米原万里のレビュー一覧

  • 打ちのめされるようなすごい本

    Posted by ブクログ

    とにかく網羅される分野が富んでいて感嘆する。日に7冊読むそうだ。厳選された本の書評は宝とも言える。アメリカや外務省、メディアなどに対する著者の指摘は的を得ていて痛快だ。本作で読みたい本のリストに114冊加わった。辞書とスマホ(メモ帳に著者と書名をメモするため)を使いまくった読書体験は初めてで、いい経験となった。

    0
    2019年03月20日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

    Posted by ブクログ

    幼い頃チェコのソビエト学校で学んだ著者の経験から生まれたミステリー仕立てのストーリーで一気に読ませる。ディテイルが自身の経験で裏付けされているので説得力がある。スターリン時代の恐怖に支配される人々の日常、強制収容所での過酷な生活がリアリティを持って描かれる。主要人物の1人エレオノーラ ミハイロヴナ最期の告白で人間の弱さとそこから生まれる苦しみが描かれており、この小説に一層の深みを与えている。

    0
    2019年01月26日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

    Posted by ブクログ

    何ともショッキングなタイトルですが、これは通訳における「いい訳」がいかに成り立ちにくいかを表したもの。原発言を正確に伝えているかという座標軸を、貞淑度をはかるものとし、訳文がどれほど整っているか、響きがいいかを女性の容貌に喩え、その2つが両立しがたいことを指している。通訳と聞くと、原文を即座に流暢な外国語に訳出すると大雑把にとらえがちだけれど、通訳に携わる人たちが、いかに正確で、自然な訳を作るために心を砕いているかが、ユーモアたっぷりに描かれています。

    翻訳と比較した中でも通訳の宿命といえば、圧倒的な時間の制約。「時の女神は通訳を容赦しない」「手持ちの駒しか使えない」と著者も語っているとおり

    0
    2018年12月24日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

    Posted by ブクログ

    「常識」というある種の「先入観」に凝り固まった「大人」に思いっきり冷や水を浴びせかける軽妙なエッセイ「13」章。

    私たちの「常識」では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋渡し役、ロシア語通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本。

    全編を貫くのは、世の中に絶対というものはないという警鐘。いわゆる常識、先入観、思いこみがどれほど当てにならず誤解のもとになるか。例えば体型に関する意識調査では、80%もの日本人女性が自分の体型に

    0
    2018年12月23日
  • 発明マニア

    Posted by ブクログ

    "ロシア語の同時通訳者であり、多くの書物を世に出したユニークな思想を持つ才女米原さん。
    彼女の本を読むと、いかに自分の知らない事柄が多いかを思いさらされる。
    犬や猫をこよなく愛した人柄がうかがえる発明もあったり、
    政治的な風刺をこめたものであったりする。
    あじのあるイラストもあり、楽しめること間違いない本"

    0
    2018年11月23日
  • 米原万里の「愛の法則」

    Posted by ブクログ

    「愛の法則」というタイトルだが、愛について語っているのは、最初の1章のみ、残りの章は翻訳者ならではの国際感覚の話、語学勉強法の話など、タイトルとはそぐわない?というか、今のタイトルではもったいない話が満載。翻訳者を目指している人、国際化が必要と叫んでいるひとには一読を勧めたい。
    個人的には、英語ともうひとつの外国語を学んでいたほうが良いという意見が斬新。また、読書が良い学習法というのも、読書好きにとってはうれしい提言である。

    以下注目点
    ・国際化(グローバリゼーション)とは
     アメリカ型:自分を世界の基準にしようとする。
     日本型:世界の基準に自分を合わせようとする。
    ・言葉とか文化は、自分

    0
    2018年11月12日
  • 偉くない「私」が一番自由

    Posted by ブクログ

    付き合いのあった佐藤優が米原万理の作品を紹介している。米原作品を読む前に読むと参考になるだろう。東京外大ロシア語学科の卒業論文も含まれていて、ネクラーソフの生涯について書かれてある。ネクラーネフって初めて聞いたが、米原万理が選んだのはよくわかる。

    0
    2018年10月05日
  • ヒトのオスは飼わないの?

    Posted by ブクログ

    ロシア語会議通訳で作家。犬猫大好きで、モスクワで人目見て気に入った猫を買ってしまうぐらい。犬猫好きにはたまらない本です。

    0
    2018年08月09日
  • ロシアは今日も荒れ模様

    Posted by ブクログ

    根っからの歴史音痴の私でも、何度もロシアの要人の名前を目にすることで、おぼろげながら輪郭がつかめてきた。また、ちょこちょこ登場する小咄もおもしろい。それでも、本書は、素地のある人の方が何倍も楽しめるだろうとは思う。

    ところにより、ロシアのトイレが汚いらしい/ロシア人の温かい人柄/社会主義は失業者を出せない/フィンランドからの酒飲みツアー需要で、売春婦が生まれた?/宇宙開発への特別な思い/ダーチャで自給自足/ロシア人の雄大な空想力/オウムとロシア?/レニングラード→サンクトペテルブルク/日本への感情に疑問/スターリン時代に民族強制移住/コーカサスと旧約聖書との関係/握手は女性から

    0
    2018年06月08日
  • ヒトのオスは飼わないの?

    Posted by ブクログ

    ひたすら待つワンちゃん猫ちゃんについて語られる一冊。しかし、随所によりユーモアが盛り込まれており隙がない、引き込まれてしまう

    0
    2018年05月27日
  • オリガ・モリソヴナの反語法

    Posted by ブクログ

    いやー泣いてしまった。後半怒涛の畳み掛けと人情深いラストシーンの良さよ。社会に翻弄され、屈する人も屈しない人もそこまでも生きられなかった人も、登場人物がみな、善悪ひっくるめてとても味わい深い魅力があった。繰り返しになるけど多分一言で言うとその魅力ってのは人情とか人間らしさとかそういう類のものなんだろな。なんかうまく言えない。けど、すごく良い小説でした。

    0
    2018年05月16日
  • ロシアは今日も荒れ模様

    Posted by ブクログ

    ソ連崩壊から少し前までのロシアが良く分かった。ウォッカの話も面白いです。小咄が面白すぎ。ロシア人の素朴さと壮大な社会主義が創り出したもの。ゴルバチョフ、エリツィン、対照的で面白い。エリツィンは少しトランプに似てる気もするけど、もっと暖かくロシアっぽい

    0
    2018年04月27日
  • 不実な美女か貞淑な醜女か

    Posted by ブクログ

    何をどこまでどう訳すか。
    同時通訳中、未知の言葉に出くわしたら、ダジャレを連発されたら、ののしり・シモネタ・差別語には…。
    いやはや、日々の努力である。機転である。そしてきっと度胸も。

    ご本人及び同業者たちの実感のこもった体験談から小咄裏話まで、あふれそうなほどにびっしり!
    どれをとってもそのままコントになりそうだし、実際寸劇仕立てのも。
    時に殺意を覚えるともいうこれらの話に、絡めて語られているのが論理的に解析された彼女の通訳論。
    バサバサときっぷのいい米原節炸裂である。

    まだまだたくさんの引き出しをもっていそうな米原さんの話にもう触れることができないのかと思うと、つくづく残念である。

    0
    2019年12月14日
  • マイナス50℃の世界

    Posted by ブクログ

    読売新聞の書評に載っていたので読んでみる。
    ロシアという極寒の地に、撮影クルーと共に行った時のことを綴った一冊。
    シーナのエッセイで読んだことあるな、と思ったら、どうも一緒に行っていたらしい? この旅の直前、シーナは真反対の半球オーストラリアで旅をしていたので、寝るばかりだったとか。
    米原さんのエッセイは含蓄に溢れていて、実に読みごたえがある。今回は写真付きなので、ロシアの食べ物が想像しやすい。肉料理のオンパレードだ。

    ヤクート自治共和国は北極よりも寒い地。
    「お元気ですか、こちらはもうすっかり暖かくなりました。外の気温は-21℃。暑いほどです」
    9℃になってひぃひぃ言っている世界とは違う世

    0
    2018年03月20日
  • 米原万里の「愛の法則」

    Posted by ブクログ

    亡き著者の講演録。なので全て話し口調。
    才能も有ったのだろうが、ああ、こうして磨き上げて来たのか...と納得。
    同時通訳ってのは、本当に脳の左右をフル回転させるのだろうなあと改めて感じた。

    0
    2018年01月20日
  • 打ちのめされるようなすごい本

    Posted by ブクログ

    米原万里は優れたエッセイストだと思っていたが、この本を読むと、よくいるエビデンスなく印象論であれこれ述べるタイプの知識人という部分も強かったのだなあと思うし、このような人を良しとしているから近藤誠を信じてしまったのだなあと心が痛む。

    0
    2018年01月14日
  • ガセネッタ&シモネッタ

    Posted by ブクログ

    通訳の話も興味深かったが、ロシア文学者についての文章も面白かった。
    もてる作家は作品も短い。
    日本文学に置き換えても、結構当てはまるかも。

    それから、鉄のカーテンの話。
    本来は劇場の防火幕という意味。
    日本の辞書には、東西冷戦の際の分断の比喩で、チャーチルの演説で有名になったことしか触れていない。(小学館の『大百科事典』では初出がゲッペルスだったということまで乗っているらしい。)
    それに対して、ロシアの辞典やフランスの辞典では、ちゃんと原義が載っているとのこと。
    いろいろな言語ができたら、こんな引き比べもできるんだなあ、と羨ましく思った。
    まあ、煩わしいかもしれないが。
    そrrから、この話、

    0
    2017年06月18日
  • ガセネッタ&シモネッタ

    Posted by ブクログ

    言葉について考えるには良い本。英語習得が子供を国際人にすると勘違いしている親に読ませたい。こういう人を本当の文化人と言うのではないか。それにしても惜しい人を無くした。

    0
    2017年06月08日
  • 魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―

    Posted by ブクログ

    万里さんがトランプがアメリカの政権握っていること知ったら何ていうかなぁ。
    各国政治からシモネタ、小咄、守備範囲が広すぎる。
    徳永氏のエピローグもさすが万里さんの師匠...男だったとは。

    0
    2017年06月02日
  • 嘘つきアーニャの真っ赤な真実

    Posted by ブクログ

    本書は、著者がプラハ在住時に通ったソビエト学校時代の3人の同級生に会いに行くという話です。著者は、チェコスロバキア 、ドイツ 、ルーマニアと旅をし、最後に現在も紛争地で第一次世界大戦のきっかけとなったセルビアに向 かいます。事実は小説より奇なりなノンフィクションです。旅行記としても素晴らしく、筆者の行動力に頭が下がります。

    0
    2025年12月21日