山岡荘八のレビュー一覧

  • 柳生石舟斎
    歴史小説というより哲学書の趣きがありました。文才のない大学の先生が翻訳したド直訳哲学書なんかよりよほど真理や思索にあふれた一冊でした。自分が何に傷ついたかをひたすらアピールして他人に押しつけてくる人間で溢れてしまった現代に疲れている自分には、男として人として生まれたならかくあるべし、という上泉信綱や...続きを読む
  • 徳川家康(1) 出生乱離の巻
    若い頃は「松平はかわいそう」というくらいな気持ちで読んでいたが、婚姻政策がいきあたりばったりで女性陣が犠牲になったと考えると(於大の方のあとの正室は別に何も悪くないのにいじめているし)、やはり今川預かりになったのもしかたなかったのかもしれない(まだ先の話だが)。小国ほど外交上手でなければいけないのに...続きを読む
  • 徳川家康(2) 獅子の座の巻
    松平も織田も父親の時代が終わりました。信長のほうは濃姫との掛け合いが始まって、今後を期待してしまいます。一方竹千代は駿府に移って、暫くは勉学の時でしょうか。何度読んでも良いテンポで進む良い小説です。
  • 徳川家康(1) 出生乱離の巻
    これ、最初に読んだのは小学校のころだから35年くらい前ですかね。今思うとよくこんなの読んでたな。それから何回目か判らない再読です。書かれたのは半世紀以上前ですが、それでも今の学説ではそーじゃないよねと言いたくなるところが余りない、あっても小説的には有りと思えるあたり、上手く書いてるなぁと思います。人...続きを読む
  • 柳生石舟斎
    この年齢になったからこそ味わえる小説。
    身を捨ててこそ、浮かぶ背もあれ。
    無刀取りの極意、戦わずして勝つために。

    P41
    人間本来の姿は無心。敵意は利害の念の生じたとこrにさsh8いhかけてゆく陰、この陰を取り除いて無心に返すのが新陰流のめざすところ。

    P73
    一方が死に一方が勝つ。さなくば双方...続きを読む
  • 新太平記(4) 湊川の巻
    中先代の乱の北条征伐のため、足利尊氏は征東将軍として鎌倉を制圧、ただし大塔宮虐殺もあり尊氏は逆賊となる。
    尊氏は持明院統の光厳上皇の綸旨を得て九州で勢力を盛り返し東上、湊川の合戦で楠木正成は最期を遂げる。
    非理法権天、本書での楠木正成の生き方の根本理念ですね。
  • 新太平記(2) 鎌倉攻めの巻
    楠木正成が赤坂城を奪還、大塔宮は吉野で挙兵する。後醍醐帝は名和長年ら名和一族を頼って隠岐島から脱出。
    足利高氏は反幕府の兵を挙げ、諸国に多数の軍勢催促状を発する。六波羅探題は陥落。
    関東では、新田義貞が挙兵、足利の千寿王とともに鎌倉にむけ進軍する。

    楠木正成、大塔宮を中心に書かれている。武家では新...続きを読む
  • 源頼朝(3) 鎌倉開府の巻

    毀誉褒貶の極致の主人公だが

    源頼朝ほど毀誉褒貶が激しい評価を受ける日本の政治家もおるまい。しかるに山岡氏は犀利な分析によりさび付いた源頼朝像を打ち砕いているかのように見える?
  • 新太平記(1) 笠置山の巻
    はじめて山岡荘八を読みましたが、面白いですねー。読書というよりも、マンガを読んでるような感覚になりました(^^)
  • 毛利元就(1)
    幼少期に父を亡くし、命を狙う家臣から見を守るため分家、兄が亡くなった折にはその嫡子、幸若丸を後見する立場となるが、その子も幼くして夭逝してしまう。
    百万一心を掲げて家臣団の結束を強め、戦国の非道の中、理想を心に秘め日頃から思慮を尽くして生き抜いていく姿。

    戦国の初期にこうした人物が出たことが、驚き...続きを読む
  • 伊達政宗(7) 平和戦略の巻
    2020.02

    大坂夏の陣。豊臣家の滅亡。
    「徳の根」代々にわたって積まれてきたもの。先祖に感謝。

    体は借り物。借り物だから無茶をさせてはだめ。
  • 徳川家康(26) 立命往生の巻
    読み始めてから十年で完了。何かを成し遂げるのは大義だと感じる。
    小説なので盛っている部分も多分にあるが、
    トータルで見て読み応えあり。
    ただし、家康と戦った者はほぼ全員クズ扱いなので、好みは別れるかも
  • 徳川家康(24) 戦争と平和の巻
    徳川家康、最晩年にも関わらず、難題が次から次へと襲いかかってくる。
    家康の思いを理解せずに、戦へと傾いていく大阪方。
    故太閤との約束を何としても果たしたい家康。
    その中で、秀頼の愚かさだけが浮き彫りに。
    家康の苦悩に胸を締め付けられる。
  • 徳川家康(23) 蕭風城の巻
    73歳になった家康の胸中を察してくれる人物は少なかった。
    戦はしたくない家康。
    しかし、戦は避けられない情勢に。
    またしても、関ヶ原の再現になってしまうのか。
    10数年続いた、泰平が音を立てて崩れ去ってゆく。
    大坂との対立を家康はどう治めてゆくのか。
  • 徳川家康(20) 江戸・大坂の巻
    泰平の世も、まだ過渡期。
    戦国の世が、まだ抜け切れていない。
    何とか、泰平の世の基礎を固めようと知恵を絞る家康。
    その中での淀君との対立。
    淀君の愚ばかりが目立った。
    家康は、将軍を辞任して、安定した泰平をどう固めていくのか。
    家康の手腕が試されるとき。
  • 徳川家康(26) 立命往生の巻
    徳川家康最終巻。
    家康臨終に向けての平和の礎を据えるための最後の戦いの姿描かれる。
    筆者あとがきに「とにかく「平和ーーー」に一つの祈りを込めて書き継いできた」とあるように、振り返ってみると全編を通して筆者の平和への希求が強く示されてきた小説だったと思う。昭和25年から書き始めたということで、戦後すぐ...続きを読む
  • 徳川家康(19) 泰平胎動の巻
    これまでは、戦国武将としての家康。
    だが、ここからは名実ともに天下人となった、為政者としての家康が描かれていく。
    これまでの合戦などの盛り上がりは無いが、江戸の街作りをどう、成し遂げていくのかに注目していきたい。
  • 徳川家康(25) 孤城落月の巻
    とうとう大坂夏の陣へ。
    徳川家康の心情が、よくある豊臣家を滅亡させるための謀略という解釈ではなく、あくまで秀頼を生かそうとして取った様々の豊作だったというあたりが人間味を感じて、この本の魅力になっている。合戦の描写はやや退屈。
  • 徳川家康(18) 関ケ原の巻
    三成を寄せ付けず、家康の圧倒的勝利で終わった関ヶ原の合戦。
    ここから、家康の天下泰平への道が始まる。
    関ヶ原の合戦は、淡々と終わってしまった。
    もっと、濃密な人間ドラマが待っているかと思っていたので少し期待外れ。
    だが、決してつまらないわけではない。
    そこは、山岡荘八の筆力で魅せてくれる。
  • 徳川家康(17) 軍荼利の巻
    関ヶ原前夜、家康と三成の駆け引きが佳境に入っていく。
    家康の老獪ぶりが際立つ。
    信長、秀吉と続いてきた天下泰平の夢。
    家康が見事にその夢を叶えようとしている。