山岡荘八のレビュー一覧
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悲惨な沖縄戦、戦艦大和の最後、原爆投下、そして終戦に向けた動きを描く第8巻。
終戦直前の日本にに、ソ連へのすり寄りといった動きがあった。そして連合国各国の思惑が渦巻く中で、戦争継続か降伏かで揺れ動く日本。一歩間違えば国が亡ぶか、日本人が全滅するかという瀬戸際にあったことをあらためて知る。
著者は、沖縄で戦争に巻き込まれて亡くなっていった人々について、あのまま進めば、本土の日本人も同じ運命をたどったと指摘する。300万人もの日本人が亡くなったというこの戦争をなぜしなければならなかったのか。日本は、いまでもやはりここを起点に何事も考える必要があると思う。 -
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第7巻は、硫黄島の戦いと、沖縄戦の開始。
2万3千人が勝利の見込みない中で、しかし統率された中で闘い玉砕した硫黄島。本書で初めて詳しい状況を知った。本土に敵を近づるのを少しでも遅らせるためという目的の中で、勝つ見込みのない戦いに挑んだ人々。先日読んだ本の中で、硫黄島の滑走路は、この戦いのあと、米軍が兵士の遺体の上にコンクリートを敷いて作ったものだそうで、今でも遺骨がその下に眠っていると紹介されていた。想像を絶する戦争の状況。
沖縄戦では、兵士の他に一般市民の犠牲が出る。著者も書くのがつらかったというように、この小説もいよいよ平常心では読めない場面が増えてきました。 -
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大権現様が泰平を乱す対立を堪え忍ぶ20巻。
既に大権現様の目的であった天下泰平は達成され、
それを維持するための構想も優秀な人材の起用により軌道に乗り、
自分が秀吉の亡くなった歳になった事を意識し始めて、
死後の事を考えて秀忠に将軍職を譲ろうとする大権現様。
堪忍堪忍で乱世を生き延びてきた今までとは別の小説のようだ。
ついに断片的に出てきていた遺訓が完成して、
これまでの辛苦が振り返られて、思わず電車の中で涙ぐんだ。
だが、海外の旧教徒と新教徒との対立、
そして大阪の豊臣や功名を上げようとする武将の存在等、
せっかく築き上げた天下泰平を乱す要因も存在する。
秀頼という人間を信じて豊臣を救 -
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大権現様が終わりと始まりを堪え忍ぶ第19巻。
ついに物語の幕開けから世の中と大権現様を見守り続けた
於大の方と竹之内波太郎の二人が天寿を全うする。
あどけない表情で自分のことを「だい」と呼んでいた少女が、
年老いて老婆となり死んでいき、その間室町安土桃山江戸と、
幾度も時代が変わった。今更ながら長い小説である。
そして色々な人から何かを受け継いできた大権現様は、
源頼朝公の幕府というシステムと新田義貞公の勤王の志を受け継ぎ、
天下人として天下泰平の礎を築くための決意を新たにする。
無になった徳川家康が誕生した三巻と同じく新たな始まりである。 -
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とうとう京都を手にした信長。天下の平定に手を広げていく。
朝倉家、浅井家の目の上のたんこぶ感がすごい。朝倉家なんかは主君が大したことがなさそうなのに、やはり代々続く名家は家臣の層が厚い。
寺の焼き討ちは信長の悪名を代表する事件だが、あれは必要だったのだろうか…。
松永久秀という大名がいるが、ひどい奸物である。あれだけ寝返るのは逆に才能である。本作では、戦国時代にあってはあれも一つの豪傑だったと評している。
信長の「わかりにくさ」は年を重ねてますます強くなっているようだ。明智光秀その他武将との信頼関係が、少し難しくなっている。
信長は武将として非常に有能だが、あまり上司にしたくないと