梨のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新進気鋭のホラー作家たちによるアンソロジー、こういうアンソロジーってバラエティに富めば富むほどに、個々の評価はばらけてしまって、ひとつふたつくらい『私向きじゃないなー』というものがあるのだけれども、この本のそれはおしなべて私の趣味に合致していて、大変読みやすかった。
数冊の本を平行読みすることが多いのは、読んでいるうちにこごってしまうことが最近は増えたからなんだけれども、この本はそのこごった時の息づきに大変よかった。ひとつひとつが長すぎなくて、読みやすい文体と舞台設定が日常と地続きであることも理由のひとつなのだろうと思う。
6作が収録されているが、一番気に入っているのは新名智さんの『まぎれ鬼』だ。現代、否、昔から情報を取り入れて現実を把握する生き物である人間は、取り込んだ情報に対する精査については意外と無頓着で、その結果として実際と現実と理解に齟齬が生じがちだ。この話は、そのあたりをクローズアップしており、その展開も実に淡々としていて湿り気が薄い。その湿度の薄さが、連綿と続く怪談の作法に沿っているように感じられて、怖くて面白かった。湿り気といえば、それとは正反対のタイトルである斜線堂有紀さんの『涸渇』はタイトルとは裏腹な湿度があって、こちらは近代ホラーみを強く感じた。梨さんの『ブルーライト』は恐怖というよりは、青春期の奇跡という風合いで切ない。この作品をラストに配置した本の構成をしっかりと考えている編集に不思議な安堵を覚えた。
6作が収録されているのに、250頁程度なので手軽さもある。紙の本として手元にあっても良いなあと感じた。 -
Posted by ブクログ
本作はホラー短編のアンソロジーです。
決まったテーマは特になさそうでした。
『小説新潮』に掲載された短編が収録されているようです。
普段はあまり短編を読まないのですが、作家陣が豪華なので読んでみました。
アンソロジーなので、どの話が好きだったかを書きたいと思います。
一番好きだった作品は、…うーん、決められない!二つあります。
斜線堂有紀『涸渇』
上條一輝『枯れた街の上でも』
です!
『涸渇』は、主人公に襲いかかる怪奇現象というか体調不良というか、それの描写が秀逸すぎました。
いろんなホラー作品を見てきていますので、呪いによる色々な症状も見てきているのですが、この作品のやつは新しい!こんな霊障見たことないです。
上述していますが、その描写が素晴らしいです。
短編なので、細かい話は端折ってあるのですが、その辺の詳細が知りたいから長編化してほしいぐらいでした。
『枯れた街の上でも』は、話のまとまり方が短編とは思えないクオリティでした。しかも短編なのに時系列が2つ同時進行するという凝った仕掛け。
しかも、短編ホラーでは端折られがちな怪異の原因、元凶についても描写されています。
短編でここまでやれるの?!という、概念を覆される読書体験でした。
その上、ちゃんと怖いっていうね、文句ないです。惜しみない賞賛です。
特別枠として軽く言及させて頂きたいのが、梨『プルーライト』です。
ネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、梨さんってこういうのも書くのかーとびっくりしました。
梨さんの作品は『かわいそ笑』しか読んだことなかったので意外でした。
この話が、このアンソロジーの最後に収録されているのもなんかいいなと思いました。
満足度の高い作品ばかりで、大満足でした。
斜線堂有紀さんの作品は読んだことなかったので、手を出してみたいなぁと思いました。良い出会いになりそうです。 -
Posted by ブクログ
GOAT 食
2026.07.30
好きなYoutuberさんがGOATの愛バージョンを読んでいて、気になったので最新刊の食バージョンを買ってみた。
作家さんによって、食というテーマの切り取り方や着目点・描写の仕方が全く違うことに気づけた。私だったら、食というテーマを与えられてホラーに繋げる自信はない。食といったら高校時代にお母さんが早起きして毎日おいしくて彩りもステキなお弁当を作ってくれたこと、それが勉強と部活の支えになったことが1番に思い浮かぶ。食といっても人によってほんっっとうにいろんな角度で見ることができるということは、裏返せば同じ価値観や考えを人々が共鳴させるのは難しいということにもなるだろうと考えてしまった。
510円で分厚くてカラフルで可愛らしい表紙だったので満足。しかし作家さんで読みたい本が決まるのではなく、流行りの本や気になった本だけをちまちま読んでいる私には作家さん同士の対談にあまり惹かれなかったので、そこだけ気にすれば本を初めて読む人にもおすすめしたい!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本ホラー界を牽引する存在の梨さん。
そんな梨さんが、今度は「生徒手帳」型の作品を刊行した!
中身は「校内の生活について〜 第26条(校内移動)廊下、階段では走らない」みたいな校則が羅列されていて、まさに生徒手帳そのもの。
しかし、所々の内容が普通の学校では存在しないような縛りがあったりとかなりおかしい。
条文のすぐそばには、ボールペンで「←使える」「←禁止はしないんだ」等々、持ち主が書いたと思われるメモ書きが沢山されています。
いったい何を読まされているんだ?という感覚で文章を目で追ううちに、次第に手帳に記された内容の全容が掴めてきて、気づけば読者も…
奇妙な校則の存在理由は?
南瞻部学園とはどんな学校なのか?
そして、手帳の持ち主が企んでいるのは一体何なのか?
そんなに怖くないのかな?なんて思ってたら、ズドーーーーーーーンと恐怖に突き落とされました笑
読み終わった後、あの違和感はそれか〜怖っ!
と振り返りながらすぐ再読するのもまた面白かったです!
サクッと一時間もかからずに読むことができました。