嶽本野ばらのレビュー一覧
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10年以上前に読んで面白かった記憶があり再読した。
高校生のロリータ魂で生きる桃子と、ヤンキー魂で生きるイチゴが茨城県下妻市で出会う。
きっかけは桃子のダメ親父が大量生産したVersaceのバッタものをイチゴが買い求めに来たことから始まる。
普通に生きていたら交わることのなかったロリータとヤンキーだが、筋の通った生き方をする桃子と、頭脳は弱いが正直で真っ直ぐなイチゴはお互いを認め合う仲に。
しかし桃子は決してイチゴを友達だとは認めない。
その答えを明確な言葉にしてイチゴがミコさんに言い放つシーンは爽快で、イチゴが周りを良く観察し、よく考えて生きていることが窺われる。
しかしお互いに信頼で -
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とある裕福な一族にて、女児だけが感染する遺伝病「鱗病」。発症は性器周辺から始まり、やがて全身の皮膚に魚のような、あるいは龍のような鱗が広がっていく……というエロ・グロ・ホラー要素が入り混じった怪作。
主人公の楼子の、自らを「ウルトラ・スーパー・お嬢様体質」と言い切ってしまう気位の高さが良い。美しい肌を保つため、教師に叱られようといつ何時たりとも日傘を欠かさない美意識の強さにも平伏せざるを得ない。(わたくしは太陽盛んな夏場に日傘どころか日焼け止めを忘れる愚民でございます……。)常に楼子目線で物語が進むため、某お嬢様Vtuberを彷彿とさせる「ですわ〜」口調や文体に抵抗があったという感想を見かけた -
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実在する純喫茶(カフェー)を舞台に、様々な男女の恋愛模様が描かれる短編集。どの話にも恋や人生に懊悩する僕(主人公)と君(ヒロイン)が登場し、その中には晴れて成就する恋もあれば、叶わぬ恋もある。彼らはある時はカフェーで出会い、またある時はカフェーで逢瀬を重ね、親密になってゆく。そして勿論、カフェーで別れを告げられて終わる恋もある。むしろ破れた恋の話の方が多い気がするが、個人的にはそれが良いと思っている。常に人で賑わう大衆的なカフェと違い、ひとりもしくは気心の知れた友人や恋人とふたりでひっそり訪れて、一杯の珈琲を片手に、共に過ごす「時間」を味わう純喫茶には、燃え盛るような熱い恋よりも、静かに落ちゆ
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ファッション用語が多く、ロリータファッションにも疎かったので、想像が大変な部分がありましたが、知らなかった世界をのぞかせてもらった感覚です。
ロリータとロリコンを混同されるとか、着ているだけで軽蔑的に見てくる人がいるとか、目立つ人や偏見を持たれやすい人共通の大変さがここにもあるのかと思いました。
2篇とも軸は恋愛小説で、スキャンダラスな状況下の純愛がドラマチックでした。
設定もさることながら、展開もインパクト大です。
特に表題作の方は、2人の関係性が報じられたところで、状況が状況なだけに、周囲としては冷静な視点で反応するのはとても難しいだろうなと思います。
この本はYouTubeチャンネルの「 -
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野ばらさんの描く、実在する12のカフェーをもとにした御話。
やっぱり嶽本野ばらさんの小説を読んでる時間は、何にも増して綺麗な詞、綺麗な文体との出逢いの連続です。今回の御話達も、とても好きになりました。紅茶やビスケットが合いそうな、ほろ苦く甘美な短編集です。
『カフェー小品集』では、野ばらさんの他の著作よりも、登場人物の感情の機微がとても丁寧に、美しく書かれていた印象を受けます。この一冊を通して他の野ばらさんの著作を読んでみたら、また印象が変わってくるのでしょうね。(『シシリエンヌ』を読んだ時に「何故!?」となったあの展開も、今なら静かに呑み込める気がします。そのくらい一冊を通して野ばらさん -
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ネタバレ“乙女のカリスマ”こと、嶽本野ばらさんの描く美醜観念…それがこの一冊に凝縮されていて、とても充実して、そして実に耽美的な内容。2日程で読み終えました。しばらく読書をしていなくても、嶽本野ばらさんの作品はグイグイと私を読み耽らせる魅力があります。強くて美しい生き方に勇気をもらう…!
「美」という観念に固執する主人公、龍鳥楼子が受けた龍鳥家の呪われし遺伝病、通称「鱗病」は、やがて自分をとても醜い姿に変えてしまうという、楳図かずおの『おろち』の中の話のような病気。自分の中に現れたこの醜い塊に、彼女は絶望します。なんとなくですが、楼子が言うことも理にかなっているかなぁと思います。「外面を決めるのは内 -
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予想外の重いテーマです
下妻物語の作者が描く官能小説。スコポフィリア、ディスモルフォフィリア、ペドフィリア、アクロトモフィリア、アマロフィリア、ネクロフィリアと聞き慣れないアブノーマルな性癖が並ぶ。
官能小説ではあるけれど、身体障害者の生きる矜持みたいな、重いテーマでもある気がする。
登場人物の誰一人として本名がわからずじまいというのも斬新な手法だった。
そして最後の最後まで「貴女」の気持ちが理解できず、主人公の「僕」と同じ苦悩を味わうことになる。 -
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面白かったです。「ミシン」より熱い。
本当に凶暴なのはミシンではなく傘子でした。
わたしの好きなミシンしか認めない、か弱くて脆いミシンなんて叩き潰す…と言わんばかりの追加公演の仕打ち。その前に、ミシンは傘子を「愛する人に優しくできないタイプ」と評していましたが、そんな甘いものではありませんでした。
でも、乙女ってこれだ!と思いました。歪。
ミシンはだから、傘子を手放せないんだと思います。竜之介にも井上静子にも出来なかったこと。
「手術台の上のミシンと蝙蝠傘の~」は去年何処かで目にしました。その時、何で見覚えがあるのだろう?と思いましたがこの作品で出会っていたからなのですね。
サティの『猿の王様