山岡荘八のレビュー一覧
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読んだ本 明治天皇(2) 山岡荘八 20231019
時代は幕末、ペリーが来航し世の中が騒然となる。ってのは定番だけど、「徳川慶喜」もそうだったんだけど山岡荘八はペリーとの交渉の様子を詳細に描き込んでる。これが、志士目線の幕末ものにはあまりない描写じゃないかな。結構面白い。
世のんかがひっくり返ろうとしている中、明治天皇はようやくお言葉を口にするくらいの幼少期。まだまだこれからです。
山岡荘八歴史文庫で、どれが一番好きかなって目録眺めて観たんですが、「新太平記」かな。吉川英治や松本清張なんかも含めて、この太平記って物語がすごく好きなんですよね。なぜか主要登場人物が全て兄弟で出てくる。楠兄弟、足利、新田それに高兄弟。それぞれの兄弟にドラマや葛藤があって好きなんだよな。 -
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読んだ本 明治天皇(1) 山岡荘八 20231017
山岡荘八歴史文庫もこの明治天皇全6巻でコンプリート。中学生の時に織田信長を読んだのが最初で、足掛け40年。吉川英治も読破したし、読み終わったときには何か感慨深いものを得るのだろうか。多分得ないな。
まず第1巻は、明治天皇が産まれるまで。まだペリーも来ていない頃で、ここから物語を始めるのかという感じ。山岡荘八は幕末を描いても、徳川びいきのところがあって、特に260年の太平の世を、家康が幾重にも張り巡らせた政策で作り上げたって色んな作品で繰り返してますね。
そういう意味では、徳川家康全26巻が代表作なんだろうな。確かに読み応えがあって面白かったけど、大坂の陣あたりから、なんか内輪揉め的な話になってきて、ちょっとつらかったかな。読み疲れもあって、天下取りがなって家康に情熱が感じられなくなり・・・。でも、家康の国づくりはそんなところから始まったんだよね。外様大名を次から次へと改易に追い込んで、金利から離れた江戸に幕府を置き、慎重に慎重を重ねて大名を配置した。それがこの幕末に続いてるわけだからね。
そう思うと、源頼朝から順を追って読めばよかったかなって思いますね。
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読んだ本 徳川慶喜(6)山岡壮八 20230721
最終巻。大政奉還がなされるけど、矛を収めきれない薩長軍が江戸に迫る。いきり立った空気の中で、江戸城無血開城が勝海舟と西郷隆盛の間で果たされる。会津や河合継之助なんかがエネルギーのはけ口になって犠牲になってゆくんですが、戦争は回避されて、英仏列強の介入を許さなかった。それも、慶喜の徹底した恭順の功が大きいと描かれてます。大阪城を密かに抜け出して鳥羽伏見の戦いから逃げたのなんか、無責任の極致にしか思えないんですが、こうして徹底的に功労者として描かれると、やはり国体を重んじて徹底した恭順を通したっていうのが自然に思えてきますね。
明治に入って、趣味に走り、多くの子供を作って晩年を迎えるのも、山岡荘八は恭順の一環だと言ってるんですが、結構人生満喫してる感があるんですよね。とはいっても、徳川家の墓所に入らなかったり、葬式を神式で行ったりと、確かに一貫性はあるんですよね。
とは言え、欧米の圧力や薩長の陰謀のみならず、幕府内からも嫌われていた慶喜が、幸せな晩年を送れたのは救いでした。 -
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読んだ本 徳川慶喜(5)山岡荘八 20230717
いよいよ幕末は蛤御門の変から長州征伐。高杉晋作好きの僕としては、一番のクライマックスなんですが、幕府の立場から読むと、本当に歯痒い。なんで第一次長州征伐をあんな形で終わらせてしまったのか。徳川慶喜という人を中心に読むと、薩長に任せずとも、近代日本は生まれたんじゃないかと思ってしまいます。志士史観だと、幕府を倒すという行為なくして、新しい時代の到来を知らしめることができない。っていように思っていたんですがね。
薩長同盟もなって、薩摩が陰謀の黒幕となってからは、維新は鎖国開国ではなく、尊王でもなく、ただ討幕の為だけの運動になっていく。開明的な慶喜の視点から見ると、痛ましいです。
坂本龍馬や高杉晋作が人気があるのは、死んでしまったからなんですよね。高杉晋作なんて、討幕だけの人だったんですが、それでも大久保利通のような陰謀家の暗さはないですもんね。
いよいよ徳川慶喜も最終巻。どこでお話が終わるのか。 -
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読んだ本 徳川慶喜(3)山岡荘八 20230709
遂に、安政の大獄が行われ、桜田門外の変につながっていく。
ストーリーの中では、幕府内(水戸藩含む)の相互理解不足が2つの事件を引き起こしたってことになってますが、水戸の徳川家乗っ取りを、井伊直弼が防ごうとしたっていう構図ですかね。水戸を維新の功労者と見ると、井伊は悪者になりますが。広い視野を持っていなかったってだけで、むしろ徳川家の能吏だったbんでしょうね。しかも、御三家のような一門をを裁くなんて家光ぐらいしか思いつかないですよね。将軍でもないのに。
いよいよ慶喜が将軍後見役となって、維新の渦中に飲み込まれていく。幕府側から明治維新が語られることってあまりないので、楽しみです。新撰組は幕府の外郭団体ですからね。 -
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読んだ本 徳川慶喜(2)山岡荘八 20230705
安政の大獄に至る井伊直弼を軸に、慶喜が水戸派と紀伊派の対立を防ごうとする話。ここでは攘夷派と開国派というものは存在せず、全てが開国派。それをしなければいけない状況を、どういう体制で乗り切るかで争っている。こうして読み進めていると、水戸の尊王も覇権争いの道具でしかないし、単なる派閥争いが高じて、安政の大獄→明治維新って風にエスカレートしていったと読むのが素直ですね。これが、欧米列強の思惑を阻むほどのエネルギーに転化していくのかと思うと、幸運というか志士という下級武士がいかに優秀だったかと感心させられます。なんせ、革命のような階級闘争のないまま、殿様の時代を終わらせて、今に通ずる国体を作ったんですからね。最後の将軍慶喜がどういう役回りを演じていくのか、楽しみです。
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読んだ本 徳川慶喜(1)山岡荘八 20230701
山岡荘八歴史文庫も、残すところ徳川慶喜と明治天皇の2作となりました。まぁ、面白そうなところから読んでったので、家光とか千葉周作なんかの地味なのが続いてましたが、同じ地味でもこちらは明治維新がクライマックスであるので、期待してます。
1巻は、慶喜の世子(次の将軍)問題のお話し。攘夷派と開国派が継嗣争いを繰り広げてたのかと思ってましたが、憂国派とノンポリが、両方とも開国派で、開国の仕方に権力争いが加わって争っている図式。慶喜はまだあまり顔を出してませんが、自分が継嗣争いに加わることで国を分かつことは諸外国の圧力を前に避けたいとの政治感覚。これって後の鳥羽伏見で幕軍を見捨てて江戸に帰っちゃったのを腰抜け呼ばわりする本と、自分が京・大阪にとどまることで戦争の先鋭化を嫌ったって本がありますが、後者に通ずる流れですね。僕も慶喜は大政奉還も含め、日本をひとつの国と意識した優れた為政者だと思ってるので、先が楽しみです。
司馬遼太郎の「最後の将軍」は一冊でそんなに厚くなかった気がしますが、6冊って。どんだけ書き込まれるんですかね。 -
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読んだ本 千葉周作(1) 山岡荘八 20230304
今年、山岡荘八第2弾です。
これは物語要素が強くて、小説として面白いです。剣豪なんかは、著名になってからの履歴はあるものの、若かりし頃の記録なんてないから、作者の想像力が発揮されるんですね。
「徳川家光」なんかは、生まれついての将軍なもんで、記録が残りまくってて、それを作者が定義づけていくってことになり、小説としての成り立ちが全く違ってくるんでしょうね。
青春の匂いがしていいですね。やたら女にもてまくってます。
昔、司馬遼太郎の「北斗の人」だったかな。千葉周作の小説を読んだんですが、もう少し堅かったような気がしますね。こっちの方が好きかな。 -
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読んだ本 徳川家光(4) 山岡荘八 20230203
徳川家光最終巻。
三代将軍家光の生涯を通して、徳川御三家や駿河大納言との関係や牢人問題に焦点を当てたストーリーでした。
基本的には全て性善説で語られているというところが山岡荘八らしいところでしょうか。今のところ、山岡荘八の批判的な文章って「小説太平洋戦争」以外思いつかないんですよね。
天下を治める、藩を治めるってことは、国を平和にし、民に穏やかな暮らしを与えるってことが基本理念になっていないと、政権ていうのは長続きしていかないですよね。鎌倉、室町と、頼朝や尊氏に時代にその理念があったかはわかりませんが、政権にその考えがあったからこそ、幾代にも渡って幕府が続いたんだと思います。木曽義仲や新田義貞(後醍醐上皇)にはそれがなく、秀吉もそういった理念ではなく朝鮮出兵のような天下統一の延長みたいな方向に進んだのが政権を短命に終わらせたんだと思います。
なんとなく一揆史観、百姓一揆に焦点を当てると、江戸時代は圧政の時代にも思われますが、戦乱のない平和な時代で文化も爛熟していくわけですもんね。
家光についても、苛烈な暴君のイメージなんですけど、己の徳川政権を盤石のものにしたということは、結果世の安寧につながっている訳で、その意味では性善説も頷けますよね。 -
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読んだ本 徳川家光(3) 山岡荘八 20230131
第三巻のエピソードとしては、無風といった感じでしょうか。側近が亡くなっていき、由井正雪が何か企む。第四巻に続く下地作りというところでしょうか。
寛永御前試合などが家光の治世観として語られています。
江戸幕府になってから、改易大名の数は、家康41、秀忠38、家光47、家綱29、綱吉45となっていて、まあ家光が一番多いんですが、家康・秀忠は親藩は各2にとどまっていたものが、家光の時代には7になっている。仮想敵国が外様から跡目争いの身内に変わってるんですね。
5代綱吉がピークで、その後は牢人の増加が社会問題化したため、改易はほとんど無くなります。この間約80年。
幕府も大名も、幾代かの代替わりで戦国の世を忘れて安定し、仮想敵国がいなくなったってこともあるんだと思います。
明治維新で幕府を倒したのは身分の低い武士たちですもんね。
改易の断行政治と身分制度の浸透や行き届いた治安が300年の太平を生んだと思えば、暴君のイメージの家光も犬公方の綱吉も優れた人だったのかな。 -
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読んだ本 徳川家光(2) 山岡荘八 20230120
二巻目は、島原の乱への対応が中心になっています。
だけど、山岡荘八が描くのは主人公の生涯であり、その生涯を通した治世観が主題なので、これだけの題材が作品のほんの一部になってしまうんですね。
島原の乱を描いた小説で、飯嶋和一の「出星前夜」というのがあるんですが、これがすごく読み応えがあって、島原の乱というものが、病的な緻密さで描きこまれています。島原の乱というのは、キリシタンの一揆という教科書的なイメージがありますが、実際には関ケ原以降に大量に発生した牢人が中心となった一揆なんだと改めて認識させられました。幕府を手こずらせたのも、信仰の力だと思っていたのですが、戦乱を生き抜いてきた牢人達が戦巧者ぶりを発揮させたとのことでした。
一向一揆なんかも同じ構図なのかもしれません。本願寺も雑賀党なんかを取り込んでの戦ですもんね。
「徳川家光」も同じ史観で描かれていて、それが一エピソードになってしまっているのがもったいない気がしてしまいました。
描きたいことは作家それぞれですもんね。
次の作品は、正に牢人を描いたものなので、真剣に読んでしまいます。 -
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読んだ本 徳川家光(1) 山岡荘八 20230122
今年は、山岡荘八歴史文庫全百巻の読み残しを制覇する予定です。残りは「徳川家光」「千葉周作」「徳川慶喜」「明治天皇」。かなり地味目なのが残ってしまいました。
昨年は、吉川英治の歴史時代文庫を読破。「私本太平記」をトリに持ってきました。
吉川英治は、時代小説は勿論ですが、歴史小説にも小説的な設定が多くなされている印象です。「私本太平記」なんかでも足利尊氏に楠正成、佐々木道誉、大塔宮、高師直などなど、個性の強い歴史上の人物が山ほどいるのに、さらに脇役的な登場人物をたくさん描いていて、それが尊氏や正成の人間味を引き出していきくんですね。「宮本武蔵」の又八とかね。
一方で、山岡荘八はストレートかもしれません。主人公の何かを成し遂げようという行為の裏に流れている哲学のようなものが、少し説教臭く描かれている感じかな。
家光といえば、徳川の体制を盤石にするための暴君的な印象が強かったのですが、違う描かれ方がしてますね。山岡節って感じです。