米原万里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「せこい発明でこの世の大問題を解決するしかけ」
といっているが、そのアイデアには ほっと するものが多い。
ほかのエッセイが 文化の違いをうまくとらえて、
そのギャップに 米原万理節が さえるのだが、
この本は 全く違った 視点で 組み立てている。
興味 というものの 広がりや アンテナの感度がいい。
ブッシュの好戦性に、すがりつく小泉の関係を
ブラックユーモアで 釘を刺す。
よく、そのエッセイが 掲載されたなと思うほどである。
死の直前まで、書かれていることに
米原万理の 情熱を 感じるのである。
同居者である イヌやネコに対する愛情も注ぎ込まれている。
この『せこい発明』が 実用化されたら おもしろいかも。 -
Posted by ブクログ
わたしの尊敬する作家が、著作の中で『この世に面白くない本などない。面白くないと思うなら、それは内容が理解できないだけだ』というようなことを言わせているが、ほんとにそうだと思う。
この本の内容などほとんど知らず、タイトルが面白かったので読んでみた。
ロシア語通訳者のエッセイ。
通訳という仕事について、いろいろと知ることができた。
知らないことを知る、それが本を読むことの醍醐味だと思う。
実に勉強になったし、面白かった。
外国語を習得したいと思うなら、まず母国語を磨けという一言に感銘を受けた。
第一言語以上に第二言語が上達するはずはないのだから、日本語が下手なら外国語はもっと下手ということになる、と。
言葉を習得するだけではなく、操るのならその国の文化や習俗、歴史なども知らなければダメだということも。
確かに、日本語の上手い言い回し、みたいなものって、知識と教養がないと使えないし理解できないよな。
東京生まれ東京育ちのバイリンガルが、地方に行って駐留米軍兵に現地の人との通訳を頼まれ、何を言ってるのかサッパリ理解できず、別の現地の人に標準語に訳してもらってから英訳したなんて話も面白く読んだ。
確かに、わたしも夫の親族に方言が強すぎて言ってることが理解できない人がいる。
日本人なら日本語がわかって当たり前だろ、とはならないこともあるなぁ、と。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ以前、読んだことがあるかも。あるいは、どこかに寄稿されているのを読んだか、R国関係者からエピソードとして聞かされたか、いくつか聞き覚えのある話があった。
氏は、R国関係者としては非常に身近な存在。以前の上司は大学で同期だか1年先輩だったかで、しょっちゅう「万理ちゃん、万理ちゃん」と話をしていたっけ(懐)。
読んでみて、改めて米原万理さんのパワフルな生き様、大胆、明快な物事の割り切り方が痛快だ。
言葉の表面でなく、その背後の意味を汲んで相手に伝えなくてはならない通訳という職業柄、そうした言葉の”意味”から解放される”駄洒落”が大好きだと言い放つ(同時通訳者に多いとも)。 世のオヤジギャクを発するオヤジたちも(自分も含め)、そうした意味ある日常、理屈や屁理屈にガンジガラメの仕事の日々から、ふと解き放たれる”ダジャレ”に一時の浮遊感を味わっているのかと思えば、冷たい視線を送ることなく、自虐自戒をすることもないかなと思えたりする。
また、言葉、コミュニケーションの達人ゆえに喝破する、人類の”聞いてもらいたい願望”の類推が見事だ(”懺悔せずにはいられない”)。犯人の自供を粘る刑事の話から、懺悔という仕組みを構築したカトリックの繁栄へ、そして、インターネットという怪物が人々を取り込んでいく勢いも、人類の願望を利用した”宗教的”だというクダリは、唸らされた。
言葉に、もっと真摯に向き合おう(ロシア語にも…)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<通訳あるある。プロも日々勉強。>
一流のロシア語通訳者である著者のデビュー作。
・時間との戦いが、通訳の宿命である。
・掛けられる時間と、成果物が記録に残るか残らないか、という2点が通訳と本質の大きな違いであること。
ぐらいはある程度想像のつく事であるが、以下の様な事は読んでみて初めて知った。
・通訳者は新しい分野、例えば軍事工学、医学、原子力etc...の通訳を依頼された際は関連する知識と専門用語を叩き込む。要はプロでも日々是勉強という事。更に、
◇現在ロシア語通訳協会に百六十名ほどの会員がいる。そのうち理工系出身者はわずか五名で、残りの圧倒的通は大学でロシア語かロシア文学を専攻した人たちだ。78
理科系の出身者が自分の専門分野の複雑さを知りすぎているからこそ、他の分野にはてをだしかねていて、逆に文科系出身者は怖いもの知らずで、難しげな仕事を請け負うのではないかと著者は分析する。そして、
◇どんな複雑な機器や装置であれ、所詮人間の作ったものである。その人間に対し飽くなき探究心を抱く者にとって、機械だけがどうして無縁で有り得よう。79
これは小町直美氏の引用であるが、熟練の通訳者が辿り着いた、非常に示唆に富んだ意見である。
◇通訳稼業に振り向ける時間を八とすると、少なくとも二は、翻訳の仕事を引き受けるように、私はつとめている。なぜか。時間の成約(中略)に甘えて絶え間ない妥協を続けていく通訳という営みには、訳が非常に粗雑に、まずしくなっていく危険がつきまとう。限られた時間の範囲内であれ、最良最適の訳を目指すという、翻訳者的性向を併せ持つためには、時々もう少し時間的余裕のある環境に身をおいて、じっくりと辞書や専門書に当たり、より的確な語彙、より含蓄のある表現を探索する機会がどうしても必要になってくるのである。139