米原万里のレビュー一覧
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何ともショッキングなタイトルですが、これは通訳における「いい訳」がいかに成り立ちにくいかを表したもの。原発言を正確に伝えているかという座標軸を、貞淑度をはかるものとし、訳文がどれほど整っているか、響きがいいかを女性の容貌に喩え、その2つが両立しがたいことを指している。通訳と聞くと、原文を即座に流暢な外国語に訳出すると大雑把にとらえがちだけれど、通訳に携わる人たちが、いかに正確で、自然な訳を作るために心を砕いているかが、ユーモアたっぷりに描かれています。
翻訳と比較した中でも通訳の宿命といえば、圧倒的な時間の制約。「時の女神は通訳を容赦しない」「手持ちの駒しか使えない」と著者も語っているとおり -
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「常識」というある種の「先入観」に凝り固まった「大人」に思いっきり冷や水を浴びせかける軽妙なエッセイ「13」章。
私たちの「常識」では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋渡し役、ロシア語通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本。
全編を貫くのは、世の中に絶対というものはないという警鐘。いわゆる常識、先入観、思いこみがどれほど当てにならず誤解のもとになるか。例えば体型に関する意識調査では、80%もの日本人女性が自分の体型に -
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「愛の法則」というタイトルだが、愛について語っているのは、最初の1章のみ、残りの章は翻訳者ならではの国際感覚の話、語学勉強法の話など、タイトルとはそぐわない?というか、今のタイトルではもったいない話が満載。翻訳者を目指している人、国際化が必要と叫んでいるひとには一読を勧めたい。
個人的には、英語ともうひとつの外国語を学んでいたほうが良いという意見が斬新。また、読書が良い学習法というのも、読書好きにとってはうれしい提言である。
以下注目点
・国際化(グローバリゼーション)とは
アメリカ型:自分を世界の基準にしようとする。
日本型:世界の基準に自分を合わせようとする。
・言葉とか文化は、自分 -
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根っからの歴史音痴の私でも、何度もロシアの要人の名前を目にすることで、おぼろげながら輪郭がつかめてきた。また、ちょこちょこ登場する小咄もおもしろい。それでも、本書は、素地のある人の方が何倍も楽しめるだろうとは思う。
ところにより、ロシアのトイレが汚いらしい/ロシア人の温かい人柄/社会主義は失業者を出せない/フィンランドからの酒飲みツアー需要で、売春婦が生まれた?/宇宙開発への特別な思い/ダーチャで自給自足/ロシア人の雄大な空想力/オウムとロシア?/レニングラード→サンクトペテルブルク/日本への感情に疑問/スターリン時代に民族強制移住/コーカサスと旧約聖書との関係/握手は女性から -
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何をどこまでどう訳すか。
同時通訳中、未知の言葉に出くわしたら、ダジャレを連発されたら、ののしり・シモネタ・差別語には…。
いやはや、日々の努力である。機転である。そしてきっと度胸も。
ご本人及び同業者たちの実感のこもった体験談から小咄裏話まで、あふれそうなほどにびっしり!
どれをとってもそのままコントになりそうだし、実際寸劇仕立てのも。
時に殺意を覚えるともいうこれらの話に、絡めて語られているのが論理的に解析された彼女の通訳論。
バサバサときっぷのいい米原節炸裂である。
まだまだたくさんの引き出しをもっていそうな米原さんの話にもう触れることができないのかと思うと、つくづく残念である。
通 -
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読売新聞の書評に載っていたので読んでみる。
ロシアという極寒の地に、撮影クルーと共に行った時のことを綴った一冊。
シーナのエッセイで読んだことあるな、と思ったら、どうも一緒に行っていたらしい? この旅の直前、シーナは真反対の半球オーストラリアで旅をしていたので、寝るばかりだったとか。
米原さんのエッセイは含蓄に溢れていて、実に読みごたえがある。今回は写真付きなので、ロシアの食べ物が想像しやすい。肉料理のオンパレードだ。
ヤクート自治共和国は北極よりも寒い地。
「お元気ですか、こちらはもうすっかり暖かくなりました。外の気温は-21℃。暑いほどです」
9℃になってひぃひぃ言っている世界とは違う世 -
Posted by ブクログ
通訳の話も興味深かったが、ロシア文学者についての文章も面白かった。
もてる作家は作品も短い。
日本文学に置き換えても、結構当てはまるかも。
それから、鉄のカーテンの話。
本来は劇場の防火幕という意味。
日本の辞書には、東西冷戦の際の分断の比喩で、チャーチルの演説で有名になったことしか触れていない。(小学館の『大百科事典』では初出がゲッペルスだったということまで乗っているらしい。)
それに対して、ロシアの辞典やフランスの辞典では、ちゃんと原義が載っているとのこと。
いろいろな言語ができたら、こんな引き比べもできるんだなあ、と羨ましく思った。
まあ、煩わしいかもしれないが。
そrrから、この話、