米原万里のレビュー一覧
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内容は全く知らないが、勧められて読む本がたまにある。そんな本の一冊だが、佐藤優氏による米原万里氏の追悼本だったとは。
「ロシアは今日も荒れ模様」は昔何度か読んだ本。ロシアにはあまり興味はなかったが、良い文章だった事を覚えている。
佐藤優氏、嫌いでもないけど、書く本は良いものだと思うけど、それ以外の印象がどうも良くい印象。
佐藤優氏がチョイチョイ出てくるところが、必要か?と思ったり、私はあまり対談とか興味無いんだよなと思いながらペラペラ頁をめくる。
ロシアで体調を悪くした日本人に、梅干しのおにぎりを食べさせたら元気になった話等を読み、そうだよなこの方は骨があるよなと文章を読みながら思い出 -
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ロシア語通訳の泰斗である著者が同時通訳の世界を面白エピソードで教えてくれる良書。
タイトル名は、「貞淑=原文に忠実」、「美女=訳文として整っているか」という比喩、つまりある言語から別の言語への完璧な通訳は可能なのかというテーマが本書の肝となっている。
通訳にとって必要な資質とは、「2つの言語にまたがる幅広い正確な知識や両語の柔軟な駆使能力もさることながら、話し手の最も言いたいことをつかみ、それをどんな手段を講じても聞き手に通じさせようとする情熱ではないだろうか」(P304)。
面白話も満載。例えば、
英語のできない商社の社長が、日本語で挨拶したのを逐次通訳者が英語に訳していくが、サービスのつも -
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【感想】
Youtubeで、英語音声の日本語字幕もしくは日本語音声の英語字幕を見たことはあるだろうか。発言を翻訳したものが文字として表示されているわけだが、両者を比べてみると、発言に比べて字幕の量が驚くほど少ない。なかには発言の半分も字幕化されていないケースがある。これは話者が口にしている「冗語」をばっさりカットしているからである。
また、テレビの同時通訳で時おり、語数は非常に多いけれども、何を言っているのかサッパリ分からない通訳者がいないだろうか。筆者はそれを「情報の核をつかみ、余分な情報を切り捨てる勇気と労力を惜しんだ結果である」と断じ、筆者の知人は「お役所の庶務課係長の訳ですな」、つまり -
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【感想】
本書は、1960年~64年の間にプラハのソビエト学校にいた筆者が、当時の同級生たちを30年越しに再訪するエッセイである。60年~64年というと、ヨーロッパではベルリンの壁が建設され、中米ではキューバ危機が起こっていた。まさしく「東vs西」のピークである。その30年後の1990年台前半はというと、ソ連が崩壊し、東西ドイツが統一された。加えて旧ソ連の衛星国が相次いで社会主義体制を放棄し、ユーゴスラビアでは民族紛争が起こっていた。まさに国の概念がひっくり返る動乱が起きていた時代であり、この間東欧諸国出身の同級生たちはどんな人生を送っていたのか――、そうした足取りを辿る一冊だ。
プラハのソ -
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米原万里の文章を読んでいるとロシア語の前に日本語が巧いことに唸ってしまう。こんなに日本語の文章が巧くて、膨大な読書もできて、ロシア語の達人でもあるという才能の豊かさに嫉妬しまうのだ。
しかし、そんな才女も完全無欠ではない。共産主義に傾倒しているせいなのか、その思想に若干の歪みがある。理論的な解析は極めて鋭いが、理性では判定できない事柄を無理に解析しようとして歪みが生じている。例えば、政治や宗教に対する見方に歪みがある。
とはいえ、それを割り引いても本書は学ぶところが多い。彼女が「打ちのめされた本」を知ることができると同時に、彼女のものの見方を知ることもできるからだ。
米原万里は2006年にガン -
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米原万里のエッセイ集。その中でも、特に彼女の職業であった、「同時通訳」に関するもの(とても真面目なものから、ユーモアたっぷりのものまで)をテーマにしている。
本書は、書下ろしではなく、米原万里が色々な雑誌に書いたものを集め、再編集したもの。本書の単行本の発行は2000年12月であるが、雑誌に書かれたものの初出は、97年から00年まで、特に00年のものが多い。
米原万里は1950年生まれであるが、作家としてのデビューは遅く、1995年。亡くなられたのが2006年なので、作家としての活動期間は10年強と非常に短い。しかし、多作の人であり、Wikiによれば、この期間中の単独での著作を20冊以上、その -
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ロシア語同時通訳者である米原万里さんが、日露文化に触れる中でピックアップされた日常のクスッとなる小噺を集めたエッセイ集です。
ただし、タイトルにガセネッタ、シモネッタとありますがガセネタもシモネタもあまり出てはきません。
◯女人禁制の聖域にも
米原さんの知人である田丸公美子さんが通訳者として掘削現場に同行した時のこと。日本側JR幹部が恐縮しきり、『女の方が立ち入るのは、どうかご勘弁を。工事現場の人間が騒ぎますので。』というと、田丸さんがこう返したそうです。『ええ、どうせわたくしはフジョー(不浄)の身でございますから。まあ、でもこのトンネルはリニアモーターカー用でございましたよねえ。かえって -
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米原万里の4つの講演での講演録。高校生向けの講演が2つと、愛知県主催の講演、神奈川新聞社主催の講演。後者2つが米原さんが職業としていた通訳に関してのもの。後者2つの講演の方が前者2つの高校生向けの講演よりもずっと面白い。それは、同時通訳という、普通の人間があまり知ることのない世界の職業的専門性について、ご自身の経験をもとに話をされているから。前者2つに比べて、経験に裏付けられた、圧倒的に地に足のついた内容だからだと思う。
私の妻はタイ人で、かつ、日本語がほとんど出来ない。会話はタイ語で行うが、困るのは、私の知り合いの日本人と会話をするとき。妻はタイ料理をつくってふるまうのが好きなので、これまで