あらすじ
「ああ、私が10人いれば、すべての療法を試してみるのに」。2006年に逝った著者が、がんと闘いつつ力をふり絞って執筆した「私の読書日記」(週刊文春連載)に加え、1995年から2005年まで10年間の全書評を収録した最初で最後の書評集。ロシア語会議通訳、エッセイスト、作家として56年の生涯を走り抜けた米原万里を知るには必読の一冊。この本には、彼女の才気とユーモアが詰まっています。
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「これぞ書評!」である。
文庫本で570ページの大冊だが、そのボリュームがまったく気にならない。どころか、読み終わるのが惜しいと思ってしまう。
あれも読んでみたい、これも読みたいと、読みたくなる本が次々に紹介されているので、どれから読もうかと困ってしまう。
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米原さんの本の読む量の凄さとは。やっぱりソビエトで育っていることで日本語に飢えていた時間があったからか。
移動の多い仕事だったからかもしれないけど。
読んでみたい本が多くあった。オーディブルにはなさそうだからかみのほんてよまないとなぁ。
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まさにタイトル通り打ちのめされること必至の本。前半の読書日記、後半の書評集、珠玉のような言葉の洪水。ほとんどが未読の書ながらその本の良さがグイグイと伝わってきました。前半の日記は、当時の世相を本質を見抜く目で鋭くコメントしつつ本に触れるという離れ技。
最後の癌との闘いは壮絶でありながら冷静で魂の強さを感じました。
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書評のあつまりです。
一つ一つが重く、息苦しい感があり、ぎゅっと固まったチーズを薄くそぎながら前に進むイメージです。
鋭い論評と、博学で、事実と経験に裏付けられた内容にて、圧倒されます。
他の書も読んでみたくなりました。
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米原万里の書評集。週刊文春に連載していた「私の読書日記」と、各誌・紙に書いていた書評を集めたもの。文庫本には、井上ひさしと丸谷才一の解説がついている。
「打ちのめされるようなすごい本」という題名の書評集であるが、本書を読んだ人は、米原万里のすごさに打ちのめされる部分があるのではないか。その読書量、博覧強記さ、歯に衣着せぬ表現、書かれていることの鋭さと独特の感性。米原万里の本を読むのは5-6冊目だと思うが、あらためてすごい人だったのだと感じた。
週刊文春の「私の読書日記」の連載は、2006年5月18日号まで続いている。一方で、米原万里が癌で亡くなったのは、2006年5月25日。亡くなる直前まで連載を続けていたことが分かる。
「私の読書日記」の最後の方は、癌治療に関しての本の紹介と共に、ご自身の治療記録が書かれている。闘病記と呼んでも良いだろう。これだけの闘いに勝てずに亡くなってしまうことが分かりながら読む闘病記は切ないものがある。
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この本は齋藤孝さんの『超速読術』という本を読んでいたら、速読な方の例として『打ちのめされるようなすごい本』を書かれた米原万里さんは1日に7~8冊読まれるそうです。と書いてあり、たまたま私はこの本を積んで手元に置いていたので、すぐに読みました。
でも、この本すごいです。この本にこそ打ちのめされます。
私がレビューなどするのは10年、いえ100年早いといわれそうな気がします。感想文だと思ってください。
米原さんはロシア語通訳者であり、作家です。惜しくも2006年に亡くなられています。
この本は二部構成で、第一部が私の読書日記(目次をよんでいるだけで楽しくなります)第二部が書評です。日記は2001年1月より2006年5月まで、書評は1995年~2005年までのもので、主に新聞連載されたものです。
国際情勢については、もう少しやさしい本から学びたいと思いました。米原さんの専門のロシアや、私にとって特になじみの薄い中東が気になりました。
主に政局は小泉政権で、アフガニスタン問題、北朝鮮の拉致問題が大きく取り上げられていたころの記録なので、現在の情勢とは異なる点が残念ですが(私がもっと早く本書を読めばよかったのですが)私はその時代のことも無知なので、書評と日記を読んでいるだけで勉強になりました。
もちろん日本や海外の小説もたくさん載っています。やはりロシア中心ですが。
そして、書評というものは、こんな風に書くものなのかとも何度も思わされました。自分とはあまりにもレベル違いで参考にすらできないと思いました。
米原さんの作家としての作品やこの本で紹介されている本は是非、興味のあるものから読んでみたいと思いました。早逝されたのが惜しまれます。まだお元気でしたら、今の時代のどんな本を選んでくださっていたでしょうか。
日記の後半部分は、癌治療の闘病記録でもあり、その簡単でない苦しみが伝わってきました。
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一体どこが違うのかね? ここで幼稚な感想文を書いてる自分と米原さんは。小学生と大学教授位の差があるから我ながら参ってしまう。
本文にもあったが、書評と言うのは基本的に良いことしか書かれない。モノや人を評する時、貶す場合は舌鋒鋭くて大して中身がなくてもそれなりに迫力ある批評が書けるが、誉めるのはなかなか難しいものである。それにも関わらずこんなに多彩な表現で正確にその価値を伝えられる書評がこれでもかと言うほど読めるなんて幸せだ。まさに書評の活きた教科書。やっぱり圧倒的な読書量の差から来るのかな。
惜しむらくは米原さんの亡くなる前年の2005年で終わっていること。もっと読みたかったよ。残念だ。
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良い本は、否、良心的な本は索引がついている。
浅い経験から、僭越ながら申し上げると、本を手にする度にそう思います。
索引のある本がどれほど便利で助かるかー
学校の教科書には必ず索引がついている、筈だ?
デジタル化された現代、原稿はデジタルでスキャン出来るはずです。
小難しい学術本や評論集などはぜひそうあるべきだと
ついつい、ないものねだりをしてしまいます。
いや、小説といえども、人名の索引は簡単に出来るはずだとも思っています。
特に、登場人物が多い作品にはぜひそうして欲しい。
今、読んでいる米原万里「打ちのめされようなすごい本」(文春文庫)
という文庫本には、何と索引が2種類ある。
書名と著者名の二つがついている、何とゼイタクな。
この本の中で、一番引用されている著者はあの丸谷才一である。
この本の解説を書いている丸谷才一は
米原万里との親交があったかどうか不明である。
あとがきで、丸谷才一は、彼女が無類の本好きだった点をまず挙げ、
更に彼女のスターリン批判は半端ではないと述べた後、
スターリンが大変な読書家だったという点において、
しぶしぶ好意をよせる米原万里の心情を讃えている。
『いい人ですね。かういふ人のいい感じもわたしは好きだ』
索引が2つも付いているというのは、
読書人として米原万里の一つの矜持かも知れません。
スターリンは1日、500ページ読破したそうです。
また、彼女は1日平均7冊も読みあげたそうです。
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"ロシア語通訳、作家という肩書きを持つ著者。すでに残念ながらお亡くなりになっている。私が米原万里さんの本に出会った時には、著者はすでにこの世にはいなかった。残念でならない。この本は、米原さんの書評を集めた本。
ロシアに関する本、癌に関する本、大江健三郎に関する本、が特に印象に残る。癌の治療を受けながら、癌に関する書物からいろいろ学びを得つつ(医薬、治療の宣伝本、駄本も多数あり、時間の浪費をしつつ)自らの治療に反映させている。
書評から気になった本のタイトルは
・スミラの雪の感覚
・コーカサスの金色の雲
・赤いツァーリ 上下
・台湾人と日本人
・パーネ・アモーレ
・そして殺人者は野に放たれる"
Posted by ブクログ
打ちのめされるような本を集めていると思うが、この本自体が打ちのめされるような本であった。
語彙が豊かな書評、幅広い分野からの選書、そして本人の闘病、どれも今まで知らなかった世界を大いに広げてくれた。
かなり長編であったが、最後には終わらないで欲しいと思うような本。
米原万里の本は初めてであったが、他も読んでみたくなった。
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ロシア語同時通訳者の米原万理さんは大変な読書家だったようだ。平均1日7冊読むそうで、自称本好きの私でも足元にも及ばない。
この本を読むと、彼女が博識でとても頭がいい人なのだということがよく分かる。紹介されている本のうち何冊かは既読だが、彼女の洞察力、読解力は並外れているし、感じたことを文章にする力もすごい。ジャンルも言語学、民俗学、国際政治、動物から下ネタまで多岐に渡る。
基本的に新聞などの書評欄に掲載されたものを集めたものなので、著者や出版社に遠慮があるのか、それほど辛口の批評は出てこないのがやや残念ではある。それでも今後読みたい本は何冊もメモした。
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打ちのめされるようなすごい書評集。
あの本を読んでみたい、この本も読んでみたいと、付箋だらけになってしまった。
優れた書評集は優れた読書ガイドとなる。
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やっと半分まできた。
米原万里さんの読書力、知識力にはおどろくばかり。
興味対象が広く、自分自身の世界の小ささを思い知らされると同時に、知らない世界をもっともっとたくさん知りたいという向上心を与えてくれる。
これから出てくる本がどんな本なのかが楽しみで仕方ない。
それにしても、こんな素晴らしい文筆家がこんなに早くにして亡くなったことを惜しく思わずにいられない。
米原さん、もっと早くあなたに出会っていたかった。
Posted by ブクログ
読書とは未知の世界への扉を開く行為である。米原万里は幼少期から多読に親しみロシア語通訳者として膨大な書物を吸収し続けた。
彼女が出会った珠玉の名著を紹介しつつその衝撃をユーモアと鋭い洞察で綴る。単なる書評ではなく読書体験そのものを描く筆致に読者もまた心を揺さぶられる。
特に印象的なのは独裁国家における言語の力を論じる場面だ。ロシア語通訳としての経験が言葉の奥に潜む真実を浮かび上がらせる。
本は人生を変える力を持つ。米原の読書遍歴を辿れば自らの「打ちのめされる一冊」に出会う道筋が見えてくるかもしれない。
Posted by ブクログ
大人になってようやく、受験や資格のためではなく自分の興味のままにたくさん学びたいという気持ちになった。そんなときにおすすめされて読んだのがこの一冊。
ジャンル問わず膨大な知識量に圧倒され、私の知識では深く理解できない部分があったのが悔しい。また勉強してもう一度チャレンジしたい。
彼女が今も存命だったらどんなことを語るのか考えざるを得なかった。
数々の書評の中に読んだことがある本が出てくると嬉しかったな
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1日7冊(!!!)読んでいたというスーパー読書超人の米原万里。読書を愛して愛して愛し尽くした彼女の文章を読んでいるとこちらまでもっともっと本を読みたくなってくる。彼女が生きていたらコロナ禍の日本や露のウクライナ侵攻をどう論じていたのだろう。長生きして欲しかった。
Posted by ブクログ
筆者の読書量の多さ、博識にはうちのめされた。長いので一気にというわけにはいかなかったが、取りつかれたように夢中になって読んだ。ここに述べられている90%の本は未読なのになぜか楽しめた。とりあえずこれらの本を片っ端から読みたくなった。米原さんが生きておられたら、今のロシア情勢について何を語るのだろうか。早逝されたことが残念でならない。
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ここ20年ほど一日平均7冊を維持してきたという、読書以外の時間を引けば最低1冊1時間のペースでしかも精緻に評論できる米原万里のすごさに打ちのめされました。
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「打ちのめされるようなすごい本」米原万里。2006年文藝春秋社。
米原さんの遺作?遺稿?となった書評連載を没後にまとめたものです。
大変にオモシロくて、「イン・ザ・プール」から丸谷才一から政治や東欧やロシア関係から自然科学系まで、「これは絶対買って読もう」という印がいっぱいつきました。打ちのめされました。
※文中、鹿島茂さんのことを「あの人は仕事の質も量もすごい。どうやってインプット(読書)する時間を保っているのか」と感嘆するくだりがあり、「おお、同感」と嬉しかった(笑)。
※米原さんも「日本史は司馬遼太郎で基礎教養を付けた」とおっしゃられていて、我が意を得たり、と。どう考えても読書さえ出来るなら、それに勝る方法は無い。
※連載当時の自民党政権への批判が、時折(歳月を過ぎてみると)、批判と言うより罵倒…見下し…という風に受け止められる瞬間もあって、それはちょっとげんなりしました。(まあ、大まかな感情的方向としては同感なんですけど、個人的にはそういうことを読みたくて読書をしているわけでない)
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著者による書評集
読書というのは知性を育んでくれるものだが、知性があればある程、読書を楽しめるし得られるものも深くなる
著者の書評を読むとそれを強く感じる
家に積読本が沢山あるのに、また読みたい本が増える
Posted by ブクログ
自己の知識と 読んだ本を
コラボレーションさせて 一つのコラムとして
まとめ上げていくのが見事です
後半の闘病記には
生身の米原節が効いてます
圧倒的な知識で医師をタジタジにしてます・・・
Posted by ブクログ
とにかく網羅される分野が富んでいて感嘆する。日に7冊読むそうだ。厳選された本の書評は宝とも言える。アメリカや外務省、メディアなどに対する著者の指摘は的を得ていて痛快だ。本作で読みたい本のリストに114冊加わった。辞書とスマホ(メモ帳に著者と書名をメモするため)を使いまくった読書体験は初めてで、いい経験となった。
Posted by ブクログ
米原万里は優れたエッセイストだと思っていたが、この本を読むと、よくいるエビデンスなく印象論であれこれ述べるタイプの知識人という部分も強かったのだなあと思うし、このような人を良しとしているから近藤誠を信じてしまったのだなあと心が痛む。
Posted by ブクログ
米原万里の逝去後、すぐに刊行された彼女の「全書評集」。彼女の、多言語話者らしく何事をも相対化する目から鱗のエッセイ集は大好きで、幾度ともなく読み返したものだ。その彼女がこれほどの読書家だったとは、恥ずかしながら知らなかった。自分が読んだことのある本の書評から推察すると、全般的に誉め過ぎ(まあ、本書でも紹介される斎藤美奈子ならぬ身としては、せっかく書評を書くのだから、誉めるのは当たり前だが)の傾向があるものの、興味をそそられる本は数知れず、一気に読みたい本リストが増えてしまった。ボリュームもたっぷり。
Posted by ブクログ
米原万里さんの書評集。
「インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。」で、時間は有限だから良質な情報だけをインプットしよう。とあって、この本が紹介されていた。
読みながら気になる本を片っ端から買っていっているけれど、今のところ打ちのめされるほどではない。もしかしたら、良質でも私とは合わないのかもしれない…
Posted by ブクログ
長かったー!生半可な覚悟で読むものじゃない。書評するには膨大な数の作品を読み込み、本を心の底から愛する気持ちがなければ簡単には出来ないものだと痛感させられた。
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米原万里の文章を読んでいるとロシア語の前に日本語が巧いことに唸ってしまう。こんなに日本語の文章が巧くて、膨大な読書もできて、ロシア語の達人でもあるという才能の豊かさに嫉妬しまうのだ。
しかし、そんな才女も完全無欠ではない。共産主義に傾倒しているせいなのか、その思想に若干の歪みがある。理論的な解析は極めて鋭いが、理性では判定できない事柄を無理に解析しようとして歪みが生じている。例えば、政治や宗教に対する見方に歪みがある。
とはいえ、それを割り引いても本書は学ぶところが多い。彼女が「打ちのめされた本」を知ることができると同時に、彼女のものの見方を知ることもできるからだ。
米原万里は2006年にガンで亡くなった。56歳だった。あまりに早い。才能ある人はやはり短命なのか。本書の最大の価値は、その闘病が垣間見れることであろう。
彼女ほどの知性の持ち主がなぜ56歳という若さで死ななければならなかったのか。これは完全に私の主観であるが、彼女の理性が彼女の死期を早めてしまったように思えてならないのだ。
Posted by ブクログ
プロの読書感想文を読んでいるような本でした。
著者の読書歴とその書評で、聞いたこともないような本が盛りだくさん!!特に著者がロシア語の通訳者だけあってか、ロシア系の本の多さにはびっくりでした><
その中でもいくつか読んでみたい本もあって、この本自体はタイトル買いしたんだけど、読んだ甲斐はありました。
私も著者のようにうまく読書感想文が書けたらいいのになーと最初から最後まで思ったそんな本でした。