あらすじ
慶応3年(1867)10月、徳川慶喜はついに“大政奉還”を断行した。しかし薩長との対立は少しも緩和されず、かえって幕府、会津、桑名の重臣から強く挙兵を迫られる。蟄居する慶喜……。家康から265年続いた徳川幕府は、この15代将軍を最後に終焉する。大正2年まで生きた慶喜の生涯、完結篇。
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Posted by ブクログ
読んだ本 徳川慶喜(6)山岡壮八 20230721
最終巻。大政奉還がなされるけど、矛を収めきれない薩長軍が江戸に迫る。いきり立った空気の中で、江戸城無血開城が勝海舟と西郷隆盛の間で果たされる。会津や河合継之助なんかがエネルギーのはけ口になって犠牲になってゆくんですが、戦争は回避されて、英仏列強の介入を許さなかった。それも、慶喜の徹底した恭順の功が大きいと描かれてます。大阪城を密かに抜け出して鳥羽伏見の戦いから逃げたのなんか、無責任の極致にしか思えないんですが、こうして徹底的に功労者として描かれると、やはり国体を重んじて徹底した恭順を通したっていうのが自然に思えてきますね。
明治に入って、趣味に走り、多くの子供を作って晩年を迎えるのも、山岡荘八は恭順の一環だと言ってるんですが、結構人生満喫してる感があるんですよね。とはいっても、徳川家の墓所に入らなかったり、葬式を神式で行ったりと、確かに一貫性はあるんですよね。
とは言え、欧米の圧力や薩長の陰謀のみならず、幕府内からも嫌われていた慶喜が、幸せな晩年を送れたのは救いでした。