嶽本野ばらのレビュー一覧
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心臓に病を患っている少女が、自分があと1週間で死んでしまうことを彼氏に告げることから、物語が始まる。
死を受け入れ、残りの短い時間を愛する人と濃密に過ごそうとする彼女。
彼女の死に疑問や悔しさを感じつつも、彼女のまっすぐな愛にこたえ、自らも彼女をまっすぐに愛そうとする彼氏。
物語は確実に「彼女の死」に向かって進んでいるのに、悲愴さばかりを感じる作品ではなかった。
愛の美しさ、健気に生きること、自分に素直に生きることの尊さなどを教えてくれる。
初めはロリータについての表記が多いことに苦手意識を感じたが、ほとんどそれは、読み進めるうちに気にならなくなった。
とても、とても素敵な純愛作品でした。 -
Posted by ブクログ
主人公は私たちだ。
ロリータ好きな姉がいたり、そのせいでロリータに詳しかったりするけど、基本的に主人公は私たちが感情移入しやすいように作ってある。
冒頭で私はもうすぐ死ぬ、といった後の怒涛のファッション用語攻撃。
戸惑ってさっと読み飛ばした人も多いだろうけど、そのことで最初の一文が薄れることはない。
読んでる側も一緒に「そんなことより今なんていった?」と聞き返したくなる。
だからこそ感情移入し、最後の場面では感動できる。
普段ミステリを多く読む私としては、死は唐突なもので、読めないものだ。
けれど、この作品では死は身近なもので、ゆっくりと、確実に迫り来るものである。
その状態で必死に生きよう -
Posted by ブクログ
映画にもなった「下妻物語 ヤンキーちゃんとロリータちゃん」の続編です。
茨城人はこんなのあるある~って言いながら暢気に楽しむが吉。東京-水海道間の高速バスで起こった殺人事件で、推理小説の形を取りつつも、ロリータの桃子とヤンキーのイチゴとの友情と青春が主題なんだなと感じました。
イチゴの真っ直ぐな友情と桃子のひねくれた友情。対照的ながらも、心ではお互いを認め合っている。青春っていいなぁ~。
蛇足ながら、イチゴが非常に苦手としている、取手駅の常総線→常磐線快速の乗り換えは全然難しくないです。でも、よく知っている地名が出てくるのはなんとも嬉しいです。 -
Posted by ブクログ
『下妻物語』の続編。
めちゃめちゃおもしろかったと断言できる。
娯楽小説、エンターテイメントとしては最高だ。
主人公のロリータ少女モモコのお洋服へのこだわりはますます強くなり、ツレのイチゴのヤンキー度も最高潮。
2人は一巻よりますますパワーアップしている。
モモコの芯のブレない考え方はとても潔い。
日々身にまとう洋服が生きる哲学になってる人なんて、この日本に何人いるだろう。
外国と日本のファッショの違いはそこにあるんじゃないかと思う。
ファッションは自己表現の手段のひとつだけれど、日本では自分がどの種類に属しているかをしめす制服になっている気がする。