山岡荘八のレビュー一覧
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ネタバレ尼子の大軍六万に囲まれ、篭城戦をとった元就。大内の援軍も遅参し絶体絶命の状況で、驚天動地の逆転劇。城内で恐怖心を増やさないために、家臣や家族をねぎらい結束を固めていくその心は、多くの経営者にとって模範となるだろう。
元就が中国を制覇したのには、兵法に寄らずに自分の勘を鍛えた天性の才能、幼い頃の不寓による忍耐力もあったろうが、尼子や大内といった強敵の後継ぎがことごとく愚鈍であったということにも負っている。信頼できる家臣にも、息子にも恵まれた。彼が江戸時代に国人のような身分で生まれていれば、一生そのままであったことだろう(よい国家老ぐらいには出世できただろうが)。まさに時代が生んだ寵児である。
元就の成功は、ひとえに彼の人徳と民を憂い国を和平で治める経綸の志があるゆえ。その象徴となっているのが、間諜の成田小五郎と於仙の夫婦の存在感。於仙などは恋愛沙汰をまで操り、大内家内紛の騒動の種をつくりあげる。最後はこの夫婦の別れで締められる。
主家を滅ぼした陶晴賢を厳島との合戦を打ち破ったところで物語は幕を下ろす。以後の尼子とのことは書かれていないが、毛利家が中国を制覇したのは皆が知るところであったので蛇足であったのだろう。
元就の夢は、勤王であり、かつ国土の安定と民草に戦乱のない日常を約束することであった。個人の享楽のみのために謀略に終わる、領地を広げることに囚われ戦争を広げていく、という夢との対比がおもしろい。
当世代の横の連携のみならず、その高い理想を子々孫々まで継承すべきという「百万一心、百代一心」の思想はすばらしい。 -
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ネタバレ山岡荘八は初読だが、なかなかおもしろい。
十歳にして父を失い、城主となった元就こと松寿丸。だが家臣の裏切りで領地を奪われる。兄も謀殺され、その嫡男も早世。聡明な元就は家臣団をまとめ「百万一心」を合い言葉に、宿敵武田元繁を滅ぼし、大内と尼子が二分する中国で着々と勢力をひろげる。
一巻は本家の家督を二十七歳にして正式に継ぐ。そして大内側に与して、尼子と対立するまでの四十代に。かなり駆け足気味で話がすすむ。
彼も井伊直弼とおなじく埋もれ木の人材だったのだろう。彼は決して最初から野心を抱いていたわけではなかったし、ただ戦国の世に安寧をもたらしたかった。
愚弟を失った悲劇が、あの三本の矢の伝説を生んだのだろう。 -
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悲惨な沖縄戦、戦艦大和の最後、原爆投下、そして終戦に向けた動きを描く第8巻。
終戦直前の日本にに、ソ連へのすり寄りといった動きがあった。そして連合国各国の思惑が渦巻く中で、戦争継続か降伏かで揺れ動く日本。一歩間違えば国が亡ぶか、日本人が全滅するかという瀬戸際にあったことをあらためて知る。
著者は、沖縄で戦争に巻き込まれて亡くなっていった人々について、あのまま進めば、本土の日本人も同じ運命をたどったと指摘する。300万人もの日本人が亡くなったというこの戦争をなぜしなければならなかったのか。日本は、いまでもやはりここを起点に何事も考える必要があると思う。 -
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第7巻は、硫黄島の戦いと、沖縄戦の開始。
2万3千人が勝利の見込みない中で、しかし統率された中で闘い玉砕した硫黄島。本書で初めて詳しい状況を知った。本土に敵を近づるのを少しでも遅らせるためという目的の中で、勝つ見込みのない戦いに挑んだ人々。先日読んだ本の中で、硫黄島の滑走路は、この戦いのあと、米軍が兵士の遺体の上にコンクリートを敷いて作ったものだそうで、今でも遺骨がその下に眠っていると紹介されていた。想像を絶する戦争の状況。
沖縄戦では、兵士の他に一般市民の犠牲が出る。著者も書くのがつらかったというように、この小説もいよいよ平常心では読めない場面が増えてきました。