山岡荘八のレビュー一覧
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読んだ本 徳川家光(4) 山岡荘八 20230203
徳川家光最終巻。
三代将軍家光の生涯を通して、徳川御三家や駿河大納言との関係や牢人問題に焦点を当てたストーリーでした。
基本的には全て性善説で語られているというところが山岡荘八らしいところでしょうか。今のところ、山岡荘八の批判的な文章って「小説太平洋戦争」以外思いつかないんですよね。
天下を治める、藩を治めるってことは、国を平和にし、民に穏やかな暮らしを与えるってことが基本理念になっていないと、政権ていうのは長続きしていかないですよね。鎌倉、室町と、頼朝や尊氏に時代にその理念があったかはわかりませんが、政権にその考えがあったからこそ -
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読んだ本 徳川家光(3) 山岡荘八 20230131
第三巻のエピソードとしては、無風といった感じでしょうか。側近が亡くなっていき、由井正雪が何か企む。第四巻に続く下地作りというところでしょうか。
寛永御前試合などが家光の治世観として語られています。
江戸幕府になってから、改易大名の数は、家康41、秀忠38、家光47、家綱29、綱吉45となっていて、まあ家光が一番多いんですが、家康・秀忠は親藩は各2にとどまっていたものが、家光の時代には7になっている。仮想敵国が外様から跡目争いの身内に変わってるんですね。
5代綱吉がピークで、その後は牢人の増加が社会問題化したため、改易はほとんど無く -
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読んだ本 徳川家光(2) 山岡荘八 20230120
二巻目は、島原の乱への対応が中心になっています。
だけど、山岡荘八が描くのは主人公の生涯であり、その生涯を通した治世観が主題なので、これだけの題材が作品のほんの一部になってしまうんですね。
島原の乱を描いた小説で、飯嶋和一の「出星前夜」というのがあるんですが、これがすごく読み応えがあって、島原の乱というものが、病的な緻密さで描きこまれています。島原の乱というのは、キリシタンの一揆という教科書的なイメージがありますが、実際には関ケ原以降に大量に発生した牢人が中心となった一揆なんだと改めて認識させられました。幕府を手こずらせたのも、信仰の -
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読んだ本 徳川家光(1) 山岡荘八 20230122
今年は、山岡荘八歴史文庫全百巻の読み残しを制覇する予定です。残りは「徳川家光」「千葉周作」「徳川慶喜」「明治天皇」。かなり地味目なのが残ってしまいました。
昨年は、吉川英治の歴史時代文庫を読破。「私本太平記」をトリに持ってきました。
吉川英治は、時代小説は勿論ですが、歴史小説にも小説的な設定が多くなされている印象です。「私本太平記」なんかでも足利尊氏に楠正成、佐々木道誉、大塔宮、高師直などなど、個性の強い歴史上の人物が山ほどいるのに、さらに脇役的な登場人物をたくさん描いていて、それが尊氏や正成の人間味を引き出していきくんですね。「宮本 -
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吉田松陰の後半生。
前半生で得た思想・知識をどこまで熟成させて、松下村塾を運営したのか、あたりをハッキリさせにいきたかったが、結論は、学者バカで、明治維新の精神的指導者などとはほど遠い。明治政府内の長州出身者が持ち上げただけの、二流教育者であるということが分かります。
なぜなら、吉田松陰は、
理屈では動かぬ現実に腹を立てているし、
日本を想うといって、暴力革命(討幕)に教え子を導いたのだとすると、
それが「大和魂」「日本の国体」を深く探索した思想などとどうして言えましょうか。
最後に、幕府に収攬されるとき、「孟子の教えを試してみたい」というようなことを言っていますが、これがつまり、学者 -