嶽本野ばらのレビュー一覧
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久々の野ばら作品読書でした。
凄く良かったです。大好きな本になりました。
『ロリヰタ。』を読んでる最中はただ切なかった。ただ正直に言葉をぶつけるだけなのに、捻じ曲げられ、裏返され、誤謬されてしまう。それはきっと人には一生ついて回ること。自分の発した言葉が誤解されてしまうことなんて日常なんだ。
どうして伝わらないのかと心を痛めても、それは違うと声の限りに叫んでも、それはきっと届かない。それが痛いくらいわかるから辛かった。
書き留めていつまでも大切に取っておきたいような文章がたくさんありました。何度も読み返したくなる小説。
『ハネ。』もとても切なかった。皆さん言うとおり、野ばら作品の王道の -
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実際の喫茶店を舞台にした恋愛小説ということで「本を読んで聖地巡礼するのも楽しそう!」と思って購入。古い作品なので殆どのお店がすでに閉店済ですが京都の「フランソワ」と小樽の「光」だけはまだ健在のようです。
さっそくフランソワに本を持って、カフェして参りました。優しくて、切なくて、どこか郷愁的な物語を読みながらゆっくり時間を使って美味しいスイーツと紅茶をいただき、なかなかに贅沢な時間の使い方が出来たなと満足しました。決してハッピーエンドばかりではない、どこか癖があってそれぞれに愛おしさと美しさと逞しさのある女性たちとの物語は、没入感があって素敵なカフェでお茶をしながら読むのピッタリです。 -
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「ブサとジェジェ」OLIVEdesOLIVEとかラフォーレ原宿とかが出てきて、AnkRougeとかLIZLISAが大好きで原宿に行くことが何よりも楽しみだった中学・高校時代を思い出してワクワクした。可愛いお洋服を愛する気持ちって最高だよなぁと思った。
「こんにちはアルルカン」これもロリータ服を愛するお話。高校時代の友達に語りかけるような文体で新鮮だった。今まで孫に買うテイを装ってロリータ服屋さんを巡っていたけど、最後にゴスロリのお洋服屋さんで試着をして涙が出てくるところは素敵だったし、自分の好きを大切にしたいと思えた。
「ピクニック部」可愛いに一直線な華奢な男の子が気になる存在だった。もし近く -
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10年以上前に読んで面白かった記憶があり再読した。
高校生のロリータ魂で生きる桃子と、ヤンキー魂で生きるイチゴが茨城県下妻市で出会う。
きっかけは桃子のダメ親父が大量生産したVersaceのバッタものをイチゴが買い求めに来たことから始まる。
普通に生きていたら交わることのなかったロリータとヤンキーだが、筋の通った生き方をする桃子と、頭脳は弱いが正直で真っ直ぐなイチゴはお互いを認め合う仲に。
しかし桃子は決してイチゴを友達だとは認めない。
その答えを明確な言葉にしてイチゴがミコさんに言い放つシーンは爽快で、イチゴが周りを良く観察し、よく考えて生きていることが窺われる。
しかしお互いに信頼で -
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とある裕福な一族にて、女児だけが感染する遺伝病「鱗病」。発症は性器周辺から始まり、やがて全身の皮膚に魚のような、あるいは龍のような鱗が広がっていく……というエロ・グロ・ホラー要素が入り混じった怪作。
主人公の楼子の、自らを「ウルトラ・スーパー・お嬢様体質」と言い切ってしまう気位の高さが良い。美しい肌を保つため、教師に叱られようといつ何時たりとも日傘を欠かさない美意識の強さにも平伏せざるを得ない。(わたくしは太陽盛んな夏場に日傘どころか日焼け止めを忘れる愚民でございます……。)常に楼子目線で物語が進むため、某お嬢様Vtuberを彷彿とさせる「ですわ〜」口調や文体に抵抗があったという感想を見かけた -
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実在する純喫茶(カフェー)を舞台に、様々な男女の恋愛模様が描かれる短編集。どの話にも恋や人生に懊悩する僕(主人公)と君(ヒロイン)が登場し、その中には晴れて成就する恋もあれば、叶わぬ恋もある。彼らはある時はカフェーで出会い、またある時はカフェーで逢瀬を重ね、親密になってゆく。そして勿論、カフェーで別れを告げられて終わる恋もある。むしろ破れた恋の話の方が多い気がするが、個人的にはそれが良いと思っている。常に人で賑わう大衆的なカフェと違い、ひとりもしくは気心の知れた友人や恋人とふたりでひっそり訪れて、一杯の珈琲を片手に、共に過ごす「時間」を味わう純喫茶には、燃え盛るような熱い恋よりも、静かに落ちゆ