福沢諭吉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『学問のすすめ』を読む前に、と思って読んでみたけれど、なかなか面白かった。
学者の人なのかと思ったけれど、というか学者なのだけれど、どこか英雄的だった。三国志の武将や幕末の革命家や武士たちのような、武力的な強さを持った英雄が好きな俺からすれば、少し「ムッ」と感じた部分もないではないけれど、学びながらも奔放に遊び、政府からいくら声をかけられても平民で通した彼も、わかりやすく英雄だろう。
幕末の小説や資料はいくらか読んだが、彼らを見る福沢諭吉の視点は新鮮であり、それ以上に幕末という時代を見る福沢諭吉の視線が、とても面白かった。教養のためにと頭を固くして読むのでなく、ただの幕末小説が好きな人間として -
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言わずと知れた福沢諭吉の代表作。
本書の内容は多岐に渡るが、彼がもっとも言いたかったことは「国体を保持するために、国民一人ひとりが合理的な思考(文明)を獲得しなければならない」というシンプルなものであるように思う。
すでに効用(実)がなくなっているのに古い習慣(名)に囚われ、思考停止に陥っている(=惑溺)例として、儒学者・漢学者・国学者が批判の槍玉に挙げられる。中でも孔子・孟子は相変わらず目の敵にされており、「そこまで言わなくても」と思ってしまうほど。読み進めている際、ふと「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」という鄧小平の言葉を思い出した。
もちろん、本書は素朴な文明礼賛で -
Posted by ブクログ
「学問のすすめ」よりも内容的にも若干難しいが、それよりも文章がぐっと難しい。なぜか「べからず」という語尾が頻発し、「その権威なかるべからず」などと、我々にあまりなじみのない言い回しなだけに、ぱっと見て肯定なのか否定なのか戸惑ったり。
しかし内容はなかなか豊かで、当時の日本人にしてはよく先まで見通して考えていたもんだなあ、と感心するしかない。
丸山真男が指摘していたように、確かに相対主義的な思考法が随所にあらわれているのも、面白い。
儒教の被支配者的な限界など、興味深い指摘が豊富だ。
日本(やアジア)は西洋に遅れている、という当時の切迫した思いは、しかし現在人類学的な観点から見ると、必ずしもそう -
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1872年という明治初期に書かれた書物にも関わらず、現代にも通じる-なんて紋切り型の言葉に違和感を覚えずにいられないのは、先に『福翁自伝』を読んだ為か。そもそも、福沢諭吉は権威や立身出世とやらに無頓着で、旧態依然とした体制や大衆とやらにとにかく「渇だ渇っ!」と言いたかっただけなのだ。
しかし、こうやって誰もが名前ぐらいは知るこの書物を読み解くと、実体は学問論というよりは当時の社会全般にたいする考察と提言といった面に主が置かれているのは意外だった。種々洋楽書物を参照しつつ、冴えた/醒めた目線で古き習慣を奮いにかけ、平易にアイロニーをまぶして語るその口調は、「学問は実学であり、実用されてなんぼ -
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「学問のすすめ」があったので、相当カタイ人なのかと思っていた。
無鉄砲と言ってもいいくらいエネルギッシュでまっすぐ、潔くてある意味頑固だが、お茶目なところもあるとても魅力的な人だった。
ただ、当時はかなりの変わりものと思われていたであろうことが容易に推察される…。
解説に、あえて触れてない自分の身辺の事柄がある、自伝の内容がベンジャミン・フランクリンのそれの示唆を受けている感があるなど書かれているが、それを差し引いても、福沢の考え方身の処し方、緒方洪庵塾や渡米時のこと、幕府・政府とのやりとり、翻訳業、慶応義塾を開くまでなど、生き生きとしたエピソード満載で非常に面白い!
中でも、福沢が自分の子 -
Posted by ブクログ
・賢人と愚人の差との別は、学ぶと学ばざるとによりて出来るものなり。・今の政府は官員の多きを患ふるなり。事を簡にして官員を減ずれば、その事務はよく整理して、その人員は世間の用をなすべし。一挙して両得なり。(=役人を減らすことが、かえって政府の事務を整頓させる上、有用な人物を民間に回すことになって、両得である。)・学問に入らば大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商ならば大商となれ。学者は松庵に安ずるなかれ。(=諸君は小さな生活の安定に満足してならぬ。)・活用なき学問は無学に等し。ってところが特に印象に残った。福沢諭吉って、世界の動きを見て、蘭学ではなく英学に転向することを決意したり、文章がいろん
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Posted by ブクログ
人間は生まれながらにしては平等だが、学問をするか否かでその後の人生における人間性の良し悪しが変わってくるという初めの文は、勉強や読書のモチベーションになります。その後、各章においてなぜ学問が必要なのかが人間個人の視点と国家レベルの視点とで語られており、なるほどーと思いました。
個人の独立というのがもう一つテーマにあるのかなと感じました(そのために学問は必要だという流れ)。
ただし学問の中でも実学の必要性が強調されており、めちゃくちゃ合理主義だなーと思いました。
しかし、この時代、このくらい強く声を上げなければ弛んだ封建社会にメスを入れられなかったのかなと一種同情を感じます。