森博嗣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
百年シリーズのこの本もコミックで読んでいる。
が、改めて本書を読むと、もっと前に読んでおくべきだったなと後悔した。
近未来のSFなのだが、古い時代のファンタジーの印象。
主人公のミチルのモノローグ。普通の作家の文章だったらさっさと読み飛ばす処だが、森先生に絡めとられるイメージ。
ミチルとロイディの会話の面白さ。緩急の付け方が素晴らしい。
恐らく森先生は、頭脳と肉体の分離の可能性を小説の中で考えていたのだと思う。
「面白い」彼女はまた微笑んだ。
昔、森先生の著作をはじめて読んだ時を思い出す。
あの彼女から始まる物語。あれから森先生の著作を沢山読んだ。
彼女は微笑んだ。「私が、ここにいると思う -
Posted by ブクログ
百年シリーズは本作も「迷宮百年の睡魔」もコミックで読んで原作はまあそのうちにと、後回しにしていた。
「彼女は一人で歩くのか」から始まるWシリーズにデボラの名が出てきたり、殊に赤目が出てきたりと、これはちゃんと百年シリーズを読まなければと手に取る。
結構厚みがあり、読み応えがあったが、森先生の静謐な文章をじっくり味わった。
コミックの印象では現世と遠い世界でよっぽど未来のことだと思ってた。本作を読むと2113年とあるし、ウォーカロンは人工的に生まれた人間でなく、やや旧タイプのロボット。Wシリーズとの時間軸での関係はどうなんだろう。
本作もWシリーズも生きることがテーマになっているんじゃないか -
Posted by ブクログ
森博嗣、2013年発表の小説。
「百年シリーズ」三部作の三作目ですが、前二作との直接的なつながりはありません。前二作がエンターテインメントのSFミステリー風冒険譚であったのに対し、本作にはまっとうなストーリーがなく、断片的で唐突な飛躍跳躍を繰り返すエピソードと認識論、存在論に関する堂々巡りの対話の集合体のような実験的作品といえます。赤目姫という極めて魅力的なキャラクターも段々影が薄くなってついには存在自体が曖昧になってしまうし・・・。これが小説として成功しているのかどうか、非学な私には正直な所良くわかりません。しかしとても刺激的で面白い作品ではあり、一読の価値はあります。 -
Posted by ブクログ
Gシリーズの最新文庫ですが、
発売日から随分経ってから読み終わりました。
森博嗣らしさ爆発の本作でして、
殺人は起こるし密室ものなのですが、
登場人物がそこにあまり執着しないで
どちらかと言えば真賀田四季のことばかり
気にしているのが何とも味わい深いです。
そしてそのトリックに親子が絡んでくるあたり、
やはりあえて真賀田四季に寄せて
本作は書かれたんだろうなぁと言う気がするのは
たぶん森博嗣ファンだけでしょうね。
それを差っ引くと、
ミステリーなのに何故か熱量の低い
不思議な小説という感想になりそうです。
ということでシリーズを通読されてる方には
当然の如くおすすめしますが、
そうでな -
Posted by ブクログ
森博嗣さんの本は、これが初めて。
きっと詳しい人からみれば、いきなりこの本からかよ、と思われるかもしれない。
恥ずかしながら、ミステリ作家なのか、SF作家なのかさえ、わかっていない。
ただ、そういう人が、どうして人生相談めいた本を書くんだろう、と思って、読んでみることにした。
自分は他者に規定される。
他者を認めよ。
しかし、他者への意識を抑制し、自分の中から湧き出る楽しさに目を向けよ、というのが本書の骨子らしい。
一文一文は短く簡潔。
それをたくさん積み重ねて意味を紡ぐタイプの文章で、文章から感じるテンポは、ゆっくり目。
情があるんだか、ないんだか、よくわからない、不思議な印象。 -
Posted by ブクログ
エンターテイメントに特化していた?(たしか、キャラクター小説として位置づけされていた)S&Mシリーズや、めぞん一刻風だったVシリーズと比べると、ややつかみどころのないGシリーズ。
明確な探偵役がおらず(というか、いるのだけれど、犀川先生よりも消極的で無口)、加部谷さんの理解力が萌絵ちゃんよりも劣っているので、なんだか素人用の雰囲気を出しているGシリーズ。
の割に、伏線が張り巡らせられていて、のほほんとしたシーンの次にびっくりして二度読みするくらい衝撃的なシーンを導入してきたりするGシリーズ。
つまりは、魅力を一言で言い表せないシリーズなのですが、逆にいえば、その流動性こそが魅力なのかもしれ -
Posted by ブクログ
vシリーズ5冊目の後の短編集。
なんとなく読み始めたら1話目がとにかく面白くてそのままズルズルと。
犀川先生と萌絵ちゃんの話が最初から二つあって嬉しい。
とくにお気に入りは「どちらかが魔女」諏訪野にヤラレタお話(笑)てか、犀川先生の態度がほんとに本編と違ってニヤニヤ。
vシリーズのしこちゃんれんちゃんが登場する「ブルブル人形」は、西之園嬢を楽しむお話だよね(笑)「今はもういない」まんまやん(笑)
後半はオリジナルが5編。
一番好きなのは「卒業文集」ラストで「うわぁ!」ってなって、読み直して「うわー」てなる(笑)めちゃくちゃ伏線あったのに、気づかなかったー!!
「ゲームの国」は雰囲気が好き。謎