福沢諭吉のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
・賢人と愚人の差との別は、学ぶと学ばざるとによりて出来るものなり。・今の政府は官員の多きを患ふるなり。事を簡にして官員を減ずれば、その事務はよく整理して、その人員は世間の用をなすべし。一挙して両得なり。(=役人を減らすことが、かえって政府の事務を整頓させる上、有用な人物を民間に回すことになって、両得である。)・学問に入らば大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商ならば大商となれ。学者は松庵に安ずるなかれ。(=諸君は小さな生活の安定に満足してならぬ。)・活用なき学問は無学に等し。ってところが特に印象に残った。福沢諭吉って、世界の動きを見て、蘭学ではなく英学に転向することを決意したり、文章がいろんな人にわかりやすいようにやさしい文語文で書かれていたりで、すごい人なんだなぁと思った。『学問のすヽめ』も、最初は初編一冊だけのつもりだったのに、好評で、十七編にも及んだらしい。あと、最後の語句の解説で『勉強は、必ずしも学問だけに限らず、広く「努力」の意味である』っていうところが心に残った。
-
Posted by ブクログ
学問のすすめってどんな内容か軽く知りたい程度だった私にとってはビギナーズといえど難しい本だった印象。
小難しく書いてあるが要するに
「人は生まれながらにして平等である」という考えを軸に、学ぶことの重要性を説いている。ただし現実には、学ばない人と学ぶ人で差が生まれるため、その差は身分ではなく努力によるものだと主張。ここでいう学問とは、単なる知識ではなく、実生活に役立つ実学を指しており、また、一人ひとりが自立し、自分の判断で行動できる力(15編:信疑を見分け事物を取捨できる力)を持つことが、国全体の発展にもつながると説いている。
つまり、個人の独立が社会や国家の独立を支えるという考えなのか、どうあるべきだとか、人や政府との付き合い方についての言及が多い。
全体として、主体的に学び続ける姿勢と、自立した人間になることの大切さを強く訴えた内容は理解した。 -
Posted by ブクログ
本書を一言で表すなら、「無頓着」ではないかと思う。著者である福沢諭吉は九州は中津藩の武士の子として生まれ、貧窮に喘ぐ幼少期を送った。そして青年期を大阪は適塾にて過ごし、同窓生たちとの切磋琢磨と戯れを重ね、紆余曲折のうちに幕臣となる。それ以降の物語は本文に譲るとして、本書から私が得られたものを稚拙ながら述べたい。以前に学問のすゝめと文明論之概略を読んだ事があり、諭吉は学問をアプローチとして社会をどう捉えたか、文明とはどのように考えているのかは少なからずイメージがあった。一方で本書を読めばそれらの書籍に至るまでの福沢諭吉という傑物の価値観を知ることができると言ってもよいと思う。変化の激しい時代にあって、諭吉自身も海外へ渡航したり、暗殺者から逃げ回ったりと波乱万丈な日々を送っていたが、その根底で通奏低音の様に流れているものは先に述べた様に無頓着という言葉で表されるものではないかと私は思う。身辺はつねに質素で倹約を重んじ、名誉や富といったものも一蹴する。金も借りないし、恩着せがましいことは許さない。諭吉が変化の激しい幕末、維新を生き抜くことができた要因の一つとして普通の人なら執着してしまいそうな名誉、金、娯楽というものからの誘惑を断ち切ったからではないだろうか。そもそも本人は努力してそれらを断ち切ったという気持ちさえないようである。諭吉にとってはそれらの物事は特段頓着して足るほどの価値がなかったというそれだけのこととして捉えられていたように思われる。つまり本当に大切なもの、価値のあるものが名誉や金、娯楽の類ではないことを諭吉は知っていた。そしてそれらに固執することが別に面白いことでもない事も。
本書を通じての一番の魅力は何遍も振りかかる困難にあっても、笑い飛ばしてしまうほどの一種の滑稽さえも感じる福沢諭吉の生き様を自己投影の中で体験できることではないかと思う。その体験をする中で気付いた諭吉の考え方、物のとらえ方は私にはない磊落さがあった。少しでも諸事を笑い飛ばせるようになればいいな。
最後にこれを書いてる途中で思い出した暗殺者から逃れ回り、恐れおののく諭吉の存在を思い出し、無頓着さの反証を見つけてしまった事を報告したい。やはりいかに無頓着な人間といえども、自分が価値を認めたものには頓着するしかないようだ。もちろん当たり前のことである。
追記
本書中にもp298に無頓着という言葉が出ており、その言葉から着想を得た。 -
Posted by ブクログ
人間は生まれながらにしては平等だが、学問をするか否かでその後の人生における人間性の良し悪しが変わってくるという初めの文は、勉強や読書のモチベーションになります。その後、各章においてなぜ学問が必要なのかが人間個人の視点と国家レベルの視点とで語られており、なるほどーと思いました。
個人の独立というのがもう一つテーマにあるのかなと感じました(そのために学問は必要だという流れ)。
ただし学問の中でも実学の必要性が強調されており、めちゃくちゃ合理主義だなーと思いました。
しかし、この時代、このくらい強く声を上げなければ弛んだ封建社会にメスを入れられなかったのかなと一種同情を感じます。 -
Posted by ブクログ
賢人と愚人との違いは、学ぶか学ばないかによって決まる。
やらなければならないのは、日常生活に役立つ学問。
自由と我がままとの境界は、他人に迷惑を掛けるのと掛けないのとの間にある。
権義があれば、それに伴う義務があるのは当然。
独立というのは、自分で自分の身を支配し、他人に頼る心のない状態を言う。
人民の独立の気力、これこそが、文明の精神であり、最も重要な物。
明治初期、西洋諸国の脅威により、一歩間違えば国の独立が危うい時代において、なんとか人々に啓蒙を、という福沢諭吉の熱い思いが伝わってくる。
150年たって、さすがに現代にそぐわない内容もあるものの、論の骨子は、今の時代に生きる我々にも考えさせられるものがある。
せめて大学生くらいに読んでおけたらよかった一冊。 -
Posted by ブクログ
スイスイ読めて面白いし納得できる。
とにかく酒を飲みに飲んで、いろいろ言い訳かましながら煙草も吸い始め、
神社にいたずらしても特に不幸がないやら、偽りの遊女の手紙を仲間に送りつけたり、何せ派手にやってますわ。
現代の慶應生に通じるものが大いにある。
その上で勉強熱心なのが凄い。
それだけ酒を飲んでるけど、塾ではめちゃくちゃ勉強してる。蘭訳が通じないとなるとすぐ英語勉強して、翻訳を生業にしている。必要と思ったらすぐに本気で勉強してる、そこのメリハリの凄まじさが読み取れる。そして必要な勉強(所謂実学)を選んでしている。だからといい、金儲けのためや出世のためではなく、実直に勉強できる環境だったのがよかったと書いてて、その辺は大いに参考になる。上野戦争の時に慶應義塾だけは授業をしていたのは有名な話だが、その精神の根っこが辿れるので面白い。
あとは処世術じゃないけど、自分に正直なところが素晴らしい。嫌な仕事は断る。政治参加も断る。その辺りの軸がありつつ物事を取捨選択してる生き方は凄いし、羨ましくもある。
そういう意味でも、面白い物語ってだけでなく、参考書チックな部分があって非常に読み応えあり。
-
Posted by ブクログ
尊敬に値する人物かどうかは疑わしいですが、憎めない親父であることはわかりました。表紙の写真はカットされてる部分にこそ意味がある。編集者は写真の意味が分かっていない。
1.この本を一言で表すと?
・変人の一生 − 変人だからこそ歴史に名を残した
2.よかった点を3〜5つ
・禁酒から煙草(p93)
→どんな奴やねんと突っ込みたくなる内容。最後に反省しているところがお茶目。
・英学発心(p119)
→これまでの蘭学、漢学を一切すてれる思追い切りの良さ。
・刀剣を売り払う(p188)
→合理主義、思い切りのよさ、捨てる勇気に関心。
・幕府の攘夷主義(p213)
→権力への批判をくどいほど繰り返しているのでよほど権力をきらっていたか、あるいはよほど日本の行く末を心配していたか。おそらく後者のほうが強い?
・学者をほめるなら豆腐屋もほめろ(p230)
→平等主義、芯が通った考えを貫きとおせる強さがいい。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・ところどころ自慢話が入っている
・家族の事はごくわずかしか書かれていない。
3.実践してみようとおもうこと
・何かを思い切って捨ててしまって新しいことに挑戦するのもいいかもしれない。
4.みんなで議論したいこと
・現代でもこれほど名を残せている理由は何だと思いますか?
5.全体の感想
小説のような感じで楽しく読めました。いろんな面白いエピソードがありますが、勉強に対する猛烈さ、教育に対する熱さは本を通して強く感じました。