしまいました.1冊は入院した病院の看護師さんに.もう1冊は,入院していた友人のために.米原万里の本として,最初に読んだものです.こんな面白い本を書く人が亡くなって,非常に残念です.

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    2018年10月24日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    "ロシア語通訳、作家という肩書きを持つ著者。すでに残念ながらお亡くなりになっている。私が米原万里さんの本に出会った時には、著者はすでにこの世にはいなかった。残念でならない。この本は、米原さんの書評を集めた本。
    ロシアに関する本、癌に関する本、大江健三郎に関する本、が特に印象に残る。癌の治療を受けながら、癌に関する書物からいろいろ学びを得つつ(医薬、治療の宣伝本、駄本も多数あり、時間の浪費をしつつ)自らの治療に反映させている。
    書評から気になった本のタイトルは
    ・スミラの雪の感覚
    ・コーカサスの金色の雲
    ・赤いツァーリ 上下
    ・台湾人と日本人
    ・パーネ・アモーレ
    ・そして殺人者は野に放

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    2018年10月17日