【感想・ネタバレ】旅行者の朝食のレビュー

あらすじ

その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

1998年から2002年にあちこちに書いた料理や食材をめぐるエッセイ、37品。読み終わると、トリビアで満腹、いっぱしの食通になった気がする。
酒飲みには(あるいは化学者にも)「ウォトカをめぐる二つの謎」がおもしろい。推理小説のように歴史的実証が展開する。中心人物として、あの周期律表のメンデレーエフも登場する。
「トルコ蜜飴の版図」や「サンボは虎のバター入りホットケーキをほんとに食べられたのか?」も同じような趣向。ケストナーの『点子ちゃんとアントン』に出てくるトルコ蜜飴への関心から始まり、それが世界史の窓になる。そして『ちびくろサンボ』、オリジナルな物語はインドが舞台fだったとは!
雑多なエッセイ群だったものを、このようにきれいに並べてまとめあげたのは担当編集者の力量。大幅な書き直しや書き足しもあり、米原万里らしい充実の1冊に仕上がっている。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

初めて知った方。
すでに亡くなっているのが残念。
深いエッセイだなという印象。
食べ物を起点にして、こんなに興味深い話が書けるなんて、素晴らしい。

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2024年12月09日

Posted by ブクログ

全編食べ物にまつわるエッセイです。
時代も国も飛び越えたとても幅広いお話で、でもちゃんと身近に感じられるわかりやすい文章で、なんというか一言で言うと本当に面白かった!
「今話題の作品!」とか謳われているような若い作家さんの本を読むと変にカッコつけた文章の隙間から「面白いでしょ?!私の文章すごいでしょ?!」っていうアピールが漏れ出てきてるものが多くてうんざりがっかりするものが多いんですが、米原さんの文章はそういう薄っぺらいアピールなんて全く無く(その必要が無い)、本当の知性があふれているし興味深いしめちゃくちゃ面白い。それでいて決して軽くなくて深みのある内容。あーうまく表現できないのがもどかしい。
早世されたのが本当に残念でなりません。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

馴染みのない東欧の文化がとても新鮮。単純なグルメの本ではなくて、食べ物やその成り立ちに対しての考察がとても面白く、米原さんとおしゃべりしながらテーブルを囲んでいるような感覚で読める。
米原さんならではの本。

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2023年07月29日

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ずっと気になってたカムチャッカのバザールで食べたお菓子があって、見た目が牛の糞そっくりで、量り売りされてたのですが、見た目に反してすごく不思議な甘い味で何回もリピートした位でした。でも帰国してからは誰に聞いても知らないと言われ、挙句ほんとに牛の糞食べたんじゃないの?とまで言われた謎のお菓子でした。それが、グレーテルのかまどでこの本のハルヴァが紹介されて、これかも!って閃いた時には本当に嬉しくて。米原さんの「あのハルヴァ」への情熱と欲求が我が事のようで。私はまだ牛の糞のようなハルヴァには再会できてないので、諦めずに探し続けようと思います。

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2023年05月08日

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米原さんの本は本当面白い。ためになるような話も面白くかける方。

食べ物はやっぱり大事。食べるために生きるというのは本当。美味しいもの食べに行きたいなぁ~。お寿司‥

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2022年12月14日

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ネタバレ

米原万里さんは愉快な人です。エピソードも文章も面白いし興味深い。
特に今はロシアについてマイナスイメージが強い風潮だけれど、このエッセイでのロシアやソビエトのエピソードは笑ってしまうものも多いです。タイトルになってる缶詰の名前はしばらく忘れられない。
絵本や童話についての第二楽章と、落語みたいなサゲがつく「シベリアの鮨」が特に好き。
「ハルヴァ」の口になります。トルコ蜜飴、トルコのを食べたことあると思います(学生時代の所属研究室教授のトルコ土産)。
お名前は存じていたけど読んだことは無かった米原さん、同僚が面白いと言ってたので手にしました。読んで良かった、他のエッセイや小説も読もうと思います。

ハルヴァはどうやら業務スーパーにあるらしいです……読書会で紹介したら教えてもらいました。

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2022年10月25日

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「生きるために食べる」のか、「食べるために生きるのか」。本書の中で印象的に用いられる言葉です。あなたは自分のことをどちらだと考えるでしょうか?本書は、後者であることをはっきりと自認する筆者による、食べ物についての著書ですが、単なるエッセイではありません。
著者の米原万里は、父親の仕事の都合により、幼少期をチェコで過ごし、そこでロシア語による教育を受けます。日本帰国後もロシア語の学習を続け、出版社などでの勤務を経た後、ロシア語同時通訳の第一人者として、ロシアからの国賓の通訳、日本人初の宇宙飛行士誕生時のロシアとの交渉役など、様々な要職を歴任。その後文筆家としても活躍するようになります。そのような経歴をもつ筆者だけに、経験の幅も広く、また、その食にかける情熱も並大抵のものではありません。
この本を読んだ人の誰もが魅了され、「ぜひ食べてみたい!」と思ってしまう「トルコ蜜飴」という食べ物があります。子どもの頃に出会ったその味が忘れられない筆者は、探求の末に、その「ハルヴァ」という食べ物の正体を突き止めるのですが、その味の巧みな描写もさることながら、その探求の中で繰り広げられる様々な出来事や薀蓄の数々に、もれなく読者はひきつけられてしまうのです。
トルコ蜜飴の話に代表されるように、筆者の経験や、知識、強い探究心に裏打ちされた語り口は、単なるエピソードの羅列に留まらない、数々の魅力に満ちています。タイトルにもなっている「旅行者の朝食」とは一体どのようなものなのか、ぜひ自らの目で確かめてみてください。(T)

紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2014年1月号掲載。

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2022年09月05日

Posted by ブクログ

読書家の友人がこぞってお薦めしていたのですが、ようやく読みました。
ロシアの食文化の紹介と米原さん自身の食に対する愛の深さが、読みやすい文体で書かれていて、サクサク読み進められました。
そして、出てくる食べ物がどれも食べたくなってきます。
特にハルヴァという食べ物が気になって仕方ありません。
なかなか行ける機会はなさそうですが、ロシアに行ってみたいと思わされます。
旅行の出来ない今の世の中だからこそ、海外の文化を知るこのようなエッセイを読むことで、旅気分を味わうのも良い気分転換になると思います。

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2022年01月12日

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楽しいです。お腹が空きます。人生に悩んでいる人にオススメです。シンプルにおいしくごはんを食べることこそが「しあわせ」だとわかる本です。

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2021年10月28日

購入済み

ロシア語同時通訳者として古今東西に通じる深い教養を持つ一方で、歯に衣着せぬ物言いから「舌禍美人」とも自称する才媛である著者。血液型で人の性格を類型化することを面白がる人に対して、「私は、人類をわずか四つに分類して考えるような馬鹿とは、絶対に友達になりません」とバッサリ切り捨てる。こういう性格、好きだなぁ。

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2021年05月15日

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再々・・・読。米原さんのエッセイを時に読み返すことは、冷戦時代を改めて学ぶことでもあり、笑い転げながら今を見つめ直す機会となる。食に纏わるあれこれが主軸なので、全く米原エッセイを読んだ方にもお勧めの一冊。

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2021年02月27日

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落語のように話がしっかりして面白い。
小学生の頃、読売だったような気がするが、新聞の日曜版にも連載をされていた気がする。お亡くなりになられていたと、この本を調べている時に知った。ご冥福をお祈りいたします。
米原さんの力量も大いに関係しているのだとは思うけれど、食のエッセイというのはなんでこんなに面白いのだろうか。食というものが人間の本能に訴えているからだろうか。
米原さんの他の作品も読みたくなった。

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2021年02月25日

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やはりこの本で夢中になる話は間違いなく「トルコ蜜飴の版図」の項だろう。
ここで出てくるハルヴァというお菓子、思い出の味を頼りに食べるもどれも違う。ニベアの缶に見た目は似ているらしいが、調べても見つけられず、こちらも余計にハルヴァが気になってしまう始末。ついには自分でいい感じの缶の入れ物を見つけ、手作りのハルヴァを入れて再現しようか?などと、考え中。

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2021年01月16日

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ネタバレ

ロシア語通訳者にして健啖家の著者。文章も軽妙でとても面白い。
「旅行者の朝食」というとなぜロシア人は笑うのか。じつは国営企業が販売するおそろしくおいしくない缶詰の名だったという。この表題作が一番面白かった。

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2020年03月07日

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米原万里×食ですもの、面白くないわけがない。気づいたらクスクス笑ってしまって、少しふさいでいた気分があっさり解放された。落ち込んでいるときは、何も考えず米原さんの本を読み、笑って美味しいものを食べるのが、私の特効薬かも!

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2019年07月07日

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三宅香帆さんが、自身のYouTubeでおすすめされてたので読んでみました。
最初の方は世界史のような雑学チックな食をめぐる話もあったのですが、章を進めていくごとにライトな食エッセイになっていったので、どんどん読み進めていけました。

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2025年10月16日

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著者の食いしん坊ぶりと、食べ物に関して徹底的に調べあげて追求する姿勢が素晴らしい。食べ物に関する含蓄やジョークや皮肉が詰まった一冊。

・極寒のヤクーツクで食べた、冷気で瞬間冷凍された魚の鉋で削って玉ねぎと和えた食べ物、たべてみたい

・人間は「生きるために食べるタイプ(空想癖のあるペシミスティックな傾向の哲学者に多い)」と「食べるために生きるタイプ(楽天的人生謳歌型の現実家に多い)に分けられる という話面白い

・フランス式フルコースの形式はまさかのロシアが起源!フランスではもともと一皿ずつではなく一気にどーんと並べて提供するスタイルが主だったのだとか

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2025年01月02日

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 食にまつわるエッセイ本。著者はロシアや東欧諸国に精通している為か、日本人には馴染みのない食物が次々と紹介されており、知的好奇心をかきたてる内容ばかりである。なかでも、「コロンブスのお土産」(p64〜66)は、今後の食糧問題を考えるのに良い。大航海時代、スペイン、ポルトガルはアメリカ大陸へ渡った。その中には、欧州にはない食物も運ばれた。具体的に言うと、トマト、ジャガイモ、トウモロコシが、当時のヨーロッパにとって珍しかった。ところが、食材として普及するのに時間はかかった。トマトは観賞用植物扱いで、ジャガイモに至っては、悪魔の食べ物と見なされた。(ちなみに、フランスでは18世紀末に、ロシアでは19世紀半ば過ぎに受け入れた)このように、食に対する意識、言い換えると、味覚ほど保守的なものはない、という著者の指摘は面白い。これが、飢饉や調理法の工夫から、美味しいとわかると、勢いを増して普及していく。このように、現代人が当たり前のように食べる食材は、実のところ、長い年月を経て受容されていることがわかる。言い換えると、現在では食べようなんて思わない食材(現時点では虫が該当するだろう)、何らかの形で今後食される可能性がある。

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2024年02月17日

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食文化、言葉を突き詰め調べる、楽しむ
ハルヴァを食べてみたい
ロシアの知らない文化、知らないうちに接している文化

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2022年07月20日

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食べ物に関するものを集めたエッセイ集。
米原万里が食いしん坊であったことがよく分かる。「神戸、胃袋の赴くままに」というエッセイでは、米原万里が美味しいものに目がないこと、とても健啖家であること、食べることに関してはまるで子供のように無邪気に、あるいはむきになることがよく分かり、何か微笑ましくなる。
米原万里の著書「マイナス50°Cの世界」でシベリアにテレビ番組の撮影のために長期間滞在したことを、本書でも題材にしている。かの地で美味しかったもののエッセイもあるが、面白かったのは、滞在中に和食を食べたくてたまらなくなり、一緒に行ったメンバーで寿司屋ごっこをする場面である。ただ、寿司を注文し、それを握ったふりをして出し、更にそれを美味しく食べるふりをする、というそれだけの遊び。ただ、想像上の寿司は得も言われぬ味がして、帰国後、日本で実際に寿司を食べても、「あのシベリアの寿司にはかなわない」という話をメンバーでするという落ちになっている。

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2021年08月14日

Posted by ブクログ

エッセイの名手による食べ物エッセイ。あちこちで書いたものの集積。何ヶ月か前の日経新聞の特集に取り上げていたような曖昧な記憶。

心の底から敬愛申し上げる米原センセイがつまらないわけがない→やっぱり面白い。

キャビアとかジャガイモの深い蘊蓄。キャビアを取った後のチョウザメを殺さずにジッパーを付ける!知らなかった。

「食べる」ことが好きな人必読。

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2021年05月16日

Posted by ブクログ

“舌禍美人”の食エッセイ。著者の興味の持ち方と飽くなき探究心に脱帽。
気軽に読めてクスっと笑えて、捏ね繰り回す蘊蓄...、最高です! 人類二分法で言えば私は間違いなく後者だ。食べるために生きよう! 神戸に行きたくなった...。

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2021年04月15日

Posted by ブクログ

蘊蓄がたくさんあって、面白い!海外に住んでたので、深くうなづく記述が多かった。ロシア料理食べたい。ハルヴァ食べたい。

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2020年10月12日

Posted by ブクログ

食にまつわるエッセイ集。3ページほどの短いものもあり、すきま時間で読める。一番印象に残ったのは神戸の食の旅。さまざまな異人館を訪れる目的も、結局「よく食べるため」になっていくのが面白い。あとはやはり不思議な食べ物「トルコ蜜飴」が気になる。

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

日本人心をくすぐる食べ物のあれこれ。
読んでいるとおむすびが食べたくなる。
そんな中、ものすごく食べてみたくなったのが「ハルヴァ」!!
製法的に私が生きてる間に出逢えそうもない夢のようなお菓子…!!食べてみたい!!!

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

ロシアや東欧にかけて、また日本食について子供の時の思い出をふりかえり、ときには歴史書、研究書をひっくり返しながらただひたすらに食べ物の話が続く。
トルコの蜜飴には興味がそそられるし、この食べ物にはこんな歴史や逸話があるの!?と作者の食べ物についての蘊蓄は止まらない。読み終えたときに白米が食べたい、そんな気持ちになってしまうのは自分が日本人だからだろうか。
ロシアから東欧の文化圏に馴染みがなく想像しにくい食べ物もあったので、これからの人生で出会える期待をこめての星3つ。私も食いしん坊だ。

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2025年03月10日

Posted by ブクログ

健啖家で食に対する関心の強い人の食エッセイは、「いいな、私も食べたい!」という気分になれてとても楽しいです。
ハルヴァは本当に、すごく食べてみたくなりました。

食べたくなるような食の話だけではなく、ウォトカをめぐる謎、ジャガイモの普及までの歴史、物語の中の食の考察など、深い知識や調査のもとに書かれた話も多く、知的好奇心も満たされます。

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2022年08月11日

Posted by ブクログ

名通訳が綴る、東海林さだおも一目置く、食べ物に関するグルメ・エッセイ集。
専門のロシアはもとより、日本の昔話にまつわる珍談奇談。
読んだ後はどれもが、誰かに話したくなる蘊蓄ばかり。

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2019年09月27日

Posted by ブクログ

美味しそうなものがたくさん出てきた。国内旅行の場合はグルメに走ることも多いが、海外の場合、特にひとり旅の時は食事は後回しになってしまう。海外で美味しいものを食べるには出張がいちばん。

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2019年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人並に美味しい食べ物が大好きなので(と言っても、持ち前の貧乏性で美食は牛丼、天玉そば、カツカレーに留まるのだが)、食べ物に関するエッセイも大好きだ。本書にも登場する東海林さだおはもちろん大好きだし、ブリア=サヴァラン「美味礼賛」から某有名グルメマンガまで何でも読む。一方で、惜しまれつつ亡くなった米原万里は大好きなエッセイストの一人。その米原万里の食べ物エッセイなのだから、まぁそれだけでも及第点。

気に入ったエッセイは、幼い頃に一口だけ食べた幻のお菓子を追い求める「トルコ蜜飴の版図」、ちびくろサンボの謎を解き明した「サンボは虎のバター入りホットケーキをほんとに食べられたのか?」、極寒世界の描写が秀逸な「冷凍白身魚の鉋屑」。

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2021年06月26日

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