山岡荘八のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
フロイト最後の著作「モーセと一神教」はエス論者フロイトとユダヤ人フロイトの内なる葛藤を描いたものだった。
家康最晩年の大阪冬の陣では家康は天下人であると同時に一私人としての骨肉の情を自覚する。かつて瀬名御前と信康を切ったときとはその感覚は違ってきている。
武の道は女子供を守るものとする家康が創設した江戸幕府の敵、秀頼と淀君はその女子供であった。
よく出来た小説だとしか言いようが無い。
最後の最後で家康はひとりの人間に立ち返り、そして自分の作り出した機構と対決する。面白い。
家康の思想上のライバル真田幸村も虚心に準備を進めている。
和議なった大阪冬の陣、決着の夏の陣へと時代は進む。
家康の敵は己の過去と戦を望む人々だ。 -
Posted by ブクログ
全二十六巻。
膨大な文量の物語。
欲とは?
富とは?
戦とは?
人とは?
愛とは?
神とは?
命とは?
諸行無常、盛者必衰の家康生誕以前よりの七十余年の物語が人生の殆どの問題に回答している。
昭和の日には「経営虎の巻」とされ、佐藤栄作に「この本には全てが書いてある」と賞されたのも今は昔。
今となってはただの歴史小説だ。
だが、七十五年にわたる家康の成長とともに著者山本荘八の平和への祈り。人生の達人への道を学ぶのにこの長い物語より面白い教科書もないだろう。
何かに縛られ、囚われ、我執妄執の兆しを見つけたら、是非ともこの大長編を読み抜くことをお勧めする。
厭離穢土
欣求浄土
人は連綿と続く命の大樹の一部なのだ。 -
Posted by ブクログ
我が国の歴史で最も最近で、かつ、最も悲惨な戦争となった大東亜戦争。第1巻では、外交努力により戦争回避を試みようとするが、米国からは全く相手にされず、やむなく真珠湾攻撃により開戦に至るまでを描写している。
日本の外交努力が結局は戦争回避には結びつかなかったのだが、日本の外交力不足、外交の統一感の不足、米国の対日戦争への考えなど、様々な要因により戦争回避には至らなかった。
山岡氏の見方では、アメリカの少しの努力=蒋介石と日本とを握手させるということ、を怠ったために、多くの犠牲を払い、また、戦後の朝鮮戦争やベトナム戦争、冷戦の原因となっている、とのことだが、確かにその一面もあるだろう。
とにかく、戦前日本が国を賭けて戦った大東亜戦争。結果はご存知のとおりであるが、それに至る経緯、その戦争でどうやって我が軍が戦ったかということは、認識しておくべき事項である。