山岡荘八のレビュー一覧
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大権現様が泰平を乱す対立を堪え忍ぶ20巻。
既に大権現様の目的であった天下泰平は達成され、
それを維持するための構想も優秀な人材の起用により軌道に乗り、
自分が秀吉の亡くなった歳になった事を意識し始めて、
死後の事を考えて秀忠に将軍職を譲ろうとする大権現様。
堪忍堪忍で乱世を生き延びてきた今までとは別の小説のようだ。
ついに断片的に出てきていた遺訓が完成して、
これまでの辛苦が振り返られて、思わず電車の中で涙ぐんだ。
だが、海外の旧教徒と新教徒との対立、
そして大阪の豊臣や功名を上げようとする武将の存在等、
せっかく築き上げた天下泰平を乱す要因も存在する。
秀頼という人間を信じて豊臣を救おうとするが、
そこに大権現様の甘さを感じ取る天海と高台院。
今まで大権下様を神だ!神だ!と持て囃してきたが、
やはり大権現様も人間らしく未来は見通せないのだなあ。 -
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大権現様が終わりと始まりを堪え忍ぶ第19巻。
ついに物語の幕開けから世の中と大権現様を見守り続けた
於大の方と竹之内波太郎の二人が天寿を全うする。
あどけない表情で自分のことを「だい」と呼んでいた少女が、
年老いて老婆となり死んでいき、その間室町安土桃山江戸と、
幾度も時代が変わった。今更ながら長い小説である。
そして色々な人から何かを受け継いできた大権現様は、
源頼朝公の幕府というシステムと新田義貞公の勤王の志を受け継ぎ、
天下人として天下泰平の礎を築くための決意を新たにする。
無になった徳川家康が誕生した三巻と同じく新たな始まりである。 -
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とうとう京都を手にした信長。天下の平定に手を広げていく。
朝倉家、浅井家の目の上のたんこぶ感がすごい。朝倉家なんかは主君が大したことがなさそうなのに、やはり代々続く名家は家臣の層が厚い。
寺の焼き討ちは信長の悪名を代表する事件だが、あれは必要だったのだろうか…。
松永久秀という大名がいるが、ひどい奸物である。あれだけ寝返るのは逆に才能である。本作では、戦国時代にあってはあれも一つの豪傑だったと評している。
信長の「わかりにくさ」は年を重ねてますます強くなっているようだ。明智光秀その他武将との信頼関係が、少し難しくなっている。
信長は武将として非常に有能だが、あまり上司にしたくないと思う。 -
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姉川の戦い、比叡山の焼き討ち、三方ヶ原の戦い、古谷城の戦い。
この巻は、戦だらけ。
しかし、決して
『他を征服したい』と言うわけではなく、
『戦などない世の中にしたい』と言う思想から。
どちらも私的な思想には代わりないけど。
『戦を無くす為に、戦を以て、戦を制する。』
一度、戦争が起こると、
軍とは関係無い国民も死に、
国土は壊滅的被害を受ける。
国を支えているのはその国の民であり、
その国民が泰平に暮らせる世の中にしなければ、
真の平安にはなり得ない。
「戦争はこんなに酷い悲惨な状況を生み出す行為なのだ。」
と認識させる為に、
やり過ぎなくらいの戦争をする。
それは正義なのか?悪なのか?
今までもこれからも、
永遠に続く人類のテーマだと思った。