米原万里のレビュー一覧
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ネタバレ手厳しい…!と思いながらも、米原さんの目線も文章も好きです。面白かった。
20年前くらいに書かれた文章がほとんどですが、国内も世界情勢もむしろ悪くなっていってて、今もし米原さんがいらっしゃったらどんな文章書かれたんだろう…と早逝が悔やまれます。辛口が加速していたかも。
「愛の証」の、愛国を法整備していきたい人はそんなに自分の愛国心に自信がないのか、みたいなところを読んで(今じゃ学校教育に愛国教育あります)と思いました。米原さんからスパッと斬られそう。
愛国=妄信して、盲目になんでも「いいね!従う」ということではないです。国を憂えて、良くしていくために批評するというのも愛国だと思います。
…井上ひさしさんも「ついに、日本の戦後は終わり、戦前になった」っておっしゃってたんだ。20世紀中に書かれた回で引用されてる。。
この本が出版されたときに既に詰んでいたらしい日本、これからどうなる………世界も。パンピーは国内外ニュースを見て考えるしか無いです。暗い気持ちになる。 -
Posted by ブクログ
主にゴルバチョフ・エリツィン時代のソビエト・ロシアについて書いた文章を集めたもの。
前半はウォトカとロシア人についての文章を集めた、米原さんらしい仕上がり。
後半はペレストロイカが国民に及ぼした影響とか、少し固めな題材。
通訳として接したゴルバチョフ・エリツィンのキャラクターとロシア国民との関係性を描くことで、ゴルバチョフが国民の支持を失った理由の一端を説明している。
エリツィンの泥酔キャラは、あれはあれで国民受けはよいのだという話は腑に落ちる部分はある。
本筋とは全然関係ないが、米原姉妹は映画や活字で目にしたら同じ食べ物に反応して食べたくなり、『哀愁の町に霧が降るのだ』(椎名誠)のカツ丼の一節を読んで(別々のタイミングなのに)2人とも食べたのだという。
「椎名誠氏とご一緒したときに、このカツドンのくだりをめぐる姉妹類似反応について申し上げたら
『イヤーッ、オレもあのカツドンのところは、力入れて書いたから』
と照れくさそうにおっしゃった。そのときだった。
『もしかしたら、わたしと妹だけでなく、少なくとも10人に1人の読者は同じような反応をしたのかもしれない』
と思い至ったのである。」
この、10人に1人には私も含まれる。あの椎名誠が書いたカツ丼は本当に食欲をそそるのだよね。 -
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ネタバレ人との繋がり。
旦那氏が買ってきた本。
米原万里さんのエッセイを読んだことがあったので気になって読んだ。
旦那氏は読みにくかったらしいけど、わたしはとても読みやすかった。(笑)
人物がたくさん出てくるけど、なんとなく覚えていれば大丈夫。
赤毛のアン好きな人は好きだと思う。
主人公がソビエト学校に通っていた時の強烈なダンスの先生(オリガ・モリソヴナ)の過去の謎を解いていく物語。
どんどん新しい事実が判明していって、先が気になる。
ダンサーをしていたけど、外国人と結婚をしたことから政府に捕まり、多くの人たちと収容所で過ごし、また日常生活を取り戻す、大変な人生を送ってきた人(たぶんこんな感じ。。)、ということが、当時の記録などでわかってくる。
いまの平和な世界じゃ考えられない非人道的なことが行われている。これが本当にあったことなんて。
そんな中でも、どうにか強く生き延びようとしたオリガ・モリソヴナの行動、それが周りの人々に与えた影響はとても大きかった。
主人公が日本に帰ってきて、日本の‘みんなが平等’の義務教育に馴染めなかった描写にハッとさせられた。
子どもの頃は当たり前だと思っていたから不思議に思わずに受け入れていたけど、いま思うとたしかに個性は潰されてたな〜と。
自分の意見を自分の言葉で発するの苦手だし、将来どうなりたいのか明確な目標がなかった(いまも特段ないけど…)もんな。
だからといって、日本の教育でしか得られないものを得られたとは思っていたりもする。。
正解はないからいろいろ試してみるしかないのよね。(誰) -
Posted by ブクログ
米原万里(1950~2006年)氏は、日本共産党幹部だった父親の仕事の関係で幼少期をプラハで過ごし、東京外語大ロシア語学科卒、東大大学院露語露文学修士課程修了、日ソ学院(現・東京ロシア語学院)や文化学院大学部でロシア語を教える傍ら、1978年頃より通訳・翻訳を手がけ、1983年頃からは第一級の通訳としてロシア語圏の要人の同時通訳などで活躍した。日本女性放送者懇談会賞受賞。ロシア語通訳協会会長。また、エッセイスト、ノンフィクション作家としても活躍し、『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』で読売文学賞(1994年)、『魔女の1ダース』で講談社エッセイ賞(1996年)、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』で大宅壮一ノンフィクション賞(2001年)、『オリガ・モリソヴナの反語法』でBunkamuraドゥマゴ文学賞(2002年)を受賞。
本書は、ソ連時代に100回以上、崩壊後に30回近くソ連/ロシアを訪問し、また、日本にやって来るソ連人/ロシア人に接する機会はその数十倍という著者が、ソ連(人)とロシア(人)について、様々な雑誌・新聞等に寄稿したエッセイを加筆訂正の上まとめ、1998年に出版、2001年に文庫化されたもの。
主なテーマは、ロシア人と酒(≒ウォトカ)の関係、ソ連崩壊(1991年12月)前のソ連の様子、ソ連崩壊後の旧ソ連の様子、ゴルバチョフやエリツィンらソ連の要人の素顔、ロシア人との付き合い方等であるが、その内容は、著者だからこそ書き得た奥深さと、爆笑せずにはいられないユーモアに満ちたものである。(但し、これでも、要人の通訳という立場上、書けなかったことが沢山あるに違いないのだ。。。)
私は数年前に仕事でロシアを訪れる機会が何度もあり、欧米人とは異なる民族性を持つと言われるロシア人について、事前に知っておきたいと思って本を探し、そのときは、本書にも登場するロシア研究者・木村汎氏が書いた『プーチンとロシア人』を読んだのだが、本書についても、読んでおけばかなり役に立ったし、何より、「ロシア人なら大人のたしなみとして一人平均500話ぐらい」は持っているという小咄の一つ二つを披露して、相手の心を鷲掴みにできたと思うほどである。
プーチンが始めたウクライナ侵攻により、ロシアを取り巻く国際情勢は激変し、ロシア(人)を相手にビジネスをすることや、いかなる目的にせよロシアを訪問することは、当面なくなってしまったのは残念な限りだが、見方を変えれば、直に接する機会やバイアスのかかっていない情報を得る機会が減った今だからこそ、本書を読む価値は大きくなっていると言えるのかも知れない。
「ロシアとロシア人は退屈しない。おしなべて人懐っこい上に、人種的偏見が少ない。生のままの自分をさらけ出したまま、直接相手の魂に語りかけてくるような気取らないタイプが多い。」というロシア(人)を知るために、格好の一冊である。
(2023年3月了) -
Posted by ブクログ
【305冊目】著名な日露通訳者による通訳、ひいては言語に関するエッセイ。知人に薦められて読んだが、興味深いだけでなく、笑える!裏表紙に「通訳を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究」との紹介は、この手の紹介文にしては正確!
タイトルは、通訳をめぐるジレンマをたとえたもの。原文に忠実か裏切っているかということを「貞淑or不実」と、文章として整っているか否かを「美女or醜女」としている。もちろん最高なのは貞淑な美女だか、現実の通訳では、不実な美女か、貞淑な醜女かの間で悩むことが多々あるとのこと。ちなみに、醜女はたいてい「しこめ」と読むが、本書ではわざわざ「ブス」とルビを振っているあたりから、著者のユーモアと思い切りの良さが伝わってくる。
主に、公共交通機関での移動中に読み進めたが、顔がにやけるのを止められず、マスクをしているためか更に大胆に声をあげて笑うことを禁じ得なかったことも幾度とあった。
しかし、一方で通訳という営みへの洞察は非常に深く、通訳と翻訳の違いから分け入った探求の道は、ときに言語学や哲学の領域まで足を踏み入れている。それでいて、通訳の現場での笑える小咄が最後まで頻回に散りばめられているから、飽きずに読み進められる。
特に印象に残ったのは2点。1つは、「どの国の言語であれ、話し言葉ではこの冗語性、すなわち余計な言葉の含有率が、60〜70%という数字がある。」というくだり。(143頁)そして、この冗語性を上手く利用して時間的余裕を作ることにより、同時通訳が逐語通訳が成立しているとのこと。通訳の中には、逐語的に訳す「貞淑さ」を大事にしている方もいるようだが、それは時に「貞淑な醜女」になってしまうとのこと。とはいえ、貞淑な醜女も必要な場面があると著者は語っている。
私自身は、話し言葉が冗語性にあふれていると知り、話すことへのプレッシャーが少し和らいだように思う。職場環境柄、書いた文章を読み上げているのかと思うような密な話し方をする人もおり、彼我の差に若干のコンプレックスを抱くときもあったが、私の無駄で冗長な話も話し言葉としては合格点なのかもしれないと思えた。
もう一つは、政治から商売から考古学から宇宙から、あらゆる話題を通訳しなければならない通訳者は、新たな現場に出向くたびに膨大な量の勉強を必要とするらしい。これにまつわり、「馴染みの概念から組み立てられた話は、記憶のキャパシティーが驚くほど大きい。ベテランの会議通訳者が、専門用語を一つでも多く覚えることよりも、その専門領域に関する本を少なくとも一冊読み切ることに力を注ぐのは、そのほうが結局その領域全般を理解することに、というこたは、用語を覚えることにも役立つからだ」と述べている。(151頁)これは、未知の分野について、まずは一冊通読するという自分の勉強法と共通するところがあり、「広く浅く」というか、「ものすごーーーーく広く、ちょい深め」に学ばなければならない通訳者の方々と共通することに少し安心。 -
購入済み
実体験に基づいた小説
作者の実体験を描いた本に「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」があるが、本書はこの実体験を下敷きに書いた作者唯一の(!)小説。
相当に衝撃的内容であるし文章構成も巧みである。ラーゲリについてこの本しか読んでいなかったら間違いなく星五つ。
が、同じラーゲリが舞台なのでどうしてもソルジェニーツィンの「イワンデニーソビッチの一日」と比較してしまう。自分自身でラーゲリを体験したソルジェニーツィンには負けてしまうので星一つマイナスで星四つ。 -
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ネタバレノンフィクションエッセイだとは思っていなかったので、
ずっと小説の棚を探していた
IGで野崎萌香ちゃんが紹介していた本
共産主義が台頭していた時代にソビエト学校に通っていた当時のエピソードと、ソビエト学校時代の友達に会いに行く現在の話が交互になっている
三つの章に分かれていて、三人の友達それぞれに会いに行ってるけど、同じような時期に会いに行ったのかな?おそらくそうらしい
それぞれの友達が違うタイプの人だから、
読んでいて退屈しなかった
こんなに身近に政治的思想を感じることってあるんだなぁと、
この本を読んで思った
戦争とか、イデオロギーとか、日常にめり込んでると感じた
わたしは生まれた時から戦後で資本主義社会だったから、なんの違和感もなく過ごしてきたけど、
いまも違和感を持って暮らしてる人はいるんだろうなと思った
日常に溶け込んでいるから、
とても読みやすかったし、少しだけ当時の雰囲気を知ることができたような気がする
難しいところは飛ばし飛ばし読んだけど…
ただ、表題になっているアーニャに対する作者の気持ちはマイナスな部分が多いのかなぁという印象を持った -
Posted by ブクログ
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」に次ぐ同著者の二冊目の本。
副題が「正義と常識に水を浴びせる13章」。文化の差異が異なる価値観を産み、異なる文化が異なる言語を産み、美味の評価も変わったり、異文化の交差でそれぞれの文化が際立ったり、また、それが異文化の排斥に繋がったり、文化と言語の違い等で愛国心が芽生えたり、その愛国心を手玉に政治家に馬鹿みたいに騙されたりもする。
文化の多様性の裏表を同時通訳者の著者が下ネタを随所に散りばめながらの実話の数々面白く読みました。
正義と常識は、絶対でないも、それぞれの正義と常識を認め合うことや理解することが大事であり、またその為にも知識や経験を広げることでその一助になるのではないかと思いました。