米原万里のレビュー一覧
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ロシア語同時通訳者にして作家であった故米原万里女史のデビュー作です。吐いた息はそのまま凍って顔中に張り付き、釣った魚はその場で凍りつき、おまけにトイレには屋根がない!?まさに『氷の世界』でした。
本書はロシア語同時通訳にして作家であった故米原万里女史の処女作であったのだそうです。この本が記されたときは旧ソ連体制であろうと推察されるシベリアを横断するヤクート自治共和国(現在はサハ共和国)を取材した旅行記でございます。冬の一番寒い時期にはなんと、マイナス50℃にもなるというまさに『氷の世界』でページをめくりながら全身から汗が引いてくるようでございました。
この取材に動向したのは山本皓一と椎名誠 -
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米原万理という人は、不思議な人である。
実にあっけらかんとしているが、
その中に手品師のような仕掛けを作ってある。
チェコスロバキアのプラハで、ソビエト語を学んで、成長した。
1950年生まれというから、ちょうど同じ時代の女性である。
なくなられたのは、実に残念である。
ちょっと、シモネタが多いが、
翻訳の際には、そのようなシモネタが、
知らず知らずに出てくるのだろう。
通訳という仕事をやることによって、
文化の違いをうまくすくい上げる。
悪魔と魔女の辞典から
愛ー相手から無料で利益を引き出すのに、
相手が対価以上のものをこちらから獲得したと錯覚し、
得したと思わせるための呪文の一種。 -
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ネタバレ◎印象的な言葉
「隣人は引っ越すけど、隣国は引っ越さない。お互い隣国は選べない」P36
それでも、この時のナショナリズム体験は、わたしに、教えてくれた。異国、異文化、異邦人に接したとき、人は自己を自己たらしめ、他者と隔てている全てのものを確認しようと躍起になる。そして自分に連なる祖先、文化を育んだ自然条件その他諸々のものに突然親近感を抱いてしまう。これは食欲や性欲に並ぶような、一種の自己保全本能、自己肯定本能のようなものではないだろうか。~中略~でもコスモポリタリズムや普遍主義の名のもとに、それがあたかも存在しないかのような言動は、良くて偽善、悪くて欺瞞。抑制されたナショナリズムが暴走する恐怖 -
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ネタバレ<内容>
ロシア語通訳者として著名な米原万里による、シベリア滞在レポート。200年前にシベリアに漂着した日本人の足跡をたどるTBSのドキュメンタリー番組に同行した際の現地の生活について生き生きと紹介する名エッセイ。
<感想>
過酷な印象のあるシベリアの暮らし。自分の周りにも渡航者は少なく、未だ詳しい内容を知らない土地について書かれたレポートは非常に興味をそそるものだった。内容は子供向けではあるが、米原万里さんのユニークな視点を活かしつつもわかりやすく書かれた文章と、椎名誠さんの写真と解説で大人でも充分に楽しめる。
黒い毛の馬が、走るうちにかいた汗がたちどころに凍り、白馬となるという話や、釣 -
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前作「ヒトのオスは飼わないの?」の続編と自身の両親や自らの「死亡記事」を収録した「終生ヒトのオスは飼わず」の二部構成になっている本です。僕が彼女を知ったのは彼女の死後でしたので、その辺が悔やまれます。
この本は筆者のエッセイ「ヒトのオスは飼わないの?」の続編と、自身の両親や旧チェコスロヴァキアのプラハですごした幼少時代。そして、自身の手による「死亡記事」が収録された「終生ヒトのオスは飼わず」の二部構成となっています。
前作の「ヒトのオスは飼わないの?」で筆者から惜しみのない愛を注がれた「毛深い家族たち」がその後、どのような運命をたどったのかということ。飼い犬のゲンが行方不明になったり、野