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緒方洪庵塾での猛勉強、遣欧使節への随行、暗殺者におびえた日々――。六〇余年の人生を回想しつつ愉快に語られるエピソードから、変革期の世相、教育に啓蒙に人々を文明開化へ導いた福沢の自負が伝わる自叙伝。
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Posted by ブクログ
福沢諭吉が60年近くの人生をふり返りながら口述筆記させてまとめた自叙伝。 本書を読むことで、福沢諭吉の人柄だけでなく、幕末から明治維新の頃の雰囲気を知ることができます。 また、巻末の解説を読むことで、自叙伝では書かなかった事柄やそれに対する福沢諭吉の思いも感じることができます。
面白かった。 福沢諭吉さんのイメージが「お札に載ってる偉くて堅そうなヒト」から、「破天荒で変わった面白いお爺さん」に変わりました。 福沢さんの生き方には、現代人にも十分役立つことが満載で、古さが全然感じられませんでした。 特に、お金に関する考え方や、子供の教育に関する考え方について、とても参考になり...続きを読むました。 高校生の時にこの本を読んでいたら、慶應義塾大学に行きたいと思ったかも!(行けるかどうかは別として)
いわずと知れた近代日本の大ベストセラー。福沢諭吉が人生を振り返った語りを本にしたもの。緒方塾時代の武勇伝、維新前後の物騒な世相、五稜郭の戦いで敗れた榎本武明の助命嘆願を新政府にする話、天現寺から古川沿いに散歩する話、などなど。面白いエピソードてんこもり。彼が若くして暗殺されていたら近代日本の姿はまっ...続きを読むたく違った形になってしまっていたかもしれないと痛感。良書。
『福翁自伝』はその名の通り福沢諭吉の自伝です。福沢諭吉の口述を文字起こししたものなので、本人の言葉遣いもそのまま文字になっていて、話を聞いているように読めました。 貧乏だった幼少時代、長崎遊学時代、大坂の適塾時代、海外視察、維新、暗殺に怯えた日々などなど、本書が書かれた60歳頃までのことが書かれてい...続きを読むます。
福沢諭吉が、最晩年の64~65歳頃(1897~98年)に書いたと言われる自伝。 文字通り、全体としては、豊前中津藩の貧しい武士の家に生まれた福沢諭吉が、他人からの資金援助を受けずに勉学をして、一身の経済的独立を果たし、更に一国の独立を唱導する立場にまでなった自らの経験が記されているが、教育面で文明開...続きを読む化をリードした福沢諭吉の「自伝」らしい特徴をもっている。 ひとつは、福沢諭吉には、本自伝を書くにあたり、「独立自尊への道を示す」という明確な主題があり、そのためには健康な身体が何よりも大事であるということや、権威や伝統、迷信を嫌うエピソードが、その主題に沿って語られていると思われる。それは、アメリカ合衆国建国の父の一人として讃えられるベンジャミン・フランクリンが、「成功者への道はいかにして開かれたか」というテーマをもって記した、アメリカのロング・ベストセラーの一つである『フランクリン自伝』の影響を受けているという。 もうひとつは、「一身の独立」を果たすために、「身体の健康のためには、食事に注意し、適度な運動が必要」、「勉強は、理論の為ではなく、現実社会での実践が目的である」、「商売をして豊かになることは否定すべきものではない」、「子どもの教育には手間暇を惜しむべきではない」などの、実践的な人生訓が散りばめられているという点である。 また、福沢諭吉の性格であろうが、基本的なトーンが明るく、楽観的に感じられる点も、本書を馴染みやすいものにしている。 社会人になって読んでも十分に楽しめるが、望らくは学生時代に読んでおきたい作品であろう。 (2010年6月了)
あの「学問のすすめ」を著した福沢諭吉が、晩年に自身の人生を振り返った自伝である。 しかし注意しなければならないのは、語られるべきだが触れられていない人々が数多いるそうだ。例えば福沢に実学を重視するという思想を植えたのは「海防学」で有名な野本真城だが語られていない。 また、故郷中津藩にあった改...続きを読む革党は実学派と尊皇派の二派閥があり、福沢は後に学友から命を狙われた。そういう過去を隠したかったのか、中津の友人たちについては黙している。そういう意味で自伝とは言いながらも語っていない部分も多いのだということを頭の片隅においておかなければならない。 それにしても福沢諭吉という人は偉大な人物だから、どんなに素晴らしい人生を送ったのかと思ったら、意外にもとんでもないことを種々やらかしている。大坂の緒方洪庵の適塾では、大酒を飲んで暴れたり、喧嘩を仕掛けたり、ひどいことをよほどやったようだ。 そのかわり勉強もした。儒学、朱子学の系統を嫌い、蘭学を志した。そのうち蘭語があまり役に立たないと知ると、あっさり英語に転じ、米国へ何度も行って知識や情報を吸収してくる。帰国後、翻訳や著作を多くしたのは知られているとおりである。 終始一貫しているのが「貧乏や身分制度など、一身の独立を阻害する敵を、品位を損なうことをせずにいかにして打ち破ったか」という一点に収斂されている。 あの一万円札で有名な福沢さんがどんな一生を送ったのかを知るのに大変良い一冊である。
「学問のすすめ」があったので、相当カタイ人なのかと思っていた。 無鉄砲と言ってもいいくらいエネルギッシュでまっすぐ、潔くてある意味頑固だが、お茶目なところもあるとても魅力的な人だった。 ただ、当時はかなりの変わりものと思われていたであろうことが容易に推察される…。 解説に、あえて触れてない自分の身...続きを読む辺の事柄がある、自伝の内容がベンジャミン・フランクリンのそれの示唆を受けている感があるなど書かれているが、それを差し引いても、福沢の考え方身の処し方、緒方洪庵塾や渡米時のこと、幕府・政府とのやりとり、翻訳業、慶応義塾を開くまでなど、生き生きとしたエピソード満載で非常に面白い! 中でも、福沢が自分の子どもたちを留学させるときに、子どもたちとかわした約束というのが素晴らしく、一番印象的だった。 自分の信を大切に、しっかり学び、公正を常とし、健康に留意、家族への思いやりなど、現代でも重んずべきことを、彼の実体験からまとめられた本書(口述筆記だったようだが)、読んでみて損はない本だ。 ただひとつ、時代を考えると致し方ないのであろうが、身分差に違和感を持ち、時代の最先端で日本の文明開化を引っ張った福沢でさえ、ごく一部に差別的な内容があったのはちょっと気になった。
難しい本かと思っていたが、いい意味で裏切られた。非常に読みやすく、面白い。 これほどの人物であれば、当時は官に仕えて日本を変えていくべきではなかったかと。この答えは本文に触れてあったので思わず納得してしまうのだが。 アメリカ行きに便乗させてもらった行動力や戊辰戦争の真っ只中に塾を続けるなど、自分の信...続きを読む念を貫いたことに感動した。
尊敬に値する人物かどうかは疑わしいですが、憎めない親父であることはわかりました。表紙の写真はカットされてる部分にこそ意味がある。編集者は写真の意味が分かっていない。 1.この本を一言で表すと? ・変人の一生 − 変人だからこそ歴史に名を残した 2.よかった点を3〜5つ ・禁酒から煙草(p93) ...続きを読む→どんな奴やねんと突っ込みたくなる内容。最後に反省しているところがお茶目。 ・英学発心(p119) →これまでの蘭学、漢学を一切すてれる思追い切りの良さ。 ・刀剣を売り払う(p188) →合理主義、思い切りのよさ、捨てる勇気に関心。 ・幕府の攘夷主義(p213) →権力への批判をくどいほど繰り返しているのでよほど権力をきらっていたか、あるいはよほど日本の行く末を心配していたか。おそらく後者のほうが強い? ・学者をほめるなら豆腐屋もほめろ(p230) →平等主義、芯が通った考えを貫きとおせる強さがいい。 2.参考にならなかった所(つっこみ所) ・ところどころ自慢話が入っている ・家族の事はごくわずかしか書かれていない。 3.実践してみようとおもうこと ・何かを思い切って捨ててしまって新しいことに挑戦するのもいいかもしれない。 4.みんなで議論したいこと ・現代でもこれほど名を残せている理由は何だと思いますか? 5.全体の感想 小説のような感じで楽しく読めました。いろんな面白いエピソードがありますが、勉強に対する猛烈さ、教育に対する熱さは本を通して強く感じました。
同じ時代を代表する、いわゆる識者であった勝海舟と不仲であったというのも良く解る感じがした。 勝は侍、あるいは激動の時代の政治家として行動を律していたのにたいし、福沢は完全に文民学者に徹していた。 よって勝の発言が常に法螺っぽかったり、英雄気取りなのにたいし、福沢は現在のわれわれの価値観とも通ずる 非...続きを読む常に進歩的かつ非暴力、そして遵法精神に溢れた生真面目な性格。ただ、相当な偏屈者の印象。 歴史的英雄としての魅力は、同じ東京人として、勝の方に軍配を上げたくなっちゃう。
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