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同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう? 異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続。思わぬ事態が出来する。いかにピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせるか。日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる米原女史が、失敗談、珍談・奇談を交えつつ同時通訳の内幕を初公開!「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究。
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Posted by ブクログ
ロシア語のみならずさまざまな言語にまつわる知的おもしろエピソードが豊富。通訳者としていろんな世界に触れている裏話が聞ける 母音が多い少ないや、高低、強弱アクセントの違いなど、言語を話していて躓くところが言語化されていてなるほど感がある。納得間はなかったけど文理の人の考え方の違いとか、そんな考え方も...続きを読むあるのか、と納得。 通訳現場での面白エピソードや、うまい通訳さんの腕についても興味深い話が詰まっていて、教養って美しいなと思う。粋である。 積極的知識と消極的知識。 上手い語り手は記憶に残る。物語が見えてこない話にも地下水脈のやくな物語があり、それが感じ取れた時には記憶の負担は軽減される 耳から入り情報の記憶の定着は10%、目は30%、体験は80%。実戦が最も身につく場所である。 後半の方言や、グルジアの大統領の拙いロシア語をどうやって訳すかの話が面白かった。グッときて涙が出た。AIがあるから言語学ばなくていいと考えてる人は多くのことを落としてしまっていて勿体無い。英語以外の外国語を学ぶ大切さ。
著者の絶筆に著者の魅力が詰まっている。 異文化摩擦の最前線である通訳として従事した著者の経験から、通訳翻訳の魅力が記された本。我々が日常的に享受している通訳業者の恩恵だが、その裏側には喜劇悲劇が隠されている。 本書は一度でも母国語以外の外国語を勉強した者にとって大変共感出来る場面が多く存在する。 ...続きを読む また、あとがきの後に編集部注として本書出版後、編集部宛に届いた引用誤りの手紙に対する著者の返信が記されている。これが著者の絶筆だそうだが、ここに著者の魅力が詰まっていると感じた。
何度目かの再読。前日に読んだ本に引用されていたので。内容については語るまでもない、通訳から見える素晴らしい異文化間コミュニケーション論。この本は、2007年以降?の版の巻末に、編集部注として、読者から指摘された間違いに対して、筆者がそれを認め感謝する内容の返信にして絶筆が掲載されているのだが、必読。
尊敬する米原さんのエッセイ。米原さんの口調は軽やかだけれども、エッセイと呼ぶには奥深く、同時通訳という特殊な世界での数々の驚きのエピソードが非常に面白いです。私が翻訳の仕事を始めた頃にはすでに故人になられていて、生でその同時通訳の肉声を聞いてみたかったと思えてなりません。軽やかなパフォーマンスの裏に...続きを読む血の滲む努力があったこと、記憶に留めておきたいです。
言わずと知れたロシア語同時通訳の第一人者であった米原万里の通訳論。何度も読んだがやはり文句なしの名著。通訳を目指す人ではなくても、言語そのものに興味のある人は読んでおいて絶対に損はないだろう。 学校の英語の授業では基本的には字句通りの解釈を求められる。もちろん、それが外国語を学ぶ上で必要不可欠なこ...続きを読むとは言うまでもない。字句通りの解釈は基礎を学ぶ上では有効であるし、大量のインプットなしにアウトプットもありえないことは本書を読めばよく分かるだろう。しかし、ある程度のインプットが済めば次のステップとして求められるのは「ある外国語の発言や文章が何を言わんとしているのか、その核心をとらえること」だろう。言葉とは意味を伝える媒介であるということは、つまり言葉の根底にある意味を掴まなければ意味がないということだ。そしてそれこそが、つまり言葉によって伝達しようとしている発話者の生み出した概念をつかんで外国語に移し替えることこそが、通訳者の仕事なのだ。尚「通訳の全プロセス」におけるこの「言葉の前の概念」は本書で説明されているが、この考え方は外国語を扱う人にとって何かヒントになるものなのではないだろうか。 それにしても通訳という仕事をこれほどまでに魅力的に語った本が他にあるのだろうか?まぁ自分自身、通訳論について書かれた本を数多く読んだわけではないのだが、おそらく、いや絶対にこれほど面白く通訳について書かれた本はないだろうと言い切れるほどに本書は面白く興味深い。言葉を通して数々の考え方、思考方法を疑似体験できる通訳という仕事の魅力が本当によく理解できる一冊だ。
言語を学ぶ人間としては、筆者の「言語」に対する考え方・捉え方は新鮮で、読んでいて新しい世界の見方を得れる感覚があった。 その見方も突飛過ぎず、「言われてみればそうだね」という適度な距離感なのがさらに印象深いものにしている。 また、全体を通してユーモアが散りばめられており、思わず吹き出してしまうことも...続きを読むあった。 伝えたいメッセージは散発的に出てくる印象で、読後に一言でまとめようとするとまとめにくいが、全体を通して「言語」に対する新しい角度からの見方を教えてくれる、そんな気がする。
鳥飼久美子著『歴史をかえた誤訳』を読んでこの本の存在を知った。鳥飼氏は私が中学生の頃から憧れた同時通訳者で、ほとんどアイドル的存在だった。本書の著者米原万里氏は今回初めて知った。ロシア語通訳で、エリツィンやゴルバチョフが大統領の頃から活躍しているという。 ロシア語通訳としての豊富な経験から多く...続きを読むの実例を挙げ、通訳者あるいは翻訳者の使命を語る。また同業者や通訳としての先駆者たちの著書からの引用も的確で面白い。ロシア語通訳でありながらロシア語だけに偏らない書きぶりも好感が持てる。とにかく面白くて直ぐに読み終えた。素晴らしい通訳者はアウトプットに優れているのだろう。 本書の『不実な美女か 貞淑な醜女か』というタイトルが目を引くが、これは訳文が原文に忠実かどうかを「不実」と「貞淑」で表し、訳文が美文かどうかを「美女」と「醜女」で表すという、今ならおよそやってはいけないようなことをしていた。あまりに面白い例えで、思わず唸ってしまった。 先日読んだ吉村昭の『黒船』も幕末のペリー来航時に通詞を勤めた男の物語であった。この通訳という家業が如何に大変な仕事かわかる。 この手の話になると、どうしても自らの失敗を思い出してしまう。地元の港湾と米国の港湾との協定の下訳を誤訳してしまった経験がある。後にきちんと訂正されたが、まだどこかに原稿が残っているかもしれないと思うと、いまだに顔から火が出るようだ。
刺激的なタイトルに惹かれて思わず購入。 ロシア語の同時通訳者として活躍する著者の『通訳』という仕事の妙を教えてくれる作品。 外国語もからきしだめ、日本語もおぼつかない私からすれば、バイリンガルな人の頭の中は奇々怪々にしか感じられないが、この本にはわかりやすくそれを解説してくれている。更には著者や他...続きを読むの通訳の方々の失敗談、体験談を通し、異なる文化異なる価値観での会話の中で、日本という国の文化の輪郭を確かめることもできる。 気軽なエッセイ、異国への紀行本のように、通訳を目指していない人でも楽しく読むことが出来るだろう。 この本では通訳という仕事は多様な表現を受けている。たったその場限りに重宝がられ、事が終わればおさらばされる売春婦、ふたりの主人に仕える従僕、絶対的な時に抗う存在でありながら、異なる宇宙を繋げる存在でもあり、コミュニケーションの神に仕える信徒だ。通訳という仕事の大変さと興味深さを広げてくれる。 元より人が何かを表現する、何かを伝えるにあたっては必ず齟齬が生じるのは必然。それは通訳ではなく、普通の日常会話の中でも勿論発生する事態だ。 伝言ゲームはもちろんのこと、一対一であっても伝えていたものが伝わっていない、意図していないものが伝わり相手が不愉快を呈することもしばしば。 人との対話の難しさと、それが通じたときの心の底から溢れ出る歓喜を思い出させてくれる本だった。
早世されたロシア語同時通訳者、米原万理さんの初めてのエッセイ。彼女の著作を読んだのはこれが4冊目だが、渾身の一冊といえよう。彼女の魂が入っている。 第一線で活躍した米原さんの、通訳業にまつわる苦労ややりがいや失敗の経験がつづられている。言語に関すること以上に文化人類学の視点からも考察があり、興味深い...続きを読む。通訳に求められるのは、外国語能力以上に母国語能力だという。 米原さんは少女時代を外国で過ごしたが、母国語の日本語がとても美しく、この本も十分なリサーチをしたうえで、理路整然と書かれている。通訳を目指す人もそうでない人も、一度は米原さんの本を手に取ってもらいたい。
この本を購入するとき、書名を一瞥した書店の女性店員の表情が険しくなりましたが、笑える本でありながら、内容はとても深い一冊です。
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不実な美女か貞淑な醜女か
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米原万里
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