【感想・ネタバレ】米原万里の「愛の法則」のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年11月28日

小説家としてしか知らなかったけれど、まさか、こんな人だったとは!
語られている内容に、一々納得させられる。
いやー、一気読みでした。

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Posted by ブクログ 2017年10月03日

 著者がすでに鬼籍に入られた方とは露知らず、初めて読む。語学の学習法については早速、第3の言語選びを、といさむ。通訳の「わかるところを訳す」も身に染みる言葉。読書量の重要性の主張等、多くの先人が言っていることではあるが、改めて認識。少しは見習っているつもりではいたが、まだまだ・・
 言葉と文化の双方...続きを読むを学べるので、通訳という仕事は楽しい、という視点が素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2016年05月30日

4つのテーマにもとづく講演。
1 愛の法則
2 国際化とグローバリゼーションのあいだ
3 理解と誤解のあいだ
4 通訳と翻訳の違い

ここまで、いっていいのかと思うほど
口が滑らかで 言いたい放題。
そのなかに 洞察力(インサイト)がきらきらと輝く。
さすが、米原万里。
その大胆さと下ネタの爽やかさ...続きを読むは なんともいえない風情がある。

言語を理解するとは、記号と概念の間の変換プロセスを体験すること。

1 愛の法則
世界の名作は オトコ(ドンファン)がオンナあさりするものばかり。
そのオンナは 美人ばかりだ。
しかし、美人の基準は 時代と地域によって違う。
源氏物語にしろ、
一方 オンナの物語は 理想の男性を捜すものになっている。
沢山のオトコから 選び抜く物語。
メスは量をにないながら質を追求する。
オスは質をにないながら量を追求する。
結局 オトコは生き延びてつたえる サンプルなんだよ。

オトコには ①ぜひ寝てみたいオトコ②まぁ。寝てもいいのかなというオトコ
③たとえ大金をもらっても絶対寝たくないオトコ 
オトコの多くは 90%以上は ③ だとか。

オトコあまりの現象が 質の高い人間に進化する。
オトコが2600万人も余っている中国は まさに 進化の舞台かも。

2 国際化とグローバリゼーションのあいだ
「アメリカ人の言うグローバリゼーションは、自分たちの基準をおしつけることであり、日本人の思うグローバリゼーションは世界の基準に自分を合わせること。」
アメリカ人は 「自分たちは変わらない。自分たちは正当であり、正義であり、自分たちが憲法である。」と思っている。
すごい 本質的な定義。素晴らしい。
中華主義も アメリカ的発想に近いのだ。

陸続きであれば、こころの中にある国境が強くなる。

外国文化を絶対化する病気と自国と自国文化を絶対化する病気。
日本語の国語教育は、日本語を外国語として突き放して勉強していない。

日本語は ウラルアルタイ語とポリネシア語族が合体した。

3 理解と誤解のあいだ
他人まかせは しょせん 身に付かない。
孤立語;語順によって決まる 〈英語〉〈中国語〉
膠着語;たされてくっつく 「テニオハ」日本語 ハンガリー語
屈折語;言葉の語尾とか語頭が変化する。ロシア語、フランス語。

4 通訳と翻訳の違い
「モノを聞き取って正確に把握する能力」と「それをもう一度統合してまとめて表現する能力」

「文学こそが民族の精神の軌跡、精神の歩みを期したもので、その精神のエキスである。」

同時通訳のプロは 言葉に対して鋭敏な感性を持っているだけでなく
更に深く その国の文化さえもつかみ取る チカラを持っている。
そのことを、米原万里が 体現している。
ホントに、惜しい人をなくした。

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Posted by ブクログ 2015年05月06日

国や民族について、米原万里ほどの経験で以って、しかもそれを的確に表現できる人もなかなかいないだろう。米原万里の言葉には単に外国に迎合したり、あるいは逆に最近特に多い「日本ってこんなに素晴らしい!」などという井の中の蛙のような日本賛美ではない、世界のそれぞれの国の文化(もちろん日本を含めて)に対する強...続きを読むい敬意を感じる。彼女のような、媚びず、けれども自身に強いプライドを持った生き方こそが、今求められているグローバル人材なのではないだろうか。
本書では特に第二章と第三章が面白い。第二章で語られるのは真のグローバリゼーションについて。彼女が説くのは英語一辺倒でアメリカ中心の世界観からの脱却だ。

◼️世界中の国々の言語で蓄えられた文化は、英語にはそのうち微々たるものしか翻訳されていません。だから、英語を知ったからといって、それぞれの文化にアクセスできるわけではないのです(p87)。

彼女が主張しているのは、英語経由ではなくそれぞれの文化と直接的な関係を築くことが真のグローバリゼーションであるということだ。彼女が亡くなってから10年、果たして日本はそのような国際関係の築き方が少しはできているのだろうか?
第三章では、彼女の通訳経験を基にしたコミュニケーション論。外国人同士という文化もバックグラウンドも違う人々とのコミュニケーションの困難さを味わってきたからこそ分かる、コミュニケーションの不完全性と"分かり合える"という喜びが、読みやすい言葉で述べられている。

◼️通訳だけでなくコミュニケーションというものが、そのように非情に不確実なものであって、最終的に完全に一致するなどということはあり得ないという、一種の諦念というか、覚悟を持つべきだと思います(p155)。

コミュニケーション能力などという言葉がよく言われるが、コミュニケーションというものの不完全性、ある種の諦めこそが実は重要なのではないかと気付かされる。

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Posted by ブクログ 2015年02月27日

日本でいう「国際化」は、世界最強の国一辺倒…と喝破するあたりが、とても身につまされた。英語圏の帰国子女として、ナショナリストと英語偏重と両方を味わったことを思い出した(第2章ら辺)。たとえとして引き合いに出される小噺が具体的でわかりやすく(第3章のシツラクエンじゃなくトシマエンでした など)、コミュ...続きを読むニケーションについて考えさせられた。第二外国語の学習を再開したくなった。

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

この人の本は始めて読んだ。2006年に亡くなって、その前年の講演やそれ以前の4回の講演をまとめて本にしたもの。
 第1章は「愛の法則」高校での講演を男女のことを面白おかしく、きわどい話もさらっと述べている。この講演は高校生相手にしてるけど聞いていた男子学生は赤面でなかったか。
 後の章では語学の習得...続きを読むとか国際理解のありかたなど現役の学生には非常に為になるのではないかな。

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Posted by ブクログ 2022年11月08日

通訳の方って、
キャラの濃い方、結構いらっしゃるけど、
ここまで面白い方はそうそういらっしゃらない。
今の時代、
コンピュータが通訳も翻訳も
お上手になってしまったから
なかなかこういう方は表に出てこないのかしらん。

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Posted by ブクログ 2022年03月04日

講演集
第1章 愛の法則
第2章 国際化とグローバリゼーションのあいだ
第3章 理解と誤解のあいだー通訳の限界と可能性
第4章 通訳と翻訳の違い

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Posted by ブクログ 2021年05月24日

講演集4編。標題作で笑い転げ、以後はフムフムなるほど。著者だからこそ辿り着いた境地に足を踏み入れる...。
ムダな言葉を削るのは、プレゼン資料を100作って50まで絞り込むプロセスと似ているなぁ。通訳、翻訳のお仕事をしたい方は読んで損なし!

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Posted by ブクログ 2020年08月17日

ロシア語通訳・作家として活躍した米原万里の講演をまとめた講演集。

コミュニケーションや言語、愛などについて、ユーモアを交えてテンポ良く語られています。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

「愛の法則」というタイトルだが、愛について語っているのは、最初の1章のみ、残りの章は翻訳者ならではの国際感覚の話、語学勉強法の話など、タイトルとはそぐわない?というか、今のタイトルではもったいない話が満載。翻訳者を目指している人、国際化が必要と叫んでいるひとには一読を勧めたい。
個人的には、英語とも...続きを読むうひとつの外国語を学んでいたほうが良いという意見が斬新。また、読書が良い学習法というのも、読書好きにとってはうれしい提言である。

以下注目点
・国際化(グローバリゼーション)とは
 アメリカ型:自分を世界の基準にしようとする。
 日本型:世界の基準に自分を合わせようとする。
・言葉とか文化は、自分たちが自分たちであることの結果の砦、よりどころとする重要なもの。日本人はこれが希薄。
・サミットでは、他の国が直接同時翻訳してコミュニケーションしていたのに、日本だけが、28年もの間、英語経由(英語でフィルタリングして)でコミュニケーションしていた。
・他国語の翻訳者に比べ、話がつまらなく、個性的な魅力に乏しいのが、英語翻訳者。優等生タイプが多く、角が取れてしまっているから。
・外国文化を絶対化する病気。外国語を学ぶと必ずかかる病気。努力して学んだのだから、意味があって欲しいと思うのは、まあ人情。
・英語命より、もう一つ外国語を学んでいるほうが、英語を学ぶ上でも、遠回りのようで近道。
・フランス語とイタリア語とスペイン語とルーマニア語とポルトガル語は非常に近い。
・日本語、ハンガリー語、トルコ語:膠着語
・英語、中国語、ヴェトナム語:孤立語
・ロシア語とかフランス語:屈折語
・三つ目は、屈折語が良い。
・新しい言葉を身につけるためにも、維持するためにも、読書はいちばん苦痛のない学習法。

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Posted by ブクログ 2018年01月20日

亡き著者の講演録。なので全て話し口調。
才能も有ったのだろうが、ああ、こうして磨き上げて来たのか...と納得。
同時通訳ってのは、本当に脳の左右をフル回転させるのだろうなあと改めて感じた。

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Posted by ブクログ 2016年02月16日

これは…米原さんが書くからこそ許されるし、説得力もあるということなのだろう。
例えば、男女の生物学的な性差の意味づけとか、英語は孤立語とか、そのあたりは目をつぶるとして。
日本人にとっては国際化は国際基準(往々にしてアメリカ基準、のことだったりする)に合わせていく動きとなるのに対して、アメリカ人にと...続きを読むっての国際化(グローバリゼーション)は、自分は変わらず、自分の基準を普遍化する動きとなるといった指摘は面白かった。

乱暴な議論ともいえるけれど、本書の大部分の講演は米原さんが癌で闘病していた時期に重なる。
そのことを思うと、そこまでして伝えたかったこととして受け止めなければと思えてくる。

小学三年生でプラハのソヴィエト学校へ入れられ、一言も分からないのに登校しなければならないつらさ。
少しわかるようになっても、言いたいことが言えないもどかしさ。
母語の環境でぬくぬく育った身には想像を絶する経験だ。
そこで培ったアメリカに偏しない「国際」感覚は、私たちの社会にとって、どれだけ貴重であったことか

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Posted by ブクログ 2015年04月11日

ロシア語の翻訳者でエッセイストとしても有名な米原万里による一冊。
タイトルから恋愛論を想像するが、実際は比較文化論。
後半は翻訳の魅力と難しさについて語ってる。

トリリンガルらしく、知識の豊富さと頭の柔らかさを感じた。

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Posted by ブクログ 2014年10月08日

作家、ロシア語同時通訳者だった亡くなった米原万理さんの4つの講演をまとめたもの。この本の表題にもなった第一章「愛の法則」も面白いが、ぼくが一番興味深く読んだのは、第二章「国際化とグローバリゼーションのあいだ」。昨今の大学活性化のキーワードのひとつでもある国際化やグロバリゼーションという言葉が、いかに...続きを読むいい加減なものであるかを、歯に衣を着せずに鋭く指摘している。そうだよなという共感をもって興味深く読んだ。

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Posted by ブクログ 2014年10月07日

ロシア語通訳者としてエッセイストとして活躍された米原万里さんの講演集。男女の愛の生物学的位置づけについて、日本人の言う国際化という概念について、言葉の持つ力とその限界について、皮肉とユーモアたっぷりに面白おかしく語られている。

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Posted by ブクログ 2013年12月29日

彼女の頭のなかの地図を頼りに、後部座席に乗ってドライブしているような気になる。
米原万里は色んなところへ連れて行ってくれるから、退屈しない。
経験から物を言っているから、薄っぺらくない。
とても面白く、あっという間に読んでしまった。
第一章は男女の愛について語っているが、だんだんと、語学や同時通訳の...続きを読む話になっていく。
やはり母国語をしっかり持っていることが大事なこと。
英語だけに固執せずに、第3カ国語を身につけること。
同時通訳になるには、小説を楽しめるくらいの語学力。
文学小説を楽しめるぐらいの語学力があれば通訳できる。
外国語と日本語とこの両方で小説が楽しめるようになれたら通訳になるのは簡単。

全50巻の講談社世界少年少女文学全集が礎になったこと。
などいろいろと為になることが書かれていた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年11月23日

・日本人が英語一辺倒になって、英語を重要視する最大の理由は、別に英語で蓄えられた文化に対して惹かれているというよりも、その経済力と軍事力に頼って生きていこうとしているからであって、ある意味では非常に打算的で下品なわけです。
・コミュニケーションというものは、不完全なもので、完璧なもlのにするのは永遠...続きを読むに不可能です。しかし同時に、人間というのは、常にコミュニケーションを求めてやまない動物であるという確信が、私にはあります。
みんなが同時に笑えて、一緒に感動できる。いつもそれを目指しています。

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Posted by ブクログ 2012年09月07日

私は米原万里さんの訳の本が好きで、本人の本を読んだことがなかったので今回この本を読みましたが、もっと米原さんのことが好きになりました!(笑。
こんな女性になりたいものです。

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Posted by ブクログ 2011年01月23日

誰も科学的には証明していないけれど、彼女が喋り出すとその面白さと説得力に唸ってしまうのが「女が本流、男はサンプル」論。なるほどね、とニヤリとしてしまう。笑
続く「国際化とグローバリゼーションのあいだ」では、日頃私たちが追いかけてしまう「国際化」の何たるかを再検討し直していく。日本語がカタカナで外来語...続きを読むを入れてしまうことで意味を曖昧なまま受容できる性質を持っていること(例えば中国語では意味をはっきり捉えないと訳せず、ラブホテルを「情人旅館」と訳している)。日本が世界最強の国に自らを合わせ続けようとしてきたこと。でもそれって、本当に意味のあることなの? 本当はこうあるべきなんじゃないの? という問題提起を、彼女はさらりとやってのける。
それから、通訳・翻訳の限界。一人ひとり、そして文化の違う人の間に横たわる見えない「意味のズレ」。それを乗り越えてコミュニケーションが取れたときの感動。
語学畑じゃなくても手にとってみてもいいんじゃないかと思うような、分かりやすくいつ読んでも新鮮な一冊です。

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Posted by ブクログ 2014年10月26日

[ 内容 ]
稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。
世の中に男と女は半々。
相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか?
“愛の法則”では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。
また“国際化とグロ...続きを読むーバリゼーション”では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。
四つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。

[ 目次 ]
第1章 愛の法則(世界的名作の主人公はけしからん! もてるタイプは時代や地域で異なる ほか)
第2章 国際化とグローバリゼーションのあいだ(「国際」は国と国とのあいだ 国を成立させる要素 ほか)
第3章 理解と誤解のあいだ?通訳の限界と可能性(同時通訳は神様か悪魔か魔法使い?! 濡れ場の多いベストセラー小説『失楽園』 ほか)
第4章 通訳と翻訳の違い(言葉を相手にする通訳と翻訳 小説を楽しめる語学力があれば通訳になれる ほか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2011年09月03日

おもしろかったけれど、ほとんどの著作を読んでいるので前に読んだことのある話だなあと思ったりもしました。しかし、入門(ってなんの道にかしら)としては最適なのではないかと。

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Posted by ブクログ 2011年09月29日

さくっと読めてしまいます。でも、なるほどなぁと思います。男の人はこれをどう読むのか?「〜ですけれど」が気になってしまいました。

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Posted by ブクログ 2021年08月14日

米原万里の4つの講演での講演録。高校生向けの講演が2つと、愛知県主催の講演、神奈川新聞社主催の講演。後者2つが米原さんが職業としていた通訳に関してのもの。後者2つの講演の方が前者2つの高校生向けの講演よりもずっと面白い。それは、同時通訳という、普通の人間があまり知ることのない世界の職業的専門性につい...続きを読むて、ご自身の経験をもとに話をされているから。前者2つに比べて、経験に裏付けられた、圧倒的に地に足のついた内容だからだと思う。
私の妻はタイ人で、かつ、日本語がほとんど出来ない。会話はタイ語で行うが、困るのは、私の知り合いの日本人と会話をするとき。妻はタイ料理をつくってふるまうのが好きなので、これまで多くの知り合いに私の家に来てもらって一緒に食事をした。その時の会話の通訳は私の仕事になる。私のタイ語はとても流暢とは言えないレベルではあるが、辞書を使いながらではあるが、一応、何とか会話がつながる程度の通訳の役割は果たせている。それは逐語訳を諦めているから出来ているのではないかと思う。双方の言いたいことが何で、タイ語に訳す場合には、それを出来るだけ簡単な単語に(簡単な単語しか知らないから)する必要がある。それが何とかうまく機能しているのだと思う。
本書の中で米原さんがプロの通訳も限られた時間の中で、時には話を端折りながら「意味を通じさせる」「コミュニケーションを成立させる」ことに集中するのだという意味のことを書かれていて、私の方法も、あながち間違っているわけでもなかったな、と心強く感じた。

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Posted by ブクログ 2020年10月06日

同時通訳、作家、エッセイストとして活躍していたが、がんで惜しくも死去した米原万里氏の唯一の講演録集。
転移がんの苦痛に耐えながらの公演は、サービス精神に溢れている。
第1章「愛の法則」と題された高校生相手の講演では、もてる男と全然もてない男をフランス革命やロシア革命になぞらえて「フル」ジョアジーと「...続きを読むフラレ」タリアートと洒落ている。
彼女の説によると、社会が安定し栄養がいいと女の子が生まれ、逆に栄養が行き届かないと男が生まれるらしい。
第2章「国際化とグローバリゼーションのあいだ」も、高校生相手の講演。
国際化という時、自動的にグローバリゼーションと訳しているが、大きな違いがあると。
日本人が言っている国際化は、国際的な基準に自分たちが合わせてゆくという意味だが、アメリカ人の言うグローバリゼーションは自分たちの基準を世界に普遍させるということ、自分たちが正当で自分たちは変わらないということだそうだ。
日本人はこのことをちゃんと自覚すべきだと警告する。
第3章「理解と誤解のあいだ」第4章「通訳と翻訳の違い」と、同時通訳を担当した時の苦労話などが面白く語られている。

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Posted by ブクログ 2018年02月16日

前半は、著者の経験をもとに「男女とは何か」を解いている。飾った言葉でなく、本心で語っているところが共感した。
中盤からは、自分を知ることとコミュニケーションの大切さを説明している。
 自分も仕事で通訳者と接するこがあるが通訳が理解しないとステークホルダーにも伝わらないと思っている。
 著者は「通訳と...続きを読むは何ぞや…」と説明しているが、自分は伝える側の責任も大きいと感じている。
 時々「伝わらないは通訳のせいだ」と言ってる人もいるようだが、そのような人は伝わるように伝えておらず、自分の責任を放棄しているだけだと自分は思っている。とにかく通訳が理解しないと始まらない。

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Posted by ブクログ 2016年08月23日

同時通訳者の頭の中を垣間見ることができる章が面白い。猛スピードの翻訳を持続するとは、要約・イメージ化能力を常時フル回転させること。日常の英語運用において真似できそうなのはここで、要するに何を言いたいかを右脳を使ってイメージ化するのがポイントと思う。

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Posted by ブクログ 2014年10月09日

翻訳の大先輩の言葉として、大変興味深く読みました。ソヴィエト学校での厳しい国語の授業に加え、あの長年の自発的な「読書」の積み重ねが万里さんの才能と魅力の根底にあるのだと実感。もっと長くご活躍の姿を見ていたかったです。

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Posted by ブクログ 2012年11月07日

米原万里の講演集。特に興味を引かれた話が、「世界にある言語は約6,000。6,000語は、孤立語、膠着語、屈折語のわずか3種類に分類可能」というもの。オレの場合、日本語を含めてどれも中途半端なんだけど、英語(孤立語)、膠着語(日本語)、屈折語(ロシア語)に触れる機会があってよかった。ロシア語はもう大...続きを読む分さびついてしまったけど、多少はこの頭を柔らかくしてくれたのかな。

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Posted by ブクログ 2012年02月07日

案の定!おもしろかった。
朝の通勤電車が楽しみだったもの。
言語に関わる人なら、楽しめる一冊ですね。

特に第2章、「国際化」と「グローバリゼーション」のあいだ
ふむふむ、とうなずけます。


***

コミュニケーションというものが、非常に不確実なものであって、最終的に完全に一致することなどあり得...続きを読むないという、一種の諦観というか、覚悟をもつべき。

***

どれだけ言葉を尽くしても伝わらない。
何度それを味わい、苦い思いをしてきたか。(きっと皆同じなんだろうな)
でも、逆に、言葉を尽くさなくとも、分かり合ってしまう素晴らしさもあったり。
期待しすぎず、やっていこうか。諦観ね。

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