【感想・ネタバレ】嘘つきアーニャの真っ赤な真実のレビュー

あらすじ

1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!

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Posted by ブクログ

幼い頃の思い出を交えた軽妙な文章ながら、激動の時代に翻弄されながら生きた人たちをリアルに感じる。
能天気だった自分の子供時代と比べると、ここに出てくる子ども達は国や大人の事情に巻き込まれて、無邪気さの中にも遥かに思慮深く大人びた雰囲気がある。

そう遠くない時代の話だけど、紛争の悲惨さって教科書やニュースで見るだけだといまいち実感湧かなかったりする。
当たり前だけど、こうして一人ひとりに人生があって、夢や故郷や愛する家族友人がいること、それなのに民族や思想の違いから、それらを奪われることや諦めることを考えると本当にしんどい。

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2026年10月01日

Posted by ブクログ

1960年から64年までプラハのソビエト学校にいた著者。早熟のギリシャ出身のリッツァ、ルーマニアの外交官の娘のアーニャ、絵が上手なユーゴスラビア出身のヤスミンカ。同級生たちの思い出とその後の彼女らを描くドキュメント。

久しぶりに再読。こんなに面白いのに何も覚えてなかった。面白おかしく描く軽妙な文章、そして共産主義。世界史を勉強してるときよりも共産主義について深く考えさせられた。やっぱり多様性って大切なんだよなっとも思った。

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2026年09月26日

Posted by ブクログ

面白かった、という感想が適当なのか分からないけど、とにかく読んでよかった。

戦争や紛争 というのがどうして簡単には終わらないのかも
情勢 というのが実は一人ひとりにとんでもなく影響するものだ ということも
そういうのが、あとから振り返った時に 歴史 なんだ ということも

この本を読むことで、教科書に書いてある理屈なんかよりも、ずっと染みるように分かった気がする。

エピソードはどれも、直接的に惨劇を描いたわけではなくて、どちらかというと思い出のところなんかコミカルだ。
それでも、どうしようもなく時代は彼女たちを取り込み、揺さぶっていく。



それにしても、米原さんてすごい人だ。

会えるかも分からない友達に会うために、まだ情勢が安定していない国へも渡航する。

自分とは違う考え方の友達に、はっきりと自分の違和感を伝えることにためらいがない。

そうして、結局、その人と考え方が違うまま終わったとしても、その人のことをまっすぐに友達と思える。

これだけのすごい経験を読ませてもらったわけだけど、一番すごいと思ったのそこかもしれない 笑

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2026年09月15日

Posted by ブクログ

世界わが心の旅 プラハ 4つの国の同級生をNHKオンデマンドで見たことをきっかけに同書を読み始める。3話目の「白い都のヤスミンカ」同級生のお話から別のエッセイがはじまったのかと思うも、読み進めると、3人目の同級生ヤースナのエピソードだとわかる。出会いから別れ。数十年後のにベオグラードでヤースナと再会する。ヨーロッパの激動の歴史と重なりあう人生。かわらない友情。せつなくて涙が出そうになった。ヤースナはその後どんな人生をすごしたのかすごく気になる。

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2026年08月30日

Posted by ブクログ

バルカン半島4ヶ国旅行のお供に。
ヨーロッパをひとまとめに「ヨーロッパ」と言うのはもはや失礼に値すると思った。気をつける
戦争をとても近くに感じて、友達を一生懸命探すのもとても好きなところだったし
たくさんの民族がいてそれぞれ自分を、家族を、信念を守りながら、奮闘して解釈を変えて adaptしていくのを感じられて、その苦悩を想像して、さらにそれが日本人である自分には絶対背中をさすって「分かるよ」と言う資格がないと思って、たくさん泣いた。

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2026年08月29日

Posted by ブクログ

久々に、こんなに面白いエッセイを読んだ。冷戦時代の〈東側〉の世相がよく分かる一冊。米原さんは重たいテーマをコケティシュな口調で面白おかしく綴っていくのが本当に上手だと思う。

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2026年08月16日

Posted by ブクログ

友人を起点にそこから見える家族とその思想、基底となる国家の状態を見せている。あくまで人を通して。逆にそれが、国家がどうあれ人はどうあるべきなのかを投げかけているようだ。

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2026年07月16日

Posted by ブクログ

すっばらしかった
心ふるえた

先日テレビで、米原さんがこの本に登場する友人3人を探す旅のドキュメンタリーを再放送してたの。没後20年なんですって。
それで概要は知っていたのだけど、彼女たちの人生の一部を覗かせてもらって、日本でしか生きてこなかったわたしには想像もできないそれぞれの事情があまりに劇的で。
しかもそれは彼女たちが特別なわけではなく、多くの人たちがその波にさらされてきたわけで。

たまたま私が生きてきた時代の日本は穏やかだっただけで、これからの日本が激流にのまれる可能性だってある。そうならないように努力したいし、いま嵐に見舞われている人々の助けになりたいとも思う。
私たちに何ができるだろうか。
考え続けなくちゃ。

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2026年05月19日

Posted by ブクログ

面白かった!!!
米原さんが、プラハのソ連学校で過ごした小中学校時代の友人3人と再会するお話。数十年前に連絡の途絶えた友人を海外で見つけ出せるのが、まず凄い。そして、ただ再会を喜び、思い出話をするだけでなく、それぞれの友人に対して様々な事を思うのが、正直で誠実だと思った。分かり合えない事もある。全く違う環境で、違う正義の元に生きているのだから。

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2026年05月17日

Posted by ブクログ

1960年代にプラハのソビエト学校で出会った友だちを、1990年代、チェコ、ルーマニア、セルビア(旧ユーゴスラビア)を訪れて、かつての思い出を頼りに、つながりをたどって、見事に再会する。
激動の東欧での人間模様、とてもおもしろかった。著者の生きた歴史に胸が高鳴った。
著者は冷静に客観的に自分をあまり出さずに出会う人々を描いているように見えて、芯の強い自分の依って立つ足場をしっかり持った人だと思うし、実は旧友をばっさり評価している。
だからこそ抉り出される人間性がある。
また、最近私自身が興味を引かれている、ルーマニアや旧ユーゴの社会を感じされてくれるのもワクワクした。

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

時は1960年代前半、舞台はチェコスロバキアにあった在プラハ・ソビエト学校。
ギリシャを故国に持つリッツァ、ルーマニアの要人を父にもつアーニャ、ユーゴスラビアから来たヤスミンカ、それから日本人のマリ(主人公で作者)ら少女たちの物語。
思春期の女子たちの対話や言動は、どの時代どの国どの人種であっても、かつて少女だった私も、似たようなもんなんだなぁと微笑ましく思い返してみたり。当時あの国では文房具は何をどう使っていたかまでが記されてあったり。
だがしかし、たんなる青春群像劇ではないのが、この作品の別の顔というか、本質というか、ミソというか。

『私たちと多少異なる点があるとしたら、彼女らが子どもながらに故国(と両親)の歴史を背負ってプラハに来ていることであり、その後の人生も歴史の変動と無縁ではいられなかったことでしょう。「激動の東欧史」といわれて、とっさに思い出すのは一九八〇年代後半からの民主化闘争と社会主義体制崩壊劇かもしれません。が、それ以前も以後も、この地域は「激動の歴史」にもまれっぱなしだった。この本のもうひとつの主役は、そうです、歴史なのです』(p.296 解説)

史実上、いまだ侵略も併合も分割もされたことのない我が島国ニッポン。さらに言えば、今いる国民のほとんどが戦争も内戦も経験したことが無い。
そんな私たちには想像もしにくい環境が、この作品の中には描かれています。

ヨーロッパというと西欧のほうばかりが話題にのぼったり注目されやすいですが、欧州の歴史はそこだけではないのです(いやまあ世界全土が繋がっているにはいるけども)。
いろいろな意味でマイナーなイメージのある東欧で、かつて何があったのか。そこにいる人々は何を思って生きていたのか。一頁も飽きさせないリズムと濃度でぐいぐいと惹きつけて読者に知らしめてくれます。
民族とは、アイデンティティとは、イデオロギーとは。

東欧かぁ…国名も歴史もあんまりよく分かってないしついていけるかなぁ?
とご心配であればYouTubeで「世界史 学び直し」など検索したら、まあまあ分かりやすく予習することが出来ますので。私は(たまたま)そうしました。そうして良かった。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オーディブルで聴いた。

面白かったー!!
1960年代にプラハのソビエト学校で小・中学生時代を過ごした著者の、当時の友達の話と、大人になってからその友達に会いに行く話。
冷戦、東欧諸国の民主化など、現代史でさらっと習った出来事に、まさに影響を受けた人たちの話で、私にとって遠い世界の話だったけれど、そんな世界の中で生きている人たちが、著者の親友だったから、本を読んでいる(聴いている)間はとても身近に感じられて面白かった。
3人の友達が、3人とも魅力的で個性的で忘れられない。
まだネットやスマホが普及していない時代だったから、すぐに連絡もつかなくて不安だっただろうな…。ネットが普及してても、30年前の友達を探すのは大変なことだと思うから、再開できて良かった。
ロシア語というか、外国語を話せて、外国の友達がいて、外国の文化に触れられるって改めていいなと思った。
ロシアやロシア語ってだけで毛嫌いする年配の日本人をたまにみかけるけど、やっぱりロシア語ができて、プラハで小中学校時代を過ごした経験って羨ましいなと思った。

ルーマニアの特権階級のアーニャの話や、アーニャのご両親やお兄さんの話、ユーゴスラビア人のヤスミンカの話は特に、貴重なお話を聞いたと思った。
ルーマニアのブカレストのシャンゼリゼ通りのコピーとか、豪華な国民の館とか思わずネットで調べてしまった。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

父親が日本共産党員で、日本の小学校高学年から中学に当たる時期の1960-1964年をチェコプラハのソビエト学校で各国から集まった生徒達と過ごした自身の経験を綴った米原万里さんのエッセイ。こういうと少々堅苦しそうに聞こえるかもしれないが、其々出身国の違う三人の友人とのやりとりやクラスの様子や各々の家庭の様子もとても興味深い。その後、交流も途絶えていた友人達を約30年後に探して会いに行くというのも壮大。会える迄はこちらもドキドキ。プラハの春前後のチェコの様子、三人の出身国のギリシャ、ルーマニア、ユーゴスラビアの当時やその後。社会主義陣営内での対立等、歴史、政治的な事も身近な視点で良く見えて大変面白く、一気読みでした。

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2025年05月18日

Posted by 読むコレ

祝!電子化。米原さんの作品を電書で読める日が来るなんて考えもしなかった。60年代のプラハ、そしてその後の東欧の波乱を3人の旧友との再会の物語として描くノンフィクション。友達の消息を探しに、内戦下の旧ユーゴスラビアに飛び込んでいく第3話が特に素晴らしい!

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2012年09月26日

Posted by ブクログ

東欧諸国での一般庶民の生活や価値観などが、また小中高生目線での日常生活として、ユーモア溢れたストーリーとして伝わってくる。とても暖かであり、日本とは異なる世界があることが伝わってきた。

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2026年09月20日

Posted by ブクログ

最近、読んだら社会主義、共産主義関係の小説だったなあと思うことが多く。
戦後の海外の古典を読んだりしてるからそうなるんだろうけど。

著者の名前はロシア語通訳、翻訳家として知っていたが父親が共産党員なのは知らなかった。
共産党って海外支部持ってたんだ!党員が海外支部に派遣されて世界の共産主義者と一緒に仕事(?)をすることなんてあったんだ!と言うのが驚き。
共産主義者は世界共通の理想に燃えてるってことだったんでしょうか。
その父親のソ連派遣に帯同して、まだ子供だった著者がチェコのプラハでソビエト大使館付属の学校に通ったときのことと、十数年経ってかつてのクラスメイトに会いに行った時のエッセイ。

学生時代の各国の共産党員の子どもたちが、皆自国に誇りを持っていてすごい。両親が国のためによいことをしている自負もあったのだろう。
ただ社会主義とはやはり名ばかりのところもあり、労働者のために奔走していると見せかけながら共産党員上層部はありあまる金銭の享受のうえでの暮らしをしているという矛盾も子供の米原さんはしっかりとらえている。
印象的だったのは、ソ連では才能を持つ子供がいたらそれはその子どものものだけではなく、民族の宝であり、無条件で愛され、皆が支えてくれる、という部分。
西側に亡命した才能ある者が、ソ連ではそうだったのに西側では才能は個人の持ち物であり、妬まれ引きずり下ろそうとされると涙ながらに語ったそう。ソ連の考え方があまりにも違うので驚いたし、日本でも個人の持ち物にしか過ぎないので西側と一緒だ。ソ連の考え方はとても素晴らしいことだと思うが、個人の持ち物は皆のものでもあるということは…こういう部分が社会主義がロシアで起きた背景にあったんだろうか。

また、タイトルにもなっているアーニャの章だが、植え付けられた思想は大人になって海外に出てもそう簡単には変わらない。もしくは自分のなかで辻褄が合うように、外の現象を無意識に捻じ曲げてしまう。書かれている内容と「真っ赤な真実」というタイトルに、そんな印象を受けた。

ところでソ連で一番偉いのは書記長でしたが、大統領でも首相でもないのはなぜと昔子供心に思っていた。各国の共産党は理論情報誌なるものを世間に向けて出版するのが使命だったらしく、それで情報誌編纂のトップがそのまま党内でトップになるから書記長が最高指導者だった、ということか?と思って調べたら、当時は「共産党が国家を指導する」(!!)という立場だったがゆえに、共産党のトップが実質一番偉い、ということになっていたらしい。
共産党の方が国家より偉いとは…!国家とは一体何なのか?と考えさせられる。
そして今の日本はもしかして、「政治家が国家を指導する」になってしまっていて、政治家の判断が国家の意思であるかのようになってしまっているのでは?と思ってしまった。

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2026年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

色々な国に出自を持つ子たちが集まるプラハのソビエト学校。主人公とギリシャのおませ娘リッツァ、ルーマニアへの愛国心が強いアーニャ、ユーゴスラビアのクール才女ヤスミンカとの交流が描かれる。

主人公はわずか13歳やそこらで赤旗を熟読しており、共産党意識がかなり強い。そのせいで、政治的な当たりが強くて結構ヒヤヒヤする。何度「その言葉飲み込んでくれて良かった」と思ったか…!クラスメイトたちもみんな政治的主張や民族意識を持っていて、全然私の知っている小中学生ではない。

小さい国の方が愛国心が強い、ロシアでは才能のあるものは無条件に愛されるみんなのもの、東欧の人は東欧と呼ばれるのを嫌う(中欧と呼称)など国民性がよく知れる。昔の話なので今は違うかもだけど。

NHK「時をかけるテレビ」で、「世界わが心の旅 プラハ 4つの国の同級生」でドキュメンタリーにもなっててU-NEXTで見れるみたいなので、今度見る。

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2026年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近お気に入りのひかり書店で発見した、
米原万里さん、
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
実は先日、
月に一度の楽しみにしているコミュニティラジオ
「ビブリオラジオ」で紹介されていて気になっていた。

この本は、著者が1960年から1964年までの約5年間、在プラハのソビエト学校で過ごした少女時代の思い出をもとにした自分史的エッセイ。
当時のプラハには世界50カ国以上の共産圏の子どもたちが集まる国際学校があり、共通語はロシア語。
著者は日本共産党関係者の父親の駐在でそこに通い、多国籍の友人たちと過ごす。

本は3編の連作で、
それぞれにギリシャ人のリッツァ、
ルーマニア人のアーニャ、
ユーゴスラビア人のヤスミンカという
魅力的な同級生との子供時代の友情と、
約30年後の1990年代に再会して知る「真実」が対比されている。

再会を通じて明らかになるのは、
プラハの春以降の東欧の激動——チェコスロバキアの変化、ルーマニアの体制崩壊、ユーゴスラビアの内戦など。
子供時代の純粋な思い出と、
大人になって見えた歴史の荒波のギャップが印象的で、共産主義の理想と現実、民族やアイデンティティの揺らぎを個人的な視点から描いている。

3編それぞれに印象的なシーンがあるので、
ここから少し具体的な内容に触れる。

「リッツァの夢見た青空」では、
勉強のできなかったリッツァが、
名門大学の医学部に進学したと噂で聞いて、
父親のコネで入れたのだろうと疑いなく思っていたマリ。再会して真実を知り、会わなかった時間に積み重ねた彼女の努力と苦労を思って、父親のコネだと思い込んでいた自分を恥じるところ。

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」では、
再会したアーニャに、
言いたいことを飲み込むシーン。
実際には彼女に言ってないが、
あたかも彼女自身に投げつけたかのようなマリの心の中の「」がアーニャとの友情とルーマニアの現実を見た葛藤に揺れていて印象深い。

「白い都のヤスミンカ」はヤスミンカとの再会時、
彼女の以下のセリフで、
事態の深刻さをより大きく感じた。

「でもね、マリ、このすべてが、いつ破壊し尽くされてもおかしくないような状況に、私たちは置かれているのよ。翻訳している最中も、本を読んでいるときも、台所に立っているときも、ふとそのことで頭がいっぱいになるの。すると、振り払っても振り払っても、恐ろしいイメージが次から次へ浮かんできて気が狂いそうになる」(288頁)

「この戦争が始まって以来、そう、もう五年間、私は、家具をひとつも買っていないの。食器も。コップひとつさえ買っていない。店で素敵なのを見つけて、買おうかなと一瞬だけ思う。でも次の瞬間は、こんなもの買っても壊された時に失う悲しみが増えるだけだ、っていう思いが被さってきて、買いたい気持ちは雲散霧消してしまうの。それよりも、明日にも一家皆殺しになってしまうかもしれないって」(288-289頁)

長くなったが、ヤスミンカのこの言葉には、
最近よく考える、国家をはじめとする個人を超えた大きな組織による戦争や紛争に、
否応なく巻き込まれて潰される個人の日常、
奪われるささやかな生活が、
リアルな言葉で綴られていて深く刺さった。

ちなみに恥ずかしながら、
わたしはこのエリアの歴史には特に疎い。
…というか、共産主義や社会主義についても本当に知らないことが多い。
生まれる前の歴史どころか、
自分が生まれた後の歴史でもあった冷戦下に、
共産圏バリバリのエリアでは
どんな生活があったのか。
プラハの春や民族紛争などが、
どんな事態に発展したのかさえ全然知らなかった。
経験したはずの歴史も、
自分の世界とは遠すぎて、
意識することさえなかったな、
とこの本を読んで改めて思う。
こういう事象、いっぱいあるんだろう。

時間的、物理的距離はあっても、
いろんな時代、いろんな場所で送られる日常はそれぞれに尊い。
誰かの日常、いつかの生活も、
今の自分の地続きにあることが少しでも意識できるなら、知らないこと、知らない国、知らない思想について恐怖や嫌悪以外の豊かな感想をもてるかもしれない。

とにかく、いろんな方面からいろんな感情を刺してくる内容だった。
めちゃくちゃ面白かった。

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2026年03月31日

Posted by ブクログ

わかってもらえないならいい、って思えるのはすごく閉鎖的で安全な環境にいたんだなって思った。
今までは、他人を理解するなんて無理だし、理解しようとしてくれる人だけを大事にすればいいや、って思ってたけど、わからなくてもわかろうとチャレンジしたり、わかってもらおうとチャレンジをしてみたほうがいいのかもしれないって思った。強くなりたい。

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2026年03月22日

Posted by ブクログ


[抽象的な人類なんてこの世界に1人も存在しない]
著者の友人を通して歴史が描かれることにより、具体的な身近な出来事として、民族やナショナリズムについて考えさせられる。

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2026年03月21日

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ネタバレ

実体験をもとにしたノンフィクションで、すごく濃密な本だ。
チェコのプラハでソビエト学校に通う小学生のマリ。ここには50もの国からやってきた子供たちが通っている。マリの父親は、日本共産党から派遣されて、国際共産主義運動の理論誌の編集局に勤めており、そのため家族でプラハにやってきた。(この学校に通う子供たちは外交官や共産主義運動の幹部たちを親に持ち、それなりにブルジョアな暮らしぶりが散見される。しかし同時に社会主義国としての計画経済による、融通の効かなさみたいなところも描写され非常に興味深い)

米原万里がプラハで過ごした9〜14歳までの期間に出会った、3人のかけがえのない友人たち。リッツァ、アーニャ、ヤスミンカ。それぞれを主役にした三篇からなるお話。
同時に、社会主義、共産主義思想を掲げる東ヨーロッパ諸国の、激動の二十世紀後半記でもある。ロシア語同時通訳者、エッセイストである著者の豊富な異文化体験と、民族に対する冷静なまなざし。読み進めるほどに、なんと聡明な人だろうと驚く。

P247から引用。
『ところで日本ではいとも気楽に無頓着に「東欧」と呼ぶが、ポーランド人もチェコ人もハンガリー人もルーマニア人も、こう括られるのをひどく嫌う。「中欧」と訂正する。』
こんなことぜんぜん知らなかった。
彼らはもちろん地理的正確さを期して東を嫌うのではない。「東」とは、より西のキリスト教諸国の発展から取り残されてしまった、また冷戦で負けた社会主義陣営を指す記号でもあるという。貧しい敗者のイメージ。憧れ、劣等感、蔑視と嫌悪感。これは、明治以降に脱亜入欧を目指したわたしたち日本人に通じる。

民族紛争や異宗教との諍いに、否応なく巻き込まれていくかつての少女たち。
しかし、かといって悲壮感に溢れるだけではない。多感な時期の少女たちの、華やかで明け透けで、ときに大人顔負けの知的さを垣間見せる、希望に溢れた感性も見事に描写される。
歴史に疎い自分にとってはとても勉強になるし、それどころか10代の女の子たちがここまで社会や民族について学び理解し、自分なりの考えを持って生きていたことに頭が下がる。

総じて、いい本を読んだなぁ、という気持ちになった。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

軍事政権の弾圧を逃れ東欧各地を転々とし、チェコスロバキアに亡命した共産主義者の父を持つギリシャ人のリッツァ。
同じく共産主義者の父を持つ、インド生まれ中国育ちのルーマニア人アーニャ。
15歳でパルチザンの一員となった共産主義の父を持つユーゴスラビア人のヤスミンカ。
日本人の著者と少女時代を過ごし、その後30年という月日を経て再会する。
当時の時代や歴史、共産主義、社会主義、民族意識…さまざまな視点で考えるきっかけを与えてくれた一冊。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

自分の無知を感じました 才能は個人の持ちものではなく、皆のものという国民性の違いのくだりもカルチャーショック 良い本に出合えました

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

おもしろかった。プラハでの学童期の友人三人との関わりを各章で書いているが、エッセイという軽いものではなく、それぞれが深淵で美しい物語として成立している。

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本は本屋で紹介されてて面白そうって購入した。が、なかなか手を付けず、少し読んでみたけどなかなか進まず。今思うとそのタイミングじゃなかったんだなと。最近読んだらまぁすらすら読めて面白くて止まらなかった。
まず作者がすごい体験をしているということに驚き。小学校を海外で過ごしていろんな国から来た子に囲まれて育つなんて知り合いにいたことないし、そんな方の経験談を本で読めるっていうのは貴重なことだなと思った。
そしてとっても面白かったのはアーニャの章で、自分の生まれた国から時間的にも距離的にも離れていればいるほど自分の国を愛しているという話。これは自分が実際住んでいる時間が少ないことで嫌な部分も見えにくいって言うのもあるのかな?あとまだ小学生ぐらいの子って自慢したがるとこあるよなと思った。こういう普段考えないようなことだけど、自分がもし同じ境遇になったらやっぱり日本って素晴らしいよって言うのかな?って考えて、小学校の自分だったらいいそうな気がするなーと。
大人になってから3人を探しに海外に行き全員見つけられたのは本当に運がいいし携帯もなかった時代で奇跡。

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2025年06月19日

Posted by ブクログ

プラハは訪れたこともあり、好きな街なので興味深かった。
場所と時代は違えど、久し振りに学生時代の友人に会い、変わっていないことを喜んだり、「こんな子だったっけ…」と感じるのは、よく分かるなと思った。
また所在不明の友人達を探していく過程が、自分も旅をしているようで面白かった。

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ノンフィクションエッセイだとは思っていなかったので、
ずっと小説の棚を探していた

IGで野崎萌香ちゃんが紹介していた本

共産主義が台頭していた時代にソビエト学校に通っていた当時のエピソードと、ソビエト学校時代の友達に会いに行く現在の話が交互になっている

三つの章に分かれていて、三人の友達それぞれに会いに行ってるけど、同じような時期に会いに行ったのかな?おそらくそうらしい

それぞれの友達が違うタイプの人だから、
読んでいて退屈しなかった

こんなに身近に政治的思想を感じることってあるんだなぁと、
この本を読んで思った
戦争とか、イデオロギーとか、日常にめり込んでると感じた
わたしは生まれた時から戦後で資本主義社会だったから、なんの違和感もなく過ごしてきたけど、
いまも違和感を持って暮らしてる人はいるんだろうなと思った

日常に溶け込んでいるから、
とても読みやすかったし、少しだけ当時の雰囲気を知ることができたような気がする
難しいところは飛ばし飛ばし読んだけど…

ただ、表題になっているアーニャに対する作者の気持ちはマイナスな部分が多いのかなぁという印象を持った

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2026年10月04日

Posted by ブクログ

NHK時をかけるテレビを見て、本を読んでみた。
日本は単一民族の国だから、ニュースで見るような民族間の衝突について全てを理解するとこは難しいのだろうとこの本を読みながらつくづく思った。
それぞれの違う国に生まれた4人が学生時代をともに過ごし、その後の話。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこかやるせなさが残る。米原さんのエッセイを読むと、外国に対して無関心でいたことがすごく恥ずかしいことのように思います。他のエッセイも読んでいきます。

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2026年03月26日

Posted by ブクログ

島国だとわからない部分もあります。
ノンフィクションとは言え、ミステリ要素もある作品である。激動の時期だと色々と変わるものが多いです。


1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

面白かった。そして自分がいかに世界で起こっている事を知らないか思い知らされた。
寒く暗く食べ物が不味く、人々は貧しい。これが漠然と抱いていた東欧のイメージ。それ以上を知りもしないし、知ろうともしなかった。本書では良い面、よくない面織り交ぜながらその時の空気感を伝えてくれる。
祖国への愛。宗教、民族、国籍が異なるクラスでの学び。社会主義を信じる気持ち。
学びになった。

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2025年11月24日

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