米原万里のレビュー一覧
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ネタバレ通訳から言語、国際関係まで自身の経験から面白くかつ、鋭く切り込んでいる。外国語を学んでいる人には是非読んでほしい。久しぶりに人に薦めたいと思う本に出会えた。
通訳という職業について様々な苦労と失敗談が語られているが、エピソードの紹介に留まらず考察を深めているところが凄い。差別語から差別の実態についての意見には思わず納得。卑猥な会話が仲間の雰囲気を作り出すということが、国を超えてあることだということも面白かった。
訳の仕事は大きく翻訳と通訳に分けられる。私のような素人は対象の言語を熟知していればどちらもできるのではないか、と思ってしまう。しかし両者の間には大きな隔絶がある。まず音声と文字で -
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早世されたロシア語同時通訳者、米原万理さんの初めてのエッセイ。彼女の著作を読んだのはこれが4冊目だが、渾身の一冊といえよう。彼女の魂が入っている。
第一線で活躍した米原さんの、通訳業にまつわる苦労ややりがいや失敗の経験がつづられている。言語に関すること以上に文化人類学の視点からも考察があり、興味深い。通訳に求められるのは、外国語能力以上に母国語能力だという。
米原さんは少女時代を外国で過ごしたが、母国語の日本語がとても美しく、この本も十分なリサーチをしたうえで、理路整然と書かれている。通訳を目指す人もそうでない人も、一度は米原さんの本を手に取ってもらいたい。 -
購入済み
シモネタなのに深い
アダムとイブの「葉っぱ」から力士のマワシまで、人類が腰につけるものについて、実体験と資料とタレコミを元にまじめに考察した一冊。ネタがネタだけに、米原さん本領発揮の安定の面白さです。
東欧・ロシアの、パンツは自分で作るもの、あるいはそもそも着けない、というのも驚きですが、かつての日本人のフンドシ姿を見た外国人の興味津々の様子も面白いです。
そして、あとがきを読んでさらに本書の深い意味を知ることに。米原さん、志半ばだったのかなあ。
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台湾と中国で、通訳を通じて仕事をしている。
通訳の程度をいろいろ感じて、
おもしろく思っていた。
通訳という業務は実に難しい業務であると思う。
両者の間に立って通訳し、
利害をどのように反映するかである。
通訳は、
「コミュニケーションを成立させることを使命としている」
「不実な美女」と「貞淑な醜女」の
2つのカテゴリーは、多くの言葉を語ってくれる。
そのような通訳にあったからかもしれない。
通訳が、
日本語的日本語→中国語的日本語
→日本的中国語→中国語的中国語
というプロセスを通じてつたわっているということを、
本書ではじめて知った。
この指摘は、いろんなことを示唆している。
通訳 -
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読みながら、学生時代に「縫い目が肌にあたるのがイヤだから」と、ぱんつを裏返してはいてる同級生がいたのを思い出しました。
今頃きっと結婚して子どももいるだろうけど、こどもにも裏返しでぱんつをはかせたかどうか、とても気になってきました。
そこまで親しくしてなかったので、聞けないのが残念(笑)
亡くなった祖母は元気な頃、下着は腰巻でした。
もっぱら畑仕事してたので普段はモンペでしたが、旅行のときは洋服(ワンピース)でしたが、足元は足袋に草履、下着はやっぱり腰巻でした。
今だったら絶対に止めてるのに、なぜあの頃誰も何も言わなかったんだろう?
それにしても、ソ連の家庭科の教科書に、パンツの作り方があ -
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中国が不思議な国であるが、
ロシアもやはりもっと不思議な国らしい。
ロシアという国は、
トルストイ、ツルゲーネフ、チェーホフ、
ゴーリキー、ドストエフスキーなど、
実に文学の分野では多彩な文化を創り出した。
しかし、それ以降、ソビエトの文学は、
まるで死に絶えたようである。
その文化の残映の中で、
今、新しい国を作っているのかもしれない。
レーニン、そして、スターリン以降、
最近のスターは、ゴルバチョフ、エリツィンだった。
その産声を上げ、そして終演していくさまは、
実に多彩な話題を提供してくれる。
ゴルバチョフは、ペレストロイカと
グラスノチ政策で、華々しく登場した。
人なつっこく、今 -
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ネタバレバナナで釘が打てます。濡れタオルを振り回すと凍る……。自分の”寒い冬”の概念がことごとく覆されました。
滑って転ぶ、しもやけになる、車がスリップ等が、寒い国では日常茶飯事。
子どもは、かまくらを作って、雪合戦や雪だるまを作って遊ぶのだろうと、この本を読むまで思い込んでいました。
んがっ!全然違うのです。マイナス五〇度以下の世界おそロシア☆
とにかく世界観が違います。まるで氷魔法の使えるファンタジーな世界。
本を読みながら『マジで!?ひぇ〜』と何度も声にだし、たまげました。
あまりにも寒いと、雪は粉のようで、道路も固いので滑らないのだそうです。
スケートしたり、雪合戦は春先の遊びで、ある程度 -
Posted by ブクログ
制作の勉強に。
笑いについて、方法論的に整理して考えることの必要性は感じていた。
・予想していた展開と実際のオチとの落差が、笑いになる。
(そこを大きくする努力をしないと笑えない)
→落とすために、先に持ち上げておく。
→動物、子どもなどの存在が、急に理性的なことを言い出す。
→弱者、被害者など反撃すると思われない者が反撃する。
・異なる論理と視点が出会うことによって、落差は生まれる。
(もとの論理を、相対化、転覆させる)
・ギャグは逆
その論理が想定している対象を正反対のものに転化することで論理をハイジャックする。
・観念的、理想的な人vs現実的な人
・木を見せてから森