嶽本野ばらのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
嶽本野ばらさんの本というのは、「いかにも」というような少女、乙女的シチュエーション・センスで描かれていることもさることながら、緻密な、ロリータに関する考察、そして芸術に対する深い信仰、そしてそれらを全く以って穢す(否定する)ような性描写にあると思います。
そんな話が成り立つのか、と言われそうですが、誰も仰るように彼の描くセックスに穢れたところが感じられないのです。セックスは愛する者どうしが結合する、必然にして当然で生まれた結果――それが彼の描く世界の成り立つ所以だと僕は思います。
彼のファンに女性が多いのはロリータ服のブランドの名前が沢山出てくるからではなく、共感させられる面が多いからなのだと -
Posted by ブクログ
今思い返せば恥ずかしいですが、高校生の時分、この本は私のバイブルでした。
あの時代にしかない不安定な自我、突出した過剰意識、ナルシシスティックな被害者意識に、無意味にがっちりとそびえ立つ選民思想。そういったものを否定することなく、ひとりぼっちにさせるでなく、かと言ってあまりに過激な方向に走らせることなく、「乙女」というキーワードで胸をきゅんきゅん言わせられる女子たちの心を鷲掴みにする文体に内容。
正直に言えば、今これを読んでもにやにやすることはあれ、激しく頷くようなことはないのだけれど、でも、嶽本野ばらのこの本は、あの時代の私には必要だったんじゃないかと。
トム・ソーヤーも十五少年漂流記もゲッ -
Posted by ブクログ
嶽本野ばら氏の作品はとても好きで、この鱗姫はその中でも特に好きな本の一つと言えます。
主人公・楼子にもそれは言えるのですが、嶽本氏の小説に出てくる女の子が持っているとても高い美意識やその描写がとても好きです。また不思議の国のアリスを彷彿とさせる括弧書きの心情描写もこの話を面白くさせている要因だと思います。
似たような主題の作品に「おろち」が挙げられますが、こちらはそれをもっとソフトにした様な感じです。「下妻物語」から嶽本氏に入られた方は、この話も読みやすいのではないでしょうか。
星が4つな理由として、他の方も挙げられていますが、最後の件が急展開すぎる上に、そうなる事に違和感を覚えるからで