嶽本野ばらのレビュー一覧
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ファッション用語が多く、ロリータファッションにも疎かったので、想像が大変な部分がありましたが、知らなかった世界をのぞかせてもらった感覚です。
ロリータとロリコンを混同されるとか、着ているだけで軽蔑的に見てくる人がいるとか、目立つ人や偏見を持たれやすい人共通の大変さがここにもあるのかと思いました。
2篇とも軸は恋愛小説で、スキャンダラスな状況下の純愛がドラマチックでした。
設定もさることながら、展開もインパクト大です。
特に表題作の方は、2人の関係性が報じられたところで、状況が状況なだけに、周囲としては冷静な視点で反応するのはとても難しいだろうなと思います。
この本はYouTubeチャンネルの「 -
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野ばらさんの描く、実在する12のカフェーをもとにした御話。
やっぱり嶽本野ばらさんの小説を読んでる時間は、何にも増して綺麗な詞、綺麗な文体との出逢いの連続です。今回の御話達も、とても好きになりました。紅茶やビスケットが合いそうな、ほろ苦く甘美な短編集です。
『カフェー小品集』では、野ばらさんの他の著作よりも、登場人物の感情の機微がとても丁寧に、美しく書かれていた印象を受けます。この一冊を通して他の野ばらさんの著作を読んでみたら、また印象が変わってくるのでしょうね。(『シシリエンヌ』を読んだ時に「何故!?」となったあの展開も、今なら静かに呑み込める気がします。そのくらい一冊を通して野ばらさん -
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ネタバレ“乙女のカリスマ”こと、嶽本野ばらさんの描く美醜観念…それがこの一冊に凝縮されていて、とても充実して、そして実に耽美的な内容。2日程で読み終えました。しばらく読書をしていなくても、嶽本野ばらさんの作品はグイグイと私を読み耽らせる魅力があります。強くて美しい生き方に勇気をもらう…!
「美」という観念に固執する主人公、龍鳥楼子が受けた龍鳥家の呪われし遺伝病、通称「鱗病」は、やがて自分をとても醜い姿に変えてしまうという、楳図かずおの『おろち』の中の話のような病気。自分の中に現れたこの醜い塊に、彼女は絶望します。なんとなくですが、楼子が言うことも理にかなっているかなぁと思います。「外面を決めるのは内 -
購入済み
予想外の重いテーマです
下妻物語の作者が描く官能小説。スコポフィリア、ディスモルフォフィリア、ペドフィリア、アクロトモフィリア、アマロフィリア、ネクロフィリアと聞き慣れないアブノーマルな性癖が並ぶ。
官能小説ではあるけれど、身体障害者の生きる矜持みたいな、重いテーマでもある気がする。
登場人物の誰一人として本名がわからずじまいというのも斬新な手法だった。
そして最後の最後まで「貴女」の気持ちが理解できず、主人公の「僕」と同じ苦悩を味わうことになる。 -
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面白かったです。「ミシン」より熱い。
本当に凶暴なのはミシンではなく傘子でした。
わたしの好きなミシンしか認めない、か弱くて脆いミシンなんて叩き潰す…と言わんばかりの追加公演の仕打ち。その前に、ミシンは傘子を「愛する人に優しくできないタイプ」と評していましたが、そんな甘いものではありませんでした。
でも、乙女ってこれだ!と思いました。歪。
ミシンはだから、傘子を手放せないんだと思います。竜之介にも井上静子にも出来なかったこと。
「手術台の上のミシンと蝙蝠傘の~」は去年何処かで目にしました。その時、何で見覚えがあるのだろう?と思いましたがこの作品で出会っていたからなのですね。
サティの『猿の王様 -
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面白かったです。
カフェー、素敵な響きです。
昔からある純喫茶の趣…行ってみたいカフェーがたくさんですが、閉店してしまったお店もあるみたいで悲しいです。腰を重くしてないで、行きたいと思ったら行かねば、です。
フランソアは行きました。ミルクホールはお店の前まで行ったけど時間切れです。また行きたい。
「僕」と「君」…叶わない恋がほとんどですが、必然だから叶わないのかなとも思いました。好きすぎると上手くいかないなぁ。
文章や、登場人物の言葉遣い、素敵です。お手紙はしたためるものです。「ロリータとゴシックロリータは似て非なるものだわ」。
野ばらちゃんの美意識、好きです。
「真摯に生きることとは魂を摩 -
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1番印象に残ったのは「乙女と性欲」というエッセイで、
「腐女子はBLが好き」と普通は言うはずのところを「乙女はホモセクシュアルが好き」と最高のネガポジ転換をしている所が印象に残りました!
ホモは乙女の永遠のテーマとも言い切っているのにも、
腐乙女の私は自信を持ちました。
この本を書いたのが、男性だと言うのが信じられません。
腐女子は男女の恋愛に、自分なんて入らないからBLに逃げていると宣う男女共に読ませたいですね。
キリスト教式の葬式で死にたいから日曜礼拝に行くという考えも面白いし、宗教はミーハー心で興味を持ってもいいんだと思いました。
あと、「ボロは着てても心のロリータ」というエッセイに今N