米原万里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ロシア語同時通訳者の米原万里さんのエッセイ集。同時通訳という仕事の大変さややりがい、他国語の通訳との違いなどが綴られていて興味深く読んだ。失敗が許されない世界で、いろいろな業界の専門会議などに出るので、下調べをしておいてもかなり緊張するらしい。
米原さんは日本語が母国語だというが、少女期を外国で過ごしたこともあり、100%ではないという。でも文章が非常にうまい。また、父親が共産党員だったことも彼女の思想に少なからず影響しているようだ。言語に関することだけでなく、共産主義の社会の良い点悪い点なども比較してあり、また日本人の考える国際化は他国(アメリカ)に合わせることという指摘もなるほどと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ少女時代からチェコでロシア語で学んだ経験から、ロシア語通訳になった米原氏の、一見不真面目で実はまじめな比較文化論といえるだろう。海外経験豊富で、異文化や歴史的背景からくるいろいろなエピソードとそれから学ぶものを提示している。著者の偏らない博識には舌を巻く。忘れていた近代世界史・世界勢力地図の復習にもってこいだ。
下ネタが多く、笑える箇所がたくさんある。下ネタは万国共通、コミュニケーションの潤滑油なようだ。個人的に面白いと思った箇所を抽出してみる。
「あくまでも仮説に過ぎないが、美味美食が盛んな国、一般国民が料理に多大な関心をはらい、膨大なエネルギーを費やすのは、封建制度が比較的長く続いた国 -
Posted by ブクログ
【本の内容】
私たちの常識では1ダースといえば12。
ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。
そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。
異文化間の橋渡し役、通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本です。
大笑いしつつ読むうちに、言葉や文化というものの不思議さ、奥深さがよーくわかりますよ。
[ 目次 ]
[ POP ]
人間界では12、でも魔女界では13が1ダース。
常識だと思っていることも、時代や言語や文化が違えば、「経験則絶対化病」にしか過ぎないこともある。
博覧強記の著者に、思 -
Posted by ブクログ
同時通訳で困るのは笑いを訳すること。特にダジャレは同時通訳泣かせ。その一方、下ネタについてはそのまま訳せば、笑いが取れることは万国共通らしい。しかし、どこまで正確に訳すかが、迷うところ。そんな憎むべきダジャレと下ネタを愛する同時通訳者、米原万里の語学エッセイ。
著者の通訳者としての師匠「シモネッタ」が登場する軽妙なエッセイから始まるが、しだいに内容は語学教育や日本語論へと移る。バラバラに発表されたエッセイを無理矢理収集しているので、本としての統一感がなくて、読むのに苦労する。個々のエッセイは笑うところも、考えさせられるところもあり、楽しめるだけにもったいない編集だ。 -
Posted by ブクログ
彼女の頭のなかの地図を頼りに、後部座席に乗ってドライブしているような気になる。
米原万里は色んなところへ連れて行ってくれるから、退屈しない。
経験から物を言っているから、薄っぺらくない。
とても面白く、あっという間に読んでしまった。
第一章は男女の愛について語っているが、だんだんと、語学や同時通訳の話になっていく。
やはり母国語をしっかり持っていることが大事なこと。
英語だけに固執せずに、第3カ国語を身につけること。
同時通訳になるには、小説を楽しめるくらいの語学力。
文学小説を楽しめるぐらいの語学力があれば通訳できる。
外国語と日本語とこの両方で小説が楽しめるようになれたら通訳になるのは簡単 -
Posted by ブクログ
タイトルからして真面目な本かと思いましたがそんなことはなかった。
確かにインターナショナルで新たな物の見方は与えてくれるかもしれないが、「正義と常識に冷や水を浴びせる」と豪語するほどのものではない。
米原さんお得意の下ネタが割と幅を利かせているので、苦手な人はご注意。
著者の体験というよりも、見聞きした異文化エピソードをふんだんに盛り込んだ本、という感じ。
なので面白いといえば面白いのだが、通訳業に追い詰められた鬼気迫る感じはなく、客観的なこともあって、少し冗談の切れ味が鈍いような気がする。
もちろん有益で真面目な内容もあるが、純粋に異言語間交流を解説した本としては「不実な美女か貞淑な