米原万里のレビュー一覧
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ロシア語の同時通訳の米原万里が、通訳にまつわるエピソードなどを紹介するとともに、同時通訳とは何か、ひいては、コミュニケーションとは何か等の深いテーマについても語った本。
題名が面白い。「不実な美女か 貞淑な醜女か」。同時通訳の現場には通訳のスタイルを決める2軸がある。ひとつは、原語、すなわち発話者の発言をどの程度忠実に訳すか。発話者の発言に忠実に訳すことを貞淑といい、忠実にではなく意訳をしたりしながら訳すことを不実と言う。もうひとつの軸は、訳す言葉の、例えば露日通訳であれば、日本語の表現文章がきれいなものかどうか。文章表現がきれいであれば美女、きれいでなければ醜女。
「不実な醜女」、すなわち -
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ノンフィクションのようでいて、劇的なプロットで読者を飽きさせず、フィクションのようでいて、緻密な取材や資料研究に下支えされた正確な描写。フィクションとノンフィクションのいいとこ取りをしたような小説。
ドストエフスキーを筆頭にロシア文学は途中で登場人物の名前が分からなくなって何度も戻り読みさせられる苦い経験があるが本作は文体も非常に軽快な読ませる文体だし、キャラ付けがしっかりとされていて、巻頭の人物紹介に全く戻らなくてもすらすらと入ってきた。
ロシア人の名前の音にも慣れてきたし、ここらで挫折した「カラマーゾフ」再挑戦or「アンナ・カレーニナ」に挑戦か、、、? -
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「美女」とはすばらしい訳文「貞淑」とは忠実な訳文のこと。
同時通訳者の米原万理がその職業から見えてくる、職人技と心意気とを冷徹な頭脳で看破したエッセイである。また、民族が発生する言葉の裏にある文化を意識させてくれる。
同時通訳ってこんな仕事だったのか!とユーモアがふんだんにあるこの文章からはじめて知ることばかり。もうこれからはテレビの同時通訳に「わけわからない」などとゆめゆめ思うまい。
専門的なことの裏話も失敗談もおもしろかったが、通訳の常として異なった言葉の架け橋となって異文化を理解しつつ、言葉に対する深い洞察を述べているのがすばらしい。うなずくことばかりである。
実に頭のいい人なの -
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食べ物に関するものを集めたエッセイ集。
米原万里が食いしん坊であったことがよく分かる。「神戸、胃袋の赴くままに」というエッセイでは、米原万里が美味しいものに目がないこと、とても健啖家であること、食べることに関してはまるで子供のように無邪気に、あるいはむきになることがよく分かり、何か微笑ましくなる。
米原万里の著書「マイナス50°Cの世界」でシベリアにテレビ番組の撮影のために長期間滞在したことを、本書でも題材にしている。かの地で美味しかったもののエッセイもあるが、面白かったのは、滞在中に和食を食べたくてたまらなくなり、一緒に行ったメンバーで寿司屋ごっこをする場面である。ただ、寿司を注文し、それを -
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ロシア語通訳者の米原万里さんが、捨てられたor迷子になった犬猫たちを引き取って、新入りが入る度に彼らの間で巻き起こる嫉妬から、親愛の情が育つまでの賑やかな生活ぶりが臨場感たっぷりに描かれている。
出張先でも行き場のない仔猫や犬を見つけると連れ帰らずにはいられない著者の家の構成員は、時にその構成数を変えつつ、この本の執筆終了時には、ネコ5、ヒト2、イヌ2と思われる。そんな多頭飼いにもかかわらず、著者のネコちゃん、ワンちゃんへの愛が半端ない!
そして、そういう人の周りには同様にネコ好き、イヌ好きが集まるもので、微笑ましい話、笑える話が盛りだくさん。
飼育放棄される動物の多さに、心が痛む面もあるも -
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「打ちのめされるようなすごい本」米原万里。2006年文藝春秋社。
米原さんの遺作?遺稿?となった書評連載を没後にまとめたものです。
大変にオモシロくて、「イン・ザ・プール」から丸谷才一から政治や東欧やロシア関係から自然科学系まで、「これは絶対買って読もう」という印がいっぱいつきました。打ちのめされました。
※文中、鹿島茂さんのことを「あの人は仕事の質も量もすごい。どうやってインプット(読書)する時間を保っているのか」と感嘆するくだりがあり、「おお、同感」と嬉しかった(笑)。
※米原さんも「日本史は司馬遼太郎で基礎教養を付けた」とおっしゃられていて、我が意を得たり、と。どう考えても読書さえ出 -
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