米原万里のレビュー一覧

  • 打ちのめされるようなすごい本

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    ネタバレ

    まさにタイトル通り打ちのめされること必至の本。前半の読書日記、後半の書評集、珠玉のような言葉の洪水。ほとんどが未読の書ながらその本の良さがグイグイと伝わってきました。前半の日記は、当時の世相を本質を見抜く目で鋭くコメントしつつ本に触れるという離れ技。
    最後の癌との闘いは壮絶でありながら冷静で魂の強さを感じました。

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    2022年08月21日
  • 発明マニア

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    米原万里がガンを患いながらも継続した仕事2つのうちのひとつが本書だという。真剣に怒り、憂い、考えた数多の発明。これらが実際的に発明可能かはさておき、真剣だからこそ、驚きがある。こんなのあればいいなと、こちらも真剣に思う。
    20年近く前から、政権が抱える問題も、環境破壊の問題も何ひとつ変わっていない。この頃からずっと言われてきた問題なのだと感じる。もし米原万里が今の世にいたら何を発明したのか、是非見てみたい。

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    2022年07月14日
  • 心臓に毛が生えている理由

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    このところのロシアを見ていて、著者の本がたまらなく読みなくなり手に取りました。

    ソビエト、東欧にフォーカスした著者の目線は、今まで知らなかった世界への目を開かせてくれます。

    著者の快活なエネルギッシュさを感じる、歯切れの良い文章にも元気をもらえます。

    久しぶりに「嘘つきアーニャ」と、「オリガ」も読み返してみようかな。著者が今も生きていたら、今のロシアをどう見るのかな。早逝が惜しまれます。

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    2022年07月07日
  • マイナス50℃の世界

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    とっても面白かったです!
    地球上で、一番寒いのは北極じゃなかったんですね。
    永久凍土の上の層が夏になると溶けるせいで、家は傾いてしまうんですね。
    マイナス50℃の世界では、スケートって出来なくて、チェーン無しでもスリップしないんですね。。
    摩擦熱ごときでは氷は溶けない。。
    食べ物の話(狩猟民族の食事、日本人たるもの、日本食から離れられない話など)や、川や湖の話、プラスチックやビニールは通用しないという話など、どれも興味深く読みました。
    住めば都ということで、人間の慣れ、順応力って物凄いものがありまふ。。

    久しぶりの米原万里でした!こんな本もあったんですね。知らなかった!
    粋な日本語センス、私

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    2022年06月09日
  • ロシアは今日も荒れ模様

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    通訳者ならではの洞察力の数々。TVやニュースで見聞きしてきたイメージとの違いに目から鱗。作者ならではのユーモアと毒舌で綴られているエッセイ。

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    2022年02月15日
  • ヒトのオスは飼わないの?

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    米原万里と犬猫の波瀾万丈な物語。激務をこなしながらも愛猫愛犬に愛情いっぱい振る舞う米原万里の姿はあまりにも健気である。
    田丸公美子の解説が米原万里の魅力をより引き立たせている。

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    2022年02月13日
  • 旅行者の朝食

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    読書家の友人がこぞってお薦めしていたのですが、ようやく読みました。
    ロシアの食文化の紹介と米原さん自身の食に対する愛の深さが、読みやすい文体で書かれていて、サクサク読み進められました。
    そして、出てくる食べ物がどれも食べたくなってきます。
    特にハルヴァという食べ物が気になって仕方ありません。
    なかなか行ける機会はなさそうですが、ロシアに行ってみたいと思わされます。
    旅行の出来ない今の世の中だからこそ、海外の文化を知るこのようなエッセイを読むことで、旅気分を味わうのも良い気分転換になると思います。

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    2022年01月12日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    緻密な歴史ノンフィクションとドラマティックなフィクションの融合、共産主義の凄惨な過去と生き生きとした学生生活とのギャップ、志摩とカーチャの快活な語りと単純にミステリとしての面白さで読む手が止まらなかったです。常に光と闇の対比があり、ソ連政権下で必死に生きた人々の人生がくっきりと映し出されています。歴史の影に埋もれた、あったかもしれない話に胸を打たれました。

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    2021年11月29日
  • 旅行者の朝食

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    楽しいです。お腹が空きます。人生に悩んでいる人にオススメです。シンプルにおいしくごはんを食べることこそが「しあわせ」だとわかる本です。

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    2021年10月28日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    ソ連の大粛清時代に、屈辱や理不尽な仕打ちの中を生き抜いた女性たちの力強さを感じる傑作大河。
    悲惨な表現もある中、ともすれば暗い内容になりがちだが、主人公とそのパートナーに茶目っ気があり、絶妙な雰囲気となっていた。
    フィクションだが、ノンフィクションに近く歴史の勉強にもなる。

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    2021年10月23日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    書評のあつまりです。
    一つ一つが重く、息苦しい感があり、ぎゅっと固まったチーズを薄くそぎながら前に進むイメージです。
    鋭い論評と、博学で、事実と経験に裏付けられた内容にて、圧倒されます。
    他の書も読んでみたくなりました。

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    2021年08月25日
  • 打ちのめされるようなすごい本

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    米原万里の書評集。週刊文春に連載していた「私の読書日記」と、各誌・紙に書いていた書評を集めたもの。文庫本には、井上ひさしと丸谷才一の解説がついている。
    「打ちのめされるようなすごい本」という題名の書評集であるが、本書を読んだ人は、米原万里のすごさに打ちのめされる部分があるのではないか。その読書量、博覧強記さ、歯に衣着せぬ表現、書かれていることの鋭さと独特の感性。米原万里の本を読むのは5-6冊目だと思うが、あらためてすごい人だったのだと感じた。

    週刊文春の「私の読書日記」の連載は、2006年5月18日号まで続いている。一方で、米原万里が癌で亡くなったのは、2006年5月25日。亡くなる直前まで

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    2021年08月11日
  • ロシアは今日も荒れ模様

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    ロシア産以外のシャンパンは本場フランスのものでも「スパークリングワイン」と呼ぶというとんでもない法律がロシアでできた、それは原産地の名称保護の動きの一環でアルメニア産の酒に「コニャック」の名称を使わないとした影響かもという記事を読んで、アルメニアのコニャックの通訳譚を思い出して、本箱から掘り出して読み始めたら最後、もうとまらない。ゴルバチョフやエリツィン、ロストロポーヴィッチらの職業上の守秘義務に引っかからないギリギリのエピソードでもここまでおもしろいとなると、墓までもっていったであろうエピソードはどんなにすごかったのだろうと改めて思う。(2021.8.1)

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    2021年08月01日
  • 旅行者の朝食

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    ロシア語同時通訳者として古今東西に通じる深い教養を持つ一方で、歯に衣着せぬ物言いから「舌禍美人」とも自称する才媛である著者。血液型で人の性格を類型化することを面白がる人に対して、「私は、人類をわずか四つに分類して考えるような馬鹿とは、絶対に友達になりません」とバッサリ切り捨てる。こういう性格、好きだなぁ。

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    2021年05月15日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

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    著者の絶筆に著者の魅力が詰まっている。

    異文化摩擦の最前線である通訳として従事した著者の経験から、通訳翻訳の魅力が記された本。我々が日常的に享受している通訳業者の恩恵だが、その裏側には喜劇悲劇が隠されている。
    本書は一度でも母国語以外の外国語を勉強した者にとって大変共感出来る場面が多く存在する。

    また、あとがきの後に編集部注として本書出版後、編集部宛に届いた引用誤りの手紙に対する著者の返信が記されている。これが著者の絶筆だそうだが、ここに著者の魅力が詰まっていると感じた。

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    2021年03月19日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

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    何度目かの再読。前日に読んだ本に引用されていたので。内容については語るまでもない、通訳から見える素晴らしい異文化間コミュニケーション論。この本は、2007年以降?の版の巻末に、編集部注として、読者から指摘された間違いに対して、筆者がそれを認め感謝する内容の返信にして絶筆が掲載されているのだが、必読。

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    2021年03月19日
  • ガセネッタ&シモネッタ

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    何度目かの再読。先日みたゲンロンイベントで翻訳の奥深さに感銘をうけ、久しぶりにこの抱腹絶倒の通訳エッセイを読みたくなった。「つまるところ、言葉からどんな意味を読み取り、どんなイメージを立ち上らせるかは読み手次第なのだ。」p.259。

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    2021年03月16日
  • 旅行者の朝食

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    再々・・・読。米原さんのエッセイを時に読み返すことは、冷戦時代を改めて学ぶことでもあり、笑い転げながら今を見つめ直す機会となる。食に纏わるあれこれが主軸なので、全く米原エッセイを読んだ方にもお勧めの一冊。

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    2021年02月27日
  • 旅行者の朝食

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    落語のように話がしっかりして面白い。
    小学生の頃、読売だったような気がするが、新聞の日曜版にも連載をされていた気がする。お亡くなりになられていたと、この本を調べている時に知った。ご冥福をお祈りいたします。
    米原さんの力量も大いに関係しているのだとは思うけれど、食のエッセイというのはなんでこんなに面白いのだろうか。食というものが人間の本能に訴えているからだろうか。
    米原さんの他の作品も読みたくなった。

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    2021年02月25日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

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    米原さんがモデルの主人公が、在籍したプラハ・ソビエト学校の先生の半生を追う謎解きミステリー。実体験や史実がふんだんに織り交ぜられ、登場人物が魅力的で、フィクションであることを忘れそうになりながら500ページあっという間に読み終えました。 嘘つきアーニャの真っ赤な真実はノンフィクション、この本はフィクションと違いはあるものの、どちらも冷戦時代の厳しい環境の中で生きる人々の様子が活き活きと描かれ、ここからどうなるんだろうと、ドキドキわくわくの読書体験でした。
    米原さん、プラハ時代のこと、本当に大切に思ってたんだろうなあ。

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    2021年02月08日