山岡荘八のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ尼子の大軍六万に囲まれ、篭城戦をとった元就。大内の援軍も遅参し絶体絶命の状況で、驚天動地の逆転劇。城内で恐怖心を増やさないために、家臣や家族をねぎらい結束を固めていくその心は、多くの経営者にとって模範となるだろう。
元就が中国を制覇したのには、兵法に寄らずに自分の勘を鍛えた天性の才能、幼い頃の不寓による忍耐力もあったろうが、尼子や大内といった強敵の後継ぎがことごとく愚鈍であったということにも負っている。信頼できる家臣にも、息子にも恵まれた。彼が江戸時代に国人のような身分で生まれていれば、一生そのままであったことだろう(よい国家老ぐらいには出世できただろうが)。まさに時代が生んだ寵児である。
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Posted by ブクログ
ネタバレ山岡荘八は初読だが、なかなかおもしろい。
十歳にして父を失い、城主となった元就こと松寿丸。だが家臣の裏切りで領地を奪われる。兄も謀殺され、その嫡男も早世。聡明な元就は家臣団をまとめ「百万一心」を合い言葉に、宿敵武田元繁を滅ぼし、大内と尼子が二分する中国で着々と勢力をひろげる。
一巻は本家の家督を二十七歳にして正式に継ぐ。そして大内側に与して、尼子と対立するまでの四十代に。かなり駆け足気味で話がすすむ。
彼も井伊直弼とおなじく埋もれ木の人材だったのだろう。彼は決して最初から野心を抱いていたわけではなかったし、ただ戦国の世に安寧をもたらしたかった。
愚弟を失った悲劇が、あの三本の矢の伝説を生