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私たちの常識では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋渡し役、通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本です。大笑いしつつ読むうちに、言葉や文化というものの不思議さ、奥深さがよーくわかりますよ。
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Posted by ブクログ
チェコで学生時代を過ご、ロシア語通訳者として働く著者が、世界の様々な文化や考え方の違いと、そんな中でもみんな共通する特性などを面白く書いている。歴史や政治など固めの話や、ゴシップやしもねたなど軽い?話も織り交ぜてあって、楽しく読める。自分や自国の文化を絶対と思わず、何事も相対的でいろんな考え方がある...続きを読む、という大らかなスタンスが好き。
魔女の1ダースは「13」だそうな。 幼少を東欧で過ごし、ロシア語の通訳を生業としていた著者が、いろいろな国の常識の違いについて面白く綴っています。 日本と外国の常識の違いだけでなく、同じ日本の中にも常識の違いが往々にしてあります。育った環境によるものなのでしょう。 頭を柔らかくして、自分の常識に固執...続きを読むしない。いろんな常識を面白く捉えられる余裕を持つことが大事ですね。
マリさんの本を読むと、言葉のセンス、世の中のや人に対する見方にとても感心します。多分彼女の人生経験と読書体験の凄さ、仕事で培ってきたであろう人脈と言葉の感覚、多角的なものの見方・・・もっと話を聞きたい!と思わせてくれます。いくらなんでも魔女の集会に参加した日本人ってそうそういないだろうなあ。 本書は...続きを読む、自分が常識だと思っていることが、場所が変われば非常識、文化や言葉の違いを面白おかしく書いている本です。 個人的には、第7章の「⚪︎⚪︎のひとつ覚え」、第10章の「遠いほど近くなる」が興味深かったです。第3の視点を持つ。面白かった。
すげーよくわかったw。 別の視点から見ること。そして解説がうまくまとめられていて、これまたすごい(^^)
「豊か」ということを感じる。知識がひろく、懐が深く。異文化を知り、正義や常識は同一でも不変でもないことを知っていることにも拠るのだろうか。 自分を知るためには、他者を知らなければならないのだな、と反省。
モスクワで「魔法使いの集会」に参加した。 全く魔力もないし占いも当たらない微笑ましきニセモノばかりだったが、筆者だけがロシア語ができたせいか『悪魔と魔女の辞典』という小さな本をくれた。 人間界の常識とは色々逆さの意味になっている。 一例としては(割と知られたフレーズではあるが)「1ダース」を表す数字...続きを読むは、人間界では「12」だが、魔界では「13」だという。 米原万里は、ロシア語の通訳として、異文化の仲介役を仕事としていたから、文化と文化を見比べなくてはならない場面に多く立ち会ってきた。 本書の中では、異端人が別の目で世界を見た時、常識がくつがえる、そんな瞬間が紹介されている。 下ネタ多く公共交通機関の中で読むのは危険だが(笑いが止まらなくなる)、ソ連が崩壊する激動の時期に多くの仕事をして来た筆者の、政治的視点、歴史的視点も真剣に書かれている。 なるほど、戦争がどうしても起こってしまうのは、人間のこういった性(さが)とか業(ごう)のなせる技なのだろうなとも実感した。 「汝の隣人を愛せよ」は、なかなか実行が難しい。 (ちなみに現在、『世界くらべてみれば』というテレビ番組が放送されていて、これがとても面白い) 第1章 文化の差異は価値を生む トルコへ旅行した日本人女性が乗り合わせた、髭面の男性ばかりの「水着女を見に行くツアー」 イスラム圏では、水着はおろか、女性の顔さえも拝めない。 「希少価値」は商売になる。 第2章 言葉が先か概念が先か 言葉を「概念」に直し、それを別の国の「概念」を通してその国の言葉に訳するという手法の自動翻訳機が開発されている。 「概念」は文化によって違うし、その微妙な違いを介して訳すのは無理ではないかと著者は思う。 第3章 言葉の呪縛力 「販売元:福島県」と記載されていたから、産地も福島県だと勝手に思っていたら・・・ 第4章 人類共通の価値 ベトナム語は、鳥の名前には前に必ず「チム」と冠する。 鳩は「チム・ボコ」 あなたも気付かぬうちに、ある国での下ネタを口走っているかも。 第5章 天動説の盲点 大多数の人々にとって、世界は自己や自民族中心に回っている。 相手の身になって考えることには限界がある。 第6章 評価の方程式 期待が大きいと、失望も大きい。 上昇志向の強い人間は、なかなか幸せになりにくい。 第7章 ○○のひとつ覚え ロシア経済改革のシンポジウムに参加した学者たちを見て、 アメリカ側だけがロシア語も日本語もかじったことさえ無い人物ばかりだった。 「国際語」を母国とするアメリカ人は、外国語を学ぼうとしない。 それは、異なる発想法や常識に対する想像力を貧しくしている。 第8章 美味という名の偏見 「星は輝き、花は咲き、イタリア人は歌い、ロシア人は踊る」という名文句があったが、「中国人は料理する」と加えたい。砂漠のど真ん中にあっても、皮から餃子を作る。 第9章 悲劇が喜劇に転じる瞬間 モスクワの空港での、爆買いベトナム人と空港税関職員たちの熾烈な攻防戦。 待たされてイライラしてしまうが、視線をズームアウトして、「木を見て、森を見る」と悲劇が喜劇に転じる。 それは「第三の目」の効用で、昔からの政治の「三権分立」がこれに当たる。 スターリンが失敗したのは、権力を一つに集めたから。 第10章 遠いほど近くなる 外国語を習う場合、近い言語系の人が最初の上達は早いが、いつまで経っても母国語訛りが抜けない。系統が近いゆえ、干渉が起こってしまう。 逆に、全く関係のない言葉の国から来た人の方が、最初こそ苦労するが、最後はきれいに話せるようになる。 第11章 悪女の深情け 振り向いてくれない高嶺の花ほど追いたくなり、女が自分に夢中になってくると飽きてくる、追われるようになると逃げたくなる、そんな男性心理はよく小説にも描かれている。 この心理は男性に限らない。 (「蛙化現象」も似てるかな?) 第12章 人間が残酷になるとき 戦争を防止する最良の手段は、なるべく多くの異なる国の人たちが直接知り合うことだとも思える。 人間は人間を一番愛しているかと問われれば、そんなことはない。 見知らぬ人の訃報より、自分のペットの死の方が悲しい。 また、動物を愛する人は心が優しいなどと言うのも一般的ではなく、600万人ものユダヤ人を死に追いやったヒットラーは犬が大好きだった。 権力者の行う「観念操作」で最も頻繁に用いられるのが、国とか民族への「愛国心」なるもの。 点火しやすくすぐ燃え上がるから「異なるもの」への憎しみを焚き付けやすい。 第13章 強みは弱みともなる 塩野七生氏の歴史観。 ヴェネツィアは、外からの人の受け入れを拒否することで大を為したが、その方針を貫き通したため衰退せざるをえなかった。 古代ローマは、門戸を開いたことで大国となったが、衰退も同じ要因で起こった。 エピローグ 物は考えよう⇒別の視点から見る 異端との出会いこそが、自身の立っている場所を明確にする。 解説 徳永晴美 米原万里の視点は、帰国子女ならではのもの。それも、社会主義国からの再突入による摩擦熱の大きさによる。 それはほとんど、異星人としての体験だったのではなかったか。
タイトル買いしたので中身分かってなかったけど、メルヘンじゃなくて辛口だった!でも全然良き裏切りで、ものの考え方がこうも違うし、でも同じところもあることもある、と言うことが面白おかしく時にシビアに読めました。
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」に次ぐ同著者の二冊目の本。 副題が「正義と常識に水を浴びせる13章」。文化の差異が異なる価値観を産み、異なる文化が異なる言語を産み、美味の評価も変わったり、異文化の交差でそれぞれの文化が際立ったり、また、それが異文化の排斥に繋がったり、文化と言語の違い等で愛国心が芽生...続きを読むえたり、その愛国心を手玉に政治家に馬鹿みたいに騙されたりもする。 文化の多様性の裏表を同時通訳者の著者が下ネタを随所に散りばめながらの実話の数々面白く読みました。 正義と常識は、絶対でないも、それぞれの正義と常識を認め合うことや理解することが大事であり、またその為にも知識や経験を広げることでその一助になるのではないかと思いました。
「そういう考え方もできるのか」とか「そんな事情があったのか」など、新たな発見に満ちた一冊だった。 何より、これまでの経験や見聞きした情報から一冊の本にまとめ上げる著者の能力に脱帽。 アメリカに批判的な部分も個人的には好感。
「常識」というある種の「先入観」に凝り固まった「大人」に思いっきり冷や水を浴びせかける軽妙なエッセイ「13」章。 私たちの「常識」では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋...続きを読む渡し役、ロシア語通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本。 全編を貫くのは、世の中に絶対というものはないという警鐘。いわゆる常識、先入観、思いこみがどれほど当てにならず誤解のもとになるか。例えば体型に関する意識調査では、80%もの日本人女性が自分の体型に不満という結果が。悲しいかなマスメディアもファッション誌もブティックのマネキン人形も、こぞって八頭身欧米人型体型を「理想」として日本人の脳味噌にインプットし続けた結果だと著者は喝破しています。その考えに触れるだけで、ふっと心が軽くなる。 どんなお偉方も権威も、下ネタも、米原女史の手にかかれば相対的に描かれて唸ります。米原氏が師匠と慕う徳永晴美氏に言わせればそこは「宝石箱と汲み取り式便槽の中身を一挙にブチマケタような、おぞましい知の万華鏡の世界。だが、恐れてはならない」。飛び込めば、実に爽快な世界です。
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