山岡荘八のレビュー一覧

  • 伊達政宗(六)

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    山岡荘八の描く伊達政宗伝最終第六巻。家康の晩年・江戸幕府の成立から家光に至る確立期・政宗の晩年までを描く。外様ゆえ仕方がないのだが、年下の徳川家の面々に小突き回されるのは何とももどかしい。それでも天下の副将軍として太平の世を築くべくある意味策動を続ける政宗。多くの戦国武将たちが去っていく中、地位を保ち続けたのは流石というべきか。最期まで強気だった母との別れ、そして本人の気合一閃な最期と、それぞれにらしい終わり方を迎えて長きにわたる物語が幕を閉じる。

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    2023年10月29日
  • 明治天皇(5)

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    読んだ本 明治天皇(5) 山岡荘八 20231028

     いよいよ桜田門外の変。山岡荘八の描くこのシーンも読み慣れた感があるけど、やっぱり臨場感ありますね。主君を討たれた彦根藩の対応がまたリアル。なんかこの時代に生きてて見たのかって感じです。
     しかし、すでに6巻中の5巻。題名の明治天皇は4巻あたりから一回も出てきてないような気がします。初めてしゃべった言葉が「とうふ」だったってことしか触れてないよな。
     5巻は和宮降嫁を経て寺田屋事件前夜まで。果たして6巻では明治天皇が出てくるのか。

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    2023年10月28日
  • 明治天皇(4)

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    読んだ本 明治天皇(4) 山岡荘八 20231025

     黒船騒動も、いつの間にか江戸と京の確執に発展し、井伊直弼が権勢を揮い、安政の大獄に。井伊直弼って全然エリートじゃなくて部屋棲み上がりの十何男坊なんだよな。こんな役職に就くはずの人じゃなかった。しかし、この人が火をつけなかったら、尊王攘夷ってあそこまで燃え上がらなかったんじゃないかと思う。そうした時、どういう近代を迎えていたか。不平等条約で怒ってる場合じゃなかったかもしれない。歴史にifはないって言うけど、新しい時代を開くための重要な役割を果たしたのは間違いないですよね。しかし、理想をもたない優秀な人間が権力握ると、碌なことになんないよな

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    2023年10月25日
  • 明治天皇(3)

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    読んだ本 明治天皇(3) 山岡荘八 20231023

     吉田松陰が渡航未遂で捕まって、幕府が朝廷に無断で通商条約を締結する。井伊直弼が大老になって、いよいよ尊王攘夷の動乱が幕を開ける。ってのが第3巻。
     幕末で誰が好きかって話になると、まぁ大体坂本龍馬か土方歳三ってことになるんだけど、僕は高杉晋作が好きなんだよな。どの本を読んでも、高杉を英雄視してるんだけど、行動はでたらめで、筋が全く通ってない。外人居留地の焼き討ちや馬関戦争、幕長戦争なんか、右往左往してるうちになんかうまく収まっちゃう。無軌道に見えながら、理想の国家像を持ってる龍馬なんかとはちょっと違うんだよな。実際、幕長戦争で奇兵隊にそ

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    2023年10月23日
  • 明治天皇(2)

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    読んだ本 明治天皇(2) 山岡荘八 20231019

     時代は幕末、ペリーが来航し世の中が騒然となる。ってのは定番だけど、「徳川慶喜」もそうだったんだけど山岡荘八はペリーとの交渉の様子を詳細に描き込んでる。これが、志士目線の幕末ものにはあまりない描写じゃないかな。結構面白い。
     世のんかがひっくり返ろうとしている中、明治天皇はようやくお言葉を口にするくらいの幼少期。まだまだこれからです。
     山岡荘八歴史文庫で、どれが一番好きかなって目録眺めて観たんですが、「新太平記」かな。吉川英治や松本清張なんかも含めて、この太平記って物語がすごく好きなんですよね。なぜか主要登場人物が全て兄弟で出てくる。楠

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    2023年10月19日
  • 明治天皇(1)

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    読んだ本 明治天皇(1) 山岡荘八 20231017

     山岡荘八歴史文庫もこの明治天皇全6巻でコンプリート。中学生の時に織田信長を読んだのが最初で、足掛け40年。吉川英治も読破したし、読み終わったときには何か感慨深いものを得るのだろうか。多分得ないな。
     まず第1巻は、明治天皇が産まれるまで。まだペリーも来ていない頃で、ここから物語を始めるのかという感じ。山岡荘八は幕末を描いても、徳川びいきのところがあって、特に260年の太平の世を、家康が幾重にも張り巡らせた政策で作り上げたって色んな作品で繰り返してますね。
     そういう意味では、徳川家康全26巻が代表作なんだろうな。確かに読み応えがあって面

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    2023年10月17日
  • 伊達政宗(四)

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    山岡荘八の描く伊達政宗伝第四巻(全六巻)西洋の新旧教国対立を背景にした政宗たちの世界戦略が描かれる。婿の忠輝と長安、その二人に急かされながらも政宗が、大御所・将軍の意図も計りつつ、最後の大勝負に出んとする。
    今なら"作品の時代背景を考慮し~云々"と言い訳が入りそうな表現が多々。まあ昭和じゃあ仕方がないだろうが。それにしても長安最後の狂い死にはしょうもないというか、あっさり退場させられたなあと。そして大阪方で秀頼の影が薄いのは仕方がないにしても、"血の道"と断定された淀殿のパラノイアっぷりはどうにかならんものかと思ったり。

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    2023年09月18日
  • 徳川家康(8) 心火の巻

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    今回は一年に満たない内容を一巻に凝縮。
    徳川家康は実質初めて読むので、伊賀越えについては今回初めて理解した。
    本能寺の後天下を狙わなかった背景の解釈も興味深く読めた

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    2023年09月10日
  • 漫画版 徳川家康 8

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    文字の本も若かりしころ読んだが今回改めて、漫画で読んだ。
    まあ、そうだったなあと思い出すところが良い。 家康の生涯が文字だと26冊あるのに漫画では8冊とはすごいショートカットかな。でも定番だか良かった。

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    2023年09月06日
  • 伊達政宗(三)

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    山岡荘八の描く伊達政宗伝第三巻(全六巻)関ケ原の合戦前夜から江戸幕府開闢後の日々まで。秀吉の死で再び漂いだした天下の風船に手を伸ばそうと画策する政宗をしり目に、あっけなく終わった関ケ原。戦国の終わりと、そして遂に家康を認めた政宗の姿はすがすがしくもあり、また一つの時代の終わりの寂しさをも感じる。
    と、しんみりとしたところから江戸幕府開闢でまたにぎやかになる政宗の周囲。婿の傍付きである大久保長安の正真正銘の山師っぷりに、物語はまだまだその動きをやめない。新旧キリスト教国の暗躍する世界を見据えた政宗の次の一手は!?

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    2023年08月28日
  • 徳川家康(14) 明星瞬くの巻

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    秀吉と利休の間が険悪となり利休切腹となる。
    家康は随風改め天海に会う。
    秀吉は子の鶴松丸を亡くし、朝鮮から明に攻め入ろうとする。出兵はうまくいかず講和を画策する。
    その間に淀が懐妊、秀頼が生まれる。

    天海のあたりは面白かったが、この巻は今ひとつだったかな。

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    2023年08月24日
  • 伊達政宗(二)

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    山岡荘八の描く伊達政宗伝第二巻(全六巻)小田原参陣から秀吉の死去まで。白装束や十字架、眼のあいた鶺鴒の花押などなど、おなじみのエピソードを挟みつつ、政宗と秀吉の化かしあいと奇妙な関係の深化、そして豊臣政権の揺らぎのなかで天下への野望を新たにする政宗の姿を描く。

    秀吉が軽すぎる気もするけど、政宗にどこかシンパシーを感じながら綱引きをする描写はまあ面白い。三成と家康の間でバランスを取りつつ天下を目指す政宗。さて、これからどう出るか。
    青大将を男の一物で撃退するおバカエピソードもあり(笑)

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    2023年07月27日
  • 徳川慶喜(6)

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    読んだ本 徳川慶喜(6)山岡壮八 20230721

     最終巻。大政奉還がなされるけど、矛を収めきれない薩長軍が江戸に迫る。いきり立った空気の中で、江戸城無血開城が勝海舟と西郷隆盛の間で果たされる。会津や河合継之助なんかがエネルギーのはけ口になって犠牲になってゆくんですが、戦争は回避されて、英仏列強の介入を許さなかった。それも、慶喜の徹底した恭順の功が大きいと描かれてます。大阪城を密かに抜け出して鳥羽伏見の戦いから逃げたのなんか、無責任の極致にしか思えないんですが、こうして徹底的に功労者として描かれると、やはり国体を重んじて徹底した恭順を通したっていうのが自然に思えてきますね。
     明治に入って

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    2023年07月21日
  • 徳川慶喜(5)

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    読んだ本 徳川慶喜(5)山岡荘八 20230717

     いよいよ幕末は蛤御門の変から長州征伐。高杉晋作好きの僕としては、一番のクライマックスなんですが、幕府の立場から読むと、本当に歯痒い。なんで第一次長州征伐をあんな形で終わらせてしまったのか。徳川慶喜という人を中心に読むと、薩長に任せずとも、近代日本は生まれたんじゃないかと思ってしまいます。志士史観だと、幕府を倒すという行為なくして、新しい時代の到来を知らしめることができない。っていように思っていたんですがね。
     薩長同盟もなって、薩摩が陰謀の黒幕となってからは、維新は鎖国開国ではなく、尊王でもなく、ただ討幕の為だけの運動になっていく。開明的

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    2023年07月17日
  • 徳川慶喜(3)

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    読んだ本 徳川慶喜(3)山岡荘八 20230709

     遂に、安政の大獄が行われ、桜田門外の変につながっていく。
     ストーリーの中では、幕府内(水戸藩含む)の相互理解不足が2つの事件を引き起こしたってことになってますが、水戸の徳川家乗っ取りを、井伊直弼が防ごうとしたっていう構図ですかね。水戸を維新の功労者と見ると、井伊は悪者になりますが。広い視野を持っていなかったってだけで、むしろ徳川家の能吏だったbんでしょうね。しかも、御三家のような一門をを裁くなんて家光ぐらいしか思いつかないですよね。将軍でもないのに。
     いよいよ慶喜が将軍後見役となって、維新の渦中に飲み込まれていく。幕府側から明治維新が

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    2023年07月09日
  • 徳川慶喜(2)

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    読んだ本 徳川慶喜(2)山岡荘八 20230705

     安政の大獄に至る井伊直弼を軸に、慶喜が水戸派と紀伊派の対立を防ごうとする話。ここでは攘夷派と開国派というものは存在せず、全てが開国派。それをしなければいけない状況を、どういう体制で乗り切るかで争っている。こうして読み進めていると、水戸の尊王も覇権争いの道具でしかないし、単なる派閥争いが高じて、安政の大獄→明治維新って風にエスカレートしていったと読むのが素直ですね。これが、欧米列強の思惑を阻むほどのエネルギーに転化していくのかと思うと、幸運というか志士という下級武士がいかに優秀だったかと感心させられます。なんせ、革命のような階級闘争のないま

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    2023年07月09日
  • 徳川慶喜(1)

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    読んだ本 徳川慶喜(1)山岡荘八 20230701
     山岡荘八歴史文庫も、残すところ徳川慶喜と明治天皇の2作となりました。まぁ、面白そうなところから読んでったので、家光とか千葉周作なんかの地味なのが続いてましたが、同じ地味でもこちらは明治維新がクライマックスであるので、期待してます。
     1巻は、慶喜の世子(次の将軍)問題のお話し。攘夷派と開国派が継嗣争いを繰り広げてたのかと思ってましたが、憂国派とノンポリが、両方とも開国派で、開国の仕方に権力争いが加わって争っている図式。慶喜はまだあまり顔を出してませんが、自分が継嗣争いに加わることで国を分かつことは諸外国の圧力を前に避けたいとの政治感覚。これ

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    2023年07月02日
  • 小説 太平洋戦争(6)

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    中央からの無理な命令を伝える者、それを受ける現場の将、それを更に伝えられる現場の兵隊。三者三様で、誰も幸せにならない辛い戦争です。そして『人間抹殺の悪業を認めるほど立派なイデオロギーなどがあるはずないのにそれがあたかも正義であるかの如く妄想して愚行を演じ合っている』戦後24年時点で著者が書いているこの一文が、この巻では印象的でした。

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    2023年04月01日
  • 千葉周作(1)

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    読んだ本 千葉周作(1) 山岡荘八 20230304

     今年、山岡荘八第2弾です。
     これは物語要素が強くて、小説として面白いです。剣豪なんかは、著名になってからの履歴はあるものの、若かりし頃の記録なんてないから、作者の想像力が発揮されるんですね。
    「徳川家光」なんかは、生まれついての将軍なもんで、記録が残りまくってて、それを作者が定義づけていくってことになり、小説としての成り立ちが全く違ってくるんでしょうね。
     青春の匂いがしていいですね。やたら女にもてまくってます。
     昔、司馬遼太郎の「北斗の人」だったかな。千葉周作の小説を読んだんですが、もう少し堅かったような気がしますね。こっちの方が

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    2023年03月08日
  • 新太平記(3) 建武中興の巻

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    鎌倉幕府滅亡から、建武の新政、朝廷と足利氏の対立、中先代の乱から護良親王の虐殺を描いている。楠木正成、新田義貞が殆ど登場しない巻となっている。

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    2023年02月20日