山岡荘八のレビュー一覧

  • 織田信長(2) 桶狭間の巻
    織田家家中の平定から桶狭間での奇襲、そして斉藤義龍の死までが描かれています。

    ただただ信長の慧眼には恐れ入るばかりです。みずから敵にのせられたと見せ掛け、影で実は完璧な対策を練る。反対派をおびき寄せ一気に一網打尽にする―。器が違うとしか言い様がありません。濃姫との尋常ではない夫婦のやりとりも、その...続きを読む
  • 織田信長(3) 侵略怒涛の巻
    佳境の第三巻です。美濃攻め、上洛、朝倉攻めが描かれています。

    明智光秀が登場します。後の本能寺と結びつけて彼の描写を読んでいくと面白いです。
    織田家家中の平定を目的としていた頃とは比較にならぬほど織田家は大きく、強くなりました。留まることなく、常に最善の一手を指してきた信長だからでしょう。その間他...続きを読む
  • 織田信長(1) 無門三略の巻
    戦国の時代に現れた英雄・織田信長の一生を綴った物語です。
    一巻では蝮と称された斉藤道三の娘、濃姫との縁談から、一国の主となり斉藤義龍との合戦までが描かれています。

    当時誰も持っていなかった大局的な視点と、権謀術に富んだ信長がすがすがしく描かれています。彼の織り成す計略の真相を知る毎に、膝を叩かずに...続きを読む
  • 徳川家康(1) 出生乱離の巻
    全26巻の超大作です。
    家康嫌いの将雪が愛読しております(笑)。
    叙述が詳細・多岐に渡っていて、描写が豊かで美しく、読み進めていくうちに自分も戦国時代に入り込んでいきます。
    さすがの将雪も、これを読んでいるときだけは家康好きになってしまいます(笑)。
    まあ普通に考えたら甚だ怪しいんですけどね、「大阪...続きを読む
  • 織田信長(1) 無門三略の巻
    乱世に反発するために右を向けと言われたら左を向き、
    左を向けと言われたら右を向く風雲児織田信長と、
    心強い味方の肉食系女子(おなご)濃姫の話。

    戦後の教育を受けた人間は、度々出てくる
    勤皇思想に違和感を覚える事もあるだろうが、
    とにかく信長が格好よく描かれており、
    全5巻飽きが無く、一気に読めてし...続きを読む
  • 吉田松陰(1)
    坂本龍馬も時代を突き動かしたが、この男の生き様と死に様も、時代を大きく動かした。

    よく一人が行動したところで、世の中は何も変わらないという声を耳にするが、それは違うということがこの本を読むと分かる。「たった一人の熱意が、国を大きく動かすことがある。」

    現代に、吉田松陰がいたら・・・。やはり凄いこ...続きを読む
  • 吉田松陰(1)
    グイグイ引き込まれていく。
    江戸の末期も平成の世も、閉塞感と絶望感は
    変わらないのだなあと思う面と、
    自分もそんな日本を照らす小さな光になるために
    学び実践していかなければと思う。
  • 小説 太平洋戦争(9)
     敗戦を迎えたあとも、日本人の自決、極東国際軍事裁判、満州国解体・・・など、悲愴な時代は続いていく・・・
     この戦争は自衛戦争であり、白色人種以外の人種の民族解放につながる戦争であったはずなのに、敗戦とともに態度を変えてしまう日本人もいた・・・・。現在に住む我々がそういう方々を批難することはできまい...続きを読む
  • 小説 太平洋戦争(8)
     ついに終戦を迎えた・・・
     極東の小国である日本が連合国相手によく戦ったと思う。当時の日本人の気持ちとしてはどうだったのだろうか?複雑な思いだったのだろうと思う。現在に住む我々には想像もつかないことだろう。
     原爆投下にソ連による日ソ不可侵条約の蹂躙・・・ 終戦間際はあまりにも悲劇的に過ぎる。
  • 徳川家康(7) 颶風の巻
    見事な武士が二人出てくる。

    鳥居強右衛門と大河内源三郎だ。

    武士道という非合理的な不文律を頑なに守る様は余りに感動的だ。

    武将と武士とでは武士道に違いがあるようだ。領民の安堵のためには時に裏切りを働くのも大将たるものは許される。しかし一介の侍ならばいかに非合理的でも忠という道徳観念を守る...続きを読む
  • 徳川家康(1) 出生乱離の巻
    全二十六巻。
    膨大な文量の物語。



    欲とは?
    富とは?
    戦とは?
    人とは?
    愛とは?
    神とは?
    命とは?


    諸行無常、盛者必衰の家康生誕以前よりの七十余年の物語が人生の殆どの問題に回答している。


    昭和の日には「経営虎の巻」とされ、佐藤栄作に「この本には全てが書いてある」...続きを読む
  • 徳川家康(24) 戦争と平和の巻
    フロイト最後の著作「モーセと一神教」はエス論者フロイトとユダヤ人フロイトの内なる葛藤を描いたものだった。


    家康最晩年の大阪冬の陣では家康は天下人であると同時に一私人としての骨肉の情を自覚する。かつて瀬名御前と信康を切ったときとはその感覚は違ってきている。


    武の道は女子供を守るものとする家...続きを読む
  • 徳川家康(12) 華厳の巻
    薙刀振り回して本能寺で散った濃姫も大好きだったけど、順調に育ってきた茶々姫もすごいかっこいい。

    実父、実母、義父の仇の秀吉についに抱かれてしまった茶々姫。

    この後どういう風に描写されるのかわからないけど秀頼を産むのは執念としか言いようがない。


    ついに家康が秀吉のもとに参ずじ、戦国のフィ...続きを読む
  • 徳川家康(15) 難波の夢の巻
    主筋の織田家を自ら散々な目に合わせただけに、死を間近にした秀吉は性急に豊臣家を固め始める。

    しかし、時すでに遅し。できたことといえば跡目を秀頼に固定することだけ。

    豊臣政権内部の軋轢は強まり、朝鮮征伐は重くのしかかってくる。


    策謀をめぐらす五奉行は諸将に嫌われ、対立の芽は至る所に吹き荒...続きを読む
  • 徳川家康(23) 蕭風城の巻
    大阪方の無能さはことあるごとに説明されていたので、開戦に至る過程も腑に落ちた。


    驚いたのは真田幸村の思想だった。

    家康と同じ虚無に立脚したうえに戦は無くならないものとして世界を理解している。


    今までの家康のライバルは泰平を目指すことでは一致していた。


    真田幸村は違う。
    戦争を...続きを読む
  • 徳川家康(25) 孤城落月の巻
    死んだ。
    みんな死んだ。

    この長い小説で大阪城は常に描かれる舞台だった。その大阪城がついに落ちた。


    家康の思想上のライバル真田幸村は家康の旗本まで迫るもついに果てた。だが、泰平を願う家康とは違い彼の築いた幕府は秀頼の頑是ない遺児国松までおも処刑してしまう。本当に家康は勝てたのだろうか? ...続きを読む
  • 徳川家康(6) 燃える土の巻
    大賀弥四郎と秀吉の違いが面白かった。

    二人とも足軽の倅で才知に溢れ、短期間で大身に取り上げられるのだが、一方は才知に頼み主君を軽んじ、一方は才知ゆえに妬まれるを恐れ主君をより一層敬う。






    殺すものは殺される。生かすものは生かされる。一にも策、二にも策では情けない。行うことの全てが天意...続きを読む
  • 徳川家康(26) 立命往生の巻
    読み終わったのはいいが、しばらく立ち上がれなかった。


    万物すべてが預かりもの、公私一如、命は全て一本の木なのだ。


    読み終えて本当に感じるのは生きとし生けるものへの愛だ。

    人間は時を駆けることは出来ない。同じ時代に生きるだけで、その縁はどこまでも深い。




    ついに家康は生命の大樹...続きを読む
  • 徳川家康(18) 関ケ原の巻
    関ヶ原の合戦は家康の勝利に終わる。


    最後まで三成は人を小馬鹿にする奇妙な性格を止めなかった。


    見事と言えば見事。
    だが、未熟と言えば未熟。


    器量が無ければ地上の富を貸し与えてくれる何者かはすべてを奪ってしまう。



    大好きだった淀君はなんだか瀬名御前みたいになってきちゃってシ...続きを読む
  • 小説 太平洋戦争(1)
     我が国の歴史で最も最近で、かつ、最も悲惨な戦争となった大東亜戦争。第1巻では、外交努力により戦争回避を試みようとするが、米国からは全く相手にされず、やむなく真珠湾攻撃により開戦に至るまでを描写している。
     日本の外交努力が結局は戦争回避には結びつかなかったのだが、日本の外交力不足、外交の統一感の不...続きを読む