嶽本野ばらのレビュー一覧
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野ばらちゃん(今回はそう呼ばせてもらいます)の本はこれで12冊目。私の読書遍歴の中で、野ばらちゃんほど特異な位置にある作家は居ません(ちなみに私は乙女でもなければ女のコでもありません)。これには正直、自分でもよく分からないのですが、でも結果として、私は文庫本『ミシン』を初めて読んだ時から、Vivienne Westwoodなんて全く知らなかったのに、野ばらちゃんの小説に、そして野ばらちゃんの書く強い乙女たちに魅了されてきた男性読者の一人だったのです。そんなことを最近、『それいぬ』等の代表作を読むようになって強く感じます。
私話が長くなりましたが、本作『下妻物語』も『それいぬ』同様野ばらちゃん -
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「乙女のバイブル」と呼ばれた本作には、野ばらさんの美的観念が結晶のように凝固しています。あとがきで野ばらさん本文を「ペダンチック」「青臭い」などと述べていましたが、私はこの増幅系の、歪みきった野ばらさんの文章が大好きだと言うことに今更、本当に今更ながら気がつきました。
『ミシン』や『エミリー』を読んで受けた衝撃、蜂蜜を嘗めるように読んだ甘美な文章、我を貫く少女たち、──「君」と寄り添い、「乙女」と寄り添ってきた数数の文章──それら全てが『それいぬ』に始まり、『それいぬ』に帰趨するのは当然のことでした。今回、ある程度野ばらさんの著作を読んでからこの『それいぬ』を読めたこと、そしてどんな姿の自分で -
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ネタバレここまで物語の前半と後半で印象の違う小説はそうないと思う。
今まで自分が読んできた嶽本野ばら作品の中でも、秀でて告白ぐあいがすごい。どうしてこんなに倒錯した美しい世界を書くことが出来るのだろう。自分にはどう足掻いたって届きそうもない恋物語が、この小説にはある。それに恍惚として、ちょっと哀しくなる。この感覚は一生忘れない。自分は嶽本野ばらさんの作品の他に、醜いとみなされているものに具備する美しさを赤裸々に語れる作品を知らない。
印象に残ったのは「僕」と「館主」のマリアについての会話と、「貴方」がyohji yamamotoを着る理由、そして、「貴方」の「僕」に対する思いだ。
ブルー -
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信頼を置いている野ばらちゃん作品。
今回は他の作品に比べてかなりハードな性描写で休憩を挟みながら読んだが、「貴方」の痛いほどの女らしさが眩しくて心を奪われた。
見返すと殆どのページが性描写。(ただし、厭らしさ<耽美)
こんな内容なのに(だからこそ?)愛してると一言も言わなかったのが最初からねじ曲がった愛だなーと思う。
「貴方」は他の人ができないことを簡単にやってのけて、他の人が簡単にできることができないタイプの人間かな。
また、最初にいた主人公の彼女も中々に大人だと思った。
プラトニックラブがあるように、性的な魅力だけを愛する愛を肯定しているあたり。
やっぱり魅力的な女の人は考えすぎて何考 -
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ネタバレ美しい……お耽美ですわぁこれは。
感想書きます。
『世界の終わりという名の雑貨店』
わたしの中で、嶽本野ばら初作品。その甘すぎる耽美に圧倒。なんて美しいのか。それも少し歪んだものに、ここまでうっとりできるものなのか。すごい。ここまで来るとどのページも蜂蜜でコーティングされたような艶めかしさを感じる。
まず、主人公が開く雑貨店『世界の終わり』のセンスが光る。正直これらの集められ置かれる商品に対する自分の知識には疎く、イメージが出来ない物もあったが、それをもっても一つ一つが醸す雰囲気や匂いまで、こちらに伝わってくるかのよう!! すっかりのめり込んだ。
そしてやってくる『君』。彼女もまた刹 -
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映画を見て原作に興味を持った。エンドロールの途中で、「え、原作とかあんの。」って。
シンプルに面白い。映画よりも作者の色が濃く出ていて笑える。
割と初めの方にある「(頭の悪い人、少しだけ我慢してくださいね)」で、声出して笑った。
お馬鹿さんにロココは少し難しいですわね。
桃子(の中の人、野ばら先生)の強気な感性が光っていて好きな部分だ。
ヤンキーの才能がある桃子と、性根が真面目なイチゴ、この対比が堪らなく愛おしくて、好きで、大切で、もはや幸せにしたい。
桃子みたいに、ブレない自分の哲学を持ちたいなあ。
彼女の飄々とした生き方は憧れるものがある。
おちゃらけていて不真面目感満載で危険な気がす -
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14歳の時、自分がどうだったか、どの様な考えで日々を過ごしていたかを振り返ってみるが、思った以上にぼんやりとしていたんだなあ、と気付く。
部活に打ち込んでいた訳でもなく、勉強も悪目立ちしない程度、見てくれも無頓着、社交的でもなかったので当然の様に恋なんて縁が無かった。
ところがこの小説の主人公・仲葦さんと藤森君は確固とした自分を持っていて、周囲から浮いていようが後ろ指を指されようがひたすらに愚直である。今の感覚で読めば幼い恋模様だと思うが、デートひとつに全力で悩み、走り、喜ぶ。
その姿がすごく羨ましく、生き生きとして、まぶしい。
そんな二人の様子を共有してきた我々読者にとって、物語の -
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面白かったです。
美意識の高い、美しく高慢なハードコア乙女の楼子さん大好きです。所々、発言が過激なのが良いです。
美肌に固執する楼子さんが発症した、龍烏家の女性特有の遺伝病・鱗病。エリザベート・バートリーも鱗病だったのでは…からの血塗れなお話でした。黎子叔母さまも素敵。
現代を嫌悪する…という美意識が出てくるからか、今回のお洋服はVivienne Westwoodでした。兄の琳太郎さんはCOMME des GARCONS。コム・デ・ギャルソンは後程検索してみよう。。
「外見をどう取り繕うかを決定するのは内面」という楼子さんの言葉はとても腑に落ちる大好きな言葉です。わたしはまだまだ乖離しているけ