福沢諭吉のレビュー一覧
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【要約】
明治初期という大きな転換期において、「個人の自立」と「国家の独立」をいかに達成すべきかを説いている
①学問の目的と真の平等
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という言葉は、人間が生まれながらにして平等であることを示している
しかし、現実の世の中に貧富や身分の差があるのは、その人が「学問をしたかしないか」によって決まる
ここでいう学問とは、単なる古典の暗記ではなく、読み書き、算盤、地理、経済など、日常生活に役立つ「実学」を指す
・実学:
単に難しい漢字を覚えたり、古文を読んだり、和歌や詩を作ったりするような「実生活に役立たない学問」の対極にある、人間が社会で生きていく上で直接必要となる「実用的な知識や道理」を指す
学んだことを現実の暮らしや仕事に活用できて初めて「学問をした」と言える
(1)読み書き・計算・実務(あくまで「学問をするための道具」)
文字の読み書き、手紙や帳簿の書き方、算盤や計りの使い方といった、日常生活や仕事の基盤となる技能
(2)専門的な知識
地理、自然科学(物理)、歴史、経済など、社会や世界の仕組みを理解するための学問
(3)倫理と人間関係
「就身(しゅうしん)」、すなわち自分の行いを正し、他者と円滑に付き合いながら暮らすための心得
(4)グローバルな視点
諸外国と対等に渡り合うために、西洋の書物を読み解き、外国語を学ぶこと
②一身の独立と一国の独立
一人ひとりが自分の力で生きる「独立の気力」を持つことが、日本が諸外国と対等に渡り合うための唯一の道である
・個人の自立:他人に頼らず、自らの頭で考え、自ら働いて生活を立てること
・国家の独立:
独立心のない国民ばかりの国は、外国からの圧力に弱く、真の独立を維持できない
国民一人ひとりが独立してこそ、国全体も独立できる
③政府と国民の対等な関係
政府と国民の関係は、本来「契約」に基づく対等なものであるべきである
・国民の職分:
国の主人として政治に関心を持ち、法律を守り、税金を納める義務がある
もし政府が誤った道に進めば、道理をもって正すことが最善の道
・政府の役割:
国民の代理人として法律を作り、国民の生命や財産、自由を保護する責任を負う
人々が無学であれば政治は厳しくなり、人々が学問に励み道理をわきまえれば、政治は自然と寛大で文明的なものになる
④社会的徳操とコミュニケーション
学問を実際の社会で生かすための具体的な方法や心構え
・怨望(えんぼう)の否定:
他人の幸福を妬み、引きずり下ろそうとする「恨みの心」は、自由が妨げられた閉塞的な環境で生まれる諸悪の根源であり、社会の進歩を阻害する
・演説と談話:
知識を溜め込むだけでなく、「演説(スピーチ)」や「談話」を通じて自分の意見を広く発信し、他者と交流することが不可欠
・人望の構築:
社会で大きな仕事を成し遂げるには、才能や知恵だけでなく、誠実な人柄によって得られる「人望」が必要
★結論
『学問のすすめ』が現代に与える最大のメッセージは、「自ら学び、自ら考え、自立して行動すること」
変化の激しい時代において、現状に満足せず、常に広い視野を持って学び続けることが、人生を豊かにし、より良い社会を築く鍵である -
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日本国民なら誰もが名前ぐらいは知っていよう「学問のすすめ」。恥ずかしながら内容を知らずに生きてきた。
読み終えて真っ先に思ったのは、へたにビジネス書や自己啓発書を読むよりも遥かに有益であるということ。残念ながら当時の歴史的知識を持ち合わせていないので、本当の理解はできていないかもしれないが、それでも十分に楽しめる。
そして、今の社会情勢に照らして、今だからこそ読まれるべきではないかと思わされた。
武士の世が終わり、新しい時代へと移る動乱期、西洋に文明、思想が劣る今の日本に危機感を抱いて、日本人一人一人が日本人としての自覚と責任を持って社会に貢献できるように日本の現状を伝えたり日本国として立派になるように啓蒙している。その手段として学問を提示しているのが本書である、というのがざっくりとしたまとめ。
これは今の日本においても十分当てはまる要素があると危惧する。昨今の外国人増加による文化的影響や犯罪の増加、土地の買占めなどによる経済的侵略。幕末期同様、外国勢力によって日本が食い物にされているように思える。
今一度、日本国民の一人として、将来を案じ一国民としてどうあるべきかと感化される一冊。
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幕末から明治にかけての激動の時代を生きた福澤自身の歩みを綴った作品である。彼は幼少期から向学心に燃え蘭学を学び、やがて欧米を視察する機会を得る。異文化に触れる中で日本の近代化に必要なのは「学問」であると確信した。
帰国後慶應義塾を創設し人々に「独立自尊」の精神を説いた。その生き方は既成の枠にとらわれず自ら考え行動する姿勢に貫かれている。
現代に生きる私たちもまた周囲の常識や他人の評価に縛られることなく自分なりの志を持ち自分の道を切り開くべきだろう。福澤の生き様は時代を超えて「自分を枠にはめるな」という力強いメッセージを私たちに投げかけている。
日記、自伝、自分史、市井のそれぞれに時代と社会のなかで人生がある。
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ネタバレ今回(2024年)1万円札が渋沢栄一氏に変わった。それでなんとなく、これまで万札のシンボルだった福澤諭吉さんの伝記を読んでみたくなった。「福翁自伝」には、「幼少の時」から「老余の半生」までが、徒然につづられている。
両親から受け継いだ頭脳は、遺伝子的にも優れた頭脳だったんだろうなと思うが、その頭脳に本格的にスイッチがはいったのは、14~5歳のころという。それまでの読書嫌いが、漢書にハマってしまい、それまで眠っていた好奇心が一気に爆発する。経書、論語、孟子、詩経、書経、蒙求、世説、左伝、戦国策、老子、荘子、史記、前後漢書、晋書、五代史、元明史略などを次々と読破、特に左伝は全巻を11回読んで、ところどころをソラで言えるほどになったという。やはりただ者ではない。
これを機に、学問一筋に進むのかと思いきや、この福沢諭吉という人は、そんな単純な人ではなかった。破天荒な自由人というのが印象だ。かと言って、決して自分というものを失わないし、結局のところ自身の信じるところを生涯貫いた人であったという印象である。
青春期の21歳で、長崎遊学の際、洋学(蘭学)と出会う。これが福澤の人生の基盤となる。さらに学問を究めるため江戸進出を決意するものの、なぜか運命の女神は(女神は兄だったか)、彼を大阪にとどめる。彼は緒方洪庵の適塾に学ぶこととなるが、ここでの生活がまた福澤の人生の基盤を骨太にしていく。
適塾での生活で、彼の破天荒ぶりは絶好調。特に彼の大酒のみは、この頃から定着しつつある。この時期のちょい悪武勇伝が自伝にもオンパレードだ。
次の節目の歳=25歳では江戸へ出る。ここで関心は、蘭学から英語へとシフトしていく。彼の人生は、あたかも彼の成功の人生のためにあらかじめ計画されたようなプロセスで進んでいく(というより彼がそのシナリオを描いていったのだと思う)。
英語をマスターすれば、次は海外視察の機会を得る。あの咸臨丸でのアメリカ渡航の一員として、乗船に加えてもらうチャンスをものにする。海外初渡航によりまだ見ぬ世界を見るという好奇心と、渡航に失敗して海に沈むかもしれないという恐怖心と、その二つのはざまに普通の人間なら葛藤があるかもしれないが、福澤にはまったく恐怖心なく、ただ好奇心が100%あるのみ。自ら乗せてくれと志願する。
その後もヨーロッパ諸国へ出発する使節団の一人としても選ばれ、益々、見聞を大きく拡大する機会を獲得するのである。先進諸国の実態を目の当たりにし、何もかもが遅れている日本の実態を知ってしまい、ともかく当時の日本の鎖国思想や攘夷思想を徹底的に嫌悪するようになった。世界の実態を知ってしまった者の当然であろうと思う。
こうしたなか、福澤は幕府軍か政府軍かという世間の動乱のさなかでも、むしろそような戦いに若者を巻き込ませたくないという発想から、若者に洋学の授業を進めていく(戦争中も休校なし!)。自身の価値観をしっかり持って、信じる道にわき目もふらず突き進んでいくというイメージだ。それが現在の慶應義塾大学へとつながっていく。
生涯を通じて彼は、自分の心に忠実に生きたという感じがする。時勢に流されず、つくろわず、また人としての醜い部分に染まらず・・・と。彼は、権力というものが大嫌いだった。意味もなく偉そうにする役人の姿に嫌悪を覚え、彼は新政府の役人に推されても、絶対になろうとしなかった。
彼の自伝には、非常に多くの人物が登場する。それだけ様々な人物との交際が広く活発だったということだ。しかもそれらの人々との接し方が、真に平等そのもの。上とか下とか、そういうものが彼には最初から存在しないかのようだ。この一点だけでも尊敬すべき偉大な人物であると思う。 -
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率直に言うと、『慶應義塾すげー』です。志の強さが芯に入ってる演説集。難しい言葉も若干入ってますが、章末に編者による要約が入っていて読み解けるようになってます。日本語なのに英語を紐解いてるかんじ。
ほぼ三田演説館(当時使われてた慶應の三田にある施設で、今は原則中に入れません)で話された内容が入ってます。私が慶應の通信に通ってた時、たまたま授業で三田演説館の中を見る機会がありました。演者と聴講席が近くステンドグラスを通って入ってくる光が美しい場所。この演説集に載っているような熱意あるスピーチが行われた場面を想像できたのがうれしかったです。
章のはじめは明治時代の初期で、歴史上じゃないリアルな江戸の政治やこりゃ古い制度だよみたいなのが出てくるのがすごく新鮮でした。
まだ半分しか読めてないので続けて読みます。 -
Posted by ブクログ
個人の独立心が必要だ。他人の意見に流されるのではなく、他人に媚びるのではなく、自身で判断できるようにならなければならない。
独立心が無いと、他人に頼る。頼ることが当たり前になって、自身の不遇を他人の責任にするようになる。
集団全体にそういった意識が増えると、集団が腐って行く。
私にできることは、自身の独立心を高めること。そして、人の独立心を高めるように助けること。
そのためには、学び続けることが大切だと思う。難しい言葉を学ぶということではなく、生活を高めるために学ぶのだ。
その生活とは、私個人の生活を成り立たせるというわけではない。他者の生活に貢献し、集団全体の生活をより良くするということである。