あらすじ
近代化に影響を与えた福沢諭吉は、「冒険の人」でもありました。若いころに故郷を飛び出して長崎、大坂などで学び、開国後は洋行使節に紛れ込んで、西洋の地を踏みました。
そんな福沢諭吉が明治維新直前に出版したのが、日本初の海外旅行ガイドブック『西洋旅案内』です。切符の買い方や旅程など実用的な情報はもちろん、政治制度や価値観の違いなど、あらゆる事柄がとらえられています。
この『西洋旅案内』の現代語訳を通じて、福沢諭吉ら幕末の武士が驚いた西洋文明の有様を本書で描きました。時代背景を理解しやすいよう、解説を交えているので、予備知識は必要ありません。本書を通じて19世紀欧米への船旅をお楽しみいただけると幸いです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
福沢諭吉が1859年に自信最初の海外渡航を経て明治維新が起きる前まで三度わたる海外経験を旅行ガイド本として出版した西洋旅案内を現代語訳した。
福沢諭吉が初めて海外に行ってから150年しか経っていないというのも意外と驚くところだが、当時日本の感覚からしたら福沢諭吉はかなり好奇心旺盛で積極的に英語を学ぼうとするなどしていた。
当時の日本事情や欧米の力関係を知れる良い一冊である
Posted by ブクログ
福沢諭吉が書いた「西洋旅案内」を現代語訳とともに解説を読み進めていくもの。
150年前の西洋や欧米の文化に触れた日本人の様子の面白いこと!興味津々の諭吉に対して保守的な人も共に旅していて(当たり前だが)、その対比もまたいい。
現代語訳だから難なく読めるし、解説でより当時を理解できる。
項目も細かくわけてあって読みやすかった。
Posted by ブクログ
福沢諭吉の『西洋旅行案内』の現代語訳と著者の解説。
日本には牛車があったのだから馬車も驚かないと思ったが、馬車には驚いたとか、ひとつひとつ当時の日本人の常識に「へー」と思う。
そして、日本がこのとき外国では……?と世界史と結びつけて考えるのは難しいのだが、日本人の西洋旅行記なので、当時の日本の様子と、当時の外国の様子がわかるのも本書の特徴かと思う。
そうか、幕末の動乱期はアメリカの南北戦争前後になるのか。福沢諭吉が南北戦争の直前にアメリカに行って、さらにその6年後にアメリカに行ったので、その前後の様子の描写が楽しく読める。
西洋では日本で働くことはできるか、行くことはできるか、と話しかけられたが、ロシアではロシアに住まないか、ロシア人になれ、と話しかけられたのが、またロシアと欧米の違いがまた興味深い。
自分は高校生のときに、実は福沢諭吉はアジアやアフリカなど経済的に発展していない国を見下していた、と聞き、かなりショックを受けたのだが、この本では、福沢諭吉の欧州贔屓と途上国の見下しが読み取れ残念な気持ちにもなる。今の物差しで当時の思考をはかるのは間違っていると思いつつも。
そういう脱亜入欧の考え方の実際のところを知れたのも、本書を読んで良かったと思うところである。